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記者・大草芳江が活動をつづります

2012年1月21日

物理学者の伊達宗行さん(大阪大学名誉教授)をインタビュー取材しました

カテゴリ:WORKS取材日記

一般的に「科学」と言うと、「客観的で完璧な既にできた体系」といった
イメージが先行しがちですが、それは科学の一部で、全体ではありません。

そこで「宮城の新聞」では、「科学って、そもそも何だろう?」をテーマに、
科学に関するさまざまな立場の人が、それぞれリアルに感じている科学とは
そもそも何かを聞くインタビュー特集を行なっています。(一覧はこちら

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今回インタビューしたのは、物理学者の伊達宗行さん(大阪大学名誉教授)。
専門は物性物理学、特に磁性、極低温、強磁場研究で国際的に著名な方です。

伊達さんは、東北大学理学部物理系同窓会「泉萩会」(伊達さんは前会長)の
お仕事でお会いする前から、ぜひインタビューしたいと思っていた方でした。

そう思ったきっかけは、偶然読んだ伊達さんのエッセイ(東北大出版会会報1997年3月)。
「産業革命まで科学と芸術は一体のものであり、それ自体が創造の中核でした。
 (中略)・・・それまでは、サイエンスも無ければアートも無かったのです」

「科学」と「芸術」と言えば、対極にあるイメージが強いですが、実際に、
これまで取材した科学者にも「科学者と芸術家は同じ」と話す方は多いです。
皆さんは、それを意外だと感じますか?それとも当然だと感じるでしょうか?

また、今回のインタビューで伊達さんは「科学」と「科学技術」は非常に違う、
と大変強調しています。普段よく見聞きする「科学」と「科学技術」ですが、
皆さんは違いを実感したことがありますか?それとも同じものに感じますか?

一見すると「何がそんなに大事なのだろう?」とも思えてしまう問題提起ですが、
その根本には、科学のあり方を考えること、それはつまり人間のあり方を考える
ことと同義なのだということを、強く感じられたインタビュー取材となりました。
詳しくは、伊達さんのインタビュー取材記事をぜひご覧いただければ幸いです。

top_date-sensei.jpg

伊達宗行さん(物理学者)に聞く:科学って、そもそもなんだろう?
 「科学」は人間の本性であり、人間を大事にすることと同じ。

【関連記事】
文理の垣根超え、物理学者と哲学者が議論 東北大で討論会
 (内容的にも関連ある、伊達宗行さん講演&インタビューを含むイベントレポートです)

ちなみに、伊達宗行さんの名前を見て、「仙台藩祖・伊達政宗と何か関係が?」
と疑問に思った方も、いらっしゃるのではないかと思います。私もその一人で、
伊達さんに尋ねてみたところ、「雑種みたいなもの」という返答がありました。

2年ほど納得できない状態が続いていたところ、今回、伊達さんから参考資料
としていただいた自伝の1ページ目に、その解説が詳しく掲載されていました。

その伊達さんの自伝によりますと、そもそも「伊達」の発祥は、1189年のこと。
源頼朝の平泉藤原討征の時、鎌倉御家人衆の一人・中村朝宗が福島県伊達郡の
阿津賀志山(現・厚樫山)で泰衛軍を破り、平泉攻めの糸口を開いた功績で、
伊達郡を拝領、「伊達」を名乗ったことが、その始まりなのだそうです。

そして第九世に政宗が登場しますが、これはあの有名な政宗のことではなく、
通称「儀山政宗」と呼ばれています。儀山政宗は、領国範囲を拡大する一方、
文武に優れ、その和歌は将軍義満、義持に愛され新続古今集に勅撰されました。

その約200年後、儀山政宗の栄光にあやかって第十七世に再び「政宗」の名が
与えられました。これが有名な政宗で、通称「貞山政宗」と呼ばれています。

さて、ここで本題ですが、伊達宗行さんの家の初代は「儀山政宗の弟、宗行」と
いうことです。やっと「雑種みたいなもの」の意味が少し(?)わかってきましたね。
また、伊達宗行さんは第二十世に当たるので先祖還りをして名前が宗行になった、
というわけで、約600年後に二人目の宗行が生まれた、ということらしいです。

普段なかなかリンクのかからない歴史上の人物も、身近になった人からの
つながりがわかると、急に身近に感じられるから、不思議なものですね。
休日の東北ドライブの楽しみが、これでまた一つ増えそうで、嬉しい限りです。

脱線ついでに、伊達さん宅には東北大医学部生時代の北杜夫が下宿していたそう。
それは北杜夫の父・斎藤茂吉と、伊達さんのお父様と親交があったご縁とのことです。

その斎藤茂吉つながりで言いますと、斎藤茂吉研究でも有名な歌人の小池光さんを
先日、インタビュー取材させていただく機会を得ることができました。

物理学者の伊達宗行さんと歌人の小池光さん、どんな共通点があると思いますか?
実は、お二人とも、東北大学理学部物理学科のご出身なのです。

そのため私も、東北大学理学部物理系同窓会「泉萩会」HP運営のお仕事で
インタビュー取材に伺えるわけですが、その度に物理学の懐の深さを感じます。

小池さんには、そもそも短歌と物理学の共通点はあるのか?というお話のほか、
短歌はどのようにして生まれるのか、そもそもなぜ短歌をつくるのか?などを
中心にお話を伺いました。そちらの記事も近々公開予定ですので、お楽しみに。

※どちらのインタビュー記事も、東北大学理学部物理系同窓会「泉萩会」HP
 タイアップ企画です。「泉萩会」HPにも後日、記事が掲載される予定です。


【追記1】小池さんのインタビュー記事を更新しました。

小池光さん(歌人)に聞く:科学って、そもそもなんだろう?
「心と身体をつなぐもの、それが言葉である。」


【追記2】あつかし山について

atukashiyama.jpg

後日、国道4号線沿いにある、国の史跡「阿津賀志山防塁」を通りかかりました。

現在も東北本線・国道4号・東北自動車道が平行して通っていることからもわかるように、
この一帯は、北上するには必ず通らなければならない交通の要衝。

奥州藤原氏が、南からの攻撃に対し、平泉守備の最前線基地として重要視した場所で、
以前、会津博物館で見た模型によると、総延長3kmに及ぶ三重の防塁ということです。

うーん、伊達家の歴史から見れば、伊達家はじまりの場所ではありますが、
奥州藤原氏の歴史から見れば、滅亡が決定的になった場所なわけですね。
最近、平泉をよく訪れている東北人で仙台人な私としては、複雑な場所ですなぁ・・・。

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