東北大スプライト観測衛星「雷神」を取材しました(その2)
先日、無事打ち上げが成功した、東北大スプライト観測衛星「雷神」の
総括責任者の高橋幸弘さん(理学研究科准教授)から、
「いぶき」搭載カメラによる衛星分離の写真を、送って頂きました。
一番右の衛星が、「雷神」だそうです。
高橋さん曰く、
「全国的にはまいど1号がもてはやされる傾向にあるかもしれませんが(笑)、
雷神はまいど同様に東北地方を含む中小企業の力の結集であるだけでなく、
今回の相乗り衛星の中では唯一、技術試験的要素に終わらず、
本格的なミッション(=世界的な科学観測)を目指した衛星です。
その意味で打上げは重要なエポックではありますが、一つの通過点に過ぎず、
これから得られる世界的に見ても最初となるユニークなデータと、
そこから導かれる科学的成果にこそ、高い価値があると考えています」
と、雷神を位置づけているそう。
雷神の目的は、
宇宙空間から地上を真下を見下ろすように観測することで、
スプライト等の現象の水平構造と全球分布を観測し、
雷放電起源とされるガンマ線と落雷・スプライトとの関係を明らかにすること、です。
そのために、具体的には、
・落雷に伴う高層大気発光現象である「スプライト」を真上から撮影
・ガンマ線カウンタとVLFアンテナにより、地球の雷雲起源のガンマ線放射と落雷を同時観測
するのですが、これらはどちらも、世界初の試みだそうです。
誰よりも早くスプライトの正体に迫ろうと、世界の科学者が注目するターゲットに、
一足も二足も早く、東北大・雷神が一歩を踏み出せた理由は、
お金と時間をかけずに衛星を開発したから。
わずか1年という「科学的常識を逸脱したスピード」で、
同質のものなら「10億は切らない」衛星を格安の1億円で開発するという、
逆に言えば、リスクを背負う「ある意味では賭け」をすることで、
短期にピンポイントでトップサイエンスを狙うことが、はじめて実現されたというわけです。
「今後もこれまでと同じように幾多の困難が待ち受けていると思いますが、
それらをひとつひとつ乗り越え、話題となるような成果を発信していく覚悟ですので、
今後ともどうぞご注目ください」と高橋さん。
雷神の本当のスタートは、ここからです。
「宮城の新聞」では、雷神を今後も継続取材予定です。
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