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2024年 11月 21日 (木)

文化祭の「裏」から見る高校生の今:仙台二高「北陵祭」実行委員会に聞く 取材・写真・文/大草芳江

2009年8月17日公開

手を抜こうと思えば、いくらでも抜ける。
けれども自分たちが目指すものは、上の方にある。

仙台二高「北陵祭」実行委員会の皆さん

委員長 :冨樫玖苑さん(3年生) 事務局長:西澤勇輝さん(3年生) 企画局長:小平平太さん(3年生)
会場局長:伊藤克哉さん(3年生) 副委員長:船田大貴さん(2年生) 副委員長:田所祐一さん(2年生)

 「教育って、そもそもなんだろう?」を探るべく、【教育】に関する様々な人々をインタビュー

仙台二高の文化祭実行委員会から、取材依頼が舞い込んだ。

仙台二高の文化祭「北陵祭」の企画運営を統括する北陵祭実行委員会は、
全学年あわせて約100名の巨大組織で、その業務内容は多岐に渡る。
今回の取材依頼も、広報局の仕事のひとつであると言う。

そもそも、高校生の彼らは一体何にリアリティを感じて活動しているのだろうか。
彼らの原動力とスタンス、すなわち文化祭の「裏」側から、仙台二高生の「今」を探る。


仙台二高「北陵祭」実行委員会の皆さんに聞く


二高生の原動力 高校生が感じるリアリティとは

何か自分たちの力で成し遂げたい

―まずは自己紹介も兼ねて、そもそも皆さんはなぜ、
 北陵祭実行委員会をやろうと思ったのかを聞かせてください。

委員長の冨樫さん(3年):
 1年生の頃、席が近かった現在の広報局長から誘われて。
 「じゃあ、やるか」とやっていたら、気づけば生活の一部になっていました。

事務局長の西澤さん(3年):
 同じく1年生の頃、席が近かった現在の広報局長から誘われて(笑)。
 その流れで、3年間やっています。

企画局長の小平さん(3年):
 1年生の頃、あまり忙しくない部活に入ろうと思っていたので、
 部活以外にも何かやってみたいな、と思ったことがきっかけです。

会場局長の伊藤さん(3年):
 もともと文化祭が好きで、楽しそうだなと思って、はじめました。

副委員長の船田さん(2年):
 中3の頃、高校説明会に来た時、当時高校1年生だった現在の広報局長に誘われて(笑)。
 自由な校風な中で、何か自主的に成し遂げたいと思い、やってみました。
 生徒主体でやっていくやり方に、すごく憧れをもっていたのです。
 実際にやってみると、そういうのって楽しいし、やっていて良かったと思います。

副委員長の田所さん(2年):
 中学校のときに、生徒会をやっていました。
 そのときに、文化祭を自分たちでつくりあげたときの達成感がすごかったのです。
 高校に行ってもぜひ、文化祭に何らかの貢献はしたいと思っていました。
 そんな中、学校説明会で現在の広報局長を見て、
 北陵祭実行委員の雰囲気に惹かれました。

―本日不在の広報局長、どうやらキーパーソンのようですね(笑)
 ただ「何か自分たちの力で成し遂げたい」思いは、皆さん共通なのでは。
 実際に活動を行う中で、そのような実感はありますか?
 ここからは座談会形式で、ご自由にお話下さい。

 自分で仕事を探して、やっていくあたりが自主的だよね。
 誰かに言われるのではなくて、自分で考えながら。

 先生は、少しずれたときに、なおすくらいですね。

 逆に、自分で探さないと、仕事は全くないので。

―誰かから仕事だよ、と与えられるのではなく、
 仕事を仕事と、自ら位置づけなければ、仕事はないのですね。
 では具体的に、何を見て「仕事だ」と思うのですか?

 それぞれ部門で違います。

 例えば広報なら、これまで内部向けだったのを、このように校外へもアタックしたり。
 企画は、新しい企画を練ったり。
 来てくれたお客さんが快適に過ごすにはどうすれば良いかを考えたり。

 それに関する話し合いも、自分たちで積極的にもたないと、人が集まりません。
 昼休みなどを使って、話し合いをしています。
 話し合っていると、人が集まってきます。
 つい遅くまで夢中になり、警備員さんに注意されることもしばしば。


自分たちが目指すものは、上の方にある

―自分たちでやらなければ、文化祭は組み上がらないのですね。

 自分たちが目指すものは、上の方にあります。
 手を抜こうと思えば、いくらでも抜けるのです。

―「上の方」とは、何を指しているのですか?

 「俺達は、日本一を目指す」というのが、最大のスローガンだと思います。

―「日本一」とは、何に対しての日本一ですか?

 文化祭の質です。
 そして、どんな人でも来てくれた人が皆、「すごく楽しかった」と
 言ってもらえるような文化祭を、常に目指しているという目標です。

 先生方はもちろん、技師さんや地域の方、OBの先輩、
 いろいろな方に支えていただきながら、がんばっています。

―二高の中だけで閉じたお祭り、というよりも、
 社会の中でお祭りをやる、という感覚の方が強いのですか?

 そうですね。
 二高だけの文化祭じゃない感覚です。
 ちょっと大げさになりますが、地域の祭り、みたいな。

 二高だけで完結するようなものではなくて、
 まわりと一体化したような、それこそ皆で楽しめるようなものに。

 ちょっとずつ、その範囲が広がっていけば良いと思っています。


自分たちでやるから、うまくいかないことがある。
 けれどもその分、解決できると嬉しい。

―実際の活動の中で、皆さんがリアリティを感じるのはどのような点ですか?

 自分たちでやるから、うまくいかないことがあるし、
 けれどもその分、解決できると嬉しい。

 先生がつかない分、自分たちに課された責任があります。

 その分、なかなか、行き詰まりのようなものがあります。
 それを、どう抜けるのか。

 けれどもそこを抜けられると、その分、達成感はすごくありますね。

―具体的なエピソードはありますか?

 一昨年は台風のため、文化祭の一番大事な2日目の日が中止になってしまいました。
 対策はしていましたが、まさか台風が直撃して、中止になるとは思いませんでした。

 そのときは先輩方が中心となったのですが、企画などの埋め合わせをしたり、
 出演したい団体等の調整をしたりして、いろいろと右往左往して。

 「どうしよう」という感じだったのが、実際に当日やってみると、うまくいって。
 それで終わった時は、やっぱり達成感のようなものがありました。

―他にもエピソードはありますか?

 生徒全体で文化祭用の会場設営と復元の作業があるのですが、
 一昨年その作業に、ものすごく時間がかかってしまいました。

 そこで去年は夏休み中に、何度もリハーサルをやってみたり、
 リハーサル中に問題が出たら、すぐその場で考えて、皆で話し合って、改善したりして。

 それと、会場設営にあまり関わらない人たちにも手伝ってもらって、
 第三者からの視点で「そこを、あぁすればよかったんじゃない?」と
 アドバイスをもらったりして、試行錯誤をしました。


自分の意見も言って、相手の意見も聞いて、じゃあ、それをどう高めていくか

―異なる視点からの意見も受け入れられるのは、
 より高いものを目指す気持ちを共有しているからなのでしょうね。

 そうですね。
 自分の意見も言って、相手の意見も聞いて、
 じゃあ、それをどう高めていくか。

 どうやって、より質の良いものにして行こうか、
 というのは、常にやっているよね。

―2年生の皆さんは、そんな先輩方を見て、どのようなことを感じていますか?

 自分の思ったことは言いますし、
 おかしいなと思ったことは言うのですけど、
 そのような環境があるということが、
 私としては、嬉しいです。
 遠慮とかそういうのではなくて、本当に素直に話せます。
 その部分が、先輩方のいいところだと思います。

 僕も、そう思いますね。
 先輩と後輩が同じ場所で同時に作業をしていることはよくありますし、
 上からトップダウンで「あれやれ、これやれ」と言われるのではなくて、
 「こういう風にやってみたらどうかな」「ではこうしてみましょう」と、
 先輩と後輩で意見を交換しながら、一緒にいろいろやっています。
 上下関係はあるにせよ、固いようなものではなく、すごく柔らかいものだと思います。

―3年生の皆さん、そのような2年生の意見に対して、どのように思いますか?

 我々は、がっちりとしたトップダウンがものすごく強いというわけではなく、
 ひとつのまとまった集団として、活動しています。

 最低限の上下関係以上は、ないですね。

 自分たちも間違うことはあるし。

 やっぱり指摘されて、そうだと思えば、それは受け入れるべきだし、有難いです。

 すごく仲が良いですよね。
 一緒に遊んだり、雑談したりしています。

―そのような皆さんの意見に対して、委員長は何を感じますか?

 仲間に支えられて、やってきています。
 助けてもらいつつ、逆に誰か困っていることがあったら、皆で支えあってやっています。
 その辺りが、三年目にして、原動力になっている感じがします。

 委員長、それ本当か?(笑)
 そんな話、はじめて聞いた(笑)

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