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2024年 11月 03日 (日)

仙台二華の「学校づくり」にせまる(4)



久力誠校長ロングインタビュー  (2/3ページ)

縁の下を支える同窓会の存在

 同窓会は、宮城二女高の縁の下を支えてくれています。女子校の場合、共学校や男子校に比べ、予算は少ない傾向にあります。例えば校庭の敷地面積は、男子校の3分の1程度しかありません。宮城二女高の場合、視聴覚室・図書室・食堂・テニスコートは、すべて同窓会の寄付でつくられました。

 歴史を振り返れば、もちろん県が何もやってこなかったわけではないのですが、同窓生が身銭を切って、学校を支えてきた部分がたくさんあります。だからこそ、県教委や職員もこのことをよく理解しておく必要があると思います。そのためわたしたちは、宮城二女高の歴史を大切にしながら、それを支えてきてくださった同窓生の方々を大切にしながら、丁寧に学校づくりを進めています。

 通常は一年前に決定する新校名についても、宮城二女高の場合、一年半前の2007年6月には決まっています。何故かと言うと、校名というのは、一番大きいんですよ。直前になってから「校名が決まりました」というのも、おかしいでしょう。新しい学校をつくろうとするときに、校名を決めないで、ずるずるやること自体をおかしいと思わないことが変なんです。だからとにかく早めにはじめて、長く時間をかけて決めていきます。

新校名「仙台二華」に込められた意味

 学校づくりのプロセスは、基本的にはすべて公開します。なぜならば仙台二華は、宮城二女高が生き残るための学校ではないからです。同窓会・職員・生徒のための学校ではなく、県の税金でできた学校で、県民のための学校なのです。

 県民のための学校ですから、「同窓会で決めました」「校長が決めました」というのでは、おかしいでしょう。そのため、校名については、県内の全小中学校にポスターを配布し、公募しました。会議にはマスコミを入れ、県民の皆さんが見ている状態とほぼ近い形をつくりました。

 校名というのは非常に難しい問題です。宮城二女高の歴史を踏まえた上で、次に進んでいくというエネルギーがなければ、駄目なのです。最終的には5つの案が残り、そこから皆さんに投票して頂きました。多数決ではなく、中身を見て分析していき、段階をかけて選考していきました。

 最終的には、同窓会名でもある「二華」と、いわば原点となる「東華」の2つの案が残りました。「東華」は大伴家持の歌そのもの(※4)ですから、全国的には通用しやすいのですが、同じ学区に東華中学校があるため混乱を招くだろうということで、消えました。

※4 万葉歌人・大伴家持の和歌「天皇(すめろぎ)の御代栄えんと東なる みちのく山に黄金華咲く」
【通釈】天子様の大御代の栄まさんしるしに、東国の陸奥の山に黄金の花が見事に咲いたことである。金が沢山掘り出された。おめでたい極みである。

 最終的には、いく筋もの細い流れが集まって大河になるように、自然にすっと「二華」になっていきました。その見事さは、会場にいなければわからないでしょう。そして振り返ってみれば、「二華」は同窓会の名前なのですね。そこに場所を示す「仙台」を加え、「仙台二華」に決定しました。

 同窓会が偉かったのは、「二華にしなさい」と誰もわたしに言わなかったことです。それはいけないという気持ちがあったのでしょう。同窓会は、黙って投票をしてくれました。最初から、県民の学校ですからそれは受けつけません、とわたしは言っていました。

 わたし達も礼儀として、仁義を切らせて頂きました。「二華という名を使わせて頂いても、よろしいですか」とわたしが言うと、「わかりました。そのときはどうぞ」。同窓生は淡々とお答えになられました。

 早め早めに進めてきましたので、同窓会の皆さんも嬉しかったのではと思います。会場からは割れんばかりの拍手。磐石な基盤ができた瞬間でした。

 「二華」には、色々な意味があるのですよ。男子と女子の「二」、中学校と高校の「二」、文武両道の「二」、21世紀の「二」(これなら1000年使えますね)、笑顔の「ニカッ」、これは「優しさの絆」にもつながっていて、響きもいいですね。そして、第二女子学校の「二」、東華中学校の「華」、これは優れた文化を持った者の意味です。そして気づけば、同窓会の「ニ華」ではないか、となるわけです(笑)。つまり、「仙台二華」は、大変な思いでつけられた名前なのですよ。

次へ いずれにせよ、勝負はこれから



取材先: 仙台二華      (タグ: , , ,

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