「水産県」宮城の魅力知って 親子が地引き綱体験
2009年7月20日公開
19日、宮城県水産技術総合センター(石巻市)で開催された毎年恒例の「海の教室」のようす
宮城県は、漁業・養殖業生産量が北海道に次いで全国2位を誇る「水産県」である。海にすむ生物や宮城の水産業への理解と関心を深めてもらおうと、宮城県水産技術総合センター(石巻市)では、約10年前から親子対象に「海の教室」を毎年開催している。
◆地引き綱を体験
力いっぱいに網を引く参加者ら
センター向かいの袖ノ浜で19日、県内の小学5・6年生の親子約100人が地引き綱を体験した。
地引き綱は、中央部に取り付けられた筒状の「袋網(ふくろあみ)」と、その両端から八字形に張った「袖網(そであみ)」と「引き綱」からなる。この袋網を船で沖合に運び、浜から引き綱で左右の袖網を引き寄せながら、袋網に魚を取り込む。
地元の漁師らの協力のもと、合図と同時に、二手に分かれた親子らが力いっぱいに網をたぐり寄せた。網にかかったスズキやクロソイ、アイナメやホシガレイなど多種多様な「前浜物」に、親子らは歓声をあげた。
獲れた魚を集めた「タッチプール」で、魚に直接触れる参加者ら
獲れた魚はプールに集められ、親子らは生きた魚を直接手で触ったり、捕まえるなどして大はしゃぎ。魚の名前や生態などについて職員から説明を聞いた後、子どもたちはスケッチなどをして獲れた魚を観察した。
センター長の武田功さんは「水産物を大好きになってもらいたいと思い企画した。魚をいっぱい食べて、勉強して、頭が良くなって、日本の水産業をつくってもらいたい」と話していた。
袖網に絡まった魚をとるのに夢中になる参加者ら
多種多様な魚が獲れた。写真はウマヅラハギ
一番人気はトビウオか
昨年は一匹しか獲れなかったダツが今年は多く獲れた
サッパ(写真下)やシマアジ(写真上)、ウミタナゴなども獲れた
高級魚として知られるホシガレイも数匹獲れた
◆センター長・武田功さんの話
宮城県水産技術総合センター長の武田功さん
水産物を食べる量が、年々減っている。宮城で獲れた水産物を食べて「水産県」を盛り上げて頂くと、水産業も助かる。
魚が泳いでいるところから見て、これが切り身になるのかと思うのと、切り身になったところから見るのでは、違いがあるのでは。
私は実家が農家のため、はじめは宮城の水産業についてあまり知らず、一般的な魚しか口にしていなかった。しかし二番目の就任地である志津川で、タコやウニ、アワビなどの「前浜物」が好きになった。
やはり、カタクチイワシやアイナメ、カレイやヒラメ、カツオやサンマなどの「前浜物」を、皆の口に入るようなシステムにしなければいけないと感じている。
一番は、魚を好きになってもらいたい。魚には様々な栄養素があり、肉には無い存在価値がある。「水産県」でもある宮城の身近な価値に気づいてもらい、魚を食べて、健康になってもらいたい。
◆「水産県」宮城
宮城の沖合海域は、黒潮、親潮などの寒暖流が交錯し、多種多様な水産資源の生産性が特に高く、金華山・三陸沖漁場は「世界三大漁場」として知られている。
全国的にも名高い塩釜、石巻、気仙沼の3港は、いずれも国が重要港として指定する「特定第3種漁港」で、全国13漁港のうち県内に3カ所あるのは宮城のみ。
宮城県の漁業・養殖業の生産は約40万トンで、北海道に次いで全国2位を誇る。生産量の全国順位で全国1位ならびに2位の水産物は、平成19年宮城農林水産統計によると、カジキ類1位(全国比:22.5%)、サメ類1位(55.3%)、オキアミ類1位(49.1%)、サンマ1位(13.6%)、カツオ2位(12.6%)、アワビ類2位(12.9%)、ギンザケ1位(99.9%)、ホヤ類1位(81.5%)、カキ類(22.2%)、ワカメ類(28.4%)。
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