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2024年 11月 21日 (木)

【東北大学ALicE×宮城の新聞 ♯021】先輩が女子学生へ工学の魅力伝える/東北大学工学部「女子学生のためのミニフォーラム」開催 取材・写真・文/大草芳江

2018年09月19日公開


女子学生のためのミニフィーラム「工学にかける私の夢」の様子=東北大学工学部(仙台市)

 平成30年7月31日から8月1日まで、東北大学工学部は、女子学生のためのミニフォーラム「工学にかける私の夢」を開催した。女性の活躍が期待される一方で、工学部に占める女子学生の割合は約1割と少ない。そこで、将来の進路選択の参考にしてもらおうと、工学部OGと現役の大学生・大学院生らが工学の魅力を発信する企画を、オープンキャンパスにて例年実施している。

工学部の5つの学科に所属する女子学生らによるパネルディスカッションの様子

 ミニフォーラムでは、女子学生や女性研究者を育成・支援する東北大学工学系女性研究者育成支援推進室(ALicE)から活動紹介があった後、同大の女性教員や企業へ就職したOGらによる講演があった。続いて同学部5学科に所属する女子学生らによるパネルディスカッションが行われ、進学理由や大学生活などが紹介された。

講演者を交えた懇談会の様子

 ミニフォーラム終了後は講演者との懇談の場も設けられ、参加した女子学生や保護者らが、進路の悩みや気になる大学生活などについて質問した。参加者からは「大学生活に対する不安が期待に変わった」、「先輩方の生の声を聞き、自分が工学部を目指す理由が明確になった」、「工学部が積極的に女子学生をフォローしている様子がわかり、保護者としても安心した」といった声があった。

 フォーラムの講演要旨は、次の通り。


「大学ってどんなところ ~実験が知識蓄積の虚無感から解放してくれた~」
/井上久美先生(東北大学大学院環境科学研究科 先端環境創成学専攻 特任准教授)

 小学生の頃から大好きな「京大ヒュッテ」に宿泊するために、京都大学スキー部OGになろうと決意。勉強嫌いではあったが、一浪の末、念願の京大に入学できた。しかし、大学の勉強では高校までのように問題集がなかったので、どのように勉強すればよいかわからなかった。さらに、「研究者がこの速度で知識を積み上げていけば、50年後の学生はどれだけ勉強しないといけないのだろう。果てしない知識の積み上げは、もううんざりだ」と思った。

 卒業後は仙台に移住し、専業主婦として半年間生活した後、小さな会社で食品分析の仕事を始めた。自由に仕事ができるよい環境だったが、9年半務めた頃、別のことをしたくなり、33歳で東北大学の門を叩いた。研究補助として色々な実験する中で、ある日、自分の血液を顕微鏡で見た。教科書で見た通りだったが、自分の体から取り出した、生きている細胞を自分の目で見て、とても感動した。教科書で見たら何も思わなかったこと、むしろ覚えなければいけないと苦痛に感じていたことが、"実験"という形で自ら触れることで自分にとって重要なことに変わった瞬間だった。世の中の知識が多過ぎてうんざりしていた私が、「もっと知りたい!」、「なぜ?どうして?」、「細胞の機能を応用すれば、すごいセンサができるかも!」と考えて自分で勉強し、世界中の論文を読む人になっていた。

 こうして勉強嫌いだった私は研究者になった。専門分野は電気分析化学で、簡易型センサの研究をしている。血液の細胞を見た時に思った「細胞の機能を利用するセンサ」も開発した。また最近の研究成果は、科学雑誌の表紙を飾った。研究は一人ではなく皆で進めるもの。皆で研究した成果である。

 今、勉強をしていて、「なぜ、こんなに覚えないといけないだろう」と思っている人には、理系を勧める。理系では実験ができ、実際に触れて自分で確かめ、自分でつくることができ、世界がどんどん広がる。特に工学部には「役に立つものをつくる」という明確な目的があり、それに向かって、自分で考えて研究を進めることができる。周囲もサポートしてくれるし、一度社会に出てからでも、大学は勉強し直すことができる場である。


「会いに行きたい!に応える知能化モビリティ研究
 ~ 通信工学専攻から自動車メーカーに飛び込んで ~」
/阿部ちひろさん(本田技術研究所)

 東北大学大学院工学研究科電気・通信工学専攻を修了後、現在は本田技術研究所にて自動運転の研究開発に従事している。小4でインターネットに興味を持ち、中3で電子工学のサマースクールの会場となった東北大学工学部に憧れ、高1で通信工学が学べる東北大学工学部電気情報系への進学を決意した。

 入学後は、少ない女子同士が協力し合うので、むしろ女子校のような雰囲気で過ごせたが、憧れの通信工学を学ぶために友人とは別コースを選択した。結果、クラスで女子1人という状況に陥ることとなった。暗黒の1年になりかけるも、その壁を打開できたのは、周囲の力を借りることは決して悪いことではないと考え方が少しずつ変わったことにあった。もうひとつは、バンド活動でシンセサイザーを購入し、音響工学と出会ったことだった。あらゆる音色の波形が数学的にプログラミングでつくられると知ってからは勉強が楽しくなり、音声認識や音楽情報処理を扱う研究室に入り、統計的言語モデルを用いた作詞補助システムに関する研究を行った。デモアプリも開発し、国内外の学会等で研究成果を発表した。研究室時代の仲間とは、卒業後も集まって一緒に旅行にも行く一生の友達だ。

 通信工学を学ぶにつれ、人と人とが顔を合わせて行うコミュニケーションには敵わないと思うようになった。「誰かに会いに行きたい!」という気持ちに応えられる仕事として、自動車メーカーを志望した。現在は、本田技術研究所にて自動運転・高度運転支援の研究開発を担当している。自動運転は「認知・判断・行動」の3つの技術から成る。このうち、電気情報系が担うのが「認知」と「判断」だ。普段の業務では、プログラミングをして自分の書いたソフトを車両に組み込み、実車テストのデータをもとに解析し、次の方針を決定する。研究で得た成果は、特許や製品にすることが多い。

 女性エンジニアとして意識していることは、「できること・できないこと・してみたいこと」を自分の言葉で周囲に発信し、「女性だから」という周囲の思い込みを排除する努力をすることである。自分ができないことを数えるのではなく、できることを最大限発揮するにはどうしたらいいかを考えてほしい。また、社会では不得意なところはお互いに助け合う相互補完がより一層大事になる。一人ひとりがチームの一員として活躍する当事者意識を持つことで、やりたいことが成し遂げられると思う。


「磁石の性質に迫る ~起源解明と応用に向けて~」
/梅津理恵先生(東北大学 金属材料研究所 准教授)

 小学生の頃は、外遊びと星座ウォッチングが大好きで、将来の夢はスポーツ選手か天文学者だった。中学2年生で理数系への進路を意識し始め、高校では理系クラスとなった。しかし、中学・高校ではソフトテニスに打ち込み、第一志望は体育学部だった。理学部物理学科に入学後もテニスに明け暮れる毎日だった。ところが、卒業研究で実験がおもしろくなり、大学院へ進学。修士課程修了後に一旦就職するも、もう一度勉強したいと思い、東北大学大学院工学研究科博士後期課程に編入学をした。博士号取得後は大学で日本学術振興会特別研究員や独立行政法人科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(CREST)の研究員となり、東北大学多元物質科学研究所、ならびに金属材料研究所の助教を経て、現在に至る。

 大学では、金属材料の「磁性(じせい)」について調べている。磁性とは、磁石に反応する性質のことを指す。磁性の起源は、つきつめると、原子を構成する「電子」にある。電子が原子核の周りを、円を描くように動いて(軌道運動)いることと、電子そのものが回転(自転)することによって「磁気モーメント」(磁石の強さと強さの方向を表す)が生じ、この配列によって物質の磁性は大きく変化する。例えば、磁気モーメントが同じ方向に配列されているものだけが磁石にくっつく「強磁性体」になる。なかには単体で強磁性体にならなくとも、色々な操作をすることで強磁性を示すおもしろい物質もある。金属磁性材料の応用例は、わたしたちの身の回りに実に多くあり、例えば、ハードディスクやモーターには、異なる性質の磁性材料が組み込まれている。また、磁場によって物質の電気抵抗が変化する効果を利用した磁気センサや、磁化すると体積が変化する効果を利用した振動発電素子など、磁気に付随する現象とその応用事例は色々ある。

 実際の物質の電子構造は非常に複雑で、磁性を決める因子はたくさんある。私は、実験的に色々な元素を組み合わせることで新物質を合成し、新しい機能の発見を目指している。実際の研究は泥臭く、どんな構成元素にするかを自分の発想でデザインし、金属元素を溶かして作製した試料の性質を大学内外の装置を利用して調べる毎日だ。研究は一人ではできないので、国内外の多くのチームと共同研究をしており、その成果は学会や論文、特許などの形で公表する。

 世界でまだ誰もつくっていない物質を自分がつくっていると思うとわくわくするし、それが新機能を持てばなお嬉しく、さらに世の中に役立つことができればこの上ない喜びであろう。また、色々な人と出会い、共同研究をしながら研究成果を生み出すことや、大学として社会で活躍する若者を世に送り出す使命にもやりがいを感じながら、研究者という仕事をしている。


「生物と建築と芸術と私 -多様な進路とキャリアについて」
/錦織真也さん(小川錦織一級建築士事務所)

 最初から建築家を目指していたわけではなかった。愛媛県の高校を卒業後、得意科目が生物で都会が苦手という単純な理由から、東北大学理学部生物学科に入学した。しかし、実験のために何百ものサンプルを作成する地味な作業がどうしても好きになれなかった。そんな時、世界的に有名な女性建築家である妹島和世さんの作品集に本屋で出会い、「私も設計したい!」と強く思った。大学受験科目にはなかった物理を勉強し直して編入学試験を受け、東北大学工学部建築学科に合格。2年間で3年間分の単位を取得する必要があり、「できなくても当たり前」と肝が据わったことで、かえって好きなことに積極的にチャレンジできた。

 建築学科には、設計やデザインを主に扱う「意匠」、建築や建築の集合体である街の使われ方を考える「計画」、建物内外の環境について考える「環境」、建物の強度面からの設計を行う「構造」の4つの分野がある。大学院は他大学の意匠研究室を目指しつつ、設計をやるには計画も必要だろうと、敢えて計画の研究室に所属した。設計課題は楽しく、スケッチや模型を徹夜で一生懸命つくった。4年生の時、将来の就職先となる伊東豊雄さんが「せんだいメディアテーク」を建設していた縁で、東北大学に設計を教えに来た。私が建築学科に入るきっかけになった妹島さんも所属していた事務所だ。これは頑張るしかないと設計課題に積極的に取り組み、伊東さんが審査員を務める国際コンペに応募したところ、思いがけず一等に入選し、自信がついた。東京藝術大学の大学院へ進学し、設計をやると腹をくくって来ている人たちの中で、設計三昧の学生生活を過ごした。同大学院では、新設された先端芸術表現学科にも通い、国内外の展覧会やワークショップなどにも積極的に参加した。

 学生時代にやっておきたいことはやりつくし、念願の伊東豊雄建築設計事務所に入所。世界各地でプロジェクトが動く中、大変だがやりがいのある楽しい毎日を過ごした。単に格好良い建築をつくるだけでなく、建築家としての立ち振る舞いや、電話応対から仕事も飲み会も時間厳守なことなど、一流の事務所であらゆることを学ばせてもらった。入所5年目で独立し、現在は仙台を拠点に、家具からアートまで幅広く設計している。

 建築は一人でつくることができないので、建築家に求められる能力として、クライアント、職人、施工会社などとのコミュニケーション能力は必須である。さらにデザインだけでなく、性能や予算、施工会社の能力など、様々な要素から優先順位をつけて最適解を導き出す問題解決力も求められる。また、一級建築士の資格は難易度が高いため取得できると需要が高く、女性のライフステージが変わっても一生をかけて続けられる仕事だ。私も今年6月に出産したばかりだが、体調に合わせて仕事を続けることができた。このほか、意匠だけでなく、あらゆることを知っておく雑学力も必要で、出産や子育てなどの人生経験も設計の糧になる。

 大学は、高校生の時に想像するより深くて広い世界に触れられる場所。やってみなければわからないことが多いので、思い悩むよりも、まずは思い切ってやってみることが大切だ。それをとことんやることで、その後に進路が変わっても、やったことは決して無駄にはならない。進路が変わること自体、強みにもなり得る。一番大切なことは、自分がわくわくすることを見つけることだ。


各学科の女子学生とのクロストーク

Q1 
自己紹介をお願いします

遠藤夏実さん(工学研究科 電気エネルギーシステム専攻 修士1年)

 宮城県仙台第二高等学校出身。超電導ケーブルの長距離化に向けた研究をしている。

五十棲直子さん(工学部 建築・社会環境工学科 学部4年)

 京都府立桃山高等学校出身。新しい水処理システムを環境省と研究している。

片桐彩さん(工学研究科 都市・建築学専攻 修士1年)

 北海道札幌西高等学校出身。仙台駅前の再開発や都市開発の研究をしている。

森瑛梨奈さん(工学部 機械知能・航空工学科学部3年)

 岩手県立盛岡第一高等学校出身。構造物の振動制御方法の研究をしている。

志田友香さん(環境科学研究科 環境創成学専攻 修士1年)

 千葉県立千葉高等学校出身。水素エネルギー開発に向けてギ酸から水素を生成する研究をしている。学部の頃はスキー部でアルペン競技に打ち込んだ。

山口実奈さん(工学研究科 知能デバイス材料学専攻 修士1年)

 茨城県立竹園高等学校出身。セラミック材料を用いた光学薄膜の作成の研究をしている。

Q2 
東北大学・現在の学科を選んだ理由は?

遠藤夏実さん(工学研究科 電気エネルギーシステム専攻 修士1年)

 超電導の勉強がしたいと思ったから。興味を持ったきっかけは高校1年生の時に参加した東北大のオープンキャンパスで超電導を初めて見て、おもしろそうとたくさんの疑問を持ったから。

五十棲直子さん(工学部 建築・社会環境工学科 学部4年)

 高校3年生までは部活に打ち込み進路については考えておらず、やりたい分野は見つかっていなかった。視野を広げて自分の力で生きるために関西から遠くへ出ようと東北大へ。絵を描くことも好きだったので建築を選んだ。

片桐彩さん(工学研究科 都市・建築学専攻 修士1年)

 物心がついた頃から建築家に憧れており、建築学科に行くことは決めていた。東北大を選んだ理由は、北海道を出て一人暮らしをしたかったことと、高校の先生に薦められたから。

森瑛梨奈さん(工学部 機械知能・航空工学科学部3年)

 小さな頃から宇宙に興味があり、宇宙の研究ができる大学を探して、東北大の機械系を受験した。最先端で宇宙の研究ができる大学は意外と少ないと感じた。東北大は宇宙工学を学びたい人にとって、よい環境が揃っていると思う。

志田友香さん(環境科学研究科 環境創成学専攻 修士1年)

 高校の科目の中で一番好きな化学を学ぶため、理学部か工学部かで悩んだ結果、商品を生み出すことに誇りを持つ商品開発をしている父親の姿に憧れ、国立大学工学部化学系を志望した。その中から東北大を選んだ最終的な決め手は、高校の先生から「東北大は入ってから伸びる大学」と薦められたから。

山口実奈さん(工学研究科 知能デバイス材料学専攻 修士1年)

 高校生の時は具体的に夢が決まっていなかったが、社会の役に立つ研究開発の仕事に就きたいと漠然と思っていた。材料系を選んだ理由は、材料、電子部品、磁石、燃料電池など、幅広いことができると知ったから。縁の下の力持ちになりたいと思い、材料系を選んだ。

Q3 
大学生になって自分自身が変わったこと・成長したことは?

遠藤夏実さん(工学研究科 電気エネルギーシステム専攻 修士1年)

 高校生までの私は与えられたことだけをやっていたが、今の私はおもしろいと感じたら挑戦してみる生き方に変わった。例えば、早期卒業制度を利用して半年間ニュージーランドに留学をしたり、学会発表をしたり、小さな挑戦だが、挑戦が楽しみになった。

五十棲直子さん(工学部 建築・社会環境工学科 学部4年)

 高校生までの私は行動に移すまでが遅かったが、今の私は、興味があることをとりあえずやってみるようになった。東北大学には色々な分野のプロや外国の人がいるので、興味があることに挑戦できる環境は揃っている。

片桐彩さん(工学研究科 都市・建築学専攻 修士1年)

 高校生までの私は落ち込んだ時の気持ちの切り替えが苦手だったが、今の私は原因や対策をしっかり考えて前向きに取り組めるようになった。プライベートと研究の時間の切り替えもうまくなったと思う。

森瑛梨奈さん(工学部 機械知能・航空工学科学部3年)

 高校生までは、主体的に動くといっても、先生や親に決められた範囲内だった。大学では自由度が上がり、授業やサークル、アルバイトなど自分で選択できることが増えたため、主体性が身についたと思う。

志田友香さん(環境科学研究科 環境創成学専攻 修士1年)

 高校生までは何をするにも親に頼っていたが、今は一人暮らしを始めたこともあり、一人で選択して行動し、解決できることが増えた。時間もたくさんあるので、アルバイトでお金を貯めて、やりたいことにも挑戦できるようになった。高校生の時よりも、たくましくなったと思う。

山口実奈さん(工学研究科 知能デバイス材料学専攻 修士1年)

 高校生までの私は人前で話すのが苦手だったが、大学に入ってからは発表する機会が多いため、経験を踏むうちに人前で話すことに対する苦手意識が減った。

Q4 
女子学生の皆様へのメッセージを!

遠藤夏実さん(工学研究科 電気エネルギーシステム専攻 修士1年)

 大学は高校とは違って自分が好きなことを中心に勉強でき、自分のモチベーションさえあれば、とても楽しく生活できる。得意・不得意や周囲の意見・環境に左右されることなく、自分の好きなことや興味を大切にして進路選択をしてほしい。

五十棲直子さん(工学部 建築・社会環境工学科 学部4年)

 私は最初、建築に興味があったが、今は水環境を研究している。入学しなければわからないこと、選択が変わることもある。工学部には自分の興味につながる分野が必ずあるので、夢がないことを思い詰めずに頑張ってほしい。

片桐彩さん(工学研究科 都市・建築学専攻 修士1年)

 小さな頃から憧れて入った建築デザインだが、デザインひとつするにしても、色々な分野の知識が必要になる。ひとつのことを目標にしていても入学してから道が広がるので、進路を決めかねている人も怖がらずに進んでほしい。

森瑛梨奈さん(工学部 機械知能・航空工学科学部3年)

 東北大には、勉強も趣味も、自分のやりたいことができる環境が整っている。工学部は、ひとつの学科に所属していても幅広い分野の勉強ができ、入学後に専門のコースを選択できる点も魅力。

志田友香さん(環境科学研究科 環境創成学専攻 修士1年)

 大学では、高校の時に想像していた以上に、色々なことを経験できた。色々なことに興味を持てば、大学はすごく楽しいところ。今はとにかく色々なことに興味を持ってやってみてほしい。

山口実奈さん(工学研究科 知能デバイス材料学専攻 修士1年)

 夢が決まっている人は選択肢の幅を広げるためにも、夢が決まっていない人はどんな選択でもできるよう、広い視野を持ってほしい。オープンキャンパスで色々な分野を知ったり、講演を聞いたり、新聞を読んだりするのもよいと思う。

Q5 
会場からの質疑応答

Q 「阿部先生に質問です。プログラミングなどの勉強は、いつ頃から始めましたか?高校の基礎知識だけでは、大学の勉強は難しいですか?」

阿部ちひろさん(本田技術研究所)
 私も昔、プログラミングに苦手意識があった。しかし好きなことをやりたいと思って研究室に入り、やりたいことを実現するツールとして貪欲に勉強するようになってからは、どんなことも形にできると思えるようになった。たとえ今はできなくとも、やりたいことが見つかれば、必要な勉強はするようになる。

Q 「梅津先生に質問です。この学部にしようと決めたのはいつ頃で、決定打は何ですか?」

梅津理恵先生(東北大学 金属材料研究所 准教授)
 高校の時は自然の成り立ちに興味があったので、理学部物理学科に進学した。私は理論より実験の方がおもしろく、物質の機能の根源を探る、という物性学に興味を持ち、さらにその応用を研究したいと工学部へ移った。最初から決めていたわけでなく、やっていることから考えるうちに、今いる場所に辿り着いた。

Q 「錦織先生に質問です。設計がうまくできず悩んだことはありますか?そんな時、その状況をどう打破しますか?」(高校1年生・女性)

錦織真也さん(小川錦織一級建築士事務所)
 設計のアイディアが浮かばずに煮詰まることはある。そんな時は色々な人とディスカッションをして、自分の中で凝り固まっている考えをほぐしている。また、現場で問題が起こった時なども、人の意見を聞いて客観的になることで、周囲の考えを吸収して次につなげることをしている。

Q 「女子学生の皆さんへ質問です。受験勉強のポイントを教えてください」(16歳・女性)

山口実奈さん(工学研究科 知能デバイス材料学専攻 修士1年)
 受験勉強で意識したことは、遠い目標だけでなく、「この日までにこの問題を解けるようになろう」と近い目標を設定して、少しずつできることを増やしたこと。また、英語は絶対にできた方がよいと思う。
志田友香さん(環境科学研究科 環境創成学専攻 修士1年)
 集中している時間が一番大事なので、時間を測って、集中する時間をしっかりつくった。集中する時間はしっかり濃密に勉強して、リフレッシュする時間はちゃんと遊び、きちんと寝て、美味しいものを食べるメリハリが大事。
森瑛梨奈さん(工学部 機械知能・航空工学科学部3年)
 受験とは人と人との戦い。負けず嫌いの人に効果的な方法だと思うが、レベルが同じくらいの友達と模試などの点数を競い合って切磋琢磨した。「何点負けた・勝った」が次のモチベーションにつながり、大変な時期を乗り越えられた。
片桐彩さん(工学研究科 都市・建築学専攻 修士1年)
 一年浪人したが、現役との違いは、理解しなければいけない本質をきちんと理解しているかどうか。受験で暗記は多少必要ではあるが、本質を理解する必要があるところは逃げずに理解することで、余計な暗記はしなくて済む。
遠藤夏実さん(工学研究科 電気エネルギーシステム専攻 修士1年)
 私も浪人と現役との違いは、勉強をやる時間と遊ぶ時間をしっかり分けたこと。私は忘れっぽいが、できる限り理解すれば覚える必要はないので、理解できるよう努めた。覚える必要があることは1日一回必ず触れるなどして覚えた。
取材先: 東北大学     

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