取材・写真・文/大草芳江
2013年8月24日公開
壱高祭(仙台一高)v.s.北陵祭(仙台二高)
宣伝合戦 2013
■仙台一高「壱高祭」実行委員会
・第56代壱高祭実行委員長 鶴田華子さん(3年生)
・宣伝広報部・部長 門間奏士くん(2年生)
・宣伝広報部・副部長 阿部莞太郎くん(2年生)
■仙台二高「北陵祭」実行委員会
・第65代北陵祭実行委員長 野川麗くん(3年生)
・企画局長 五十嵐祐樹くん(3年生)
・副委員長 葛西真澄さん(2年生)
・副委員長 武田明佳くん(2年生)
~「教育って、そもそもなんだろう?」を探るべく、【教育】に関する様々な人々をインタビュー~
仙台二高・仙台一高の文化祭実行委員会から、
「宮城の新聞」への取材依頼が今年も舞い込んだ。
今年も、各校で開催する文化祭の宣伝合戦をしたいのだと言う。
文化祭は、生徒達が日頃の学習成果を総合的に生かす場であり、
校風を肌身で感じたり、今後の方向性を垣間見ることができる好機である。
古くより良きライバルとして切磋琢磨してきた両校。
そもそも高校生の彼らは一体何にリアリティを感じて活動しているのだろうか。
彼らの原動力やスタンスなどのインタビュー取材を通じて、
文化祭の舞台裏から見える、仙台一高生・仙台二高生の「今」を探った。
【リンク】
仙台一高「壱高祭」(8月31日~9月2日)
仙台二高「北陵祭」(8月30日~9月1日)
【関連記事】
・文化祭の舞台裏から見える一高生・二高生の「今」/実行委員会・座談会(2012年)
・文化祭の「裏」から見る高校生の今:仙台二高「北陵祭」実行委員会に聞く(2009年)
・文化祭から見える高校の「今」(2008年)
≫文化祭から見える高校の「今」(1/4)~宮城二女「二女高祭」編~
≫文化祭から見える高校の「今」(2/4)~仙台一高「壱高祭」編~
≫文化祭から見える高校の「今」(3/4)~仙台二高「北陵祭」編~
≫文化祭から見える高校の「今」(4/4)~宮城一高「秋桜祭」編~
・特集:仙台一高「らしさ」にせまる(2008年)
仙台一高「壱高祭」・仙台二高「北陵祭」実行委員会の皆さんに聞く
―今年も「宮城の新聞」に取材をご依頼いただき、ありがとうございます。
今年は、皆さんから「こんな質問をして欲しい」と提案もいただきました。
せっかくですから、今年の「仙台一高v.s.仙台二高 文化祭・宣伝合戦」は、
皆さんからのリクエストにお応えしながら、進めたいと思います。
それでは、皆さん、準備はよろしいですか?
■仙台二高
野川くん(実行委員長) 表立ってはいないですが、
これもプチ定期戦ですね。
今の意識としては、そんな感じです。
■仙台一高
鶴田さん(実行委員長) 少しだけ、待ってもらえますか?
(ヒソヒソ声で作戦をたてる、壱高祭実行委員の皆さん)
・・・はい、大丈夫です。
―では委員長、先攻と後攻は、どうやって決めますか?
■仙台二高
野川くん(実行委員長) では、じゃんけんで。
どっちが先にする?勝った方?負けた方?
■仙台一高
鶴田さん(実行委員長) そりゃ、勝った方が、仕事をとるでしょう。
(じゃんけんの結果、仙台一高が勝利する)
―では、一高さんの攻撃から、参りましょう。
テーマは「壱高 is 夢」「二高定理」/両校とも「学校らしさ」全面に
―それでは、まず仙台一高さんからのリクエストにお応えして、
今年の文化祭のテーマについて、お伺いしたいと思います。
テーマには、皆さんの思いが込められていると思いますが、
今年のテーマや、その意図等について、教えてください。
■仙台一高
鶴田さん(実行委員長) 今年の壱高祭テーマは、「壱高 is 夢」です。
そこに、二つの解釈の仕方があると、わたしたちは考えています。
一つは、「~イズム(ism:主義)」をもじって、壱高主義。
やっぱり一高生は、一人ひとり明確な考えを持っている人が多いです。
来場者の方に対しては、自分にぴったり合う、
一高に対する思いを見つけて欲しい、という思い。
一方、一高生には、自分の一高に対する考え方を、
「壱高主義」として、改めて見つけて欲しいですね。
もう一つは、「一高は夢」と書きますが、
文化祭は、日常ではなく夢のような日です。
来場者や、出店する一高生に、
夢の中に入ったような気持ちになってもらいたい。
抽象的ですが、一人ひとりの考えにぴったりなように、
解釈いただければと思います。
―それに対して、仙台二高さんは?
■仙台二高
野川くん(実行委員長) 今年の北陵祭のテーマは、
「二高定理~真夏の課外授業~」です。
「二高定理」とは、
二高にしかないもの、二高らしさのこと。
二高らしさは、二高生にしかわからないし、
それを伝えることができるのも、二高生だけです。
それを、北陵祭に来てくれる人たちに伝えたい、
そんな思いが込められています。
話はずれますが、僕達、ナンバースクール6校(※)で、
毎年、文化祭の合同ビラ配りをしています。
※仙台一高、仙台二高、仙台三高、宮城一高、仙台二華、仙台三桜
去年、二高のビラを配ったところ、
「なんだ、二高か」と相手にしてもらえず、
すごく悔しい思いをしました。
やっぱり、二高は進学校で、「勉強しかできない」
イメージが染みついています。
でも二高生も、皆を楽しませようと、文化祭に対して
本気でやっていることを全面に押し出すことで、
「二高は勉強だけ」のイメージを払拭したいのです。
上からという気持ちはないですが、課外授業なんで、
二高らしさを授業する、と言うか、
二高らしさを証明する、そんな感じです。
仙台一高「自発能動」/自由と責任、行動であらわす
―今年のテーマは「壱高 is 夢」「二高定理」ということで、
両校とも、「学校らしさ」を中軸におく点が共通ですね。
その「らしさ」は文化祭の至る所にあらわれていると思いますが、
特に、文化祭のどんなところに体現されていると考えていますか?
■仙台一高
阿部くん(宣伝広報部・副部長) 壱高祭には、
一般部活による出店やステージ発表、
夜祭のコント等いろいろありますが、
一日中、全てを通して、「一高らしさ」が
あらわれていると思います。
門間くん(宣伝広報部・部長) 基本、生徒が全部やり、
先生たちが手伝う様子は、あまり見られません。
生徒たちが生き生きしていて、相手を楽しませよう、
という気持ちが、にじみ出ている人が多いです。
そんな考え方が、実行委員だけでなく、一般生徒にあります。
阿部くん(宣伝広報部・副部長) 一高の標語は「自発能動」。
字の通り、自ら考えて能動的に動く、という意味です。
その標語を一高らしさと捉えると、やっぱり、
お客さんを自ら楽しませようという意志があらわれている、
と思います。
鶴田さん(実行委員長) ちょっと補足してもいいですか。
一人ひとり、お客さんを楽しませようと考える気持ちは、
一つの目的ではありますが、そこに至るまでの手段が、
一高の校風である「自由さ」が、すごく出ていると思います。
長年続く伝統企画もあれば、毎年やり方を変える新企画もあり。
それを実現するために、生徒も実行委員も、努力しています。
ここで言う「自由さ」とは、
「やりたいからやる」という単純なものではありません。
私たちに求められている「自由」とは、努力あっての自由。
自由に対して努力する気持ちがあることは、忘れないで欲しいです。
阿部くん(宣伝広報部・副部長) 皆、責任感を持って、
「自由」を体現していると言うか、行動で表しているんですよ。
自分たちの中で、お客さんを楽しませよう、という意志をもって、
自分たちが店を出す責任をもつ。それに基づいた自由なんです。
いろいろ自分たちで店や接客の仕方を考えられる、という自由も、
すべて、そういう「責任」に基づいた自由なんです。
ですから、自由気ままとは、また別の形です。
「自由」の解釈の仕方は、一高の中でも色々分かれますが、
文化祭においては、そういう「責任」というものが、
ものすごく大きなものであるのかな、と考えています。
鶴田さん(実行委員長) 具体例を出せば、
去年まで綿飴を出していた団体が、
「今年は金魚すくいをやりたい」「パンを売りたい」
と言い始める例が、時々あります。
でも、食品を出すには検便が必要ですし、
金魚すくいをやるには、生体を扱うわけじゃないですか。
パンを売るには、クリームはダメとか、いろいろ規制があって。
そういうのもすべて、先生たちが関わらないからこそ、
自分たちで考えなければいけない。
実行委員会と何回も協議を重ねることもあります。
それが、「自由」と「責任」の関係の具体例です。
仙台二高「文武一道」/苦しみの中に見出す「楽しさ」とは
■仙台二高
五十嵐くん(企画局長) 一高さんから標語の話があがったので、
こちらも標語の話からさせていただきたいと思います。
二高の標語は、「文武一道」。人によって解釈は変わりますが、
部活動も勉強も一つの道だよ、という捉え方が一般的です。
僕の中では、勉強を極めても、部活動を極めても、
行き着く先は結局、一つのところ、と解釈しています。
それは、今の二高の生活にもあらわれています。
二高生は、正直、忙しいです。
部活も忙しいし、勉強もすごくしないといけない。
でも、その中でも、楽しさを見出せる。
一高さんが「自由」を象徴するように、
二高の象徴は、忙しさの中に楽しさを見出すところにある。
そう僕は考えているのです。
そんな中で、今年の企画なんですが、
「劇二高」という新企画を講堂で行います。
一つの劇を、複数の団体が演じるものです。
見どころは、ストーリーも演出もすべて、
二高生・完全オリジナル。
もちろん、携わっているのも、すべて二高生です。
まさに、この企画は、今年のテーマで伝えたかった、
二高らしさ、二高生の本気を、
苦しい中でも楽しさを見出していく、その楽しさを、
存分に押し出した企画です。
「楽しさ」と言っても、二高生、勉強しているだけあって、
知的なギャグが多いですね。
そういうところが、ストーリーにあらわれている企画です。
野川くん(実行委員長) 二高らしさもあらわれているし、
楽しませようという思いは、一高さんと一緒。
本気でやっています。
全力で、生徒たちの手でやることが大事です。
五十嵐くん(企画局長) やっている生徒たちからすれば、
お客さんを楽しませようという気持ちも大切ですが、
自分たちが楽しみ、満足いくものをつくっていこう、
という高いモチベーションもありますね。
夏休み前から入念に打合せを重ねていますし、
リハーサルも、かなり何度も行なっています。
「劇二高」、今年の一押しの企画です。
―両校とも標語にあらわれる「らしさ」をそれぞれどのように捉えて、
それが文化祭にどう体現されているか、認識をお話いただきました。
両校のスタンスが違う点も、大変興味深いですね。
共通点は女装?/「ミス二高」「ミスコン~男の娘よ!集え!」
―次は、仙台二高さんからの質問リクエストに行きましょう。
聞いたところによりますと、今年は、壱高祭と北陵祭とで、
似ているようで、実は違う、そんな企画があるそうですね?
■仙台二高
五十嵐くん(企画局長) 二高には、伝統企画「ミス二高」があります。
一高さんの企画「男の娘」とは、共通点もあり、違った点もあり。
野川くん(実行委員長) それ、俺らが紹介してよかったの?
五十嵐くん(企画局長) 名前くらいは、いいでしょう(笑)
それで、ミス二高なんですけど、
団体ごとに女装して、ダンスを踊る企画です。
そこにネタを盛り込んだり、派手な演出があったり。
女の子らしさより、盛り上がり重視の企画です。
この企画は、毎年やっている伝統企画の中で、
一番人気を誇っており、かなりお勧めです。
出場する団体さんも、かなり気合が入っています。
6月中旬のテストが終わった後から下準備に入り、
北陵祭にむけて、入念な練習を重ねていくんです。
大体3つの観点から評価します。毎年異なりますが、
去年は、女の子らしさ、演出、盛り上がり、の3点。
毎年先生をお呼びして、点数をつけてもらい、
その合計点を競います。
■仙台一高
門間くん(宣伝広報部・部長) 先ほど、紹介いただいた通り、
壱高祭では今年、「ミスコン~男の娘よ、集え!」があります。
昼のメインイベント「ステージ企画」の一つです。
ステージ企画では、他にも、一日中、
バンド演奏や応援団の型披露などが行われます。
二高さんの「ミス二高」は長く続く伝統企画と思いますが、
一高の場合、今年の新しい企画です。
一高生は、普通の行事で結構、
女装する人が多いんですけど。
この企画も、どれだけ高いクオリティの女装ができるか、
という、割りと、本気の女装と言いますか(笑)
それが、二高さんと比べて、違うところかな、と。
メイクも自分たちでやるんですが、
出演者がメイクさんを探します。
どれだけ可愛い「男の娘」になれるかを競う企画です。
阿部くん(宣伝広報部・副部長) 女装と言うと、ネタ性が強いですが、
そこで敢えて、ガチで女子になろうとします。
女性になった自分のアピールは、自由に決められます。
例えば、ダンスをしたり、歌ったり。
それで、よりクオリティの高い「男の娘」に対し、
一高生によって順位がつけられ、表彰されます。
あと、「ステージ企画」について、補足説明させてください。
壱高祭には、例年、「新企画枠」があります。
これは現2年生が、1年生の時の文化祭が終わった段階で、
「来年はこういう企画をやってみよう」と考えるものです。
自分たちで壱高祭をつくること、お客さんを楽しませることを、
1年生のうちからどんどん染み付かせ、そこからどんどん考えて、
2年生になった時、一高らしさあふれる文化祭をつくるためです。
それで今年は、ステージ企画として、「男の娘」をやるんです。
新企画は、ステージ企画だけでなく、いろいろなところで考えます。
鶴田さん(実行委員長) 3年生は、これまでの2年間の経験を踏まえて、
アドバイスをする役割で、実際は2年生が壱高祭の主導権を握っています。
イベント対決/「前夜祭」v.s「夜祭」、「猛者二高」v.s.「ミスター壱高」
―では、今度は「他とは違う、うちの学校ならでは」の企画を教えてください。
これは「宣伝合戦」ですから、どんどん攻めていただいて、構いません。
■仙台一高
:新企画「ダンス甲子園」
阿部くん(宣伝広報部・副部長) 先ほども挙げた
「ステージ企画」の新企画枠として、
今年は、「ダンス甲子園」があります。
応募者がダンスをステージ上で披露して、
それを、一高生が順位付けします。
続けて、何か言った方がいいかな?
■仙台二高
:「前夜祭にもぜひ来て!」
五十嵐くん(企画局長) じゃあ、いいかな?
別の話になりますが、北陵祭は3日間開催なんです。
初日は、「前夜祭」のみ。
講堂だけを開放し、お客さんが自由に出入りできます。
その前夜祭のギター部ライブについて、説明します。
前夜祭では、毎年7組のギター部バンドさんが出演します。
機材も発注し、今年はポスターもつくり、力を入れています。
というのも、お恥ずかしい話ですが、毎年、
前夜祭はなかなか人が集まらないのが悩みでして。
「北陵祭は2~3日目がメインで、前夜祭は前座扱い」
というイメージを払拭すべく、今年は前夜祭に力を入れ、
「本当は前夜祭も楽しいんだよ」とアピールしています。
二高のギター部は、成績を残すなど、頑張っています。
前夜祭ライブには、主にギター部3年生が出演しますが、
彼らも、前夜祭が終われば引退。最後の締め括りなので、
気合を入れています。
ライブ以外にも、バンドとバンドの間の準備時間に、
抽選会やお笑い等、新企画をプチ盛り込んでいきまして、
より前夜祭を楽しめるものにできるよう、考えています。
今年は前夜祭にぜひ来ていただきたいということで、
飲み物も自由に・・・無限に、ではないですが(笑)、
一人一杯配布しています。ぜひ来てもらいたいですね。
■仙台一高
:一高生のユーモア発揮される「夜祭」
門間くん(宣伝広報部・部長) 今年の壱高祭は、
8月31~9月2日の3日間開催になります。
二高さんは前夜祭があるみたいですが、壱高祭には、ありません。
でも、1日目と2日目に「夜祭(やさい)」というものがあります。
野川くん(仙台二高・北陵祭実行委員長) それって、
女子が入れないやつ?
門間くん(宣伝広報部・部長) いや、誰でも入れます。
壱高祭って、ほとんど、誰でも入れるので。
それで、1日目の夜祭は、「初夜祭」というのですが、
一高生のエンターテイメント性が、すごく発揮されます。
校内に募集すると、「我こそは」という人が出てきて、
コント等を披露したりし、お客さんを楽しませます。
「初夜祭」には、「ミスター壱高」という企画があります。
おもしろい一高生の中でも、最高におもしろい一高生を決めよう、
一高生の中の一高生を決めよう、というものです。
ミスター壱高では、即興で出場者がコントを披露し、競い合います。
来てもらえるとわかりますが、一高生のユーモアが感じられます。
一般の人たちも入って、体育館もいっぱいで、皆で盛り上がります。
次々と、いろいろな一高生たちが出てくるので、飽きません。
鶴田さん(実行委員長) 結構、先生方にも笑っていただいてます。(笑)
阿部くん(宣伝広報部・副部長)
「ミスター壱高」の前には、「M-壱」があります。
「M-壱」は、前々から準備された漫才を披露するもので、
クオリティもすごく高いです。
ですから、初夜祭では、お客さんに、
たくさん笑っていただけるかなと思います。
2日目の「中夜祭」は、またちょっと違った視点で・・・
「中夜祭」のテーマは、「フェロモン全開」ってことで。
どういうことかと言えば、ま、そういうことです(笑)
初夜祭とは違った視点から、また壱高らしさがあらわれます。
門間くん(宣伝広報部・部長) 二高さんのようにバンド演奏とかは、
夜祭ではやらないですが、二日間でそれぞれ違った笑いあり(笑)。
どちらも魅力的です。
鶴田さん(実行委員長) 初夜祭と中夜祭、どちらも誰でも入れます。
ニーズに合わせて、どうぞ(笑)
■仙台二高
:二高生の中の二高生を決める『猛者二高』
五十嵐くん(企画局長)
一高さんは、一高生の笑いを主軸にした企画のようですが、
うちで笑いの方は、先ほど紹介した「劇二高」になります。
劇二高の笑いや緻密性が、二高らしさをアピールするところなら、
ミス二高は、盛り上がり。
そして、これから紹介する「猛者二高」は、
仙台二高の真の猛者を決めよう、という伝統企画です。
参加を希望した二高生の中から、一番の団体を決めます。
言うなれば、二高の中での「強さ」を競う企画ですね。
二高の中での「強さ」とは、ただの強さではなく、
知力も体力もセンスも兼ね備えた、万能さです。
具体的には、全3ラウンドのステージがあるのですが、
各ステージで、知力・体力・センスを競い合います。
第一ラウンドでは、知力を試すクイズ。
早押し問題もあれば、なぞなぞや、ひっかけ問題もあります。
第2ラウンドは、「恋愛メール」。
スクリーンに、異性からのメール画面が写り、
「こんなメールが来たんですけど」という内容です。
毎年恒例ですが、年によってシチュエーションは、様々。
うまく好意を相手に伝えながら返信する、という企画です。
二高生のなかなかお目にかかることができない下心?(笑)、
と言うか、いかに口説くか、が見られる企画です。
ファイナルラウンドは、スポーツチャンバラで、体力を競います。
頭上に紙風船を載せ、それを柔らかい剣で叩き、先に潰したほうが勝ち。
スポーツチャンバラは、今年はじめてのガチ企画です。
準備を入念にしているので、うまくいくことを願っています。
従来は、各クラスから必ず一組出してもらう募集形態でしたが、
今年は「真の猛者を募るには、真の志願者を」と、募集枠を取り払い、
「3人1組をつくって応募してくれ」と募集しました。
すると今年は、例年の24組を上回り、
28組84人の猛者が挑戦することになりました。
野川くん(実行委員長) やっぱり、質も違うよね。
無理やり出されているのではなくて、
やりたいからやっているので、盛り上がりも違います。
五十嵐くん(企画局長) 二高生のプライドを賭けた、
普段は見えないところが見える企画です。
所々にインタビューも入れて、もちろん笑いもあり。
2日目と3日目に分かれて行います。2日目で第1ラウンド、
3日目に、第2ラウンドとファイナルラウンドがあります。
ちなみに、ミス二高も、二日間に分かれて行われています。
前半の組が2日目、後半の組が3日目に出ます。
一般出店対決/パイ投げや応援団、スタンプラリーや福引も
■仙台二高
:スタンプラリー全クリアで、オリジナル缶バッチ贈呈
五十嵐くん(企画局長) ただ、実行委員主催の講堂企画に
来てもらいたい気持ちは強いですが、
北陵祭を本当に楽しんでもらうには、
生徒が軸となり動いている出店で、
生徒の活躍ぶりをぜひ見てもらたいですね。
そこで去年に引き続き、今年もスタンプラリーを行なっています。
北陵祭の見どころを3箇所ピックアップし、ハンコを設置します。
パンフレットの裏表紙にスタンプラリーのページがついているので、
それを見ながらスタンプを押していく企画です。
今年はより参加者を増やそうと、スタンプを全部集めると、
参加賞として、二高オリジナルデザインの缶バッチを、
特別記念品としてプレゼントします。
あまり北陵祭を知らない方にも、よく知っている方にも
よりわかりやすく、より楽しんでもらえるよう、実施しています。
小さい子でも楽しんでもらえるよう、難しいものではないですし、
文化祭を楽しめることにつながるので、ぜひやってもらいたいです。
―記念品贈呈も、予算獲得などでご苦労があったのでは?
五十嵐くん(仙台二高・北陵祭企画局長)
毎年、総務部(生徒会)と、もめますね・・・(笑)
■仙台一高
:文化祭の予算の約半分は、自分たちでとってきた広告費
鶴田さん(実行委員長) 壱高祭は、生徒会から降りる予算だけでは、
毎年、予算が足りないんですよ。
そこで、彼ら宣伝広報部の精鋭たちが、広告を取りに行きます。
壱高祭の予算の約半分は、自分たちでとってきた広告費です。
阿部くん(宣伝広報部・副部長) 広告取りは、ほぼ1年生の仕事です。
入ってきたばかりの1年生に、自ら電話をかけてもらい、
具体的には、「広告をお願いしたいんですけど」から始まって、
会社や病院に行き、契約を済ませ、戻ってくる形です。
そういうのって、中学校の頃は、なかなか経験できないことだし、
これから大人になるのに必要な能力、社会性が身につくと思います。
ちょっと内面の話ですが、そういうところでも文化祭実行委員は、
やりがいもあるし、やっていて楽しいかな、という感じですね。
■仙台一高
:もぐらたたきやパイ投げ等、約40の出店。福引も。
阿部くん(宣伝広報部・副部長) さて、話は変わりますが、
壱高祭でも一般展示があります。
今年は、約40団体くらいが、お店を出しています。
夜祭やステージ企画も、もちろん人気ですが、
一般の部活が出している出店も人気です。
例えば、もぐらたたきがあったり。
― 一高生が、もぐらになってくれるんですか?
阿部くん(宣伝広報部・副部長) そうですね。
あとは、パイ投げがあったり。
― 一高生が的になってくれるんですか?
阿部くん(宣伝広報部・副部長) そうですね。
鶴田さん(実行委員長) パイ投げやもぐらたたきも、
普段やっていることの延長上にあることが多いのですよ。
野川くん(仙台二高・北陵祭実行委員長)
体育とか?「先生来たぞ!」とか?
鶴田さん(実行委員長) いいえ(笑)、
シンプルに料理だけをする団体もありますが、
例えば、もぐらたたきは、剣道部がやっているんです。
パイ投げは、野球部がやっているんですよ。
門間くん(宣伝広報部・部長) 部員たちは、
投げる方じゃなくて、受ける方をやってくれるんです。
鶴田さん(実行委員長) 人が大好きだと思うんです(笑)
あと、映像を作る団体も結構ありまして、
ドラマ仕立ての作品を上映し、DVDにして販売する団体もあります。
それぞれ工夫が見られるのが、壱高祭のおもしろさだと思います。
阿部くん(宣伝広報部・副部長) あと、まだ暑いので、
カフェやアイスを売っていたり、
文化部は、合唱をしたり、化学部とかが実験を披露したり。
あと、福引もやっています。
一般展示で、50円お買い上げ毎にシール一枚。
シール10枚で、空引なしの福引ができます。
商品もいろいろな種類があって、ポケットティッシュや缶バッチ、
一高の校章入りステッカー。消しゴムは毎年デザインが違います。
デザインはグッズ販売のとは異なる、福引限定のデザインです。
一番よい賞品は、すべての詰め合わせです。
■仙台一高
:人気の水泳部シンクロは・・・
鶴田さん(実行委員長) やっぱり、壱高祭と言えば、
「水泳部のシンクロ」という方も、多いと思います。
毎年、人気投票すると、上位に入る人気ぶりです。
しかし今年は残念ながら、壱高祭当日に水泳部は大会があり、
当日講演ができないため、夏休み中にやることになりました。
(水泳部主催、8月20日(火)10:30~@仙台一高)。
すごい楽しみにされていた方も、とても多いと思います。
でも、いつも水泳部しか見てこられない方にも、
今年は、他団体にも目を向けていただき、
今年は今年の良さを感じ取ってもらいたいですね。
■仙台二高
:出店数は57団体、人気は応援団と同窓会ブース
五十嵐くん(企画局長) 出店に関して、付け加えると、
二高は一高より校舎は小さいですが、出店数が57団体で
壱高祭より多く、場所がぎゅうぎゅうです。
毎年、出店で人が集まるのが、応援団と同窓会のブースです。
応援団ブースでは、応援団が着用する学ランを着せてもらえます。
応援団が物珍しい方もいらっしゃるので、斬新で人目を引きます。
あと、同窓会ブースでは、OBの方にも多く来ていただけます。
出店は、食品団体、非食品団体の2つに分けられるのですが、
今年も、一般展示の時間帯は、食品団体がおススメです。
また、文化祭ということで、化学部や生物部、物理部が
理科棟で実験を披露したり、
地学部は、北陵館でプラネタリウムをやります。
あとは定番のお化け屋敷や射的など、いかにもお祭り的なものから、
ダーツの出店は、ちゃんとしたダーツを借りてやることになっていたり。
「高校生クイズ」みたいな早押しクイズができる出店もあったり。
その他、様々な委員会や部活が趣向をこらえたものを出店します。
文化祭の顔対決/モニュメントv.s.ゲート
■仙台二高
:県内唯一の校門モニュメント 今年はクオリティ追求
野川くん(実行委員長) 毎年、校門に「モニュメント」を作っています。
昔から長く続く伝統で、昔の写真を見ると、おそらくミス二高より古い。
県内で二高だけなんで、すごいレアです。
入口にモニュメントを飾っているので、
二高に来たら、まず目に入る、文化祭の顔ですね。
去年は、「革命」というテーマに合わせ、
ナポレオンをつくりました。
今年はテーマとは別に、クオリティを追求して、
ドイツのノイシュヴァンシュタイン城の城門をつくります。
4メートルくらいあるって話です。まだ完成してないですけど。
もちろん当日までには、完成しますよ。お楽しみに。
■仙台一高
:今年は、大型アーチ型ゲートにも注目
鶴田さん(実行委員長) モニュメントに対抗しても、いいですか?
一高は、入口がたくさんあるため、文化祭では、
実行委員が門にゲートをつくって置いています。
2つ大きなゲートあります。
一つはアーチ型のゲートで、もう一つは大きな看板のようなゲート。
毎年テーマに合わせてつくっています。
今年は特に、アーチ型ゲートに、注目してもらいたいです。
去年はトリックアートを応用したデザインにしてみましたが、
時代は3Dだな、ということで、今年は3Dにしてみました。
今年は発泡スチロールを使ってみよう等、素材も変えてみたり。
組立も大変で、人が通る高さを考えるのが難しかったりします。
建築家が使うようなソフトを使って、最近は設計をしています。
恐らく、登れると思うんですが、登らないでください。
今年も大作なので、ぜひ注目を。
あと、毎年、壁画を作っています。
約2メートルの大きな板に、1クラス1枚、貼り絵を作ります。
一高の企画としては恐らく一番古く、第10回頃から続いています。
全員参加で、受験を控えた3年生も、夏休みも貼り絵に参加します。
その辺りにも、ぜひ注目してほしいですね。
「一高・二高で協力して文化祭の企画をやらないか?」
―なるほど、両校とも、特徴ある企画が盛り沢山ですね。
まさに宣伝合戦らしく、差別化を図っていただきながら、
それぞれの企画の意図等も、お話いただきました。
そろそろ締めに入ろうと思いますが、言い足りないことはないですか?
■仙台一高
:幅広い年齢層に配慮したステージ
阿部くん(宣伝広報部・副部長) ステージ企画に関して、
バンド出演などがあると、先ほどお話しました。
でも、壱高祭には、近隣住民の方からも来ていただけるので、
最近の若者向けのミュージックだけになってしまうと、
やっぱり、年齢層に合わなかったりすると思うのです。
ステージ発表の中には、一高の合唱部や室内学部の発表もあるので、
バンドでは賑やかさ、合唱部や室内学部では美しさ等が出てきて、
幅広い年齢層の方に楽しんでいただけるかな、と思っています。
あとは、OBの方が出演してくださったり、
今年は宮一さんとニ華さん(※)にも来ていただけるので、
飽きることのない、楽しいステージだと思います。
※「宮一」は宮城県宮城第一高等学校、「二華」は宮城県仙台二華高等学校
―なるほど、幅広い年齢層の方への配慮もされているのですね。
■仙台二高
:より高みを目指していくことが、僕らに求められること
五十嵐くん(企画局長) 二高も、広く年齢層に合わせた企画を用意しています。
2日目、3日目の講堂では、書道部のパフォーマンスがあります。
音楽に合わせ、書道部が大きな紙に大きな筆で書くパフォーマンスです。
他にも、吹奏楽部や合唱部の発表、生徒がマリンバを演奏するなど、
学生じゃない方に向けての企画を進めている面もあります。
あと、今年は宮一さんと協力して企画をやろうかな、ということで。
実は、ここに至るまでには、いろいろな経緯があったわけですが(笑)
まず最初に、「県内1番、2番の文化祭を誇る、
一高・二高の両校で協力して企画をやらないか」と、
かなり前に、一高さんの方から話をいただきました。
二高も「是非やらせていただきたい」という形で、
当初、話し合いはうまく進んでいたんですが・・・
まぁ、いろいろ・・・
野川くん(実行委員長) 振られちゃって(笑)
五十嵐くん(企画局長) そういうわけじゃないですが(笑)、
一高と二高では、距離が遠いということで、
物理的な面から、いろいろ問題点がありました。
結局、「両校で協力してやるのは厳しいんじゃないかな」
となって、今年は断念したのですけど。
まぁ、それと並行しまして、
「じゃあ、宮一となら、できるんじゃないか?」
という風に、こっちでは、なっていまして(笑)
宮一の秋桜祭実行委員さんと打合せを重ねました。
今年の北陵祭では、3日目の11時から、
宮一さんのジャズダンス部誘致を予定しています。
宮一さんのジャズダンス部はとても有名で、
全国大会に毎年出場している実力派です。
同時に、二高からは、「ミス二高」の団体と、
二高内では有名な漫才コンビに、
宮一さんの秋桜祭の会場で活躍してもらうことで、
両校の文化祭をより活性化しよう、としています。
この目的ですが、北陵祭は二高で行われるもので、
もちろん僕らがつくっていくものですが、
二高生だけで終わらせたくない気持ちがありまして。
もっと宮城県内や他の学校と協力して、
よりよいものをつくっていく、
より高みを目指していくことが、
実行委員として僕らに求められるものではないか。
ということで、今年は、
宮一さんと協力してやっていこうと思います。
来年、3年生の僕らは卒業しますが、きっと後輩たちが、
きちんと、今年の反省点などを来年に生かして、
もっとよりよい文化祭をつくってくれると思います。
今年はその先駆けとして頑張っていきたいと思います。
野川くん(実行委員長) 男子校時代には、
他校誘致をやっていたらしいのです。宮一さんや二華さんと。
五十嵐くん(企画局長) 今年は、その復活ということで。
北陵祭をお客さんに楽しんでもらうのはもちろんですが、
自分たちも楽しみたい気持ちを僕個人はかなり持っています。
この宮一さん誘致に関しては、二高生にも講堂に足を運んでもらい、
北陵祭をもっと楽しんでもらいたい。
それにより、より北陵祭が盛り上がるんじゃないかな、
と思って企画したものです。
一高さんとも、ゆくゆくは、一緒にやっていきたいですね。
百聞は一見にしかず 実際に来て肌身で「学校らしさ」感じて
―では、いよいよ最後の質問に入りたいと思います。
生徒さん自らが、それぞれ自分の学校の特徴をどう認識していて、
それをどう文化祭として具現化しているのかが、とても伝わってきました。
皆さんのお話を伺って、きっと読者の方もますます文化祭が楽しみと思いますが、
最後に、改めて、来場者にむけたメッセージを一言、委員長からお願いします。
(じゃんけんの結果、再び、一高が勝利する)
野川くん(実行委員長) ええ~?!なんで、また?!
■仙台一高
鶴田さん(実行委員長) 一高生として、プライド賭けてやっています。
うちの校風はすごく独特なので、合う・合わないがあるとは思います。
けれども、百聞は一見に如かず、という言葉もありますので、
ぜひ自分の目で確かめていただきたいですね。
あとは、もう、ほとんど言ってしまったので(笑)
■仙台二高
野川くん(実行委員長) 二高も一高さんと同じで、
実際に来ていただかないと、わからないことがあります。
実際に来て、自分で見て、肌で感じて、
二高らしさを感じてほしいなと。
後悔はさせないので。
絶対に全力でもてなすというか、
僕達・実行委員も全力ですし、
生徒たちも本気でやるので、ぜひ来てください。
―皆さんが、それぞれプライドを持って、本気で、
文化祭に取り組んでいることが伝わってきました。
今日は、どうもありがとうございました。
コラボレーション
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