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記者・大草芳江が活動をつづります

2008年2月 8日

東北経済産業局へ取材に行ってきました

カテゴリ:取材日記

最近、以前と比べれば、少しは身近に感じてきた、「経済産業省」。
けれどもそもそも、国の仕事って、具体的には
どのようなことをしているのでしょう?

ということで、経産省の地方支分部局である、
「東北経済産業局」へ取材に行ってきました。

logo_foot.gif

ちなみに、METIとは、
Ministry of Economy, Trade and Industry の略だそう。

今回訪ねたのは、東北経済産業局 産業人材政策課。
泉課長にお話を伺いました。

(すみません、またまた写真を撮り損ねてしまいました...)

産業人材政策課では、小学生から企業等OB人材までを対象に、
東北地域における産業人材育成支援事業を行っているそうです。

実施している人材育成施策は、大きく分けると、以下の2つ。

1.
知識だけではなく、それを応用する能力(社会人基礎力)を養えるような、
実践的な教育の導入・拡大に向けたしくみの構築

2.
早期に職業観・勤労観を養い、実社会でこれまで得てきた
知識や能力を最大限に発揮できるようなしくみの構築

ちなみに最近、主に小中高生対象で、
「起業家教育」や「キャリア教育」という言葉をよく耳にしませんか?

似ているようだけども何が違うのかなぁと、これまでずっと疑問だったのですが、
実は、上記1と2の違いに起因しているものなんだそうです。

1(社会人基礎力の養成) → 「起業家教育」
2(早期の職業観・勤労観の醸成) → 「キャリア教育」

ちなみに、「社会人基礎力」とは、
「地域社会や職場の中で多様な人々と共に生活し、
仕事をしていく上で必要となる基礎的能力のこと」で、
大きくは以下の3つの力に分けているそうです。

○「前に踏み出す力」(一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力)
 :主体性、働きかけ力、実行力
○「考え抜く力」(疑問を持ち、考え抜く力)
 :課題発見力、計画力、創造力
○「チームで働く力」(多様な人々と共に目標に向けて協力する力)
 :発信力、傾聴力、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力

泉課長曰く、低下が指摘されている社会人基礎力は
従来、家庭や地域で養ってきた能力だったと言います。

また、昔と今では仕事の質も変化しており、
単に学校で習った知識や自分の経験が、そのまま成果へは
結びつかなくなった時代になったことも実感しているとか。

「だから、これまで学んだ知識を応用できる力がなければ、成果には結びつきません。
指示待ち人間、マニュアル人間、一匹狼じゃない人たちを育てることが目的です。」

■平成19年度の東北地方における産業人材育成支援事業
===================================================
では具体的に、どのような事業が実施されているのかを、
県内の取組みを中心に、メモがてら簡単にまとめてみます。
(あまり興味がない方は、ここは飛ばし読みをして頂いたほうがよいかも・・・)

(1)中小企業産学連携製造中核人材育成事業
―――――――――――――――――――――――――――――――――
大学と企業等の連携で、産業界のニーズに即した実践的な教育プログラムの
開発等を支援するというもの。中核人材の育成を通して、産業競争力の強化を
目指す事業だそうです。

県内の事業をピックアップすると、
●半導体・ディスプレイ産業分野で世界に通用する人材を育成 
 (東北大学NICHe)
●MEMS関連産業人材育成システム
 (東北大学工学研究科、㈱メムス・コア、県産業技術研究センター)
●医学と工学に通じた医療工学技術者を養成
 (東北大学工学研究科、※H20~医工学研究科)
●非鉄製錬産業及びこれと技術基盤を共有する資源リサイクル産業の中核人材育成事業
 (東北大学、秋田大学、小坂製錬㈱、細倉金属鉱業㈱、(財)国際資源大学校)
だそうです。

(2)高専等活用中小企業人材育成事業 (中小企業モノ作り人材育成事業)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
工業高等専門学校等の設備や技術教育のノウハウを活用し、
地域の中小企業のニーズに応じた講義と実習を一体的に実施するもの。
中小企業の若手技術者育成を支援するのがねらいだそう。

県内の事業をピックアップしますと...
●PBL手法を活用した若手エンジニアの育成 (宮城高専・仙台電波高専)
です。

(3)工業高校実践教育導入事業(中小企業モノ 作り人材育成事業)
―――――――――――――――――――――――――――――――――

工業高校や専門高校と、地域の産業界・自治体等が連携して、
学校への企業技術者の講師派遣、教員の現場実習、生徒のインターンシップ受け入れ等、
工業高校等における実践的な教育プログラムの導入・充実を支援する事業。
文部科学省事業(クラフトマン21)と共同実施。

地域の若者が産業界の求める能力を持った技術者として育成され、
地元地域への就職につなげることを目指しているそうです。

●地域産業の中核となる総合力を持った産業人材育成推進事業
[実施機関] (社)みやぎ工業会、宮城県教育委員会
[対象校] 宮城県工業高校、石巻工業高校、仙台工業高校、気仙沼向洋高校

ちなみに、お隣福島の話になりますが、同事業の成果発表の場として、
福島県立会津工業高校・喜多方工業高校の高校生らが
千葉県の幕張メッセにて先日開催された
半導体製造装置・部品材料の国際展示会「セミコン・ジャパン 2007」に
高校生として初出展したそうです。

また、高校生らが学んだ内容を、小中学生に教えるプログラムも
実施されているそうです。大変興味深い取組みなので、
是非今度、取材に行ってみようと思っています。

(4)アジア人財資金構想―産学連携による留 学生向け実践的教育の導入―
―――――――――――――――――――――――――――――――――
アジア等からの留学生が大学で高度な専門教育を受けた後、
そのまま日本の企業で活躍できるようにと、産学が一体となって取り組む、
留学生向けの人材育成事業だそうです。

(5)若者と中小企業のネットワーク構築事業
―――――――――――――――――――――――――――――――――
地域の中小企業の魅力を若者(学生、ニート、フリーター)に発信することにより、
中小企業の若手人材の確保を支援するもの。「ジョブカフェ ※」自立化の側面支援等。

※若者の就業促進と能力向上を図るため、カウンセリングや研修などの
 雇用サービスを1ヶ所でまとめて受けられるワンストップサービスセンターの通称

(6)地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト
―――――――――――――――――――――――――――――――――
厚生労働省・文部科学省・経済産業省の3省が連携し、
初等中等教育の早い段階から、「働くこと」や「社会と関わること」の実体験を通じて、
職業観・勤労観の醸成を図るもの。

県内の取組みは、こちら。
●学社融合型キャリア教育プログラム 
[実施主体]ハリウコミュニケーションズ(株)/仙台市
こちらの取組みは、今月中に取材予定です。

(7)理科実験教室プロジェクト
―――――――――――――――――――――――――――――――――
最近懸念されている子供たちの理科離れに歯止めをかけるため、
文部科学省との連携により、地元産業界の技術者やOB等を活用して、
子供たちが学ぶ理科と実社会を結びつけた理科授業の実施を支援する事業。

県内の取組みは、こちら。
[実施主体]ハリウコミュニケーションズ(株)/宮城県
こちらは既に、取材済。
http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20080206.php

(8)起業教育
―――――――――――――――――――――――――――――――――
チャレンジ精神、積極性、創造性などの「起業家精神」と、
問題解決力、コミュニケーション能力などの「起業家的資質・能力」を
有する人材を育成する教育。また起業教育「東北モデル」を推進。

●起業教育「東北モデル」を活用した「スクール発明王」事業を実施
[請負先]三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱/東北地域

(9)企業等OB人材マッチング・モデル事業
―――――――――――――――――――――――――――――――――
全国の商工会議所で実施している本体事業「企業等OB人材マッチング事業」を
補完・支援する事業。
[委託先]NPO法人ヴェイエムシイ/東北地区

(10)エネルギー教育実践校
―――――――――――――――――――――――――――――――――
特色あるエネルギー教育に意欲的・継続的に取り組む小学校・中学校・高等学校
等に対する支援事業。

======================================================

ちょっと長かったですね~!

ちなみに、平成20年度は、
「産学連携人材育成事業」と銘打って、以下の枠組みで、
産業界と教育界のミスマッチの解消や、横断的・制度的課題、
業種別課題の解決に取り組むことで、
実践的な産学連携プログラムの実施と定着を図るそうです。

【大学等】 産学人材育成パートナーシップ事業
【高専、工業高校等】 中小企業ものづくり人材育成事業 
【小中高校】 キャリア教育・社会人講師活用型教育支援事業 

これらの施策のベースにあるのは、
団塊の世代の大量退職、少子化による若年労働力の減少など、
産業人材を巡る新たな課題。

特に東北地区は、(データを見せて頂くとリアルに)深刻です。

こうした状況下で日本が持続的な経済成長を実現するためには、
一人当たりの生産性向上を図り、イノベーション(技術革新)を
生み出す人材を多く輩出すること、即ち「人財立国」の実現が重要だ、
というのが、経産省の考え方。

国という枠組みを、いつもよりも少しだけリアルに感じた取材でした。

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