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記者ブログ
記者・大草芳江が活動をつづります

2012年12月18日

「TEDxTohoku 2012」登壇とロシア訪問記、「鉄」でつながる話。【追記】あり

カテゴリ:WORKS弊社取組み

いつの間にか、2012年も残すところ2週間を切りましたが、いかがお過ごしでしょうか?
この秋から冬は、いろいろなところで講演させていただいたり、取材させていただいたり、
逆に取材していただいたりで、バタバタしていましたが、一段落つき、久々の更新です。

今年も、なかなか(やっぱり・・・)更新できなかった、この記者ブログ。
「記者ブログ拝見しました。お酒が好きなのですね」と最近コメントをいただいて、
酒好きにしか見えない(否定はできませんが)話題ばかりの更新を反省しつつ、
年内中に、少しずつ、最近のご報告をしたいと思います。

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【写真提供】TEDxTohoku2012(著者登壇のようす)

そこで、まずは、遅ればせながら昨日、WEB版「宮城の新聞」に公開したロシア訪問記と、
先月、私も登壇させていただいた「TEDxTohoku2012」との興味深いつながりのお話から。

「TEDxTohoku」とは、カルフォルニアで26年前に始まったTEDの「Ideas Worth Spreading」
の精神に基づき、世界各地で独自に運営されているプログラムの一つ。
東日本大震災をきっかけに、東北大学の亀井さんや余力さんら大学生たち有志が中心となり、
昨年度から「TEDxTohoku」を立ち上げ、企画・運営しているそうです。

※「TEDxTohoku」とは?→「TEDxTohoku2012」公式ページ(About)
※TEDとは?→Wikipedia

「TEDxTohoku2012」のコンセプトは、「まだ見ぬ"みちのく"へ、ともに」。
"みちのく"(道の奥)には、伝統と革新の間で培われた価値観が宿る、
それが「未知の区」につながっている、との意味が込められているそう。

私も、仙台・宮城で7年間活動する中で感じる可能性をスピーチさせていただきました。
拙いスピーチではありましたが、不特定多数の人々の前で、かつ10分間という時間で、
自分の原点や方向性を端的な因果関係で伝える、大変良い挑戦の機会を頂戴しました。

そんな中、よく言われている話ではありますが、「目で見る言葉」と「音で聞く言葉」では、
因果関係の組立て方がこんなにも異なるのだなぁと、今更ながら、たいへん驚きました。
ふだん自分は「目で見る言葉」ばかりで視覚情報に依存している分、今後の課題として、
他者との対話で「音で聞く言葉」の因果関係を意識して鍛えねばならぬ・・・と痛感です。

亀井さんはじめ関係者の皆さまには、登壇当日まで、インタビュー取材を通じて、
構成やスライドデザインのブラッシュアップなど、多大なるバックアップをしていただきました。
このような貴重な機会を頂戴したことに、この場をお借りして、改めて感謝いたします。

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【写真提供】TEDxTohoku2012(左から、畠山さん・蟹澤さん・著者)

さて、冒頭の話に戻りますが、その控え室でのこと。登壇者としてご一緒させていただいた、
気仙沼で牡蠣養殖業を営む猟師の畠山重篤さん(NPO法人「森は海の恋人」理事長)と、
地質学者の蟹澤聰史さん(東北大学名誉教授)が、"鉄"でつながる興味深い瞬間を目撃!
というのが、件のロシア訪問記と、とても関係しているのです。

ここで急に登場した"鉄"ですが、鉄のお話をする前に、ちょっとだけ、おさらいを。
三陸沖は「親潮と黒潮がぶつかる世界三大漁場の一つ」と、小学校の頃に習いました。

親潮という名は、「魚類を育てる親となる潮」という意味でつけられたように、その豊富な
栄養塩が特徴ですが、実は、栄養塩だけでなく、"鉄"も重要な役割を果たすらしいのです。

というのも、栄養塩がたくさんあれば、必ずしも植物プランクトンが大増殖するわけではなく、
実際に、栄養塩はたくさんあるのに、植物プランクトンが成長しない海域が存在するそうで、
その原因は"鉄"不足であることが、分析機器の発達によって、約10年前にわかりました。

"鉄"と言えば、地球上に最も多く存在する元素の一つですが、
一方で、鉄は水には溶けにくい性質があるため、海は大変な"鉄"不足状態らしいのです。

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9月下旬に東北大学生態適応GCOEの仕事で訪れた、アムール川の支流・ビキン川流域に広がる原生の森

では、親潮の"鉄"は、一体どこからやってきたのか?
それが実は、アムール川流域の森林と湿原から供給され、オホーツク海を通ってきたことが、
つい2年前、北海道大学の白岩准教授らのプロジェクト研究で、わかってきました。

ちなみに、そもそも、なぜ"鉄"が植物プランクトンにとって必要なのかと言うと、
プランクトンが栄養塩を利用できる形にして取り込むプロセスで、鉄が必要なため。
だから栄養塩がいくらあっても、鉄不足ならば、プランクトンは成長できないわけです。

すなわち、親潮にとって、アムール川流域は巨大な「魚付林」と考えられるということで、
我らが三陸沖の特産物と、アムール川流域の森林は、"鉄"でつながっていたのですね。

※以上、ロシア訪問記では構成上割愛しましたが、そのソース元である東北大学生態適応
 GCOE国際フィールド実習・事前セミナーでの白岩准教授のお話を、簡単にご紹介しました。

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【写真提供】TEDxTohoku2012(控え室のようす)

前置きが長くなりましたが、畠山さんは20数年前から、気仙沼湾に注ぐ大川上流の山に、
落葉広葉樹の植樹を続けている方で、今年の国連フォレストヒーローズにも選出されました。
「TEDxTohoku」でも、牡蠣養殖業ならではの世界観と、この"鉄"のお話をされてました。

そして、蟹澤さんは、地質学者として長年、地質学の研究をされてきた方です。
控え室で、この"鉄"話をしていた時、蟹澤さんが「確かに、あの辺は玄武岩や安山岩など
鉄の豊富な岩石ですね」と相槌をうったのを境に、お二人の"鉄"話は、みるみる発展。

これまで、水産業者と地質学者の接点はなかなかなかったそうで、お二人とも、
「岩石由来の鉄という視点は、考えもしなかったなぁ」「まさか、こんな収穫があるとは」と、
まさに"鉄"が結びつけたご縁を、とても楽しんでおられた様子でした。

後日、蟹澤さんは早速、気仙沼西部の地質の資料を畠山さんに送られたそうで、
これから何か新しい発見があったら、おもしろい発展ですね。私も楽しみです。

また、蟹澤さんには先週、「宮城の新聞」インタビュー取材にも、ご協力いただきました。
「足元の石を蹴飛ばさずに、足元の石から、自然に親しみ理解を深めることができたら、
どんなに素敵だろう」。お話を伺いながら、そう、石から見える世界に思いを馳せました。

そういうわけで、本日は、"鉄"でどんどんつながっていったお話でした。
蟹澤さんのインタビュー記事は、後日公開予定ですので、お楽しみに。

【追記】(2012.12.19)
昨日、TEDxTohoku代表の亀井さんが、当日の写真データやTシャツなどを、オフィスまで
届けてくれました。わざわざありがとうございます。そして、恐る恐る自分の写真をチェック。
実を言うと、写真で一番気になるのは、「自分の口が尖っていないかどうか」なのです。

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【写真提供】「TEDxTohoku」

これまでも、いろいろな方から、講演中や取材中の写真を撮っていただきました。
そのたびに、「もっと、私の口が尖っていない写真、ないですか?」と私が聞くと、
相手の方が、「これが一番、尖っていない写真だったんですよ・・・」と返事に困るくらいに、
口が尖っていない写真を探す方が難しいのです。

20121125_06.jpg
【写真提供】「TEDxTohoku」 (注:これは、私の中では、"口が尖っていない"方にカウントしています。
じゃあ、"口が尖っている"方はどれくらいなの?と言うと、さすがの私も恥ずかしすぎて載せれません・・・)

ドキドキしながら確認すると・・・、写真40枚のうち、口が尖っていたのは、今回わずか4枚。
すなわち9割は尖らず!この数字、きっと誰も共感してくれないと思いますが、快挙です(涙)
(あまりにも口が尖っている写真は、予めスタッフさん側で抜いてくれたのかもしれませんが)

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【写真提供】「TEDxTohoku」

今回は学会風でなくジョブズ風に(ただ実際に見たことないので完全にイメージですが)、
「説明はしない」「余計な因果は言わない」を、初めてこんなに強く意識しました。
これでもかというくらいに肉をそぎ落とし、これだけで大丈夫かなと思うくらいに骨だけに。

そして、恥ずかしながら今更ではありますが、内容でなく構造こそ、相手に関係なく、
頭の中に伝わるものなんだと、人生で初めて強く実感し、感激した次第であります。
(あぁ、「それでよく起業なんかしたものだ」という声が聞こえてきそう・・・)

逆に、これまでの自分は、如何に「内容を説明しよう」としていたことか。
それを世間では「口先だけ」と言うもの、道理で口が尖るわけだ・・・と妙に納得しつつ、
これからも「構造で伝える」バロメーターとして、自分の口先をチェックしたいと思います。

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コメント(1)

蟹澤聰史 (2012年12月30日 09:32)

大草さん
紹介させて頂いて有り難うございます。ほんとうに不思議な縁とい
うのがりますね。ところで、早速この記事を私のFBにも紹介させて頂きました。

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