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記者・大草芳江が活動をつづります

2010年3月25日

【番外編】世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道(和歌山・熊野古道)」へ②

カテゴリ:フォトギャラリー

【番外編】世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道(和歌山・熊野古道)」へ①の続きです。

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翌日は、熊野三山のひとつ「熊野那智大社」のある那智山(東牟婁郡那智勝浦町)へ。
実は、「神社お寺前駐車場」まで上がらずに、ある場所で駐車するのがポイントなのです。

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そのある場所とは、熊野曼荼羅の郷河川公園にある駐車場です。
なぜならば、古道の面影が色濃く残る「大門坂(だいもんざか)」を歩くため。
なんでも約30分で古道の雰囲気を楽しめるという、お手軽コースらしいのです。

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熊野古道を「歩くこと」が霊域へ通じるための「行(ぎょう)」とされていたらしく、
手軽に雰囲気を楽しむ程度では「行」を体感できないのでは...とも危惧しましたが、
まずは全体把握のためにも、王道を行こうと決めました。

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このように民家を通り抜けていくと、

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石畳の下から力強く生える、竹の子が。

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樹齢800年の「夫婦杉」の間を通って、大門坂のスタート。

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「夫婦杉」から後ろを振り返ると、近くに茶屋。
こちらの茶屋では、平安衣装の貸出なども行っているそう。

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生憎の雨天で恨めしい・・・と思いきや、逆に、雨で石畳が輝き美しい。
紀伊山地は、全国でも有数の多雨地帯。
この石畳も、豪雨から道を守るためにつくられたと聞きます。

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熊野九十九王子の最後の王子「多富気王子(たふけおうじ)」。
王子とは、熊野三山の御子神(みこがみ)のこと。

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いつ誰が、置いていったのでしょう。

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日本サッカー協会のシンボルマークで有名な「八咫烏(やたがらす)」。

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詳しい観光案内を見ることができるQRコードもありました。
ちなみに、このWEB画面からもQRコードを読み取れますので、気になる方はどうぞ。

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(写真ではわかりづらいですが)雨で濡れた杉の表面が様々な彩りに。

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樹齢数百年の杉が並ぶ道。
この石は、木の補強のためでしょうか。

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時の流れが感じられます。

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空洞化して倒れてしまった巨杉も。

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倒れた杉の中に入ってみました。まるで滝のよう。

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なんだか仏様のようにも、見えなくもないです。
昔の人は、そうやって自然を見てきたのでしょうか。

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巨杉のパワーを体全体で吸収するおじさん。
これで杉の大きさがわかりやすくなったのでは。

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467段の石段を上って、熊野那智大社に到着。

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雨天ならではの光景です。

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気温が急に低下して発生した霧が、神々しい雰囲気を醸し出しています。

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どうやら晴天時には、ここから海が望めるようです。

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巨大なおみくじ。結果は中吉でした。

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奥に歩いていくと、すぐ隣に「那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)」があります。
神社とお仏が隣接して建つという、神仏習合時代の名残りを残す場所とのこと。

今では、「神様は神社、仏様はお仏」とはっきり区別されていますが、
明治政府の「神仏分離」政策までは、神と仏は区別なく一体のものだったそう。

そう言えば、「神様・仏様、どうかお願いします!」と今でも言いますが、
神も仏も関係なく、とりあえず拝みたくなってしまう気持ちは、今も昔も変わらないのかも。

これって、(特定の宗教の信者の方以外は)唯一絶対神ではなく、
神様と言えば「八百万の神」という、日本人独特の宗教観なのでしょうか。

これについては、芥川龍之介も下記のように言及しているそう。
大変興味深い表現ですね。

作家の芥川龍之介は、日本にいくら宗教を根付かせようとしても無理なのは、 日本が古来から「八百万の神」を崇める、神道などに見られる独特の宗教観を持つからで、 釈迦もイエス・キリストも日本にくれば神々の一人という扱いになる、といった主旨のことを 短編作品(青空文庫「神神の微笑」)の登場人物に語らせている。 また同時に、日本人が海外の思想に変化を加えて自分のものにする様子を 「造りかへる力」とも表現している。 (出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「日本人の宗教観」)

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件の神仏分離令で、熊野本宮大社や熊野速玉大社では仏堂が取り壊されたそうですが、
熊野那智大社の本堂(=「如意輪堂」、後に信者の手で「青岸渡寺」として復興)だけは、
西国三十三所巡礼の第一番札所でもあることから、壊されずに済んだそう。

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ちなみに青岸渡寺の現在の本堂は、戦国時代に織田信長の兵火で焼失したものを、
1590年(天正18)に豊臣秀吉が再建したもので、国の重要文化財にも指定されています。

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豪華絢爛な桃山様式の建築で、南紀最古の建築物とのこと。
桃山様式建築と言えば、仙台にも国宝・大崎八幡宮(元国宝の)瑞鳳殿があります。
それにしても、いろいろなものが、天井からぶら下がっていますね。

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振り返ると、こんな感じや、

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こんな感じ。何だかタイムスリップしたような気分です。

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青岸渡寺の本堂から、さらに奥へ進むと、三重塔が見えます。
本来ならば、ここから「那智大滝」が見えるはずなのですが、雨と霧で全く見えません。

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そもそも「熊野那智大社」とは、滝(那智大滝)を神とする自然崇拝からおこった社。
つまり、那智大滝なくして、熊野那智大社は語れず。
果たしてこの霧の中、滝を無事見ることができるだろうか、と不安を抱えながらの参拝。

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あ!わずかに滝の姿が。
落差133mとのことですが、ここからでは全部、見えません。

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そこで、参詣料300円を支払い、滝壺へ。
「那智御瀧 飛龍神社延命御守」と書かれたお守りも渡されます。

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那智大滝の水は、延命長寿の効果があると言われているそう。
「延命長寿の水」として飲める場所もあり、初穂料として100円支払うと盃もいただけます。

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滝壺に到着。
霧のせいか、まるで天から滝が流れるようです。
昔の人は、この滝のなかに、神様・仏様を見出したのですね。

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「温泉民宿 大村屋」お手製の熊野古道弁当をいただきます。大変美味です。
ただ、これだけは、晴れた古道で食べたかったですね・・・とにかく寒い・・・。
車の有難さが骨身に沁み渡ります。昔の人は大変だったのだろうなぁと思います。

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お次は、熊野三山の一つ「熊野本宮大社」へ。
熊野本宮大社の社殿は、残念ながら撮影禁止です。
熊野三山の中で一番、なんだか"今風"なサインが多いですねぇ・・・

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都道府県別の熊野神社分布図がありました。
確かに「熊野神社」と言えば、近所にもありますし、全国各地でも見かけます。
熊野神社の総本山は、この熊野三山か、出雲の熊野大社、という説が有力とのこと。

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気になる宮城県には、熊野神社は133社。ということで、全国9位です。
ちなみに、「紀伊の熊野三山同様に、熊野三社が地理的・方角的に全く
同じセット状態になっているのは、宮城県名取市の熊野三社だけ
」らしいです。
その昔、信仰心の篤い老女によって勧請されたと聞きます。ぜひ訪れてみたいですね。

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無事参拝が終わったと思いきや、参拝順の間違いに気付きました。
左側の「結宮」が一番大きく、しかも「第一殿」とあったので、
迷いながらも左から参拝したのですが、主神は第三殿の「家津御子大神」の方で、
どうやら第三殿から順に、参拝しなければならなかったようです。

それにしても、複数の神様を一緒に並べて祀っているなんて、なんだか不思議ですね。
特に、先日訪れた熊野速玉大社(下写真)では、ずらりと並べられた神様が印象的でした。

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※熊野本宮大社も、現在の社殿は四神ですが、もともとは十二神だったそう。
  件の水害で、第五殿から第十二殿までは、流されてしまったそうです。

一度にまとめて拝むなんて、何だかこちらが楽をしているようで、
少々後ろめたい気持ちがなくもないですが、
複数の神様をある意味で"平等に"祀ってしまう ― これも日本人独特の宗教観なのかも。

そもそも世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」そのものが、
修験道の「吉野」、神仏習合の「熊野」、密教の「高野山」という、
三つの異なる宗教の霊場を、「参詣道」で結んでいる、独特な場所です。

日本人をネガティブな面から言えば、「自分(の意見)がない」とも表現できますが、
「敵対するのではなくて、融合し、共存する」無意識の思想と言えなくもないのですね。
(もともと日本人は、自己と他者の境目があまりない民族なのかも)

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サッカー日本代表チームのシンボルマークでおなじみの「八咫烏」がポストに。

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八咫烏(やたがらす)の特徴は、足が3本ということ。

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天から遣わされた道案内として神話にも登場する八咫烏は、熊野のシンボルでもあります。

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もっと世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」について知りたいと思っていたところ、
(「道の駅」等を必死に探しても、不思議なくらい、パンフレット等の案内がないのです)
「和歌山県世界遺産センター」なる施設を、件の大斎原近くで見つけました。

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熊野を実際に訪れてみて、いろいろな疑問が湧いてきたところなので、
概念が整理整頓されて、むしろ、ちょうど良いタイミングだったかもしれません。
逆に、旅のはじめに来ていても、あまりリンクはかからなかったかも・・・。

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こんな展示もありました。
旅行記は、明日へ続きます。

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