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記者・大草芳江が活動をつづります

2011年10月17日

「もしも君が杜の都で天文学者になったら...―高校生×東北大学×仙台市天文台」の成果発表会を取材しました

カテゴリ:取材日記

 『宮城の新聞』や『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』などでいつもお世話になっている仙台市天文台台長の土佐誠さんからご案内いただき、16日は仙台市天文台で開催された「もしも君が杜の都で天文学者になったら...―高校生×東北大学×仙台市天文台」(略して「もし天」)の成果発表会を取材しました。

 ※今年度の東北大学理学部オープンキャンパスで取材させていただいた「もし天」の発展バージョンということで、ご担当の田中幹人さんにも本企画をご案内いただきました。

 本企画は、日本学術振興会による科学研究費(科研費)助成研究の成果を社会に還元・普及するために、小学5年生~高校生むけに研究成果の体験プログラムを実施する事業「ひらめき☆ときめき サイエンス」の一環で、東北大学大学院理学研究科准教授の服部誠さんが代表者となり、仙台市天文台と連携して実施したものです。

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本企画代表者の東北大学大学院理学研究科准教授の服部誠さん

 そもそも、宇宙は直接触れることができないものなのに、どうして身近に感じられるのだろう?土佐さん二間瀬敏史さん(東北大学大学院理学研究科天文学専攻教授)らへのインタビュー取材などを通して、これまでリンクのかからなかった宇宙を私も少しは身近に感じるようになってきました。

 けれども、次なる疑問としては、じゃあ、具体的にはどのようにして、宇宙の謎に迫っているのだろう?例えば、宇宙を観測して分析すると聞くけれども、具体的にはどのようなプロセスで研究を進めているのだろう?それを肌身で感じることができればと思って、取材に伺いました。

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参加者の高校生チームによる成果発表会のようす

 本企画は、参加者の高校生11人が3つの研究グループに分かれ、自分たちでテーマを決め、仙台市天文台の口径40cmの反射望遠鏡を使うための観測提案書をつくって(ちゃんと審査会もあったそうで何度も再審査とブラッシュアップを繰り返したようです)、夜間の天体観測を行い、データ解析、議論、発表まで、本物の天文学者さながらのリアルな研究活動を行うというもの。

 高校生らが設定した研究テーマは「どれにも属さない複雑な構造の星雲を観測で探したい」「地球外生命体は存在するのか?」「星の死について」といったもの。それぞれおもしろそうな問いかけだけど、では具体的に、それをどうやって研究するのだろう?と思いながら発表を聞いていると、内容は専門的でしたが、「なぜならば、~ということから~と仮定したため、この~を使いました」などと根拠を示しながら話す高校生もいて、具体的な研究のプロセスをイメージしながら聞くことができました。

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質疑応答のようす。写真は、台長で天文学者の土佐さん

 発表20分に対して、質疑応答は10分。高校生は質問に対して、きちんと根拠を示しながら回答していました。「こういった観測や実験をする時、はっきりとした結論を出すためには、得られた値の正確性が大事。誤差を推定するのは難しい作業だが、それを頭に入れて実験をしたら良いと思う」や「前の結果の否定性を強調することで、今回の研究成果の重要性を強調できればさらに良い」などの質疑応答からも、研究のプロセスをイメージできたように思います。

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本企画は、東北大や宮教大など多くの学生スタッフのサポートで運営されていました

 高校生や大学生スタッフは昨日から発表練習を続けて、徹夜明けで当日の発表に臨んだそうです。スタッフは助言はするけれども、恣意的に誘導したり答えを出したりはしないというスタンスということで、「そうそう、よくぞ(質問を)切り抜けた!」などと、大学生スタッフが固唾をのみながら担当した高校生らの発表を見守っていた姿が印象的でした。

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閉校式(未来博士号授与式)のようす。非常に和やかな雰囲気のなか執り行なわれました。

 最後に服部さんは「最後までやりきったことが財産になる。必ずしも最後まで同じ(疑問に対するアプローチ)ではなかったかもしれない。けれども、最初の素朴な疑問を大事にしてほしい。素朴な疑問にこそ根源的なものがあることが少なくない。疑問点も自分の中ですぐには解けない。解けない問題に挑戦するからこそおもしろいし、そうでなければ進歩はない。素朴な疑問を大切にして、それにむかって頑張って欲しい」とお話されていました。

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 逆に言えば、自分が「ふしぎだな」と思ったことを、疑問に思うだけで終わらせずに、それを少しずつ形にできる場はなかなかないのかもしれません。土佐さんも、「子どもだけでなく大人も、例えば大学で物理や数学を勉強した人が興味を持って、天文台にある望遠鏡で観測して研究できるような文化が科学にもあればねぇ」とお話されていましたが、そうやって自然に対する興味を、自分のふしぎだと思うところから深めることが自然にできたら、とても素敵だろうなぁ・・・と思った1日でした。

 なお、当日の記事は、東北大学理学部物理系同窓会「泉萩会」ならびに「宮城の新聞」に、およそ2週間後を目標に掲載予定です。ご興味のある方は、そちらをご覧ください。【追記】10月26日記事を公開しました。

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<おまけ>
 復旧した仙台市天文台の1.3m「ひとみ」望遠鏡見学会もありました。高校生はもちろん先生方も(むしろ先生方のほうが?)嬉しそうに望遠鏡をのぞく姿が印象的でした。なお、土佐さんの話によると、最先端研究は10m級の巨大望遠鏡で行われていますが、現在の教科書に載っているような基礎的な事柄は、この1.3m望遠鏡で本格的な研究ができるそうですよ。

【外部リンク】
<公式WEBサイト>もしも君が杜の都で天文学者になったら(東北大学) 
<仙台市天文台ライブチャネル>成果発表会のライブ配信(Ustream)

【関連事項】
東北大学オープンキャンパス2011 天文学者の「職業体験」入門企画も
科学って、そもそもなんだろう?:土佐誠さん(仙台市天文台長、天文学者)に聞く
科学って、そもそもなんだろう?:二間瀬敏史さん(東北大学教授、宇宙物理学者)に聞く
学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ 「ベガ号による真昼の天体観測会(仙台市天文台)」
宇宙をまるごと楽しんで 仙台市天文台まつり
河北新報エッセー連載(第2回)「この世とあの世の間に」

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