【番外編】「さびれない島」直島(香川県)へ
瀬戸内海に浮かぶ、人口約3600人の島「直島」。
近年は、現代美術の島として世界的にも有名です。
香川県ということで、なかなか行く機会はないな、と思っていたところ、
実は、現在滞在中の岡山県から行く方が、香川県よりも近いらしいのです。
岡山県玉野市にある宇野港(うのこう)から、フェリーでわずか20分程。
あっという間に、直島に到着。
フェリーの待合室にも、美術家の作品が、飾られていました。
なぜ、直島が現代美術の島になったのか、
調べてみると、話は約20年前にさかのぼるそう。
福武書店(現・ベネッセ)の創業者と当時の町長が、
「直島を文化的な場所にしたい」という意見で一致。
当初(1989年)は、試験的に福武書店の社員と、
子どもたちがキャンプを行うところから活動が始まったそうです。
【参照:公式サイト】ベネッセアートサイト直島 History
その後、「直島南部を人と文化を育てるエリアとして創生」をコンセプトに、
ホテル・美術館の「ベネッセハウス」建設、様々な展示も増え続け、今に至るとのこと。
一企業がここまでやれてしまうなんて、すごいです。
(ちなみに、ベネッセの本拠地は、岡山市なのですね)
というわけで、まずは「ベネッセハウス」で現代美術を鑑賞。
ベネッセハウス・棟屋上庭園から瀬戸内海を望む。
野外でも、あちこちで作品を鑑賞することができます。
(※野外展示には、撮影可能なものが多いのです)
島独特の雰囲気も、非日常的で良い感じです。
海水も澄んでいて、とても綺麗でした。
直島のシンボル的な、草間彌生の「南瓜」。
せっかくなので、ぐるりと一周してみました。
ヘタのところが、案外可愛らしいです。
古い町並み。けれども、手入れが行き届いている印象です。
近寄って見てみると、塀は竹と木でできていました。
のれんをかけている民家も、たくさん見かけました。
「welcome!」と島に受け入れられているような、不思議な心地良さがあるものですね。
ゴミ箱と思いきや、空き缶のアート作品でした。
次の目的地「家プロジェクト」のチケットは、こんな町のタバコ屋さんで購入。
現代美術と町の暮らしが不思議なくらい融合していて、逆にシュールな印象です。
「家プロジェクト」とは、本村地区(普通に地域住民が住んでいるエリア)を中心に
展開されている、常設のアートプロジェクトなのだそう。
アーティストが作品化した古民家7軒が公開されています。
普通の民家ですら、かなり景観が整っているので、気になっていたところ、
こんな案内も見つけました。
各民家には、玄関の表札とは別に、こんなプレートが。
表札の苗字とは微妙に違うし、なんだろう?
不思議に思い調べてみると、実はこれ、「屋号」といって、
直島の古い家が持つニックネームのようなものらしいです。
アートは、その土地の文化まで、可視化できるのですね。
古民家を利用したカフェを見つけました。
外観も、普通の民家(表札まである)、といった印象です。
内装も、モダンだけど、落ち着く感じが程良いです。
アイスクリームのような、ポテトサラダ。
自然なものを使用している、という飲み物。
オムライス+ココナッツカレーソースを注文。ご飯にもしっかり味が付いています。
祖母が注文したオムライスのトマトソースも、トマトの味が濃くて美味でした。
デザートのミルクアイスは、予想以上のボリュームでしたが、さっぱりといただけました。
雰囲気だけじゃなく味も良いカフェで、また機会があれば、ぜひ再訪したいです。
それにしても、このカフェのように、若い人が島で古くて新しいお店を開いたり、
縁側で休んでいるように見えたおばあちゃんが、実は入場者数をカウントしていたり、
バス停で談笑していたおじちゃんが、「ここからは車で入れないよ」と言う役割の人だったり。
地域住民の人々が、するっと現代美術の運営側に、入っている感じなのです。
(それだけ、この島の現代美術が、産業にもなっているのでしょうね)
それに、島と言えば、大抵さびれた印象が強いものですが、
今回、実際に歩いた道(家プロジェクトがある本村地区)に関して言えば、
もの自体は古いけれども、とても手入れが行き届いていて、
町全体が生き生きとしている雰囲気があり、ある意味で衝撃的でした。
甘味処をやっている町のおばちゃんが、顔見知りらしい観光客相手に、
「この島はさびれておらんでしょう(←これを方言で言っていました)」と、
自慢げに話していたことが、深く印象に残った直島の旅でした。
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