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2017年 05月 23日 (火)

これまでは、何もしなくても食べていけた




これまでは、何もしなくても食べていけた

私は、先ほど言ったようにね、宮城県は、
東北の中でも経済的な牽引役になる地域だと思うのですよ。

太平洋側は雪が少ないですし、東京にも近い。
すべての新幹線は仙台駅に止まります。

仙台空港もあって、仙台・塩釜港といった立派な港もあって、
海外へも直接、物が運べるんです。

宮城県は、非常に恵まれたところなんですね。
ですから産業面では、企業などが集積しやすい環境が
ある地域だと思うのです。

ところが歴代の知事は、そういうところに力を入れてこなかったのです。
なぜかと言うと、宮城県は、あまりにも恵まれすぎていたからです。

いろいろな支店をつくるときは必ず、宮城県につくるのですよ。
別に宮城にいる必要はなくて、青森でも岩手でも良いはずなのですが、
やはり仙台に拠点を構えます。東北の拠点は仙台でしょう。

ですから、それほど努力をしなくても、
「支店経済」とよく言われるように、
いろいろな支店が宮城県に集まってきます。

そうなると、産業構造はどうなるか。

一次産業、二次産業、三次産業がある中で、
宮城県は、三次産業がものすごく大きくなってしまったのです。

三次産業とは、要は、飲んだり食べたり、
買ったり売ったり、ということ。

これまでは人口に一定の規模があり、
今まで人口はどんどん増えていました。

支店でこちらに転勤してきた方は、ある程度になるとまた東京へ戻る。
すると、また新しく若い人たちが東京からやって来る。

宮城県は、一定の若い人たちの人口が維持され、
そしてどちらかと言うと、人口が増えるところだったのですよ。

ですから、飲んだり食べたり、売ったり買ったり、
で、充分に生活ができたのです。

ところが今、ものすごい勢いで人口が減り始めています。

宮城県でも、これから毎年1万人ずつ減っていくんですよ。
当然、仙台市も減り始めます。

しかも、若い人からお年を召された方まで平均して減るなら良いのですが、
歳をとった65年以上の人口は、これから30年間、ずっと増え続けていくのです。
逆に、65歳未満の若い人たちの人口が、急激に減っていくのです。

すると、ものを買う人、飲んだり食べたりする人が、
一気にいなくなくなってしまうというのが、宮城県の現状なのです。

そうすると、産業構造が崩れるわけですよ。

もう、第三次産業中心の県づくりだと、
絶対に、宮城県の経済は成り立たなくなる、ということです。

今、いろいろなものが「売れなくなった」と頭を抱えていますが、
景気が悪い以上に、物を買う人が少なくなっているということですよ。
そこにまだ、皆気づいていないのです。

けれどもそこに、メスを入れなければなりません。


宮城県の産業構造の体質改善を図る

資源のない東北がこれから生き残るには、
付加価値が高いものをつくって、海外へ売って利益を稼いでくる、
要は外からお金を稼いでくる必要があります。

人口が減っても、県民一人ひとりの所得をあげていく。
そして同時に、若い人たちの働く場を、たくさんつくらなければなりません。

最初の質問にもどりますが、宮城県はそういう大きな企業が来れるだけの
充分な魅力のある土地だと、ずっと前から僕は思っていたのですよ。
特に、空を飛んでいてね。

ところが、今までずっと、そういう政策をやってこなかった。
何もしなくても、食べていけたんです。

松島もあるから、観光客は必ず宮城県へ来てくれる。
何もしなくても、食べていけたんですよ。

ところがこれからは、そういうことをしていると、
間違いなく経済は衰退してしまいます。

そのような危機感から、僕は「富県宮城」と言って、
10年くらいかけて、宮城県の産業構造の体質改善を図ろうと思いました。

具体的に言うと、県内総生産に占める第一次産業の割合、
すなわち農林水産の割合は、だいたい3%くらいなのですよ。

これは、どの県も3%くらいで平均的です。
つまりGDPというのは付加価値ですので、
付加価値というのは、それほど高くないのです。

第二次産業、つまり製造業と建設業の割合が、15%。
そして残りの82%弱が、第三次産業なのです。

この第二次産業15%の比率を、20%、25%へ
引き上げていかなければ、生き残っていけない。

僕は、そう思っているのですよ。
そして宮城は、その可能性があるところである、と。

特に他所の県から来たから、余計にそう思うのですよね。

なぜ、これほど良い場所、暮らしやすい場所で、
これだけいろいろなインフラが整備されているにもかかわらず、
大きな企業の工場は、1980年代に立地したものしかないのか。

それじゃあ、生き残れないですよ。

生き残れないと、税収が落ちる。
税収が落ちると、結果的に福祉もできないし、充分な教育もできない。

良い環境を、後世へ残せなくなっていく。
悪いほうへ悪いほうへと、悪循環になっていくのですね。


行政の信用力を生かし、民の力を最大限に活用

実は、経済政策を優先するということは、
非常に勇気がいることなのですよ。

経済政策は、県の力だけでは、できないでしょう。

一方、福祉や教育というのは、お金さえあればできるんです。

どこにどういう施設をつくればよいのか、
結局、つくる場所を決めるのがポイントとなるので、
一見すごいことをやっているようだけど、
お金さえあれば、そんなに難しいことじゃないのです。

ところが、経済政策というのは、いくら自分が頑張ったって、
企業がのってくれないといけないし、仮にのってくれても、
利益が出なければ「失敗した」と言われます。
形に、なかなか見えないでしょう。

そういう意味では、なかなかリスキーな選択をした、
と自分では思っているのです。

今のところ、割と思ったように絵を描けて、
絵を描いたように進んでいるので、
まあまあうまくいっているかな、と思っています。

県の力だけでは、何もできません。
民の力を最大限に活用しましょう。
つまり、効率的な行政運営です。

いろんなことをやめることも大切なのですが、
それ以上に行政には、信用力があります。

その信用力を最大限に生かして、実際は民間の人たちに
動いていただくような仕組みをつくっていこうと思います。


生まれてよかった、育ってよかった、住んでよかった

―最後に、意気込みを一言。

若い人たちに、なるべく宮城に残っていただいて、
「生まれてよかったな、育ってよかったな、住んでよかったな」と
思ってもらえる宮城をつくっていきたいな、と思っています。

そのためには、自分にあった働く場所が身近にあることが
幸せにつながるのではないでしょうか。

そのためにも今取り組んでいる政策を 更に発展させていきたいと思っています。

―村井さん、本日はどうもありがとうございました。



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