1月16日中学入試を追加実施:聖ドミニコ学院中高の魅力知って
2009年12月18日公開
聖ドミニコ学院中学校高等学校(仙台市青葉区)はこのほど、仙台二華中の合格発表日の翌日1月16日、小6女児を対象に、総合特別入学試験を追加実施すると発表した。仙台二華中と同様に「総合問題」を入試問題とし、成績上位者は奨学生として採用する。
入試問題は従来の算数・国語から、仙台二華中対策をした児童の要望に合わせ、総合問題とした。また従来は専願のみ奨学生受験が可能だったが、成績上位者は奨学生として採用することを決めた。
奨学生に採用された場合、入学金5万円、施設設備資金10万円が全額免除され、月額2万2千円の授業料が3年間免除される。
企画室室長の佐藤正久さんは、今回のねらいについて「仙台二華中への注目度を利用することで、本校の魅力を知ってもらうチャンスにしたい」としている。
聖ドミニコ学院中は、幼稚園・小学校と高校を併設した中高一貫女子校で、カトリック精神に基づく教育を行うミッションスクール。今年4月、休校していた中学校の生徒募集を27年ぶりに再開し、6人が入学した。
校長の佐野督郎さんは「中高一貫の余裕ある時間のなかで、人間的に幅の広いリーダーを育成する。将来何者かを目指す志を持った人にぜひ来てもらいたい」と話している。
出願期間は、1月8日~16日午前9時まで。説明会は、12月26日、28日、1月4日、5日、6日、12日、13日の計7回実施する。
問合先は、聖ドミニコ学院中学校高校。電話022(222)6337。 詳細はホームページを。
※「聖ドミニコ学院中学校高校」の詳細については、『宮城の新聞』関連記事も併せてご覧ください。
【特集】09年度聖ドミニコ学院中学校再開
「生まれ変わった聖ドミニコ学院の変わらぬ人間教育にせまる」
聖ドミニコ学院小に在籍した24人中8人が、08年度仙台二高に入学した。つまり、ドミニコ小出身者の3人に1人が仙台二高生ということになる。カトリック系私立学校として知られ、来年度からは休校していた中学校の生徒募集を再開する同校。「カトリックの精神」が、教育に与える影響とは何なのか。その本質を探るべく、仙台市青葉区角五郎に位置する聖ドミニコ学院を訪ねた。(2008年10月01日)
<目次>
(1)佐野督郎校長に聞く:カトリック精神の教育的意義とは?
(2)教育システム:「感受性豊かな、内発する志持つ」若者つくる"しかけ"とは?
(3)「建学の精神」にせまる:「誰かのようにではなく自分らしく生きる」
(4)教育現場レポート:「当たり前のことを当たり前に」姿勢貫く
インタビュー
将来何者かを目指す志ある人にぜひ来てほしい/校長の佐野督郎さん
校長の佐野督郎さん
―目指すところは
中高一貫校というと、必ずと言って良いほど「効率よく勉強して難関大学に入れます」と皆、宣伝をしています。もちろん本校も、いわば結果としては目指します。
しかしながら私は、そのプロセスにおいてカトリック精神、つまり幅広い隣人愛を心の中に培養した人にリーダーとなってもらいたいと考えています。それに見合う学力をつけることが私達の責務。その両方を、ひたすら教育したいという思いです。
―そもそも隣人愛とは
隣人愛とは、「他者とともに生きる 他者のために生きる」こと。リーダーに必要な資質です。自己実現のために、がりがりと勉強して大学に入ることが自分の務め、自分の人生と、青少年には思ってもらいたくないのです。
国が中高一貫教育を導入したねらいを「私立に負けないため」「私立の真似事」等々言う私立がありますが、本質は別にあると私は考えています。中高一貫の余裕ある時間のなかで、人間的に幅の広いリーダーを育成する。人間教育にこそ本質があると思うのです。
―そもそも人間教育とは
人間教育とは、心を養うことです。特に、人の為すことに感動する心を養いたいと考えています。人の行為に限らず、先人が残した名作に触れて感動する心もそうですね。
―あえて人とする理由は
歴史でも何でも結局は、すべて人なのです。市場経済主義の論理を優先させた結果、そこには人の営み、人が感動する心は介在しなくなりました。それが現代人を駄目にしたという反省が、私も含めてあるのではないでしょうか。
―最後に、メッセージを
将来何者かを目指す志のある人にぜひ来ていただきたいですね。当然、志を果たすための学力・知力・体力をつけますが、志そのものが人のためになります。そのような志であってほしいと願いますし、ドミニコではその志を養成します。
一人ひとりが主役/企画室室長の佐藤正久さん
企画室室長の佐藤正久さん
―企画室室長の佐藤正久さんに、総合特別入学試験追加実施のねらいを聞いた
◆小中規模、カトリック女子校ならではの指導
宮城県を中心とする東北地区はまだまだ公立志向が強く、私立への意識が低いのが現状です。ただ、首都圏から移住する人も増えてきましたので、中高一貫を推し進めても良い時期ではないかと考えています。
仙台二華中と仙台青陵中の入試が1月9日に行われ、15日に合格発表があります。中高一貫校である本校も良い教育をしている学校ですので、「受験をしてみてはいかがですか」と県内の皆さんにお伝えしたいということが、今回の最大の意図です。
ドミニコは少人数で指導するので、先生の目がよく行き届きます。親御さんからも「よく面倒を見てくれる」との声をいただいています。「大切にしっかりと育ててもらいたい」と願う親御さんに、うちの学校を気に入っていただけたようです。
他の中高一貫校では、「有名な難関国公大学に入れる」という説明が主で、生徒にどのような姿勢で接するか・どのような教育方針なのか、説明が少ない印象を受けた親御さんも多いと聞きます。
「有名な難関国公大学に入れる」だけではないものが、本校にはあるのではないか。小中規模ならでは、カトリック女子校ならではの指導ができるのではないか。それをもっと強気に出しても良いのではないか。そのようにして、今回の総合特別入試実施に至りました。
◆生徒一人ひとりのことを、職員室で会話しない日はない
昨年、入学した6人のうち2人の児童を私が面接しました。その2人が「新しい学校のパイオニアになりたい」と、輝く透き通った目で言ったのです。すごいな、と大変驚きました。
そして今、それが実現できているんですね。「一人ひとりが主役」とドミニコのパンフレットにもありますが、生徒一人ひとりが主役です。職員室でも、生徒一人ひとりのことを会話しない日はないんですよ。
こんなに一人ひとりをちゃんと考えて意識できる学校は、全国的にもないと思っています。先生が皆、生徒に寄り添っています。「私だってやれないわけではない。チャンスがあればやってみたい」という子にとって、おあつらえむきの学校だと思います。
優秀な子は、うちの学校はどんどん先に行ってもらいます。遅れてくる子も、ちゃんとひっぱりあげてくれます。大規模校では物理的に無理ですが、うちなら一人ひとりが主役になっているし、可能性が広がると思います。
「少人数で大丈夫だろうか」と心配する子もいるかもしれません。けれども実際に様子を見ていただくと、心配なく伸び伸びとやっていることがわかります。入試説明会に来ていただき、生き生きと学ぶパイオニア達の姿をぜひ見てもらいたいです。
子どもに寄り添った指導が大切/教頭の佐山厚さん
教頭の佐山厚さん
―思春期段階での成長に伴う心の揺れなどから生じる生活指導上の課題については、中学校と高校で先生の意識や指導に違いがあるため、中高一貫校の課題になると指摘されている。同校では元・仙台二中校長の佐山さんが、中学生指導のベテランとしてそのギャップを埋める調整役を果たしているという。
◆中学校3年間のギャップは非常に大きい
12歳から15歳までの3年間は、心と体が急激に成長する時期です。入学当初は小学生だけれども、卒業時は高校生。そのギャップは非常に大きいということを、私はいつも感じています。
身体的な変化は目に見えますが、心の成長は目に見えません。子どもの体が大きくなると、「わかるだろう」と大人は思い込む傾向があります。
けれども、中学生はまだ子どもなのです。中学生は大人扱いしてもらいたいけど、一方では日々の生活のなかで、不安を抱えています。それを解決する策は、なかなか見つけられないのが現実です。
◆子どもに安心感を与えることは、非常に大切なこと
単純ですが、子どもの傍にいてやることがスタートだと私は考えています。それをドミニコ中の担任の先生は、若いのにきちんと理解しています。担任の先生が時間を惜しまず教室にいるので、子どもは安心感があります。安心感を与えることは、非常に大切なことなのです。
ただし、いつまでも傍にいてやっていたら、子どもは自立できません。中3になるまでに、少しずつ自立をさせていくのです。けれども一人ひとり、その進み方は違いますね。ある子は早い時期に突き放し、ある子は時間をかけて見守ります。
その見極めは、言ってしまえば、子どもと接し、子どもが発する信号を大人がキャッチできるかどうかだと思います。それができる指導者や教員は、ドミニコ中にはいますね。うまくやっているのは先ほどから話題にしている担任の先生です。だからドミニコ中がうまくいっているのではないでしょうか。
私は、心配したことがあります。ある子が学校を理由も無く休んだのです。けれども今は、本当に見違えました。びっくりしましたね。いろいろなことがあるんです。単純ですが、傍にいて見守ってやることが、大事だと考えています。
◆子ども達の傍にいることで、見えてくるものがある
小学生には、大人が子どもに言葉で教えてあげる。中学生になると、言葉で教えることを少しずつ減らして、自立させていく。大人はそれを、我慢できるでしょうか。「だから駄目なんだ」と同じ注意をずっと与えても、子どもは反発するだけです。
子ども本人が話そうと話すまいと、本人が必要だと感じて、話しかけてくるまで待つことも大切なのです。ところが大人はつい「指導しよう」「答えを与えよう」としがちです。
不登校や登校拒否は、本人がよくわからない状態でなっていくケースがあります。大人は原因を追究しがちです。とかく、いじめにあって学校に行きづらくなるといったことが不登校の原因と考えられがちです。
実は、成長過程においてよく考えてみると、原因はよくわからないまま、不登校や登校拒否となることがあります。つまるところ、誰にも話ができなくなってしまうのでしょう。
子ども達の傍にいることで、見えてくるものがあります。よほどの課題がなければ、そうなのです。最初は反発があったとしても、理解できると私は信じています。先生がどこかで信じてやらないと、子どもは立ち直らないですよ。
◆子どもに寄り添った指導が、いつか必ず実を結ぶ
そのひとつの例として、ドミニコではないのですが、古川に千葉祐一先生という私の大先輩が住んでいます。部員10人足らずの男子バレー部の顧問をされていて、当時、体育館もない施設設備は貧弱なところの学校に先生が赴任して数年で、東北大会、全国大会へ出場させたのです。
いわゆるスパルタ的な指導は一切していません。まさに子どもに寄り添った指導をしていたのです。言葉で指導することはほとんどなく、子ども達に考えさせながら、少々アドバイスを与えながら、毎日継続する。それがいつか必ず実を結ぶということを千葉先生から教わりました。
30年以上昔の話ですが、今でも私のなかで、それが生きています。
◆心を耕し学力と体力を植える
子どもの体が大きくなると、「わかるだろう」と、大人は錯覚を起こします。しかしながら、わかるのは教えるからわかるのであって、一体誰がどこで教えるのか、ということなのです。
ただし一方的に教えるのでは、子どもが自分で考えられなくなります。子どもに考えさせながら教えていくというところに、「知・徳・体」のバランスが取れた教育という、教育の普遍的なものがあると思うのです。
ドミニコにも「心を耕し学力と体力を植える」という教育方針があります。ミッションスクールとして、公立学校にはないものもありますが、人を育てるところでは共通しているところがたくさんあるのです。
私は、子どもに寄り添っていくことが、教育の大事な要素のひとつだと思っています。ですから子ども達の空白の時間をなくすよう、学校に来てから帰るまで、担任は傍に極力いるという状態です。その中で子どもたちの変化をうまくとらえながらやるのです。
◆「子どもに寄り添う」形
中高一貫のカリキュラムは、先取りでどんどん進めていくと言うものの、実際は多くの中等教育学校で試みられているものです。それは当然、学習指導要領という指導の基準があるためです。
そこで、カリキュラムにしばられない時間として、朝と夕方の学習時間があります。これは、子ども達に寄り添うことの延長線上にある時間です。
この時間では、できない子からできる子まで、それぞれ解決できる課題を与えます。ひとつの例として数学では、中1から高1の課題を与えています。
できる子は高1の問題を解けるようになりました。ある子は中1の問題がどうしてもできない。その場合は、担任が補助してやります。全員を向上させてやりたいのです。
数学のほかに英語や国語でも実施することを、教科の先生と一緒に考えています。後々は理科や社会も、そのような状況に持っていきたいと考えています。
そのほか、学校独自科目「偉人伝専科」で校長先生が講話をしたり、社会の先生が「ツタンカーメン王の仮面について」と題した特別授業をしたりしています。
学習指導要領の枠にはありませんが、プラスαの部分でやってくれました。漢字が趣味の先生は「漢字の成り立ちについて」、今後授業をしてくれるそうです。
これらはひとつの例ですが、寄り添うということは、そのような形で良いのです。教え合いや雑談のなかで、探っていくものだと私は考えています。
コラボレーション
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