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記者・大草芳江が活動をつづります

2008年2月15日

宮城県経済商工観光部 産業人材・雇用対策課を取材しました

カテゴリ:取材日記

「県」って、一体どんな仕事をしているんだろう...?
ということで本日は、宮城県庁へ取材に行ってきました!

お話を伺ったのは、今年度できたばかりの
「産業人材・雇用対策課」の鹿野田さんと佐藤さん。

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「地域づくりは人づくり」「ものづくりは人づくりから」と言うように
地域の将来を担う人材の育成は、我が国の最重要課題のひとつ。

宮城県でも、村井知事が掲げる
「富県宮城の実現~県内総生産10兆円への挑戦~」に向け、
産業界を中心とした地域全体による戦略的な人材の育成を行おうと、

「産業人材育成課」と「労政・雇用対策課」を統合再編してできた組織が
「産業人材・雇用対策課」」なのだそう。

というわけで本日は、県内の人材育成に関する動きを、詳しく伺って来ました。

■ 産業界×工業高校の人材育成 「クラフトマン21」
――――――――――――――――――――――――――――――――

平成19~21年度に実施される文部科学省と経済産業省との共同事業で、
工業高校と産業界が連携して、「ものづくり人材」の育成に取り組むという事業が、
「クラフトマン21」です。

※「クラフトマン」とは、熟練工、職人という意味。
  ちなみに、「クラフトマン21」は、文科省側の通称なのだとか。

宮城県では、みやぎ工業会が実施機関となり、県内の4つの工業高校等と
産業界が連携して、高校生に実践的な教育を行っているそうです。

鹿野田さん曰く、中小企業の社長さん方は
「最近の新入社員は、挨拶ができない、時間が守れない、すぐにやめてしまう」、
いわゆる「社会人基礎力※」が足りないと、口を揃えて言うのだとか。

※「社会人基礎力」とは、経済産業省が提唱する「職場や地域社会の中で
多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力」だそうです。

詳しくは、記者ブログ「東北経済産業局へ取材に行ってきました」をご覧ください。

そこで、「学校は一体何を教えているのか?!」という議論にもなるそうなのですが、

「そもそも、学校の先生の多くが社会経験が少ないですし、
また昔のように、身のまわりでものをつくっている人の姿を見ることも少なくなりました。
だから今は、社会の皆さんに協力して頂き、学校と社会とを結び付けていくしくみづくりが
必要なのです」と鹿野田さん。

具体的な取組みがいくつかある中で、
例えば、複数のものづくり実践指導に取り組んだ例として、
機会加工等について、以下の4社の講師により、

旋   盤  → 東北リコー㈱
フライス盤 → 松下電器産業㈱仙台工場
溶   接  → 宮富士工業㈱
鋳   造  → 岩城ダイカスト工業㈱

宮城県工業高校の機械科2年生を対象に、実践指導を行ったものや、

他にも、石巻工業高校では、自動車整備工場や知的障害者授産施設との連携で、
知的障害者のためのBDF(バイオディーゼル燃料)製造装置を研究開発に着手したもの等

様々な取組みがあるようです。

 

■ものづくり人材の「育成」と「確保」は、ワンセット。
――――――――――――――――――――――――――――――――

県経済が今後も継続して発展し、富県宮城を実現するためには、
経済波及効果が大きく、雇用も生み出せるものづくり産業を
盛んにしていく必要があるとの考えから、

県では、自動車関連、電機・電子、食品の3分野について、
プロジェクトによる重点的な取組を進めているそうです。

昨年、大手半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンと
「トヨタ自動車」関連会社のセントラル自動車株式会社の
県内への工場立地が決定したとのニュースは記憶に新しいですが、

そもそも現状として、県内のものづくり産業を支える
「ものづくり人材」自体が不足しているとのこと。

そこで県は、「富県宮城」を支えるものづくり人材を確保するために、

(1)ものづくり産業の認知度UPのために、県内の高校や高専の
  学生・教員・父兄を対象とした、工場見学ツアーなどの実施
(2)隣接県の大学や高専へ、県内のものづくり企業のPRセミナーの実施
(3)中小企業の経営者・人事担当者対象に、人材確保に向けた意識改革セミナーの実施

を行ったり、

製造業に関する正しい知識を提供できるキャリアカウンセラーを高校に派遣することで、
高校生の進路選択段階で、製造業に対する理解を深めてもらい、
県内製造業への就職拡大や早期離職の防止を図るそうです。

 

また、国の支援措置(経済産業省の事業)の活用を前提とした県の事業計画として、
自動車関連産業・高度電子機械産業の人材育成事業というものもあるそうです。

ちょっと長くなりますが、メモがてら、まとめてみます。

(1) みやぎ自動車関連産業活性化人材養成等事業

1.カーエレクトロニクス化に対応した開発系人材の養成
 (「みやぎカーインテリジェント人材育成センター」の創設)

 県内の理工系大学、高専、県内外の自動車関連企業と連携し、
 自動車分野の「電子制御」、「CAE」、「計測・評価」の
 カーエレクトロニクス分野の即戦力技術者を育成することが目的だそう。

2.自動車構造研修

 私が個人的に興味を持ったのは、この「自動車部品 機能・構造研修会」。
 
 この研修では、宮城県産業技術総合センターと連携しながら、
 トヨタOBの教授等を講師陣に向かえ、
 実際に、自動車をまるごと分解することで、自動車の
 機能や構造・成り立ちなどを理解してもらおうというもの。

 企業が、それぞれの技術をどのような形で自動車産業へ活かせるかを
 考えるヒントにしてもらうために実施されるものなのだそうですが、
 個人的にも、自動車というブラックボックスの中身を見てみたいという興味がわきました。
 
3.カイゼン研修(大崎市域でのモデル実践)

 古川商工会議所と連携し、大崎市内の自動車関連企業の経営者や中核技術者を対象に、
 現時改善等による事業高度化の中核を担う人材の養成を目的とするもの。

4.ものづくり企業によるインターンシップ等受入促進(仙台市域でのモデル実践)

 高校生の製造業でのインターンシップを促進させるため、
 仙台市教育委員会との連携の下、
 受入企業の開拓や、受入企業向け研修プログラムの開発を行うというもの。

(2)みやぎ高度電子機械産業活性化人材育成等事業

地元企業の技術力向上を目指したCAE(※)技術者を養成することを目的とした、
地元企業の技術者対象の、技術研修の実施。
こちらは県産業技術総合センターと連携の予定。

※CAEとは?
コンピューター上で様々な仮想実験を行うことにより、
品質向上、開発時間短縮及びコスト削減が期待できる技術。
製品の小型化・高密度化・製品ライフサイクルの短期化に伴い、
CAE技術の導入は急速に進んでいる。

 

う~ん・・・
いろいろな似通った事業が、国や県、市などの様々な枠組みで行われているのですね。
中には、様々な枠組み同士で、重なっている部分も多いようです。
これは、かなり構図を意識的に理解していかないと、頭がどんどん混乱してきます・・・

そこで県では、お互いの枠組み同士で「もれ・ぬけ・かぶり」がないようにしていきましょう
という取組み(「産業人材育成プラットフォーム」)も、行っているそう。

(ただし、プロジェクト間での連携までは現在のところなかなか難しく、
まずは情報共有からはじめましょう、というのが実際のところだとか)

   

また、国(東北経済産業局)へ取材に伺ったときにも感じたことなのですが、
国や地方自治体が解決しようと取り組んでいる数々の問題は、
社会の教科書で取り上げられているような問題であるにもかかわらず、
普段の消費者意識ではリアルに感じられない問題のひとつであるように感じました。

このような問題こそ、ただ解決策を施されるだけの対象になるだけでなく、
中高生でも、問題を問題として認識できるような何かしらの取組みが、
必要だということを改めて感じた取材でした。

これからも、実際の現場と併せて、県内の動きを取材していきたいと思います。

 

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