仙台二高を取材しました
「宮城の新聞」では、「偏差値以外の教育情報」特集の中で、
数字では見えないその高校「らしさ」を探る特集をしています。
仙台一高、宮城二女(仙台二華)に続き、
仙台二高を取材していくということで、
本日は、庄子英利教頭先生にご対応いただきました。
庄子教頭曰く、「真の二高生になるための三つの行事」があると言います。
この三つの行事をつなぐ「流れ」に、どうやら「二高らしさ」が見えるよう。
まず仙台二高への進学が決まったら、
春休み中にやらなければならないことがあるそうです。
それは、「倒立」。
そして、「体力づくり」。
なぜならば倒立と体力は、
「真の二高生になるための行事」に必須の力だから、なのだそう。
(1)4月:大運動会
倒立と体力がまず重要になるのが、毎年4月29日に行われる「大運動会」。
※仙台一高では「大運動祭」と呼ぶので、要注意です。
メイン種目は、二高生全員参加のマスゲーム「揺るぎなき希望(ゆめ)は」。
「帆掛け船」や「タワー」など、2~10人が一組となって、約20種類を表現するもので、
10人が3段(女子は2段)になってつくる「ピラミッド」が最大の見せ場なのだそう。
これを見ようと、毎年、多くの見物客が訪れるのだとか。
このマスゲームが場として成立するには、
倒立と体力、そして信頼関係が必要なのだ、と庄子教頭は言います。
実際、マスゲームには、二人の倒立を一人で受けとめる種目など、
お互いの信頼感がなければできない種目が多々あるそうです。
そしてマスゲームは、全体としての調和が大切な競技。
途中で失敗した場合は、やり直しはせずに、座ってまわりを待つなど、
団体としての調和を乱さないことが、徹底されると言います。
それらを指導するのは、先輩である2、3年生たち。
大運動会までの体育の授業は、2、3年の授業と新入生の授業を同時に並べ、
先輩から後輩へ、マスゲームの伝統が引き継がれていきます。
※マスゲームを解説したハンドブック(300円)も入学生には配られるそう。
全体として乱さずに、先生の笛ひとつで全体としての表現をつくっていく。
新入生達はまずはここで、真の二高生としての第一歩を踏み出します。
「大運動会の前日は、ばらばらと崩れていたのに、
生徒らは当日ピシッと決めるから、すごいなぁと驚かされます」と庄子教頭。
大運動会の前日と当日を取材してみても、面白そうですね。
大運動会でもうひとつ重要なのは、二高独特の準備体操「二高体操」。
これをマスターせねば、真の二高生ではないと言われているそうです。
運動会に向けて、新入生はマスゲームと共に、
二高体操を体育の時間で指導されるのだとか。
ちなみに、類似体操として「一高体操」を前回の文化祭レポートで拝見しましたが、
(意外とアクロバットな動きがあって、驚きました)
この「二高体操」と「一高体操」は、
同じ作者(体育教師の渡辺剛吉先生)によるものなのだそう。
一人の先生がつくった体操が、それぞれの学校の伝統になるなんてすごいですね。
(2)5月:対一高定期戦
大運動会が一段落し、G.W.があけると、お次はすぐに一高VS二高の定期戦です。
新入生達は、入学後から、昼休みや放課後を中心に、
応援団幹部らから、応援歌を学んでいきます。
ちなみに凱歌は、歌い方や音程が微妙に異なるものの、
仙台一高(や仙台三高)と同じ歌詞なのだそう。
お互いの応援歌を知っているので、定期戦では、
相手の応援歌をわざと替え歌にして、お互い野次を飛ばすそうです。
ただし校歌だけは、神聖なものとして、邪魔は絶対にしないのだそうです。
応援団がリーダーシップをとり、メリハリがある場をつくっているのですね。
「単に応援する側なのではなく、応援歌を歌いながら、選手と一体化しているんです。
たとえ目を閉じていても、どちらが勝っているかが、わかるくらいですよ。
そして、勝っても負けても、最後まで応援するんです」
もちろん一人ひとりが頑張ることが、そもそもの前提ですが、
行事を通して、お互いが信頼しあって助け合い、
学校全体の雰囲気を高める場が形成されるのだ、と言います。
「それとこれは伝統的に、よく言われていることなのですが、
定期戦で勝った時の3年生は、進学実績が上がると言われています」
ここで、仙台二高をあらわすであろう、キーワードが。
「大学入試は、団体戦である」
なるほど。
個人の力を、場全体の力が、引き出していくわけですね。
「真の二高生になるための行事」といわれる所以が、だんだんとわかってきました。
(3)7月:自然体験(栗駒登山)
定期戦後は、高校総体、そして中間考査が続き、
ほっとしたところに、今度は2泊3日の登山です。
これまでは栗駒登山でしたが、地震災害の為、今年からは岩手山へ。
登山に備えて、体育の時間はひたすら歩くそうです。
体育の授業も、行事に最適化されていることに驚きです。
ちなみに、登山用の炊飯を、家庭科の時間に学ぶそう。徹底されていますね。
この登山が終わって、晴れて新入生は「真の二高生」なれるわけです。
と、ここで、ほっとしたのもつかぬ間、すぐに夏期講習がスタート。
「つまり、勉強さえできれば良い、というわけではありません。
この雰囲気は、純粋にすごいと思います」と、仙台二高歴2年の庄子教頭。
ここで、「一高はバンカラ、二高はスマート」とよく対比される
仙台一高と仙台二高を比べてみましょう。
仙台一高の場合、大運動祭などの学校行事も、生徒がやると言わなければ
中止になるという、仙台一高の自由と自治の精神を成文化した制度
「発起人制度」があります。
つまり、学校行事なども、まずは「ない」ことが前提で、
それを生徒一人ひとりが、毎年1からつくり上げていくという感じです。
ちなみに定期戦も、仙台一高では、生徒の自主性を重んじるということで、
学校行事ではありますが、出席をとらないそうです。(徹底していますね)
それに対して、仙台二高の場合、まずそこに「ある」ことが前提で、
そこからスタートするわけですが、チームとして皆でつくりあげていく、
そういうことができる雰囲気があるのだと、庄子教頭はいいます。
「大学入試は、団体戦である」
そこに、仙台二高をあらわす何かがありそうですね。
それを、行事と行事の「流れ」を見ていくことで、描写していこうと思います。
「宮城の新聞」では、仙台二高をこれから継続取材していく予定です。
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