「第5回全国はっとフェスティバル」へ行ってきました
登米地方に伝わる郷土料理「はっと」が一堂に集う
「第5回全国はっとフェスティバル」が7日、登米市役所迫庁舎前で開催されました。
実は昨年も、この「はっとフェスティバル」を目指してここを訪れたのですが、
開催日を一週間違えるという痛恨のミス。
そのため今年は念には念を入れ開催日時を確認し、ちょうど開場15分前に到着。
駐車場もスムーズに確保することができ、今日はなかなか順調な滑り出しです。
そもそも「はっと」とは、水で練った小麦粉を熟成させ、
一口大にちぎって茹でて作る、すいとんのようなもの。
(すいとんよりも、平たくて、つるつるとしたのど越しが特徴です)
全国はっとフェスティバルは、はっとと共通性のある「すいとん」や「ひっつみ」、
「つめいり」など全国各地の郷土料理も含めた、約30種の郷土料理・創作料理を
一杯200円から300円で味わえるイベントとあって、
会場を訪れた人々は、それぞれ思い思いに味比べをしていました。
ということで、私も味比べです。
「長沼エビ(?)のかき揚げ等のはっと」
パンフレットに載っていない(?)はっとです。
ほたても入っていたような気がします。
「赤豚カレーはっと」
手づくりカレーに、赤豚がそぼろ風にトッピングされています。
個人的には、そぼろより、薄切り肉の方が嬉しかったです。
「森の具だくさん塩はっと」
道の駅「林林館」の料理なので、東北の道の駅マスターの私は要チェックです。
登米市東和産の舞茸・えのき・しめじ・なめこ・きくらげや野菜など、具沢山で美味です。
「韓国風野菜はっと」
米粉を使用した韓国風のはっと。もちもちとした食感が特徴的です。
もう少し、野菜キムチが多かったら、嬉しかったですね。
「山梨のほうとう」
山梨の郷土料理・ほうとうです。一番長い行列ができていました。
甘めの味噌で仕立てたスープが、かぼちゃの甘さにマッチしていました。
「船橋やの鴨ばっと」
鰹節と昆布のダシに、鴨燻製と地場産葱と水菜が入っています。
個人的に、一番美味しかったのが、こちら。
「ならはマミーすいとん」(福島県) ← トルシエ監督が名付け親なのだとか
地鶏のダシが効いていて、スタンダードですが最もバランスが良かったです。
ちなみに、Jビレッジに程近い「道の駅ならは」でも、マミ~すいとん定食(650円)を食せます。
会場上をぐるりと、飛んでいました。楽しそうです。
「火の用心」PRのために、飛んでいるのでしょうか?
はっとを3杯食べると、先着3500名が抽選会に参加できます。
当たれば地場産品、外れればポケットティッシュ。
もちろん本気で望みます。
っていうか、これは絶対に当たる予感がします!
ほら~、やっぱり当たりました!!
登米産小麦粉を使用した「はっと粉」。
次も絶対、当てますよ。
ほらほら、やっぱり当たりました!!!
「うまいつゆ」です。
これでちょうど、はっとをつくれますね~
あとは油麩(4本入り700円)を購入。
油麩は、買い置きしておくと、意外に重宝する乾物です。
うどんや鍋、煮物の具などに使用すると、お肉なしでもコクが出ますよ。
(もちろん、はっとにも欠かせません)
色々なはっとを味わえ、満腹になったし、お土産もできたしで、
とても満足度の高いイベントでした。
200円程度と手ごろな値段で、これだけの数のはっとを比較できる機会というのは、
マイナーな食べ物だけに、なかなかありません。それが逆に、魅力的です。
そして何より、登米の「はっと」への思い入れの強さを、感じたイベントでした。
これだけ、はっと料理の出店者数があるのにも驚きですし、
(登米では、地元のレストラン・寿司屋・ソバ屋・食堂・喫茶店・スナック等々、
地元のお店が協力し合って『NPO法人・登米はっとの会』を結成しているそうです)
登米市に2009年春から開局予定のFM局は、
「H@!FM」と書いて「はっとFM」と読み、周波数は、はっとで「810」と、「はっと」尽くし。
試験放送という形で、「はっと、はっと...♪」と会場に、はっとソングを流していました。
けれども、そもそもなぜ、今も昔も、県内有数の「米」どころである登米の地で、
「小麦粉」でつくるはっとが郷土料理なのでしょう?
その歴史を繙くと、400年程前の藩政時代にまで溯ります。
当時、伊達藩では藩をあげ北上川水系の新田開発に取り組み、
江戸への産米輸送に力を注いでいました。
伊達藩では、独自に「買米制(かいまいせい)」という制度までつくり、
お百姓さんが年貢を納めたあとの余った米をも藩が買い上げ、江戸へ送っていたそうです。
そもそもなぜ藩が、お金を払ってまでお百姓さんから米を買ったのかと言えば、
米が伊達藩随一の輸出品だった(=米が収入の大半を占めていた)からなのだとか。
そのため、藩としては、買ってでも米が欲しく、
一方、お百姓さんは、たとえ豊作であっても、お米を満足に食べられなくなりました。
そこでお百姓さんたちは、畑に小麦などの雑穀を栽培し、
小麦粉を練って作る食べ物を、米の代用食として食べたそうです。
そうしているうちに、それは、米の代用食として美味しく食べる工夫がされ、
むしろ、「美味しい」とお百姓さんの間で好まれるようになりました。
その評判を聞いた領主が、「小麦粉作りに精を出し、米作りが疎かになるのでは」と心配し、
「この料理を食べることはご法度(はっと)」と定めたことから、
それ以来、「はっと」と呼ばれるようになった、というわけなのだとか。
郷土料理ひとつとっても、その土地の歴史が密接に絡んでおり、
さらにその歴史が、現代の登米における地域活性のキーワードとなっているなんて、
なんだか不思議だなぁと、はっとを美味しく頂きつつ、改めて感じました。
はっと。忘年会のときにでも、早速、つくってみようと思います。
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