東北電力を取材しました(①24時間体制で電気の流れをコントロール・中央給電指令所所長の中野さん)
それぞれの「人」が、それぞれの前提から、それぞれの思いで、
試行錯誤してつくったプロセスあっての結果が、
総和として、今のわたしたちの社会をつくっています。
しかしながら、複雑化・細分化した成熟社会の今、そららの前提やプロセスを、
リアリティーを感じながら認識することが、なかなか難しいと感じています。
そこで『宮城の新聞』では、「社会って、そもそもなんだろう?」をテーマに、
それらの前提やプロセスをつくる、いろいろな立場の「人」のリアリティーを通して、
わたしたちの社会を可視化していくことを目指す特集を行っています。
本日は、東北電力を取材しました。
お話を伺ったのは、中央給電指令所所長の中野さんです。
電力会社では、わたしたちが使う電気の量の変動に応じて、
瞬間ごとに発電する量をうまくバランスさせているそうです。
東北全体で、そのコントロールをしている場所が、
中野さんが所長を務める、中央給電指令所。
最近は何でもハイテクな時代、すべて自動化されているのかと思いきや、
「人」も3交代24時間体制で、この電気の流れをコントロールしているそう。
もちろん、最先端の制御システムも駆使してコントロールするわけですが、
それでも「人」の制御が必要になる場面があるということなのですね。
(その辺りは、後日公開予定のインタビュー記事をお楽しみに)
では、もしも、このコントロールが狂ってしまったら、どうなるのでしょう?
その場合、電圧や周波数をうまく維持することができなくなって、
家庭や産業の電気器具・機器に、悪影響を及ぼしてしまうのだとか。
「周波数は常に50Hzなのが当たり前!」(西日本なら60Hz)
と、わたしたちは、ついつい思い込みがちですが、
それは、コントロールあっての結果なのですね。
ところで、そもそもなぜ、わざわざ瞬間ごとに発電する量を
コントロールする必要があるのでしょうか?
だって、よくよく考えてみてください。
「あ、電気が足りなくなった!○○発電所、発電せよ!」と、
いちいちコントロールするのは、手間だと思いませんか?
(もちろんある程度は、事前に需要を予測しているそうです。
この辺りも、詳しくはインタビュー記事にてご報告します)
例えば、ちょっと多めにつくって置いた電気とか、夜間に余った電気とか、
それを足りなくなった分にまわせば、楽だし確実のような気がします。
けれども実は、そもそも電気は、電気エネルギーのままでは貯めておくことができない(※)
というのがポイントで、貯めておくにしても、別のエネルギーに変える必要があるのです。
それでも、社会全体で使う大量の電気を貯めておくことは、ほぼ不可能なのだそう。
※「あれ?でも例えば蓄電池などで電気を貯められるのではないの?」と疑問に思った方
→例えば蓄電池は、電気エネルギーを化学エネルギーに変えて、電気を貯めています。
ちなみに乾電池は、その逆方向(化学エネルギーを電気エネルギーに変換)だけ可能。
※電気があまり使われない夜に、原子力発電所などの電気を使い、
電気エネルギーを水の位置エネルギーに変えて電気を貯める
「揚水(ようすい)発電」はあるそう。東北では揚水式第二沼沢発電所(福島県)。
【参考】東北電力ウェブマガジン電気と科学のひろば(電気なるほどノート)
「電気は貯めておくことができるの?」
確かに、よくよく最近のニュースなどを聞いていると、
電気自動車などのエコカーや、太陽光発電などの新エネルギーの分野で、
これから重要な鍵を握るのは、電気を貯める技術(蓄電・充電技術)だ、
と言われていますね。
このあたりも、よくよく見ていくと、教科書だけでは実感できない
「エネルギーって、そもそもなんだろう?」が見えてくるかもしれません。
インタビュー記事では、東北電力中央給電指令所所長の中野さんという
立場から見える、「社会とは、そもそも何か」を伺っています。
そんな中野さん曰く、「電気は生き物だ」と。
いつでも・どこでもエネルギーを使えるのが当たり前、の世界に生きるわたしたちは、
「常に一定であること」がデフォルトだろうと、ついつい思ってしまいがちです。
けれども、その「常に一定であること」を保つために、
(それこそ何らかのエネルギーをかけた)コントロールが常に必要だ、というところに、
「社会って、そもそも何だろう?」の本質が見えてくるような気がします。
東北電力中央給電指令所所長の中野さんへのインタビュー記事は、
後日ご報告しますので、もう少々お待ちください。
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