宮城県保健環境センターの一般公開を取材しました
本来ならばわたしたちの近くにある要素なのに、なかなかその要素を実感しにくい。
しかしながら、それらの要素の集まりを前提としたところに、わたしたちは生きています。
それらひとつひとつの要素を、どうすれば実感を伴って認識できるのだろうか。
そのような命題を、『宮城の新聞』では、まずは足元である宮城をフィールドに、
ひとつひとつ認識したものを、第一歩目は情報という形にしていきたいと思っています。
どのような組織がどのような取組みをしているのかを知る上で、
良い機会となるのが、多くの組織で夏期に開催される一般公開です。
そこで『宮城の新聞』では今夏、主に研究機関などの一般公開を取材していく予定です。
2日(日)は、宮城野区幸町にある宮城県保健環境センターの一般公開を取材してきました。
宮城県保健環境センターとは、「保健」と「環境」の名の通り、
健康と安全な生活、快適な環境を守るために、
様々な試験検査や調査研究を行っている施設です。
例えば、新型インフルエンザや食中毒などが発生した場合、
より専門性が高い検査などは、保健所を経由し、県保健管理センターで検査されます。
他にも具体的にどのような検査や研究を行っているのかは、記事をご覧頂ければと存じますが、
所長の佐藤さん曰く、「縁の下の力持ち」的なセンターの仕事は、あまり知られていません。
(恥ずかしながら私も、県庁の方にご紹介いただくまで、センターの存在を知りませんでした)
一般公開の内容はどれも、センターの取組みを知る上で興味深かったのですが、
構成上、記事ではご紹介しきれなかった話題を、いくつか挙げます。
↑ こちらは、降水phの経年変化です。
中性はpH7ですが、降水には大気中の二酸化炭素が溶け込むため、
人為起源の大気汚染物質が無かったとしてもpHは7よりも低くなります。
大気中の二酸化炭素が十分溶け込んだ場合のpHが5.6であるため、
酸性雨の目安をpH5.6以下とする場合が多いそうなのですが、
宮城県内も、だいたいpH4.5~5.0で推移していますね。
最近、酸性雨の話題が、相対的にあまり多く聞こえなくなったため、
酸性雨問題が解決の方向へ向かっているイメージすらありました。
どうしても「情報量の多さ≒問題の深刻さ」となる分、
情報量が相対的に少なくなると、問題が解決したような錯覚に陥る傾向があるようです。
また個人的に、特に興味深かったのは、
大気環境部による悪臭の調査を体験できるコーナーでした。
悪臭の調査は、機械ではなく人間の嗅覚を利用して、臭気の強さを数量的に把握する
「三点比較式臭袋法」という方法が、最もポピュラーな方法なのだそう。
調べてみると、「三点比較式臭袋法」は日本で独自に開発された嗅覚測定法のようです。
そもそも、においを持つ分子は数十万種もあり、実際の現場の臭気には、
それらが数十数百成分も含まれていると言われています。
更に、におい物質は相互作用により、においの質や強度などが変化することもあります。
そこで、低濃度多成分のにおいを数値化するためには、
機械ではなく、人間の嗅覚を利用するとのこと。
具体的な手順としては、まずは現地で臭気をサンプリングし(奥の銀色の袋)、
その臭気を入れた1つの袋と臭気の入っていない2つの袋(手前の透明の袋)を用意。
これを6人以上の嗅覚の正常な検査員(パネル)に比較させ、順次臭気を希釈していき、
人間の嗅覚でにおいの区別がつかなくなるまでの希釈倍数を求めるというもの。
におい袋に入った臭気を嗅ぎ分けるパネル(官能試験者)として必要な
嗅覚正常者を選ぶための試験も、体験してきました。
5種類の基準臭液を用いて、どのにおいかを当てます。
私は見事、全問正解しました(嗅覚には自信があります)
40歳以上では人により嗅覚の減退がみられるそうです。
『学都「仙台・宮城サイエンス・デイ』の件で、宮城県古川農業試験場に伺った際にも、
お米の美味しさは、人の味覚による評価(官能試験)の方が機械よりも有効との話を伺いました。
何でも「ハイテク」なイメージを持ってしまう傾向にありますが、このような話を聞くたびに、
そもそもの生物の複雑さ、わたしたちの五感の複雑さを、改めて感じさせられます。
『学都「仙台・宮城サイエンス・デイ』にもご出展いただいた宮城県農業・園芸総合研究所で
栽培された夏野菜(米ナス、パプリカ、トマト、玉ねぎなど)の直売なども行われていました。
パプリカが4~5個入って100円と、大変リーズナブル。
野菜は「道の駅」などの直売所で購入することが多いのですが、
どの直売所よりもやはり、リーズナブルですね。
珍しい「花ズッキーニ(雄花・めばな)」もありました。
富谷町のガーデンレストラン 「north pole」で、フリッターを頂いたことがありますが、美味でした。
※「north pole」訪問記2(08年)、「north pole」訪問記1(06年)
話が少しずれてしまいましたが、詳しくは記事をご覧下さい。
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