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2008年2月22日

仙台市立東六番丁小学校の「自分づくり教育」を取材しました

カテゴリ:取材日記

本日は、仙台市立東六番丁小にて行われた「自分づくり教育」を取材してきました。

(※平成18年3月、仙台市教育委員会は「キャリア教育」や「起業教育」の意義を整理し、
「自分づくり教育」として方針を策定しました。つまり、呼び方を一本化したそうです。)

同校は、3年前から「自分づくり教育」の一環で、総合的な学習を利用し、
「達人から学ぼう」という取組みを行ってきています。

その道のプロである様々な「達人」から話を聞くことを通じて学んだことを基に、
自分を見つめ直し、児童が自分のよさに気づくのがねらいだそう。
年間を通じて、100人の大人たちに出会わせていくのが目標なのだとか。

今回の「達人」は、東北大学大学院環境科学研究科の石田秀輝教授。

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自然のすごさを賢く活かすものづくり「ネイチャーテック」(ネイチャーテクノロジー)を提唱し、
エネルギーを使わず、地球の環境に負荷をかけない物を作れないか、
人間と地球の関係をどういう切り口で考えたらいいか、
という見方から材料をつくっている先生です。

今回は、「土」のすごさに着目し、セメントや色々なエネルギーを使わずにタイルをつくる
「長七たたき」と呼ばれる約100年前の「たたきの技法」が児童らに伝授されました。

20世紀最大の発明だと言われたセメントも、
空気に触れるとだんだん劣化していくので、実は何百年もつか判らないそう。

この「たたきの技法」では、空気を接着剤にして固めるそうで(二酸化炭素による石灰化)、
石田先生はこれらの技術を利用して、アンコール遺跡の修復活動にも参加されているそうです。

こちらが、昨年11月に、この「たたきの技法」を利用して、児童らが制作したタイルです。
約3ヶ月間、タイルが固まるのを待っていたのでした。

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今回は、構内の中庭花壇まわりへの敷設が行われました。

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昨年に引き続き、「たたき」の授業に協力した施工会社、
東北緑化環境保全㈱の小島さんのコメントです。

「どうやったらうまくいくか、どういった楽しみがあるかを考えた。
子どもたちが一生懸命やってくれる姿が楽しかった。
子ども達には逆に教えられたというのが我々の感動だった。
利益だけでなく、楽しさを教えるのが、会社としても大切だと思う。
協力できていることに喜びを感じている。
また来年度も声がかかれば、協力するつもりだ」。

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児童らが、釘で思い思いのメッセージを刻印。
子どもたち曰く、「けっこう彫るの大変だった」そう。

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このような形で、子どもたちがつくったタイルが、花壇のまわりに敷き詰められました。
ちなみにこの花壇の形、東六番丁小の校章を表しているそうですよ。

実は、この卒業制作、児童らが卒業に関するプロジェクトのひとつとして、
「何か学校のためにやれたら良いね」と企画したものなのだとか。

今年からは、「達人から学ぼう!」等の学習を通して高められた意識や知識などを、
「自分たちにできること」とすることによって、自分のよさを認識し、
それを地域に生かしていくというステップに入っているそう。

「子どもたちには、ただ授業をするだけでなく、
"自分はどう思うのか、どうしたいのか"を自ら考えてもらい、
自分の立場でやれることを実践してもらって、卒業していって欲しいんです」と、
担任の熊谷先生。

「人と関わってコミュニケーションをとってほしい。
地域のよさって何?って見つめなおして欲しい。
自分のよさって何?を見つめなおして欲しい。

子ども達に総合の時間で、どんな力をつけてもらいたいかを考えてみると、
"キャリア教育(自分づくり教育)"と重なる部分が沢山ありました。

3年前から"キャリア教育(自分づくり教育)"に取り組んできましたが、
最初は受身で精一杯だったところから、最近は生徒の"やってみたい"が増えてきました。

"自分がこうしたい"というところからスタートし、
人と人との触れ合いの中で、子どもたちは育っていきます。

けれでも学校だけではなかなか難しいところがあり、皆さんのご協力が必要です。
バックアップしてくださる方々のネットワークは、学校にはないものですから。

子どもたちは、様々な人と出会うことで、仕事はそれぞれ違うけれども、
思いは同じなんだということに、気づいているのではないでしょうか。

そこから自分レベルでできることを、小さな変化でもいいですから、
実践してもらいたいと思っています。

掃除をさぼらない、手伝いをする、という小さなことでもいいんです。
学んでも、行動できなければ意味がありませんから」。

同校は、「自ら関心を持つ、自ら気づく、自らアクションを起こす」というコンセプトを基に、
実践を展開し、他校の先駆としての役割を果たしていると評価され、
キャリア教育優良学校として、今年度、文部科学大臣賞を受賞しています。

本来ならば人が社会の中で自立して生きていくのに必要不可欠な「生きる力」。
その低下が叫ばれている今だからこそ、その本質が改めて見直され、
刻一刻と時代が動いていくことを、改めて実感する日々です。

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