仙台一高・化学部を取材しました
先日、ニュース記事としても取り上げましたが、
中学１年生向けに、部活体験教室を主催した
仙台一高・化学部の顧問、藤川卓志教諭にインタビューしてきました。
◇「仙台一高で部活体験教室 学区制度撤廃に向け、進路選択の参考に」
http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20080123.php
この体験教室は、平成２２年度からの学区制度撤廃と共学化に向けて、
進路選択の一助として、同校への理解を深めてもらうのがねらいだそう。
「南学区の生徒であれば、お兄さんやお姉さんのイメージがあると思いますが、
北学区の生徒は、ぜひ一度実際に見て欲しいと思っています」。
体験教室では、「圧力の不思議」をテーマに、
加圧による発火や減圧による冷却などの演示実験が行われました。
通常中１では、気体分子運動論による圧力の説明は登場しませんが、
体験教室では、気体分子の動きをシミュレーションで示して、
そこから「圧力って何？」を考えはじめることからスタートしたそう。
（私もそういえば、気体分子運動論で圧力を理解した記憶があります）
参加した生徒からは、
「普段学校では体験できない実験ができて面白かった」
「最初は難しいと思ったが、様々な実験を通してよく理解できた」
という声が多数あったそうです。
化学部は、様々な化学関係のコンテストでも優秀な成績を収める実力派。
全国高校生理科科学論文大賞（神奈川大学主催）では、２年生のチームが
「桜の葉に含まれるサリチル酸」というテーマで努力賞に選ばれました。
実はこのテーマ、工事の関係で切られることになった校内の桜の木を見て、
思いついたものだそう。
「冷蔵庫のない江戸時代から食べられている桜餅。
ならば桜の葉に、細菌からお餅を守る成分が含まれているのでは？」
高校の教科書に載っている殺菌成分は、「サリチル酸」だそうですが、
その「サリチル酸」が桜の葉にも含まれているのかを、
東北薬科大に機材等の協力を得ながら、調べていったそうです。
※サリチル酸は、ヤナギの枝に入っているという先行論文はあっても、
桜の葉に入っているという論文はなかったそうです。
でも実は、この論文を出した後に、含まれていた成分が
サリチル酸ではなかったことが判明。
けれども今は「じゃあそれはなんだったのか？」と、
２年生のチームは分析を続けているそうです。
まさにサイエンスのスタンスですね。
たとえ最初の予想とは違っても、得られた結果から
新しい、非自明な発見が生まれてくるのだと思います。
また同コンテストで、一高の化学部は、
京都の堀川高校と並び、団体激励賞（全国で６校）も受賞。
他にも、
全国高等学校理科・科学クラブ研究論文（工学院大学主催）や、
環境甲子園（ＮＰＯ法人環境会議所主催）等で、優秀な成績を収めています。
特に部活動が強い学校というのは、
指導者の手腕によるところが大きいのではと思います。
「外から見たら、何もしてないように見えると思います。
"困ったことは？""欲しいものは？"と聞くくらいで。
ただアクシデントが起こったときには、すぐ対応できるようにしていますが」。
自制心を以って、見守っていらっしゃるんでしょうね。
「本当は言いたいんです、あそこの本に書いてあるよ、って（笑）。
でも、自分たちで試行錯誤して、見つけていくことに意味があるんです。
だから、そろそろ気づいてくれないかな～と思いつつも、見守っています」。
中学生に一言お願いします、とお願いすると、藤川先生からは、
「良い仕事ができる人になってください」とのコメントが。
良い仕事って、別の言葉に置き換えると、どんな仕事なんですか？
「自分が社会の一部だということを、実感できるような仕事ですね。
３年生の担任になったら、毎回こう言うんです。
"自分だけで生きているつもりになっているかもしれないけれども、
自分ではくパンツだって自分でつくっているわけではないし、
毎日食べるパンだって、自分でつくって食べている人はいない。
人と一緒に生きているわけだから、人のためになることをしてほしい。
病人になったときは、素直な病人になってくれ。
そうすれば他人の心の中にも優しさの芽が生えて、生きていけるんだから」。
「自重献身」と「自発能動」の精神を、またここでも垣間見ることができました。
仙台一高特集オープンまでは、あともう少しの予定です！
もう少々、お待ちください！
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