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2017年 04月 25日 (火)

仙台二華の「学校づくり」にせまる(5)



久力誠校長ロングインタビュー  (3/3ページ)

後は、中身の問題

 いずれにせよ、勝負はこれからです。どうしても結果を出していかなければなりません。

 併設型の中高一貫校のため、高校から入学する生徒もいます。中学校から入る生徒と、高校から入る生徒とのバランスを、考えなければいけません。中高どちらから入るのが得なのか、という形にならないように。

 そしてここからは特に、仙台二華独自の教育内容(SR・IS・TM)のカリキュラム開発が、鍵となってくるでしょう。

 仙台二華には、教科横断的・課題探究学習である「SR(Scientific Research)」・「IS(International Study)」・「TM(Thinking Method)」があります。地球環境をテーマに、SRとISを組み立てていますが、他のどこにもないものですから、必死で考えているところです。

 わたしは高校生物の教科書や資料集を執筆してきましたが(※5)、その開発を、校長であるわたしがやるわけにはいきません。現場の先生方が自分たちの目線で、子ども達をイメージしながらつくっていかなければ、実践ができないからです。これは教科書がある授業でも大切なことですが、ましてや教科書がない教科ですから、自分の中で伝えるものがなければ、駄目なのです。

※5 久力校長は、東京書籍の高校生物や資料集の著者を務めている。専門は、植物の生長生理(オーキシン・フォトクロム)。他にも公職として、日本生物教育学会理事・宮城支部長、日本生物教育会宮城支部長などがある。

 SRについては、教科の特色上、これまでも課題研究的なところはやってきたという経験があります。一方ISについては、これまであまり経験がない上に、これまで以上に活動範囲も広くなってきます。これらをしっかりとくみ上げていくのに、非常に四苦八苦しています。

 けれどもこの苦しみは、産みの苦しみです。夢や理想は頭の中にありますが、それを形にするには、多大な苦しみを味わっていかなければならないのです。けれどもその分、面白いですね。

 今年11月19日には、公開のカリキュラム開発型の授業研究会を開催します(※6)。今までのように国数英理社の授業をお見せして検討していく形ではなく、学校づくりにとって必要な授業とは何かを追求し、実践した授業としてお見せすることで考えています。小中学校の先生にも、ご批判やご意見を頂きながら、チャレンジしたいと思っています。

※6 同校は08年11月19日、「仙台二華」で導入する独自授業を試験的に実施し、教育関係者らに公開した。詳しくは、宮城の新聞「 「仙台二華」独自授業を試験的に実施 宮城二女高」をご覧下さい。

 仙台二華がはじまってからやるのではなく、はじまる前から授業研究会をやっていくのは、他とは違うだろうと想定しています。仙台二華になってからでは、遅いのです。宮城二女の段階でプランニングして実践する、ということを繰りかえてしていけば、机上の空論ではないものがつくれるのではないか、という仮説に基づいて行っています。

 そして仙台二華が実践するだけでなく、いろいろな学校が抱えている問題も実践しながら、まわりに発信していきます。「仙台二華が優秀な学校になりました」で終わるのではなく、部分的でも他の学校に使っていただけるような学校になろうと思います。

 発信を大切にしながら、東北大学(医学部・大学院教育学研究科)や宮城教育大学(教職大学院)と連携し、新しい学校づくりに取り組んでいます。授業研究や学校評価の研究者と連携し、しっかりとした目的・活動・評価がある形で、外に発信していきます。そうすることで、他の学校にも使って頂けるような素材を提供できるのではないかと考えます。

 仙台二華は、宮城二女高が生き残るための学校ではありません。これからの宮城県の教育のみならず、日本の教育をリードしていくという気概をもった学校です。失敗や苦しみもたくさんあるでしょうが、まわりの力をお借りしながら、開かれた学校づくりを目指します。

 7階建て新校舎の最上階にある300人収容のホールや二華会館は、地域に開放し、地域の様々な人たちに出入りして頂きます。子ども達は多様な大人を見ながら、切磋琢磨し、成長していく。そんな学校づくりを目指したいと考えています。今年の文化祭では、地元の商店街に出店して頂きましたが(※7)、これも小さな地域との連携ですね。

※7 同校は地域との連携を深めようと、地元の若林区連坊小路「むにゃむにゃ通り商店街商興会」を、文化祭の模擬店としてはじめて招いた。詳しくは、宮城の新聞「文化祭で地域との連携深める 宮城二女高」をご覧下さい。

 校長最後の年に、このような新しい学校づくりに携わることができ、幸運でした。学校のしくみそのものを変えていくような、いろんなところでチャレンジしていく学校をつくっていきたいですね。ここからが、面白いところでしょう。


これから日本の教育は、激動の時代を迎える

 学校はこれから変わりますね、間違いなく。5年、10年の中で、確実に。いつでも時代は変わっている・変わっている、と言われています。そう言われることに関して、わたしはあまりそうだと思ったことがないタイプの人間です。

 けれども今回に関しては、訳が違います。何と言っても、教育基本法が変わりました。国の法律が変わったということは、全国一律に変わるということです。地方の文化がどうというレベルではないところで、変わるのです。それは今までの歴史で、なかったことですから。

 戦後60年、はじめての変化である、というのは間違いないです。教育三法が改正され、教育職員免許法、給与体系、評価方法も変わっていきます。

 その変化をあまり感じないで、「別にクビになるわけじゃないから」と生きていく集団や、「これはまずい」と思って戦っていく集団や、それに巻き込まれないで生きていこうとする集団、いろいろとあるでしょう。

 変わろうとする時は、良いことばかりが起こるわけではありません。良いことも、悪いことも、同時に起こるものです。だからこそ、何を見て、何をポイントとして置いていくのかというところを、しっかりとやっていかねばなりません。丸ごとすべて成功するということは、世の中絶対に起こらないのです。

 悪いところは絶対に消せないものです。でも薄めたり、小さくしたりはできる。隠すのではなくってね。エネルギーがある時は、多くの場合、悪いところが見えてこないものです。

 これまでは、学校だというだけで、すべてが済んでいました。けれども学校が外から見えるようになって、自分たちがそれに耐えられるかどうかと突きつけられたとき、「じゃあ隠そう」という風になってしまうのではないでしょうか。

 だからこそ、走り続けることが一番なのではないかとわたしは思うのです。だからいつもまわりからは、「なぜいつも、新しいことばっかりやりたがるの」と言われてしまうのですがね。

 けれどもそれは決して、新しいことをやっているわけではないのです。どこかの誰かが、既にやっているものなのであって。結局僕ら、ものまねばっかりなんですよ。オリジナルですよと言うつもりもないですし。お借りしたものを使ってやっているのだから、またお返しするだけです。

 ただこれからはやはり、動いていかないと難しいよね。いずれにせよ、無批判に生きていくだけじゃ駄目な時代が完全に来たと、僕は思っています。

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