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2008年7月16日

「教育再生会議 」第1次報告について(07年01月)調べごと

カテゴリ:調べごと

記事制作のために、教育の社会背景を調べていると、
わかるようでよくわかっていない言葉が続出します。

社会のしくみ、ひとつひとつを認識しながら記事を制作するためにも、
調べたものを、そのままブログにメモがてら掲載します。

本日は、「ゆとり教育の見直し」と「基礎基本の反復徹底」について
調べていく中で、キーワードとなった「教育再生会議」について、
(タイムリーな話ではありませんが)まとめてみました。

■そもそも「教育再生会議」とは?
安倍内閣が最重要課題とする教育改革を推進するため、
2006年10月、新たに設置された機関。

安倍晋三内閣が2007年9月に退陣したため、
2008年1月31日に最終報告を提出し解散。

現在、福田内閣はこの後継組織として、
「教育再生懇談会」を設置している。

■「教育再生会議」の構成員は?
いわゆる「有識者」と呼ばれる人々。
教育現場だけの問題に限らないということで、
教育の専門家以外の人も多い。

浅利慶太 (劇団四季代表・演出家)  
池田守男 (株式会社資生堂相談役)
海老名香葉子 (エッセイスト)  
小野元之 (独立行政法人日本学術振興会理事長)......元文部官僚
陰山英男 (立命館大学大学教育開発・支援センター教授、立命館小学校副校長) 
葛西敬之 (東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長) 
門川大作 (京都市教育委員会教育長)......文部官僚
川勝平太 (国際日本文化研究センター教授) 
小谷実可子 (スポーツコメンテーター)......元五輪選手
小宮山宏 (東京大学総長) 
品川裕香 (教育ジャーナリスト)
白石真澄 (東洋大学経済学部教授) 
張富士夫 (トヨタ自動車株式会社会長)
中嶋嶺雄 (国際教養大学理事長・学長) 
野依良治 (独立行政法人理化学研究所理事長)......ノーベル化学賞受賞
義家弘介 (横浜市教育委員会教育委員、東北福祉大学特任講師)......元教師
渡邉美樹 (ワタミ株式会社代表取締役社長・CEO、学校法人郁文館夢学園理事長)

■「教育再生会議 第1次報告」 7つの提言と4つの緊急対応

7つの提言

(1)「ゆとり教育」を見直し、学力を向上
・授業時数の10%増加
・基礎・基本の反復・徹底と応用力の育成
・薄すぎる教科書の改善(学習指導要領の改定)
・全国学力調査を新たにスタート、学力の把握・向上に生かす
・伸びる子は伸ばし、理解に時間のかかる子には丁寧にきめ細かな指導を行う
・学校選択制の導入

(2)学校を再生し、安心して学べる規律ある教室にする
・深夜・休日を含めた24時間対応の電話相談などいじめ相談体制の拡充
・荒れている学校をなくすための予算・人事・教員定数での支援
・いじめている子どもに対し出席停止制度を活用し立ち直りを支援
・暴力など反社会的行動を繰り返す子供に対する毅然とした指導
(18年度中に通知などを見直す)

(3)すべての子供に規範を教え、社会人としての基本を徹底する
・学校での「道徳」の授業時間の確保と充実
・高校での奉仕活動の必修化
・大学の秋季入学の普及促進

(4)あらゆる手だてを総動員し、魅力的で尊敬できる先生を育てる
・社会人経験者や英語を母国語とする外国人など多様な分野からの積極登用
・がんばっている教員に対する給与・昇進・手当などでの優遇
・悩みを抱える教員のための相談窓口の充実
・保護者・生徒の意見を反映した教員評価
・教員免許更新制の導入(平成19年国会に教員免許法改正案提出)
・指導力不足教員に対する分限制度(※)の有効活用
 ※分限制度:地方公務員法に基づき「適格性を欠く」として免職などの措置を取る制度

(5)保護者や地域の信頼に真に応える学校にする
・第三者機関の「教育水準保障機関」(仮称)による厳格な外部評価・監査システムの導入
・副校長、主幹などの管理職の新設(平成19年国会に学校教育法改正案提出)
・優れた民間人を校長や教頭などの管理職に積極的に登用

(6)教育委員会のあり方を抜本的に問い直す
(平成19年国会に地方教育行政の組織および運営に関する法律の改正案提出)
・教育委員会での議論や学校での問題の情報公開の徹底
・いじめ問題に正面から向き合い、危機管理チームを設け、迅速に対応する
・文部科学省、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校の役割分担と責任を明確にし、教育委員会の権限を見直す
・第三者機関による教育委員会の外部評価制度導入 

(7)「社会総がかり」で子供の教育にあたる
・「家庭の日」を活用した多世代交流
・子育て支援窓口の整備
・地域リーダー・教育コーディネーターの協力による放課後子どもプランの全国展開
・企業から学校への課外授業講師の派遣、子供の就業体験などの積極受け入れ推進
・有害情報に対して家庭自信がチェックし、企業の自主規制も強化する

4つの緊急対応

(1)暴力など反社会的行動をとる子供に対する毅然たる指導のための
  法令などでできることの断行と、通知などの見直し

(2)教育職員免許法の改正

(3)地方教育行政の組織、運営に関する法律の改正

(4)学校教育法の改正(学習指導要の改定、学校の責任体制の確立)


■「教育再生会議 第3次報告」 趣旨

(1)学力の向上に徹底的に取り組む
・理科教育強化へ小学校専科教員を増員
・小中高大の「6・3・3・4」制の弾力化
・小中一貫校の制度化を検討
・小学校から英語教育に取り組む

(2)徳育と体育で健全な子供を育てる
・徳育を新たな枠組みで教科化し、感動を与える多様な教科書を作る。
・点数での評価はせず、専門の免許も設けない
・運動・食育・生活習慣が一体となった体力向上をはかる

(3)大学・大学院の抜本的な改革
・高校での学力担保のため将来的な課題として
 高卒段階での学力テスト実施を検討
・学長のリーダーシップによる徹底したマネジメント改革の推進。
 学長選の廃止も検討

(4)学校の責任体制の確立
・校長の5年以上の同一校在職などでリーダーシップを発揮
・不適切な人事慣行、勤務形態を改め、
 組合との不正常な関係を正し人事の公正化を図る
・偏向した授業や行き過ぎた性教育など不正常な学校を教育委員会が是正

(5)現場の自主性を生かすシステムの構築
・国が学校の第三者評価ガイドラインを作成
・学校選択制と児童生徒数を勘案した予算配分による
 学校改善システムをモデル事業で実施
・社会人教員の大量採用で学校活性化。
 普通免許がない教員を採用者の2割以上に

(6)社会総がかりでの子供、若者、家庭への支援
・有害情報から守るため、子供使用の携帯電話にフィルタリング
 (サイトへの接続制限)を義務付ける法的規制導入

(7)教育再生の着実な実行
・教育再生会議の提言の実効性担保


■では、学校の授業にどのような影響があるのか

以上のような、教育再生会議の報告や、
06年末に成立した改正教育基本法などを受けて、
教育改革3法案(※)の審議が国会で進められていく。

※教育改革3法案、つまり
・学校教育法改正案
・教員免許法改正案
・地方教育行政法改正案

のうち、学校の授業に最も大きな影響を与えるのは、
「学校教育法改正案」

■「学校教育法改正案」で何がわかるのか?

これから学校教育で子どもたちに
どんな力を身に付けさせようとするのかを
探る手掛かりが示されている。

特に、学校教育の中身や今後の学習指導要領に
直接関係するのが、「教育の目標」の規定

新設された「義務教育の目標」(改正案21条)に新しく加わったもの
・「規範意識」
・「公共の精神」
・「生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度」
・「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度」

以上の目標となる項目を身に付ける際に、
・「自然体験」
・「読書」
・「運動」
・「観察及び実験」
など、具体的な体験を通して教えることを
強調している点が今回の改正案のポイント。

さらに、
「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、
基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、
これらを活用して課題を解決するために
必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、
主体的に学習に取り組む態度を養うことに、
特に意を用いなければならない」
(同30条2項)
という留意事項が新しく盛り込まれた。

■学校教育法改正案のポイントと課題

改正案は、
基礎知識などの重視を強調してはいるものの、
いわゆる詰め込み型の学習を打ち出しているわけではない。

逆に、
体験的な活動を通して、
知識をより高度な問題解決能力や表現力といったものに高めていくことを、
これからの学校教育の目標に据えていることがわかる。

すなわち改正案は、
反復学習などによって得られる「習得型学力」と、
問題解決能力などの「探究型学力」の統合を狙ったもの。

これを、
文部科学省は、「確かな学力」と名付けている。

ただし、実際には、
基礎・基本の知識をきちんと身に付けさせ、
それを体験活動などとおして探究型学力にまで高めていくのは、
そう簡単なことではない。

※従来の「ゆとり教育」でもそれを目指していたのに、
実際の学校現場が対応できなかったため学力低下が起きた、
という指摘もある。

習得型学力と探究型学力を如何に統合していくかが課題。

【参照】
ベネッセ教育情報サイト

■調べてみて
「習得型学習」に比べ、「探求型学習」の場の前提をひくには、
単に教えるだけではない、高度なレベルが教師に求められる。
生徒の主体的な「探求型学習」と、「放任」は全く異質のもの。
子どもたちの学力低下・無気力化等問題の表面化により、
それらが社会の共通認識までなった流れがよくわかった。


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