【東京&石巻】文部科学省「全国生涯教育ネットワークフォーラム」に委員として参加しました
文部科学省の「全国生涯教育ネットワークフォーラム2011」が
5・6の両日、東京都の文科省などを会場にして開催されました。
開催テーマは、『学びを力とする3.11以降の地域づくり、社会づくり』。
文科省から企画実行委員の委嘱を受けて、私も参加してきました。
宮城県石巻市立雄勝中学校の生徒たちによる「伊達の黒船太鼓」の演奏
開会行事では、宮城県石巻市立雄勝中学校の生徒たちが、
同地区の伝統芸能「伊達の黒船太鼓」の演奏を披露しました。
今回の津波で学校も太鼓も流されてしまった生徒たちは、
廃タイヤにビニールテープを張った手作りの太鼓を、
百円均一ショップの麺棒をバチにして、演奏していました。
廃タイヤと麺棒とは思えないほど、迫力のある演奏でした。
なお、東京駅の屋根に雄勝硯石が開駅以来使われている縁で、
このあと、生徒たちは東京駅でもこの演奏を披露したそうです。
(以前、雄勝に訪れた時も、硯などがたくさん売ってありました)
続いて、開会式では、中川正春文部科学大臣が開会挨拶で、
「東日本大震災による未曽有の災害に立ち上がるために、
多くの方々が連携して、様々な形で復興に取り組んでおり、
改めて地域の絆やコミュニティの重要性を再認識している。
生涯学習を核とした新しい地域づくり、社会づくりが、
全国各地で花開くことを願っている」と趣旨を話しました。
開会挨拶をする中川正春文部科学大臣
また、本フォーラムの経緯・ねらいについては、
実行委員会で高崎経済大学副学長の大宮登さんが、
「グローバル化社会、そして高齢化社会のなか、
生涯にわたる教育の仕組みづくりが課題となっており、
この20年間、国をあげて生涯学習のあり方を模索してきた。
これまで計21回『生涯学習フェスティバル』を開催してきたが、
普及啓蒙の時期は終わり、これからは、継続的な問題解決にむけ、
今年から『生涯学習ネットワークフォーラム』と、名称を変えて開催。
本来は岩手開催の予定だったが、今回の東日本大震災の影響で、
今年度は文科省が中心となり、東京開催となった」と経緯を話し、
今回のねらいについて、下記のように述べていました。
①「生涯学習と地域の『絆』づくりの関係を真剣に考えること」
②「生涯学習に関わる団体の継続的・全国的なネットワークづくり」
オープニングセッションのようす
また、前文部科学副大臣で参議院議員の鈴木寛さんは、
政権交代後から政府が提唱する「新しい公共」の概念を説明した後、
「『幸せの法則』が変わっている今こそ、私たちは学ぶべきである」と、
生涯学習に対する期待などについて話していました。
次いで、5つある各分科会から、課題提起などがあった後、
午後から各分科会に分かれて、講演や事例報告などがありました。
各分科会のテーマは、下記の通りです。(私は第1分科会の担当です)
1)学びの場を核にした地域の絆づくり
2)これから求められる防災教育への取組
3)希望の高齢社会-新たな可能性への挑戦-
4)ICTを活用した学びと安全・安心な学校の創造
5)震災ボランティアと若者たち~その学びと支援を考える~
第1分科会のようす
このうち、第1分科会では、高橋孝助さん(宮城教育大学学長)
による基調講演に続いて、下記4件の事例報告がありました。
○「住民が支える公民館運営~災害で発揮された住民参加の力」
齋藤文良さん(気仙沼市立岩松公民館長)
○「ふくしま総文の開催を通した地域貢献の実践」
笠原裕二さん(福島県教育庁参事兼室長
第35回全国高等学校総合文化祭福島県実行委員会事務局長)
○「笑顔と志あふれるまち しぶしの生涯学習」
本田修一さん(鹿児島県志布志市長)
○「大人も子どももつどい学ぶ場を核に学校と地域をむすぶ」
竹原和泉さん(横浜市立東山田中学校コミュニティハウス館長)
全体会や分科会で、いろいろな方のお話を伺っていて感じたのは、
日本社会は、今まさにトップダウン型からボトムアップ型の社会へ、
これから本格的に移行する(せざるを得ない)フェーズに入っており、
そのために必要かつ具体的な要素を形にしていかねばならないと、
社会全体が動き出している時なのだな、と肌身で感じました。
第1分科会の「子ども熟議」のようす
続いて、翌日の6日は、被災地(岩手、宮城)と東京の児童・生徒たちが、
「子どもたちの目から見た3.11移行の絆づくり」をテーマに意見交換する
「子ども熟議」が行われ、私は担当する宮城会場(石巻)に、参加しました。
実は当初、誘導質問のようにならないか心配していたのですが、それは杞憂に終わり、
子どもたちから出てきた言葉は、一つひとつ重みが感じられるものでした。
東京の生徒からの「どんな支援が一番嬉しかった?」という質問に、被災地の生徒が
「もちろん物も嬉しいけど、ダンボールに書いてあったメッセージが、とても嬉しかった」
と答えており、会場中の児童・生徒が「そうだよね」と頷いていたのが、印象的でした。
一番大切なのは、人の気持ち。それが、人と人をつないで、私たちの社会をつくっていく。
そんな言葉にしたら、一見当たり前のようにも感じられてしまうこの事実を、
子どもたちの実感の伴った言葉は、ずしりと重みをもって感じさせてくれました。
そして、これからやってくる社会は、まさに子どもたちの言うように、「支え合う」社会。
その時に一番大切なことは何かまで、子どもたちは強く伝えていたように感じました。
改めて子どもという存在のすごさを感じると同時に、これから縮小化していく社会の中で、
私たちはどうあるべきなのか、その指針を改めて確認できた、貴重な機会となりました。
最後になりましたが、このような機会を与えてくださった文科省の皆さま、
そして、関係団体の皆さまに、この場を借りて、お礼申し上げます。
どうもありがとうございました。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 【東京&石巻】文部科学省「全国生涯教育ネットワークフォーラム」に委員として参加しました
このブログ記事に対するトラックバックURL: https://field-and-network.jp/mtos/mt-tb.cgi/12799