産総研・科学教室MC(1日目)「燃料電池を見て!学んで!やってみて!」
東北最大級の環境展示会「エコプロダクツ東北2008」で開催される環境科学教室にて、
(独)産業技術総合研究所(通称:産総研)のMC役を、今年も努めさせて頂きました。
産総研の環境科学教室は、10月9日(木)、10日(金)の2日間実施。
会場となる夢メッセ近くの小中学校から、2日間で約160名の児童・生徒が参加します。
教室のテーマは、
「究極のエコ技術『燃料電池』を見て!学んで!やってみて!」
そもそも最近よく聞く「燃料電池」とは、
電気化学反応によって電力を取り出す装置のこと。
主として水の電気分解の逆反応、つまり、
2H2 + O2 → 2H2O
によって電力を取り出す場合が多いそうです。
熱機関を用いる通常の発電システムと異なり、
化学エネルギーから電気エネルギーへの変換途上で
熱エネルギーや運動エネルギーという形態を経ないため、
発電効率が高く、発電時に二酸化炭素等を排出しない(理論上は水だけ)、
という特徴があります。
すでに燃料電池は、携帯電話やPCなどのモバイル機器や、
家庭用、自動車などにも利用されているそう。
今年のエコプロダクツには、燃料電池自動車(FCV)も登場。
トヨタ車と日産車の計3台がやってきたようです。
偶然の組み合わせではありましたが、燃料電池がテーマの教室で学んだ後、
実際に燃料電池自動車を体験できる機会があることは、とても良いことですね。
燃料電池自動車に、ちょっとだけ試乗させていただきましたが、
まず騒音がとても少ないことに驚き!そして加速性能も良いのに驚きました。
騒音が少ないのは、エンジンがないためなのですが、
「エンジン音がない分、モーターやエアコンの音が目立っちゃって」と、
開発者の方がおっしゃっていて、おもしろいなぁと思いました。
さて、ここからは昨日エントリーしたブログのつづきにもなりますが、
新しいエネルギーとして注目されている「燃料電池」。
しかしながら、コスト面や安全性、寿命などの問題などもあり、
まだまだ普及段階までには、課題が多いのが現状です。
今回は、特に安全性に注目した内容となりますが、
燃料電池の燃料となる水素やメタノールは、可燃性。さらにメタノールは、劇物。
そんな中、2002年産総研が開発に成功したのが、「安全・安心な燃料電池」。
どれくらい安全・安心かというと、なんと食べられるものなのだとか!
何を燃料にするのかと言うと・・・
答えはなんと、「ビタミンC(アスコルビン酸)」です。
産総研が開発したこの「ビタミンCを燃料にした安全・安心な燃料電池」を
教室では、小中学生らが体験しました。
去年も同じ科学教室を開催したのですが、今年もまた選んで来た、
というリピーターの子ども達が少なくなかったことには、驚きましたね。
日進月歩の科学技術の発展に伴い、わたし達の生活は豊かになる反面、
一般消費者にとって、今日の工業製品の大半はブラックボックスとなりました。
それらは、数々の研究者・技術者たちが、
新たなものの見方・考え方と、地道な努力により、様々な課題を乗り越えてきた、
まさに結晶なのですが、そのプロセスが見えない分、わたしたち消費者は
「当たり前のもの」として、そられを受け入れがちです。
この「当たり前のものとして受け入れてしまう」状態が、わたしは怖いなと思うのです。
それは、何事も受身で、自ら正しく判断できる力がない状態であるにもかかわらず、
文句だけは言うが結局は何もしないという状態に深く関係していると感じるからです。
そしてその状態が、昨今のコミュニティー崩壊の根本的な原因ではないかと思うのです。
だからこそ科学教室では、科学や技術を「当たり前の」結果としてではなく、
エネルギーの話であれば、ものの見方・考え方によって、
これまでエネルギーではなかったもの・効率が悪かったものが、
新しくエネルギーになったり、もっと効率が良くなったりするのだ、
というプロセスの部分を、子ども達が五感で感じられる前提をつくれれば、と思います。
それを、MC役という、研究者ではない第三者だからこそ、できることとは何か。
今回頂いたお仕事から、そのひとつの手応えを得たいと思っています。
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