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2024年 11月 21日 (木)

仙台二華の「学校づくり」にせまる 取材・写真・文/大草芳江

2008年11月04日公開

 全国的に中高一貫教育を導入する公立学校が増える中、宮城県第二女子高等学校(仙台市太白区根岸、久力誠校長)は、2010年度から男女共学・併設型中高一貫校「仙台二華中学校・高等学校」として生まれ変わる。新しい「学校づくり」で何が変わり、何が変わらぬまま受け継がれていくのか。仙台二華中・高の「学校づくり」のプロセスから、宮城の教育の「これまで」と「これから」をさぐる。


「日本に冠たる超然とした進学校」への脱皮を図る宮城二女高

 仙台二華の母体となるのは、創立105年の歴史を誇る宮城二女高。仙台二華として生まれ変わる同校だが、その校風は宮城二女高の伝統を、多少なりとも踏まえたものになるのだろうか。

宮城県第二女子高等学校 校長
久力 誠(くりき まこと) さん

 宮城二女高の校風について久力誠校長は、「宮城二女高の精神的な土壌は、『真摯な学び』と『優しさの絆』。二女高生は特に、素直に真面目に一生懸命学び、深い思いやりをもって助け合う、本当にあたたかい集団だと感じています。その校風は、在校生だけでなく卒業生からも強く感じます」と話す。

※ 詳しくは、下記インタビューをご覧下さい。
久力誠校長インタビュー
OGに聞く 宮城二女高の伝統


 しかしながら久力校長は、「真摯な学び」と「優しさの絆」の重要性を踏まえた上で、「校風ではなく、カリキュラムの中に、豊かな能力を持つ人間を育てるシステムを組み込んでいくことを考えている」と話している。

 宮城県が企業誘致を強化する中、進出側の関心のひとつに、その地域の教育レベルがある。「宮城県が抱える問題と、宮城県が飛躍しようとしている新しい人材の流れに対して、どこの学校がどう応えていくのか。宮城県の学力は、全国的に見て後に引けない課題があることに変わりはありません。すると仙台二華のあり様は、自ずと見えてくるのでは」と久力校長は語る。

 また科学技術立国として経済発展を遂げる日本だが、持続可能な豊かさのためには、地球環境問題をはじめとする幾多の課題に正面から取り組まなければならない。「仙台二華は、深く学び、考え、発信することを通して、世界が叡智を結集して立ち向かっているあらゆる課題に自ら参画し、貢献しうる人材を輩出します」(久力校長)

 そこで全国を凌駕する高い偏差値はもちろんのこと、人間としての豊かさと品性、そして新しいものを創造するたくましさを備えた、世界の未来を切り開く人材を育成しようと、「日本に冠たる超然とした進学校」への脱皮を図る。「そのために、学校独自の授業を3つ、つくっています」(久力校長)。では次に、仙台二華の独自教育を詳しく見てみよう。


仙台二華の独自教育「SR」「IS」「TM」

 仙台二華では、理数教育を重視し世界規模の問題を科学の観点から扱う自然科学的課題探究学習「サイエンティフィックリサーチ(Scientific Research:SR)」、外国語教育を重視し国際的な内容を扱う社会科学的課題探究学習「インターナショナルスタディ(International Study:IS)」を独自教育の2本柱とする。

 「SR」・「IS」はいずれも「総合的な学習の時間」の内容となる。「SR」・「IS」の2領域で「地球環境」を中心研究テーマとして、教科横断的な探究的学習を進めるのが特徴だ。

 地球環境をテーマに掲げるものの、その解決策を調べることが学習の目的ではない。地球環境に迫ることで、視野を広げながら、問題を解決するための態度や知識、技能を身につけることを目指している。

 「国際理解や国際交流を進める上で、地球環境は世界共通語となります。そして地球環境を考えることは、自分の在り方・生き方を見つめることに直結するはず。すなわち地球環境は、未来を切り開いていく時に避けられない課題だと考えます」と久力校長は力強く語る。

 「SR」では、自然科学の考え方や手法で地球環境を探究することにより、科学的思考力や問題解決のための技能を身につける。大学との共同研究や、科学オリンピックにも挑戦する。「IS」では、地球環境を切り口に、人類の共存共栄について探究していく。外国人との会話やインターネットを活用した海外との交流を通し、異文化理解を深める。

 さらに、それらを支える言語力を養うため、中学校に学校設定教科「シンキングメソッド(Thinking Method:TM)」を設置。国際社会で求められる、自分の考えを理論的に組立て、効果的に伝える力を養う。「SR」や「IS」と連動して学習を進める。

 ここで鍵となるのが、カリキュラムの開発だ。机上の空論で終わらない、体系的かつ実施可能なカリキュラムを、如何に具現化していくのか。では最後に、仙台二華の今後を占う鍵となる、学校づくりのスタンスに迫ってみよう。

次へ 仙台二華の今後を占う鍵となる、学校づくりのスタンスとは?



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取材先: 仙台二華      (タグ: ,

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