人口減少社会の新しい都市づくり模索　仙台市総合計画審議会発足

2009年10月26日公開

　仙台市は２１日、都市づくりの基本指針となる新しい総合計画の策定に向け、「仙台市総合計画審議会」を発足させた。奥山恵美子市長は、審議会に基本構想と基本計画の策定を諮問、来年秋に答申を受け、議会に提案する。

　審議会の委員は３０人。奥山市長は、「ＮＰＯやネットワークの要として現場で活動している学識経験者や企業経営者を人選した」と説明。計画実施期間である１０年、２０年後に社会の中堅として活動する若い世代の代表として、はじめて２０代と３０代の委員も１人ずつ加えた。

　２１日は初会合が市役所で開かれ、奥山市長が各委員に委嘱状を交付。会長にはアーバンデザイナーの大村虔一さん、副会長には宮城大学教授の宮原育子さんが選ばれた。

　現行の「仙台市基本計画（仙台２１プラン）」は１９９８年の策定で、来年度に期限を迎える。今回の審議会では人口減少などの社会情勢の変化を見据え、市政運営の超長期的な目標と基本理念を指し示す「仙台市基本構想」の見直しも行う。

　奥山市長は「仙台の未来を市民こぞって考えていく重要な仕事。明日の仙台をつくりだす、仙台ならではの道筋を見つけていこう」と呼びかけた。

　また「仙台市として戦後初めての人口減少を見据えながらの計画」となることを強調し、「ＮＰＯ活動など現場で汗をかいている方の実感に根ざした意見や想いを反映させ、リアリティのある計画にしていきたい」と方針を語った。

　審議会は月１回のペースで全体会や専門部会などを重ね、来年１１月に新しい基本構想案と基本計画案を奥山市長に答申する予定。市は来年１２月の市議会に議案を提案し、２０１１年４月から新しい総合計画を実施する方針。

【総合計画とは？】
　総合計画は、地方自治法第２条第４項の規定に基づく総合的かつ計画的な行政の運営を図るための「基本構想」と、それを具現化するための長期計画である「基本計画」、および中期計画である「実施計画」の３つで構成される市政運営全般にわたる計画のこと。

※奥山恵美子仙台市長より仙台市総合計画審議会委員の委嘱を受け、『宮城の新聞』の大草芳江は２０代の委員として審議会に参加します。『宮城の新聞』では、仙台市総合計画の審議のプロセスを記事にまとめ、中高生の皆さんに伝えていきます。

－会長に選出されたアーバンデザイナーの大村虔一さんに意気込みを聞いた。

◆市民主体のまちづくりを／会長の大村虔一さん（アーバンデザイナー）

　西澤潤一前会長のもとで総合計画をつくったのは昨日のことのようだが、あれから１０年の月日が経った。前回の基本構想を見ると、今でも通用することがたくさん入っているが、これほどの人口減少は実感していなかった。１０年前からの変化だ。

　前回の基本構想にも「市民が主体となってまちをつくる」という基本理念はあったが、実践論が足りなかったと読んでつくづく感じた。新しい時代、変えていかなければならないことを見据えて、新しい総合計画をつくっていきたい。

　計画をつくるやり方には、審議会形式のほかにワークショップ形式もある。けれどもこの計画は話が広いので、市が知識を持っている人を集めて計画をつくり、その結果を市民に聞いて、まちをつくることが大切だ。

　市民の意見を聞く「パブリックコメント」があるが、市民からの意見がなかなか返ってこない現状がある。しかし仙台の将来のあり方について他人事と思わずに、市民からもニーズを言ってもらいたい。

　海外では、地元が抱える問題を子ども達にも考えてもらい、郷土に愛着を持たせる取り組みがある。まちに住んでいる市民の一人として、子ども達が発言できる場をつくることも、個人的には大切だと考えている。

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