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2017年 08月 17日 (木)

全県一学区制導入に向け合同説明会を直接レポート

2008年07月29日公開

高等学校の特色や教育内容などを紹介する説明会の様子

 県内公立高校の全県一学区制導入を2年後に控え、県内の高等学校が一同に会する合同説明会が27日、仙台市体育館で開催された。中学生の主体的な進路選択を支援しようと、県教委や市教委などが県内5カ所で開催している。中学生や保護者などに高等学校の特色や教育内容などを紹介すると共に、個別相談も併せて実施、計78校が参加した。

計78校が参加した個別相談の会場

 全県一学区制導入により、中学生は自らの進路希望や興味・関心に応じて、より多くの公立高校から選んで受験できるようになると言われている。だがそもそも、各高校の特色はどのように違うものなのだろうか?各校の特色や、全県一学区制へ向けた取り組みについて、直接取材した。

【取材高校】
宮城県仙台向山高等学校
宮城県工業高等学校
仙台高等学校
仙台市立仙台青陵中等教育学校
宮城県泉松陵高等学校
宮城県利府高等学校
宮城県宮城第一高等学校(旧一女)
宮城県泉館山高等学校
宮城県泉高等学校
宮城県仙台第三高等学校
宮城県仙台二華中学校・高等学校
※宮城県仙台第一高等学校については、特集ページ をご覧下さい。
※宮城県仙台第二高等学校については、8月下旬に取材予定です。
※宮城県宮城野高等学校については、8月下旬に取材予定です。


■少人数を活かした丁寧な指導 【宮城県仙台向山高等学校】

宮城県仙台向山高等学校

 校訓は、「自律・和敬」。開校以来一貫して制服はない。男女共学校としては県で最も古い歴史を持つ理数科設置校。定員は200名(理数科1クラス・普通科4クラス)と小規模。少人数を活かした丁寧な指導が特徴。生徒はほぼ100%進学希望のため、希望進路達成を目指した指導を行う。面接も多い。

 空き教室を利用し、英語・数学・国語は、1クラスを2クラスに分けた少人数制の授業を展開。平日や長期休暇中の課外授業では、習熟度別コースを取り入れ、子供達の学力に合わせた指導を行う。

 国公立大学現役合格率は約40%と県内トップクラス。私立大含めた現役進学率は約75%。現役進学率100%を目指した指導を今後も行う。


■ものづくりのスペシャリストを目指す 【宮城県工業高等学校】

宮城県工業高等学校

 ものづくりを大切にし、技術者を育てる学校。資格取得に向けた指導が充実。生徒が在学中に取得した職業資格や各検定の等級を点数化し顕彰する「ジュニアマイスター顕彰制度」は、東北トップの実績。

 部活動では、バトミントン部がインターハイ出場、サッカー部が県大会優勝などの実績を誇る。

 一般的に工業高校と言うと、卒業後は就職のイメージが強いが、県工の進学率は40%。主な進学先として、東北学院大学(29名)、東北工業大学(23名)、電波高専編入(2名)、山形大学(2名)、宮城大学(1名)などがある。


■「自主自立」がモットー 自由で規律ある校風 【仙台高等学校】

仙台高等学校

 「自主自立」をモットーとした自由な校風。生徒の自主性に基づく自発的な行動を通して、自律した人間を育成する教育活動を展開。青葉区国見に位置し、校舎からは仙台市街地や太平洋を一望できる。

 卒業生の97%は進学。平成21年度入学生から普通科で進学重視型単位制を導入する。高校の科目選択は前年度夏に行うのが一般的だが、3年生の前期・後期で選択を変更できるため、3年生で進路先が変更した場合も対応可能。

 単位制導入のメリットに、教員数の増加。来年度から定員280名となり生徒数は1クラス分減るものの、教員数は単位制導入により増加。教員数が増えるメリットを活かした少人数制教育を展開。授業は35名程度を基本として実施。科目によっては、より少人数の場合や、教師二人で教える場合(T・T授業)もある。放課後や土曜日の課外授業が来年度はさらに充実。よりきめ細かい指導を実施する。

 「入学してからの伸びが大きい」のが自慢。昨年度卒業生の国公立大学合格者は21名(現役18+浪人3)。最も多いのは東北学院大学123名(現役113+浪人10)。主な私立大の進学先は東北学院大学や東北福祉大学等。単位制導入により、進路希望達成100%を目指す。「少人数制、課外授業、面談などで、きめ細やかに指導していきたい」と意気込む。

 部活動も盛ん。「文武両道」の伝統がある。剣道女子はインターハイ出場。バスケットボールは東北3位。軟式野球3位。吹奏楽は東北大会出場の常連。

 制服がない自由な校風。しかし自由な中にも規律がある。例えば、集会での集合は早い。挨拶が元気に飛び交う。「いろいろな高校をまわってきたが、一番けじめがしっかりしているのでは。生活にメリハリがあると感じている」と同校の渡邊教頭は話している。


■知性を高め、感性をはぐくみ、意志を鍛える 【仙台市立仙台青陵中等教育学校】

仙台市立仙台青陵中等教育学校

 平成21年度開校。中学校と高等学校の6年間をつないだ学校。政令指令都市としては初の「中等教育学校」。(※ いわゆる中高一貫校には、同一学校型(中等教育学校)、併設型(中学校・高校)、連携型(中学校・高校)の3種類があり、中等教育学校は1998年の学校教育法改正により、新たに定められた校種)

 1年生から3年生までを前期過程(中学校部分)、4年生から6年生までを後期過程(高等学校部分)と呼び、前期過程から後期課程に移る時は、高校入試がない。平成21年度から23年度までは、4年生(通常の高校1年生)を募集。4年生として入学する生徒は、一般の公立高等学校の学力検査を受けることになる。推薦入試も行う。

 「知性を高め、感性をはぐくみ、意志を鍛える」バランスの取れた教育が、大きな教育方針。1学年140名と小規模な学年編成(1学級35名編成)。きめ細やかな教育を展開できる。

 45分7コマ授業。国・数・英は、通常より約2割多い授業時間を確保するため、深く広く学べる。部活は、限られた時間内で効率的・効果的に達成感・充実感を得られることを目標に行う。「3つの祭」、「鍛えよう会」、「自分づくり教育の充実」、「習得・活用・探求タイム」など行事や体験学習を大切にする。

 「高い志を持ち、他と協調しながら、日本及び世界に貢献する人間、確かな知性と豊かな人間性を備え、自らの手で未来を拓く人間を育てたい」。


■多様校から進学校へ 【宮城県泉松陵高等学校】

宮城県泉松陵高等学校

 「多様校から進学校へ」というスローガンを掲げ平成15年度より学校改革が行われた。現在、進学率は約2倍に。「入ってから伸びる学校です」と話す。

 65分5時間授業を取り入れ、ゆとりある授業を展開。3年生の前期までに学ぶべきことは学び、3年生後期からは問題演習中心の授業となる。公立大学に対応したカリキュラム。2週間に一度は国・数・英の定着度テストを実施。毎週発行の学年通信に成績上位者が掲載される。総合学習では小論文を指導。課外授業も充実している。

 読書感想文全国コンクール・最優秀賞、全日本高校デザインイラスト展・内閣総理大臣賞、NHK杯全国高校放送コンテスト宮城大会・最優秀賞など、「学校生活は充実している」。

 課外授業や補習にも力を入れる。「泉松陵の勉強を乗り切れば、大学の勉強は苦ではないはず」と話している。


■スポーツ科学科と普通科 文武両道 【宮城県利府高等学校】

宮城県利府高等学校

 「スポーツ科学科」設置校、普通科もあり。8割以上は進学。進路先が多様なため、多様なニーズに応えようと単位制を導入。スポーツ科学科だけでなく普通科も「文武両道」。運動部・文化部ともに部活動が盛ん。インターンハイや全国大会に多数出場、様々な実績を残す。

 スポーツ科学科では、「体育理論」やスポーツドクター・大学講師による「スポーツ科学」など体育の専門科目を多く学ぶ。スポーツを科学的に分析する力を身につけ、個々の専攻実技の競技力向上に努め、全国を目指す。将来スポーツ指導者を目指す生徒も数多く学ぶ。体育系の野外活動、講習、実習など豊富なメニューが用意されている。

 スポーツ科学科の募集対象は全県区のため、全県一区制に向けた新たな取組みは特になし。「部活動も勉強も、一生懸命にやっていることを伝えたい」と話している。


■「欲張りな学校」、「欲張りな生徒」求める 【宮城県宮城第一高等学校(旧一女)】

宮城県宮城第一高等学校(旧一女)

 1897年創立の伝統校。2008年に共学化し、校名が「宮城県第一女子高等学校」から変更された。理数科(2クラス)が設置されており、2002年度から5年間はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校となっていた。

 約110年の伝統を踏まえた「欲張りな学校」、進路指導部の猪狩教諭は宮城一高をそう表現する。学校行事は盛沢山。特にユニークな行事が、7月「歌合戦」。歌・踊り・衣装・背景・小道具すべてを生徒自ら企画立案する。教師は審査員として参加するのみ。学校行事を通した生徒達の切磋琢磨を大切にしている。

 「自主自律」の精神を重んじる。「歌合戦」に代表されるように、学習・部活・行事において、主体的に考え行動することが重視される。昭和40年代に制服廃止。校則はほぼなし。卒業式では、ウェディングドレス姿も見られる。「マナーを守れば、ルールは緩くても良い。お互いを尊重しあうことを大切にしたい」と猪狩教諭は話している。

 今春から進学重視型単位制を導入。今春は共学化により、男子25名(普通科9名、理数科16名)が入学。男子は1クラスにまとまる。単位制と聞くと、定時制高校や大学のように「単位をとれば自由に帰宅してよい」イメージあるが、「クラスの中で、お互い切磋琢磨することが大切」と、学年制とクラス制は維持される。

 単位制導入のメリットは、少人数制授業に活かさせる。国語・数学・英語は、1クラス20名程度の授業で、きめ細かく指導。習熟度別授業、多様な選択科目が特徴的。1年生までは共通科目だが、2、3年生では選択科目が増えるため、進路希望に応じ、入試科目に対応できる。

 部活動は、運動部・文化部共に充実。部活を奨励。中には4つの部活に入る生徒も。弓道部や陸上部はインターハイや東北大会の常連。ユニークな部は、漫画研究部。

 進路状況については、ほぼ100%の生徒が4年生大学を志望。「生徒が望めばいくらでも指導する体制が整っている」

 理数科の進学先は、法学部や経済学部など、理系とは限らない。「理系だから・文系だから、と偏った勉強をさせるのではなく、必要な教養を身につけさせたい」

 「欲張って手を伸ばせば、どこまでも手は届く。伝統を活かし、これから宮城 一高をさらに盛り上げていきたい。あれもこれもやりたいという『欲張りな生 徒』に是非来て欲しい」

 9月6日(土)~7日(日)文化祭(秋桜祭)、10月25日(土)学校説明会が開催される。


■勉強だけでなく部活や行事も楽しく充実 【宮城県泉館山高等学校】

宮城県泉館山高等学校

 進学校だが、勉強だけでなく部活や行事にも力を入れる。「夢を実現するには、勉強だけではなく、トータルな人間力が必要」。生徒同士の連携が強く、雰囲気の良い中で勉強に励むことができる。

 平成15年度から平成17年度は県の「エクセレント・ハイ・スクール」の指定を受け、「大志21プラン」が制定された。指定が終了した現在もこの活動は学校独自で行われている。

 「大志21」プランは、夢を抱き、自分を磨き、確かな学力を高校3年間で身につけることをサポートするプログラム。具体的には、①幅広い教養と考え方を身につけてもらおうと、手づくりプリントによる朝読書を中心とした「朝の館山タイム」、②職業人講話、職場訪問、大学・学部研究、卒業論文制作などで進路意識を深化させる「総合的な学習の時間」、③自主学習を支援する場としての「土曜学習室」が三本柱。学校全体の活性化を目指す。

 部活動も盛ん。吹奏楽部は2年連続全国大会出場、テニス部は東北大会で優勝(団体、ダブルス)の実績を誇る。

 全県一学区制に向け、これまでの体制をさらに充実させる。授業を中心に学力をつけることを目指す。「勉強だけでない、楽しい学校へ」。ただし服装や生活にはけじめをつける。


■アクセス良好 英語科設置校 【宮城県泉高等学校】

宮城県泉高等学校

 泉中央駅からバス5分、歩いて20分の好立地。「アクセスが良いので、幅広い生徒に来てもらいたい」。生徒の約96%が進学を目指す。最近は国公立大学への進学も増加。学習面では、朝自習、国・数・英の週間課題が特徴的。部活は運動・文化部共に活発。弓道部が伝統的に強い。放送部は全国大会の常連。学校行事も生徒中心に盛り上がる。

 平成7年度から普通科に加えて「英語科」開設。1年生はイングリッシュキャンプを2泊3日で実施。2年生は希望者に海外研修あり。リスニングとスピーキングに力を入れている。

■進路希望達成を目指しガイダンス指導充実 【宮城県仙台第三高等学校】

宮城県仙台第三高等学校

 宮城県で初の「理数科」が設置された高校。来年度に共学化。

 大学進学希望者が多いため、進路希望達成を目指した指導。「単なる受験勉強ではなく、社会に出ても通用する基礎力や、学習の習慣づけを身につけさせる」。学習状況や進路を把握するガイダンス指導が充実。面接は年4回の二者面談に加え年1回の保護者面談(三者面談)と多い。

 学習に軸足を置きつつも、部活も伸ばす方針。テニスや陸上、放送部等は全国大会出場の実績。生徒も指導を受け入れながら、自由はつらつとしている。

 来春の共学化に向け、女子生徒受け入れのため、大講義室や学習室、多目的室などを配したゆったりとしたスペースの新校舎及び体育館を建設中(来年1月末完成予定)。また女子向けの部活動も検討中。制服はなく私服。

 男女共学化の魅力を高め、段階的に全県一学区制に向け今後PRする予定。具体的には、中学生向け学校説明会(7月、10月)の実施や、130校中学校訪問など。しかし進路や部活の実績を伸ばし内実を地道に充実させることが、生徒の満足度を上げ、結果的にPRにつながるとの考え。今後も地道な努力を重ねる予定。


■校是は「日本に冠たる超然とした進学校」 【宮城県仙台二華中学校・高等学校(仮称)】

宮城県仙台二華中学校・高等学校(仮称)

 平成22年4月開校予定の男女共学併設型中高一貫教育校。現在、新校舎を若林区連防に建設中。

 「豊かな心と高い知性をもち進取の気風と創造性にあふれ、社会のリーダーとしてわが国や世界の発展に貢献できる人間を育成する」のが教育方針。校訓は「進取創造・至誠貢献」。校是は「日本に冠たる超然とした進学校」。県内にとどまらず、全国有数の進学校を目指す。

 実現に向けた具体的なコンセプトは、
①男女共学と中高一貫教育による深まりのある学習、
②進学校としての伝統をベースに世界に通用する学力、
③環境教育を中核にすえた国際理解教育、
④探求学習やプレゼンテーションを通した自立した学習、
⑤大学との連携を軸に実践的教育研究の発信(東北大学や宮城教育大学との連携)、
⑥理数教育と外国語教育の強化による進路目標の実現(ユネスコと連携した交流を予定)、
⑦食育・スポーツ・芸術活動による健やかな心身の育成(仮称「ニ華弁当」導入)、
⑧真理を愛し他人の人格を尊重する品格のある生徒の育成。

 特に特徴的な取組みが、外国語教育を重視し国際的な内容を扱う社会科学的課題学習
「IS(インターナショナルスタディ)」や、理数教育を重視し世界規模の問題を科学の観点から扱う自然科学的課題学習「SR(サイエンティフィックリサーチ)」の二本柱の独自教育。

 具体的には、地球環境問題を中心テーマに、社会科学的視点と自然科学的視点の両面から探求的かつ実践的な学習に取り組む。また、「TM(シンキングメソッド)」という二華独自の学校設定教科で、あらゆる教科の基礎となる読み・書き・思考を育成。単なる受験勉強ではなく、深みのある学習を目指す。

 カリキュラムについては、授業時間は50分7コマ授業で週33時間の予定(一般的な中学校は週29時間が標準)。英語・数学・国語に関しては、一般的な中学校の1.5倍の学習時間を確保。数学・英語は、少人数指導と習熟度別指導。英語におけるALT(外国語指導助手)とのTT(ティーム・ティーチング)。外部進学生には平日や長期休業を中心に特別講習あり。高校2年生から難関大学向け特別講習(平日)あり。

【中学入試について】
 公立の併設型中学校においては、中等教育学校と同様、学力検査を行わないが、適性検査という形での選抜は行う。単なる知識理解だけを問う問題ではない。80名が選抜される。

【高校入試について】
 定員240名(6クラス)。併設型高等学校(後期過程)へは、内部進学生80名は入学者選抜を行わずに進学できる。外部進学生は学力検査により選抜される。高等学校の学級編成については、1年生時のみ、内部進学生と外部進学生は別クラスとなる。

 08年8月10日(日)13:30~15:00、仙台サンプラザホールにて学校説明会あり。詳細パンフレットの提供や、新しい制服の披露がある。

文責:大草芳江

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