基礎科学研究のおもしろさ体感して 高校生が天文学者の研究体験
2011年10月26日公開
16日、仙台市天文台で行われた「もしも君が杜の都で天文学者になったら。。。」成果発表会のようす
天文学者の研究体験を通じて、高校生に基礎科学研究のおもしろさや意義を体感してもらおうという天体観測実習「もしも君が杜の都で天文学者になったら。。。」の成果発表会が16日、仙台市天文台(仙台市青葉区)で行われた。
日本学術振興会による科学研究費助成研究の成果を社会に還元・普及するための事業「ひらめき☆ときめき サイエンス」の一環で、東北大学大学院理学研究科天文学専攻が市天文台と連携して実施した。国立天文台が考案した「君が天文学者になる4日間」をモデルにした企画で、国立天文台からのサポートも受けた。
1ヶ月半にわたる研究成果を市民や専門家らの前で発表する高校生たち
県内外から参加した高校生11人は、3つの研究グループに分かれて自ら研究テーマを決め、その謎を解明するために市天文台の望遠鏡を用いて観測し、取得したデータを自ら解析。研究者の日常や研究の進め方を体験した高校生らは、約1ヶ月半の研究成果を市民や専門家らの前で発表した。
このうち「系外惑星WASP-33bの生命存在の可能性を探る」をテーマに研究したグループは、「トランジェット法」という惑星の表面温度と半径を求めることができる方法を用いて、「WASP-33b」という太陽系外惑星を観測し、地球外生命存在の可能性を調べた。
高校生らは、生命が存在する最低限の条件を「水が液体で存在できること」と仮定。観測結果を解析した結果、WASP-33bの表面温度が非常に高くなることから、水は液体で存在できず、地球型生命体の存在は不可能と結論付けた。
質疑応答では「観測や実験から結論を出す時は、得られた値の正確性が大事。誤差の推定作業も考慮すると良い」「水が液体でいられるための主星から惑星までの距離を計算すると、地球外生命存在の可能性を、ある程度まで評価できるのでは」など専門家からのアドバイスを受けていた。
受講生への「未来博士号授与式」のようす
研究成果発表会後は、本企画代表者で東北大学准教授の服部誠さんが、宇宙創成の物理研究の最前線を、映像と音楽を交えながら講義した。次いで、受講生への「未来博士号」授与式があり、高校生らは笑顔で修了証書を受け取っていた。
服部さんは「最後までやりきったことが財産になる。素朴な疑問を大切に。すぐには解けない問題に挑戦するからこそ、おもしろいし、進歩がある」と受講生を激励した。
受講生は、2012年3月に龍谷大学(京都市)で開催される日本天文学会ジュニアセッションでも発表を予定しているという。
インタビュー
「素朴な疑問に挑戦し、成果を出す、研究プロセスを体感して」
/企画代表者の服部誠さん(東北大学大学院理学研究科天文学専攻准教授)
服部誠さん(東北大学大学院理学研究科天文学専攻准教授)
自分でもった素朴な疑問に挑戦し、成果を出すまでのプロセスを最後まで踏んでもらう。しかも、それを一人ではなく、いろいろな人の協力を得ながら行う。その途中、実力や装置などの関係で妥協しなければならない点も出てくるだろう。しかし、その妥協点を見つめながらも、そこで満足せず、次の段階も見据えて、先に進んでいく。このような科学の本質を体感してもらうことが、科学・技術に対する高校生の理解を深めるための機会提供として最適と考え、実施した。
また、このような機会は、本企画のサポート役を務めた大学生24人にとっても、研究だけでは見えなかったことに気づく場、あるいは教育に興味がある人にとっては実践の場となるため、大変意義深いと考えている。
なお本企画は、日頃の研究活動を社会に還元したいと考えながらも具体的に何をしたらよいか迷っていた私が、社会還元活動の経験豊富な田中幹人さん(同専攻GCOE助教)と出会ったことで実現した。私にとって本企画は、多くの方の協力を得ながら、長年抱えていた課題に挑戦する新たな研究の場でもある。
「皆で議論する中で、新しいことが見えて、とても楽しかった」
/受講生の山森彩加さん(聖ウルスラ学院英智高校2年)
山森彩加さん(聖ウルスラ学院英智高校2年)
一人ひとりが良い意見を持っており、皆の意見を良い具合にまとめることは難しかったが、とても楽しかった。さらに、そこから何がわかるのかという考え方も、皆少しずつ違っていた。議論をすると、新しいことが見えてくるので、自分の中で新しい発見につながり、新鮮で刺激的だった。次の日本天文学会Jr.セッションでも頑張りたいし、今後の課題にむけても取り組んでいきたい。
「観測はもちろん解析も、寝ずに研究したのも、全部楽しかった」
/受講生の矢島義之さん(西武学院文理高校2年)
矢島義之さん(西武学院文理高校2年)
これまで同様の企画に何度か参加したが、今回が一番楽しかった。言葉では表現するのは難しいが、研究内容が一番充実していたと思う。発表まで間に合わなかったところもあったが、自分たちが調べられた成果が一番良く出たと感じている。具体的には、もちろん観測も楽しかったが、ベテルギウスの光度を求める時エクセルで関数をつくるなど、解析がとても楽しかった。全然寝ないのも楽しかった。というか、全部楽しかった。
コラボレーション
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