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2017年 05月 26日 (金)

文化祭から見える高校の「今」(2/4)~仙台一高「壱高祭」編~



壱高祭 「壱高時間」

 平成22年度から男女共学校となる宮城県仙台第一高等学校(仙台市若林区元茶畑、北島博校長)。仙台一高には、校訓「自重献身」・標語「自発能動」の伝統が根付くと聞く(詳しくは、特集「仙台一高らしさにせまる」をご覧頂きたい)。それらを実際に、文化祭から感じとることはできるのだろうか。


08年度「壱高祭」パンフレット。37ページという県内トップレベルのページ数は、広告主となるOBや地域との密な連携を物語っている。

 8月30日(土)、31日(日)、1日(月)の3日間開催された、第51回目を迎える「壱高祭」のテーマは「壱高時間」。パンフレットは、「皆さんが体験してきた出来事には様々な思いがあるかと思いますが、いずれも特有な『時間』や『空間』を持ち、その時間と空間は共有できても同一には成り得ない唯一無二のものです」という実行委員会委員長の言葉からはじまる。

 仙台一高には「発起人制度」という珍しい制度がある。いわゆる生徒会執行部がなく、文化祭などの実行委員会は、各学年の有志で構成される。そのため学年や人数等に制限はないが、実行委員が募らなければ文化祭などの行事は中止になるという、仙台一高の自由と自治の精神を成文化する制度だ。

 発起人は文化祭を通して、何を表現しようとしているのか。パンフレットには、「時代は刻刻と変化しており、一高も変化しています。それは改悪とか改善ではなく、常にその時間、その空間で唯一のものであり続けるということです」とある。

 「第51回壱高祭は、二つと存在しません。来場した方々が、一高生が、各々だけの『壱高時間』を持つことができます。あとの感じ方はあなた次第です」。早速、「壱高時間」を感じてみることにしよう。


それぞれの個性を大切に 水泳部「ウォーターボーイズ」

 仙台一高の文化祭と言えば、水泳部によるシンクロ講演が有名だ。言わずも知れた映画「ウォーターボーイズ」の影響を受け、水泳部が文化祭の演目として数年前から行っているもの。最盛期には、文化祭開催期間中、7千人もの観客を動員したという。現在も、一般から開演時間の問合せがあるほどの人気ぶりだ。

 会場には、女子高生や保護者など多くの人がつめかけた。水泳部員たちは音楽に合わせ、水中でフォーメーションの形を次々と変えていき、連続でジャンプを繰り出していく。

 クライマックスには初挑戦の「4段やぐら」が登場。最上段に登った生徒が、人差し指を天に向けると、会場からは大きな歓声があがった。約30分の講演が終了すると、メンバーが観客席の端から端まで、観客とハイタッチしながら退場していく。会場との一体感が印象的な講演であった。




「それぞれの個性が出ることで、相手を楽しませることができる」

 今回初挑戦の4段やぐらについて、シンクロ企画チーフを務めた佐々木さん(2年生)は「仙台一高の校風である、校訓『自重献身』・標語『自発能動』を大切にしているが、特に『献身』がなければ、4段やぐらはつくれなかっただろう。シンクロが完成した瞬間だった」と振り返った。

 部員たちは夏休み中、本職である競泳の練習を午前中に終えた後、日没までシンクロの猛練習を重ねてきた。どのような点を心掛け、シンクロの練習に打ち込んできたのか。

 佐々木さんは、「人にはそれぞれ個性がある。統一すべきところは統一するが、統一する必要性がないものはしなくてもよい。それぞれの個性が出てくることで、相手を楽しませることができる」と話した。

「個人ではわからなかったものを、シンクロに教えてもらった」

 水泳部部長の長尾さん(2年生)は、「競泳は個人プレーだが、シンクロはチームワークで、個人とは違った全く新しいものだ。個人ではわからなかったものを、シンクロに教えてもらった」と話している。


バンカラの気風伝える 応援団

つくったてぬぐいを掲げ、記念撮影をする子どもたち

 仙台一高と言えば、バンカラスタイルの応援団が有名だ。応援団のブースでは、名物バンカラの記念撮影や、てぬぐいづくりなどを楽しむ親子連れなどでにぎわっていた。

 応援団幹部の竹中君(2年生)は「応援団がなくても一高は一高。けれども応援団があるかないかで、学校の盛り上がり、一高の空気が変わることを、昨年の対仙台二高定期戦で実感した」と振り返る。

バンカラの記念撮影や二高旗展示などで、応援団の伝統を伝える

 OBや身内から、昔の仙台一高は凄かった、とよく話された。「ノスタルジーもあるだろうが、自分が物足りなさを感じるのも事実。けれども俺の学年で、それでは悔しい」と奮起、応援団幹部になった。

 校訓「自重献身」の意味について考えている。「『自重』と『献身』は矛盾しているようにも思える。けれども、両方とも同時にやれという意味なのだろう。伝統の重圧はあるが、伝統を重んじながら、自分たちが一高をつくっていきたい」と意気込む。


応援団幹部の皆さん

 「一高には、『こうでなきゃいけない』というものがない。それぞれがキャラを大切にしてもらえるから、一切いじめがない。『まわりとはちょっと違ったことをやろう』という思考で動いている。これからの時代、それは大切なことだと思う」と竹中君は話している。



男子校ならではの盛り上がり 中夜祭・ファイヤーストーム

 31日に行われた中夜祭では、有志や部活などによるステージ発表や、男子生徒が女装しその美しさを競う「ミス一高」が行われ、男子校ならではの盛り上がりを見せた。ステージに登壇した生徒の多くが、体育用「赤パン」姿を披露。「一高生は赤パンが好き」という前生徒指導部長・藤田さんの取材結果を裏付けるものとなった。



生徒達が肩を組みながらファイヤーストームを囲んだ

 中夜祭の後、校庭の焚き木に炎が点火された。応援団が中心となるファイヤーストームである。生徒達は肩を組みながらファイヤーストームを囲み、戦勝を祝う「凱歌」を歌った。男子生徒の野太い声が闇夜に響く。独特の一体感を感じさせるファイヤーストームであった。

 来年度は、男子校として最後の壱高祭となる。

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取材先: 仙台一高      (タグ: ,

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