歌人・俵万智さん公開授業 宮城県NIE20周年研究大会(2/2ページ)
2009年12月4日公開
教育に新聞を活用する「NIE」活動が宮城県内で20年を迎えたことを記念する研究大会が先月25日、仙台市宮城野区の榴岡小で開かれ、県内の小中高校の教師ら約320人が参加した。
榴岡小教諭らが新聞を活用した授業を提案したほか、仙台市在住の歌人、俵万智さんが短歌の授業を行うなどした。(1/2ページに関連記事)
歌人・俵万智さん公開授業 言葉の魅力伝える
仙台市在住の歌人、俵万智さんが行った短歌の公開授業のようす
午後からは仙台市在住の歌人、俵万智さんが3年3組の児童24人に、「短歌を通して表現力をはぐくむ」をテーマにした短歌の公開授業を行った。
俵さんは短歌の歴史を説明し、新聞の短歌欄を見せながら「短歌は千年前からあって、今でも新聞に取り上げられる。外国のお友達に話すとびっくりされる。自慢できる文化だよ」と話した。
続いて、短歌の特徴を「言葉を五・七・五・七・七のリズムに乗せると、不思議と調子が良くなる」と説明。「覚えやすくなって、心の中に入りやすくなるよ」と、交通標語やことわざを身近な例として挙げた。
児童らの感想を聞きながら、表現や切り口の面白さを解説する俵さん
さらに自身の短歌も例にして「三十一文字と言葉が短い分、読んでいる人が想像できる良さがある」と特徴を紹介。その後、「秋を感じるとき」をテーマに児童が事前に詠んできた短歌について、児童らの感想を聞きながら、表現や切り口の面白さを解説した。
「ハロウィンは 楽しいことが いっぱいだ おまつりさわぎ 夜のイベント」が「しゅっと引き締まっていて良い」と感想を述べた児童には、「イベントという名詞で終わるから、引き締まるの。そういう技を覚えておくと、これから皆が短歌をつくる上で参考になるよ」とアドバイス。ほかにも倒置法や擬人法など、"言葉の技"を伝授した。
俵さんは、風を詠んだ短歌が多かったことにも触れ、「風に秋を感じるのは、昔の人も同じだったみたい」と、平安時代の歌人、藤原敏行の短歌「秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風のおとにぞ おどろかれぬる」を紹介。
藤原敏行は千年前の人だから「今は白骨化しているね」と児童が言うと、俵さんは「そうだね。でも、言葉は白骨化しない。言葉は、千年前の人からの手紙だね」と言葉の魅力を伝えていた。
◎
俵さんの公開授業後に開催されたシンポジウム「ことばの力が感性を育てる―宮城のNIE20年」のようす
続いて開催された「ことばの力が感性を育てる―宮城のNIE20年」と題したシンポジウムには、俵さん、宮城県NIE推進委員長の堀江謙一さん(南小泉中学校校長)、共同通信社仙台支社長の松岡徹さんがパネリストとして参加。
宮教大教職大学院教授の相澤秀夫さんがコーディネーター役を務め、俵さんによる公開授業の感想や、NIEの課題について、意見を交換した。
俵さんは「『そのおじさんは白骨化しているね』と子どもが言ったので、『言葉は白骨化しないね』と、着地点も子どもに導いてもらえた気がした。私にとっても、充実した授業だった」と感想を述べた。
会場の教師からは「子ども達を制さない俵さんの授業を見て、生徒にしゃべらせず終わってしまう自分の授業を反省した」「小3児童に短歌を理解できるのか疑問だったが、言葉の美しさは学年関係なく伝わるのだと思った」といった感想があった。
続いて、宮城のNIE活動20年の歴史が、教育界と新聞界の視点から述べられた。このほか、「NIEは特定の教師の活動。点から線への広がりは期待できるか」といったNIEの課題などが議論された。
パネリストに聞く:「ことばの力」とは?
◆歌人の視点から:俵万智さん(歌人)
俵万智さん(歌人)
―NIEに対する期待は
新聞を読む力に加えて、読む習慣もプレゼントできたら、子ども達への何よりの贈り物になる。
―そもそも「ことばの力」とは
言葉はコミュニケーションの基本。言葉のやりとりの重要なもの。
―「言葉のやりとり」をする俵さんの授業に、会場からは驚きの声があった
逆に(会場の反応に)驚いた。言葉を一方的に渡すのではなく、子ども達が考えたり表現することを大切にして、手助けることを大事にしたい。
―中高生へメッセージを
出会いを大切にすることが大事。
◆新聞界の視点から:松岡徹さん(共同通信社仙台支社長)
松岡徹さん(共同通信社仙台支社長)
―NIEに対する期待は
新聞記者と先生、双方の熱い思いのコラボレーションで、NIEを進めていきたい。
―そもそも「ことばの力」とは
記者は言葉に敏感。相手の言葉に全神経を集中し、記者の感性で取捨選択した言葉で見出しをつける。それがある時には、読者に感銘や希望を与えるかもしれない。記者冥利に尽きる瞬間だ。
―中高生へメッセージを
社会が複雑化し、ネットの世界でも、真偽が不明な情報が飛び交っている。関心があるキーワードで検索するばかりでは、周辺の状況が見えなくなる。関心がなくても「横を見ると面白そうだな」となる新聞を活用して欲しい。世界が広がり探究心も育まれる。
◆教育界の視点から:堀江謙一さん(宮城県NIE推進委員長、南小泉中学校校長)
堀江謙一さん(宮城県NIE推進委員長、南小泉中学校校長)
―NIEに対する期待は
基本は新聞の切抜きが大事。切抜きの中から子ども達へ与えたいものが必ず出てくる。現在は言語力の育成が中心だが、心の育成にも新聞を活用できるのではと考えている。
―そもそも「ことばの力」とは
文章を読むと、知識を得る・感性が出る・考える・情緒感が出る・誰かに伝えたくなる。これを端的に言えば、判断力・表現力・コミュニケーション力。これらを総称して「ことばの力」と呼んでいる。
―中高生へメッセージを
いつも笑顔で、大きな夢を持ち、様々な困難にも負けないで頑張ってほしい。
【関連記事】
「教育に新聞を」 宮城県NIE20周年研究大会(1/2ページ)
コラボレーション
おすすめ記事
![]() |
【特集】宮城の研究施設 一般公開特集 |
![]() |
【特集】仙台市総合計画審議会 仙台の10年をつくる |
【教育】教育って、そもそもなんだろう?
平成25年度「仙台城南(せんだいじょうなん)高校」誕生 2011.11.30 【大草 芳江|教育って、そもそもなんだろう?|東北工業大学高校】
(4)学校に通える幸せ/連載エッセイ「風に立つ」(南部健一さん) 2011.11.23 【大草 芳江|ひのき進学教室|教育って、そもそもなんだろう?|科学って、そもそもなんだろう?|連載エッセイ 風に立つ】
基礎科学研究のおもしろさ体感して 高校生が天文学者の研究体験 2011.10.26 【大草 芳江|仙台市天文台|教育って、そもそもなんだろう?|東北大学|東北大学理学部物理系同窓会 泉萩会|科学って、そもそもなんだろう?】
同じ取材先の記事
◆ 榴岡小
歌人・俵万智さん公開授業 宮城県NIE20周年研究大会(2/2ページ) 2009.12.04 【大草 芳江|宮城の教育レポート|教育って、そもそもなんだろう?|榴岡小】
「教育に新聞を」 宮城県NIE20周年研究大会(1/2ページ) 2009.12.04 【大草 芳江|宮城の教育レポート|教育って、そもそもなんだろう?|榴岡小】
教育って、そもそもなんだろう?
最新5件
| 平成25年度「仙台城南(せんだいじょうなん)高校」誕生 2011.11.30 | |
| (4)学校に通える幸せ/連載エッセイ「風に立つ」(南部健一さん) 2011.11.23 | |
| 岩ケ崎高創立70周年記念行事/仙台市出身の天文学者・小久保さん講演 2011.10.29 | |
| 基礎科学研究のおもしろさ体感して 高校生が天文学者の研究体験 2011.10.26 | |
| 「たくましく生きる力」育む授業プラン、学校現場で試行開始/仙台市教委 2011.09.30 | |
■記事一覧を表示 記事カテゴリ > 教育って、そもそもなんだろう? | |
カテゴリ
取材先一覧
■ 幼・小・中学校
■ 高校
■ 大学
■ 国・独立行政法人
- ・内閣府 (1)
- ・宇宙航空研究開発機構 (4)
- ・文部科学省 (0)
- ・東北経済産業局 (12)
- ・水産総合研究センター東北区水産研究所 (1)
- ・理化学研究所 (2)
- ・産業総合研究所東北センター (7)
- ・高エネルギー加速器研究機構 (0)
■ 自治体
- ・仙台市 (7)
- ・仙台市博物館 (4)
- ・仙台市天文台 (10)
- ・仙台市教育委員会 (12)
- ・仙台市産業振興事業団 (1)
- ・仙台市科学館 (4)
- ・仙台文学館 (1)
- ・仙台管区気象台 (1)
- ・塩釜市 (3)
- ・宮城県 (7)
- ・宮城県古川農業試験場 (2)
- ・宮城県教育委員会 (1)
- ・宮城県農業・園芸総合研究所 (1)
■ 一般企業・団体
- ・K sound design (1)
- ・KDDI (1)
- ・natural science (1)
- ・せんだい・みやぎNPOセンター (2)
- ・ひのき進学教室 (4)
- ・みやぎ工業会 (6)
- ・みやぎ産業振興機構 (2)
- ・ソニー (2)
- ・ソニー教育財団 (1)
- ・ソフトバンク (1)
- ・デュナミス (1)
- ・ドットジェイピー (1)
- ・ハリウコミュニケーションズ (3)
- ・全国学習塾協会 (2)
- ・勝山酒造部 (1)
- ・太白少年少女発明クラブ (1)
- ・宮城県中小企業家同友会 (1)
- ・宮城県産業人クラブ (0)
- ・宮城県酒造組合 (2)
- ・工藤電機 (2)
- ・引地精工 (1)
- ・応用物理学会 (1)
- ・新東総業株式会社 (1)
- ・日刊工業新聞社 (6)
- ・日本技術士会 (1)
- ・日本私立大学団体連合会 (1)
- ・日本IBM (3)
- ・日東イシダ (1)
- ・東北ニュービジネス協議会 (1)
- ・東北経済連合会 (0)
- ・東北電力 (1)
- ・東栄科学産業 (1)
- ・河北新報 (1)
- ・笹氣出版印刷 (1)
- ・米鶴酒造 (1)
- ・萩野酒造 (1)
- ・農芸化学会 (1)
- ・阿部蒲鉾 (1)
- ・阿部蒲鉾店 (1)
- ・NECトーキン (1)
特別企画 「宮城の塾」
![]() |
学習塾から見る 宮城の教育の「今」 塾選びに一役 |
取材依頼受付中。ひとり新聞社ですので、できる範囲で取材に伺います。
| 【社会って、そもそもなんだろう?】 学生がビジネスプラン提案 第7回キャンパスベンチャーグランプリ東北 2012.02.06 | |
| 【科学って、そもそもなんだろう?】 伊達宗行さん(物理学者)に聞く:科学って、そもそも何だろう? 2012.01.21 | |
| 【科学って、そもそもなんだろう?】 田村裕和さん(原子核物理学者)に聞く:科学って、そもそもなんだろう? 2011.12.27 | |
| 【科学って、そもそもなんだろう?】 世界中の研究者が憧れる研究拠点へ/東北大学WPI-AIMR本館竣工記念式典 2011.12.17 | |
| 【科学って、そもそもなんだろう?】 飯島澄男さん(物理学者・化学者)に聞く:科学って、そもそもなんだろう? 2011.12.05 | |
| 【教育って、そもそもなんだろう?】 平成25年度「仙台城南(せんだいじょうなん)高校」誕生 2011.11.30 |
記者ブログ
|
|
萩野酒造株式会社様ホームページを公開いたしました 2012.01.27 |
|
|
物理学者の伊達宗行さん(大阪大学名誉教授)をインタビュー取材しました 2012.01.21 |
|
|
謹んで新年のご挨拶を申し上げます(2012年)【追記】瑞鳳殿「新年拝礼式」に行きました 2012.01.05 |
|
|
2011年休日の思い出(宮城県から日帰り圏内の自然・温泉・神社仏閣・グルメなどドライブ記録まとめ) 2011.12.31 |
|
|
東北大学WPI-AIMR本館の竣工記念式典にご招待いただきました(取材も) 2011.12.16 |
読者投稿
![]() |
【ひとり記者クラブ】 熊谷和徳 Presents Tap dance Art Project TAP the FUTURE in SENDAI 第5期末公演 『My Rhythm』 2012.01.17 |
|
|
【イベント案内】 東日本大震災と学生ボランティアの役割~大学間連携による取り組みとその課題~ 2011.11.25 |
![]() |
【ひとり記者クラブ】 法学部生による無料法律相談 2011.10.25 |
![]() |
中野塾(泉中央・北高森) |
![]() |
ひのき進学教室(泉中央・長命ヶ丘・八幡教室・上杉教室) |
![]() |
夢学館(東照宮・福室) |
![]() |
ステップ知能開発教室(北仙台・榴岡) |
![]() |
早稲田育英ゼミナール(泉中央) |
![]() |
ソーメック個別学習院(若林区、太白区、泉区に6教室) |
![]() |
明和塾(北山・八木山) |
![]() |
JUKU ペガサス仙台南光台教室(南光台南) |
アクセスランキング
- 【仙台二華中学校・高等学校】公式WEBページ・オープンしました/お知らせ|記者ブログ(大草 芳江)
- 【宮城の塾】 宮城の塾 仙台市を中心とした学習塾・幼児教室・進学塾の特集
- 鳥海山(山形・秋田県境)へ日帰りドライブに行ってきました/フォトギャラリー|記者ブログ(大草 芳江)
- 学生がビジネスプラン提案 第7回キャンパスベンチャーグランプリ東北/社会って、そもそもなんだろう?
- 【宮城の塾】 ひのき進学教室(泉中央教室・長命ヶ丘教室・八幡町教室・上杉教室)
- 記者ブログ(大草 芳江)
- 【宮城の塾】 ステップ知能開発教室(仙台教室・北仙台教室)
- 【宮城の塾】 夢学館(東照宮・福室)
- 東北地方太平洋沖地震:たったいま仙台市青葉区五橋周辺の電気が復旧しました【追記:震災後の仙台市中心部(青葉区)写真】/お知らせ|記者ブログ(大草 芳江)
- 【宮城の塾】 中野塾(泉中央教室・北高森教室)




















