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記者ブログ
記者・大草芳江が活動をつづります

2008年2月 4日

こんにゃく・納豆づくり。大郷町立粕川小の食育活動を取材

カテゴリ:取材日記

中国製ギョーザによる中毒、食品表示の偽装と、
食への不信は募るばかり。

自分が口にする食べ物ですら、
いつ、どこで、どのように、つくられているかも
わからない程、複雑化・細分化したこの世の中。

そんな中、食の視点から農、工業、地域をつなげる食育活動が
大郷町立粕川小で実践されていると聞き、早速取材に行ってきました。

■こんにゃく芋から、こんにゃく作り
―――――――――――――――――――――――

1年生のクラスでは、こんにゃくづくりをしていました。
皆さんは、こんにゃくって、どうやってできているか知っていますか?

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これ、こんにゃく芋なんです!
こんにゃくは、こんにゃく芋からできています。
でも、こんなに大きいとは、驚きです。

一般的に流通しているこんにゃくは、
こんにゃく芋を乾燥させてたものでつくるそうですが、
今回は、生のこんにゃく芋からつくるとか。

この大きさになるまでには、なんと4年を要するようで、
「みんな、4年前を思い出して食べてね~」と担当の奥平先生。
「こんにゃくには、若返り効果があるんだよ」と、栄養成分についても言及。
「みんな、3歳になっちゃったりしてね」

最初はあんなに小さかったこんにゃく芋が、
あんなに大きくなるなんてねぇ... (しみじみ)

この子どもたちも、4年前は、1~2歳ですものね。

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すりおろしたこんにゃく芋です。
すでに、若干ぷるぷるしています。

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すりおろしたこんにゃく芋を茹でます。

茹で終わったら、良く練ります。
「3~、4~、5~」と数えながら、大きなすりこ木をまわす子どもたち。

「40回やったんだから、次はわたしだよ!」
「40回ってやくそくしたのに、70回もやったんだよ~!」
「おれ、500回やったんだ」 「え~、おれ500回数えられないよ・・・」

小1児童の世界ですね。ちゃんとコミュニケーションしているなぁ。

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凝固剤(消石灰)を入れて、パレットに流し込みます。
あとは、固まるのを待つばかり。

「待っている間に、黒豆茶でも飲みましょうか」と、
先生が持ってきたのが黒大豆。

なんと、この子どもたちが育てた黒大豆だそう。
そこで、子どもたちにインタビュー。

― このお豆、自分でつくったの?
「まめ、うえたよ。こうやってゆびで土にあなをあけて、まめをうえたの」。

― 何色のお豆をつくったの?
「はだいろと、くろいいろ」
「きなこもちもつくったよ~!」
「あとね、やさいいためもつくったの」「ピザもつくったよ」
「りんご味のやきにくのたれつくった」

― お野菜、他にも何かつくったの?
「キャベツでしょ、にんじん、ねぎ、だいこん...」
「とろろいも!」
とろろ芋はつくってないです、と訂正する先生。

― とろろ芋、つくってないって先生言ってるよ。
「とろろいも、つくったよ」「とろろいも」「つくったよね~」

先生の解説によると、実際子どもたちが植えたのはサツマイモ。
けれども収穫時、以前畑に誰かが植えたとろろ芋が土の中に残っていたそうで、
それを子どもたちが掘り出したという経緯だとか。

小1児童の認識力が、こういうところにも垣間見えて、おもしろいですよね。

フライパンで、黒大豆を煎っていきます。
香ばしい香りが辺りにただよってきました。

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炒っていくと、ほら、皮がむけてきました。

「白大豆も黒大豆も、途中まではみんな緑色の枝豆になるんです。
途中で黒大豆は、黒い膜が大豆にできて、黒大豆になるんですよね」と奥平先生。

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黒豆茶の出来上がりです。
子どもたちがつくった黒大豆を炒って
お茶を飲めるなんて、感慨深いものがありますね。
香ばしい香りと一緒に、美味しくいただきました。

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ちょっとずつ、こんにゃくが固まってきましたね。
あとはこれを、30分ほど茹でて完成です。

■自分で育てた大豆で、わら納豆づくり
―――――――――――――――――――――――

別のクラスでは、自分たちでつくった納豆を試食中、と聞きつけ、
4年生のクラスにおじゃましてきました。

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みんな元気いっぱいです。

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こちらが、みなさんがつくった納豆です。
蒸した大豆をわらにつめ、土の中に2日間寝かせてつくるそう。
ちなみにわらは、5年生が稲作りでつくったものだとか。

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ちゃんと、納豆になっています!
実は前回、納豆にならずに失敗してしまったそうですが、
今回は、地元のおじいちゃん・早川光さん(77歳)が、
月曜日から金曜日まで、納豆づくりを教えてくれたそう。

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戦時中は、米の代わりに大豆を食べなければならなかったこと、
中でも納豆は、正月にしか食べられないものだったこと、
納豆菌が入手困難で、変わりに"ゲロッパ(オオバコの実)"
を使ったけれども、完全な納豆はできずに我慢したこと、等‥

早川さんの、昔の納豆のお話からは、
納豆を同じようにつくり、この土地に住んでいるという共通点があるからこそ感じる、
リアリティを感じました。

粕川小ではこのように、地元の方とのコラボも
積極的に行っているそうです。

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こちらが黒大豆でできた納豆。
黒大豆も小豆も、子どもたちがつくった作物だというから驚きです。

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こちらの納豆は、アメリカ産小粒と、国産中粒の大豆で作ったもの。
この大豆はなんと、メーカーさんに子どもたちがお手紙を書いて、
提供してもらったものだとか。

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その名も「ケロロ探検隊★」。
他にも、歴史・栄養・環境問題など、食からいろいろな分野に
つなげていく取組みを行っているそうです。

自分たちでつくっているものが、社会とつながっていく瞬間って、
社会がぐっと身近になる感覚で、とてもおもしろいんですよね。

みんな、とても美味しそうに食べていました。

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粕川小の食育活動を推し進めている奥平先生です。

「粕川小近くを流れる吉田川から水をひき、
田んぼをつくって稲を育てる。
田んぼからは、米だけでなく、わらが取れる。
そのわらで、納豆をつくったり、わら半紙をつくったり、
牛のえさにしたりする。
その牛の糞が堆肥となって、りんご園の肥料になる。
そのりんごを使って、焼肉のたれをつくる。
その焼肉のたれで、おいしいお米とお肉を食べる―

というように、地域資源の循環がわかると地域がつながってきます。
そして交流を通じて、地域の生産者を見直すことにもつながります。

また最近は、"フードマイレージキャンペーン"も活発ですが、
地元でつくれば、CO2排出はゼロです。
食の安心・安全から環境問題へもつながっていきます。

地域にあるものをつかって、自然から食卓までの過程をいかに実感させるか。
単なる値段や栄養だけでなく、そこに付随する価値に気づかせていくことがねらいです」

なるほど、「食」からつながっていく世界は、とても広いもののようです。
「食」は誰にとっても身近なものだからこそ、
「食」から様々なつながりを実感できる教育が持つ価値は大きいと感じました。

また同校では、「見る聞く話す」を大切にした教育に取り組んでいるそうです。

同校の山田校長先生によりますと、
基礎学力に関して「読み書き算盤」の話が、江戸時代の寺子屋の頃から
よく出てくるイメージがありますが、

越川禮子著『商人道「江戸の繁盛しぐさ」の知恵袋』(講談社)によりますと、

「江戸の寺子屋は、田舎寺子屋と違って『読み書き算盤』は必須で、
一通りマスターしたあとは『見る聞く話す』に重点を置いた」そうなんです。

山田校長先生は、「今週もよく見てよく聞いてよく話をしなさい」と、
毎回朝の会でお話をされているとか。

(ちなみに山田校長先生は、民話に非常に明るい方でもあり、
朝会では毎回、子ども達に民話をお話されているそうです。)

頭の中だけでは終わらない、実際の体験や表現を伴う教育が、
エコロジカル(生態学的)な発想、つまり生き物と生き物の
相互関係を理解する発想へと、つながるのかなと思いました。

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最後におまけ。あこがれの給食です(254円)!

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