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2017年 10月 22日 (日)

生まれ変わった聖ドミニコ学院の変わらぬ人間教育にせまる。
取材・写真・文/大草芳江

2008年10月1日公開

 聖ドミニコ学院小に在籍した24人中8人が、今年度仙台二高に入学した。つまり、ドミニコ小出身者の3人に1人が仙台二高生ということになる。カトリック系私立学校として知られ、来年度からは休校していた中学校の生徒募集を再開する同校。「カトリックの精神」が、教育に与える影響とは何なのか。その本質を探るべく、仙台市青葉区角五郎に位置する聖ドミニコ学院を訪ねた。


人間力を育成する「ベース」をつくる人間教育

聖ドミニコ学院中学校・高等学校
校長 佐野 督郎 さん

宮城県第二女子高等学校校長を定年退職後、02年4月聖ドミニコ学院高等学校の第8代校長に就任、現在に至る。

 「ドミニコの教育において、いわばカトリックの教えの中で、子どもたち自身が自己開発として、先人の偉業に触れているのではないでしょうか」と話すのは、同校の佐野督郎校長だ。

 聖ドミニコ学院の朝は、「全校読書」と「放送朝礼」から始まる。毎朝10分間、自分の好きな本を読むことができる「全校読書」の後、「放送朝礼」では、聖歌・お祈りに続いて、聖書の朗読と解説を行う。

 「聖書には、人間社会のあり方や、人の生き方が書いてあります。キリスト教徒の方は本校生のうち1%に満たないですが、キリスト教徒かどうかは関係なく、毎日毎日のことですから、少しずつ教えが降りてくる。人のためになるとはどういうことなのか。人の優しさとはどういうことなのか。それを生徒も先生方も、毎日少しずつ掘り下げているのではないでしょうか」

 長い歴史の中で研鑽され、多くの議論を経て確立されてきたカトリックの教え。それは民族や国家の枠を超え、2000年もの間、人々の心の拠り所とされてきた。

 一方、現代社会において、価値観は大きく揺れ動き、わたし達は何が正しいのかと判断に戸惑う中で生きている。本物の価値、永遠に変わらぬ価値とは何なのか。この大きな問いを、聖ドミニコ学院では常に、園児・児童・生徒へと問いかける。

 感受性豊かな時期に、人間のあるべき姿、社会のあるべき姿へ、日々立ち返る機会が与えられる教育的意義とは何か。

 「結局、内発する志のエネルギーが大きいのだと思います。偏差値そのものが悪いわけではないですが、偏差値は散文的な知力。感受性豊かな知力を養わなければ、真のリーダーにはなれません。心の痩せた知識人は、リーダーにならない方がよいのです」と佐野校長は熱く語る。

 聖ドミニコ学院中高の教育目標は「心を耕し 学力と 体力を植える」。日々聖書を探求し、カトリックならではの宗教行事を通じて、知らず知らずのうちに、心が柔らかく耕されていく。その柔らかな心、すなわち豊かな人間性があってこそ、はじめて知力と体力を植える新鮮な学びの日々があるのだと言う。

 「人から教えられたら、誰でもある一定レベルまでにはなれます。けれども、そこからもっと上に行くか・行かないかは、最終的には"自己開発力"。それは放任という意味では決してありません。基礎・基本を教える中で、如何に自己開発力を身につけさせるか。その"しかけ"を、教育のプロはやるべきなのです」と佐野校長は力強く語る。


27年ぶりの中学校再開

 高校、小学校、幼稚園を展開する同校は、来年4月、休校していた中学校の生徒募集を27年ぶりに再開する。女子30人を募集し、来年1月7日に入学試験を行う。

 中学校の復活は、これまでも系列の幼稚園や小学校の保護者から要望が寄せられていた。小学校高学年から中学校の時期は、人間としての自立の基礎が確認される時。カトリックの精神に基づく人間教育を行う同校は、この時期の精神的なバックボーンの必要性を考え、幼稚園から高校までの一貫性を検討してきた。

 同校は08年度から、高校に「特別進学コース」、「私大文理コース」、「幼児保育進学コース」、「キャリアデザインコース」の4コース制を導入。伝統的に「就職に強い」イメージが強かったが、大学進学指導にも力を入れ、08年度は、宮城教育大学や宮城大学など5名の国公立大への合格者も出している。

 また、同校には進学希望者の約5倍にあたる200名以上の指定校推薦枠が確保されている。カトリック系高校の特色として、上智大学や聖心女子大学、清泉女子大学などの指定校推薦枠もある。

 他にも、新制服の導入や中学生への積極的な広報活動などが奏功し、08年度の志願者は大幅な増加を果たした。これらの実績を受け、一定数の生徒を確保できると判断。中学校再開へ踏み切った。

 「ドミニコでは、中高一貫教育の中で、感受性の豊かな、内発する志を持つ若者をつくりたいと思っています。そのための"しかけ"は絶対必要なのです。学校や教育者は、それを常に考えていくべき。学校はそのために存在するのではないでしょうか」と力強く語る佐野校長。


 では具体的に、ドミニコの"しかけ"を見ていこう。

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