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2017年 04月 25日 (火)

「たくましく生きる力」育む授業プラン、学校現場で試行開始/仙台市教委

2011年9月30日公開

 時代の変化を受け止め未来を切り開いていく力を児童生徒に授業で身につけてもらおうと、仙台市教委が開発中の「たくましく生きる力育成プログラム」の試行が市内の小中学校で始まった。

 同市教委は、2009年12月、企業経営者や学識経験者などからなる検討会議を設置。会議では、子どもたちの社会体験が減少する中、学力の土台となる人間関係や心の課題などが指摘された。

 「幅広い見方・考え方」「人間関係を形成する力」「自分および他者と向き合う心・態度」といった、たくましく生きる力の素地となる知恵や態度の育成をねらいとした授業を検討し、教諭中心のチームがモデルプランを作成した。

 今月から学校現場での試行を重ね、今年度末にプログラムの完成版を市内小中学校へ配布する方針。


立場を変えて考える授業 「我が子への手紙」

「たくましく生きる力」育成プログラムの授業実践のようす(仙台青陵中、28日)

 28日は仙台青陵中で、新田由美子教諭が1年生の道徳の時間に、「我が子への手紙」と題して、立場を変えて考える授業を行った。

 授業では、3人の子どもが親宛てに書いた3種類の手紙を読み、同じ中学生の持つ悩みについて考えた。「どうやったら優しい人になれるの?」「勉強が楽しいから部活はやめてもいいよね?」「お笑い芸人になりたいから勉強はしなくてもいいよね?」

グループでの話し合いのようす

 手紙の種類でグループに分かれた生徒らは、手紙を書いた子どもが親に何を伝えたかったかを考えた。

 生徒らは「そもそも優しさとは何か、優しさとは自己満足とは違うのか」「勉強に集中したい気持ちはわかる」「何のために学ぶのか、確かに疑問に思う」などと熱心に話し合っていた。

親の立場で子どもへの返事を書く生徒

 次いで、生徒らは親の立場で子どもへの返事を書き、内容を発表した。

 生徒らからは、「まだ自分では気づかぬ可能性を消してしまう恐れがあるから、勉強に専念するのはまだ早い」「嫌なことから逃げているだけではないか。誰でも苦しいことはある」といった発表があった。

 新田教諭が「親の立場で考えると何がわかるか」と聞くと、生徒らは「子どもが誤った道に進まぬよう必死に考えた」「こんな質問は親でも答えるのが難しい」「子どもが伝えたいことを理解していないかもと不安に思った」などと感想を話した。

 最後に新田教諭は「別の立場で考えてみると、いろいろな考え方ができる」とまとめた。


現場インタビュー

◆視点と目標を変え、自ら困難を乗り越える力を育む
/新田由美子さん(仙台青陵中等教育学校 教諭)

新田由美子さん(仙台青陵中等教育学校 教諭)

-普段の道徳とは、どのような点が異なるか?

 中身は同じだが、視点の置き方と、むかわせる目標が、普段の授業とは異なる。

-教育現場から見て、視点と目標を変える意義を感じるか?また、それをどう考えるか?

 最近の傾向として、壁にぶつかっても乗り越える力がなかったり、逃げてしまう子どもが増えている。本プログラムは、視点と目標を変えることで、自ら壁を乗り越える力をつけるものであり、それは授業でもやっていくべきものだと考えている。

-授業実践を終えての感想は?

 生徒たちが良い手紙を書いていたので感激した。もっと時間をかけて生徒の話を聞きたかった。子どもたちは本気で、例えば「優しさって何?」と考えていた。子どもはすごいと、改めて思った。


◆学校単位でなく全体として必要な取組み
/渡辺尚人さん(仙台青陵中等教育学校 校長)

渡辺尚人さん(仙台青陵中等教育学校 校長)

-本プログラム導入の意義をどのように考えているか?

 最近の子どもたちの傾向として、自己肯定感が低く、人との関わりが苦手で閉じこもりがち、といった問題が日本全体で見られる。これらの壁を自ら乗り越え、自分の可能性を広げるために、このような取組みは学校単位だけでなく全体として必要だ。

-授業実践を終えての感想は?

 生徒の心を引き出す教材を、如何に用意できるかが勝負どころ。今回の授業では「教材」と「教師と生徒のやり取り」がよかったので、「立場を変えてものごとを考える」本プランの目標を達成できたと思う。何よりその土台となる「生徒の学ぶ力」が、これまでの学習で育まれていた点が大きい。45分という短い時間だったが、教育のあり方にまで踏み込めた良い授業だった。


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