東北大スプライト観測衛星の打ち上げを取材しました
23日、鹿児島・種子島から打ち上げられるH2Aロケット15号機には、
温室効果ガスの観測衛星「いぶき」のほか、
東北大が開発した小型衛星「スプライト観測衛星」など、
民間企業や大学が開発した6基の小型衛星も相乗りしています。
さすがに種子島までは行けないものの、
JAXAから配信される種子島宇宙センターからのライブ中継が
仙台市天文台で一般公開(パブリック・ビューイング)されると聞き、取材へ行ってきました。
東北大の理学部と工学部が連携して開発したスプライト観測衛星の、模型です。
ちなみに理学部と工学部の連携は、あるようでない、珍しいケースだそう。
固唾を呑んで見守る開発メンバーの皆さん。
「学生の力を中心に、つくってきました。その成長ぶりを見ているのは楽しかったですね」
と開発メンバーの坂野井さん(理学研究科助教)が言うほど、主役は学生さんだったそう。
その緊張感が、こちらまで伝わってきます。
総括責任者の高橋幸弘さん(理学研究科准教授)、
仙台市天文台台長の土佐誠さん、作家で東北大特任教授の瀬名秀明さんによる
解説トークを交えながら、打ち上げのその時を、見守ります。
「3、2、1、0!!」
打ち上げの瞬間、歓声が上がりました。
きっと、近くで聞いたら、すごい音なのでしょうね。
H2Aロケット15号機、打ち上げ成功です。
まずは、ほっとした様子の開発メンバーら。
衛星が、無事ロケットから分離。
第一段階目の緊張感から、まずは開放された様子。
けれども、本当に気になるのは、ここから。
「衛星が壊れないで、無事、観測できるか」
ロケット離陸からおよそ1時間半後(14:30頃)に、衛星が日本上空を通過。
この際、スプライト観測衛星からの電波を受信し、
衛星が健全な状態にあるかを確認できるまでは、気を抜けません。
ということで、衛星開発・運用室がある東北大理学総合研究棟へ。
移動中、仙台市天文台の近くにあるパン屋さん
『石窯パン工房ばーすでい』で、美味しいサンドイッチ等を頂きました。
パンを購入すると、コーヒーを無料サービスしてくれるのが、嬉しいです。
所変わって、東北大理学総合研究棟の衛星開発・運用室。
衛星へのコマンド送信、データ受信が、成功するか。
緊張感が漂います。
14時33分、衛星からの最初のデータ受信に成功!
歓声があがります。
「めちゃめちゃ健康だよね」「出来過ぎな位だよ」
この瞬間のために、大崎八幡宮で購入したというだるま。
炭酸飲料「スプライト」で乾杯です。
ひとり新聞社「宮城の新聞」、初・記者会見に参加です。
写真には、データ受信用のパラボラアンテナが映っていますが、
実はこれが完成したのはぎりぎりで、打ち上げ延期は「ちょっと助かった」そうです。
スプライト観測衛星の愛称は、「雷神(RISING)」と命名。
"RISING"は「らいじん」の発音に「上昇」の意を掛けたもの。
ではこの「雷神」、一体何を観測するのかと言うと、
・落雷に伴う高層大気発光現象である「スプライト」を真上から撮影
・ガンマ線カウンタとVLFアンテナにより、地球の雷雲起源のガンマ線放射と落雷を同時観測
これらはどちらも、世界初の試みだそうです。
「科学学術の人気ターゲット(スプライト)に対して、世界よりも一歩早く、
日本の小型衛星が勝負できることを示せた」と高橋さん。
東北大スプライト観測衛星については、
来月の研究室訪問取材にて、詳しく取り扱う予定です。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 東北大スプライト観測衛星の打ち上げを取材しました
このブログ記事に対するトラックバックURL: https://field-and-network.jp/mtos/mt-tb.cgi/6198