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2017年 04月 25日 (火)

歌人・俵万智さん公開授業 宮城県NIE20周年研究大会(2/2ページ)

2009年12月4日公開

 教育に新聞を活用する「NIE」活動が宮城県内で20年を迎えたことを記念する研究大会が先月25日、仙台市宮城野区の榴岡小で開かれ、県内の小中高校の教師ら約320人が参加した。

 榴岡小教諭らが新聞を活用した授業を提案したほか、仙台市在住の歌人、俵万智さんが短歌の授業を行うなどした。(1/2ページに関連記事


歌人・俵万智さん公開授業 言葉の魅力伝える

仙台市在住の歌人、俵万智さんが行った短歌の公開授業のようす

 午後からは仙台市在住の歌人、俵万智さんが3年3組の児童24人に、「短歌を通して表現力をはぐくむ」をテーマにした短歌の公開授業を行った。

 俵さんは短歌の歴史を説明し、新聞の短歌欄を見せながら「短歌は千年前からあって、今でも新聞に取り上げられる。外国のお友達に話すとびっくりされる。自慢できる文化だよ」と話した。

 続いて、短歌の特徴を「言葉を五・七・五・七・七のリズムに乗せると、不思議と調子が良くなる」と説明。「覚えやすくなって、心の中に入りやすくなるよ」と、交通標語やことわざを身近な例として挙げた。

児童らの感想を聞きながら、表現や切り口の面白さを解説する俵さん

 さらに自身の短歌も例にして「三十一文字と言葉が短い分、読んでいる人が想像できる良さがある」と特徴を紹介。その後、「秋を感じるとき」をテーマに児童が事前に詠んできた短歌について、児童らの感想を聞きながら、表現や切り口の面白さを解説した。

 「ハロウィンは 楽しいことが いっぱいだ おまつりさわぎ 夜のイベント」が「しゅっと引き締まっていて良い」と感想を述べた児童には、「イベントという名詞で終わるから、引き締まるの。そういう技を覚えておくと、これから皆が短歌をつくる上で参考になるよ」とアドバイス。ほかにも倒置法や擬人法など、"言葉の技"を伝授した。

 俵さんは、風を詠んだ短歌が多かったことにも触れ、「風に秋を感じるのは、昔の人も同じだったみたい」と、平安時代の歌人、藤原敏行の短歌「秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風のおとにぞ おどろかれぬる」を紹介。

 藤原敏行は千年前の人だから「今は白骨化しているね」と児童が言うと、俵さんは「そうだね。でも、言葉は白骨化しない。言葉は、千年前の人からの手紙だね」と言葉の魅力を伝えていた。

俵さんの公開授業後に開催されたシンポジウム「ことばの力が感性を育てる―宮城のNIE20年」のようす

 続いて開催された「ことばの力が感性を育てる―宮城のNIE20年」と題したシンポジウムには、俵さん、宮城県NIE推進委員長の堀江謙一さん(南小泉中学校校長)、共同通信社仙台支社長の松岡徹さんがパネリストとして参加。

 宮教大教職大学院教授の相澤秀夫さんがコーディネーター役を務め、俵さんによる公開授業の感想や、NIEの課題について、意見を交換した。

 俵さんは「『そのおじさんは白骨化しているね』と子どもが言ったので、『言葉は白骨化しないね』と、着地点も子どもに導いてもらえた気がした。私にとっても、充実した授業だった」と感想を述べた。

 会場の教師からは「子ども達を制さない俵さんの授業を見て、生徒にしゃべらせず終わってしまう自分の授業を反省した」「小3児童に短歌を理解できるのか疑問だったが、言葉の美しさは学年関係なく伝わるのだと思った」といった感想があった。

 続いて、宮城のNIE活動20年の歴史が、教育界と新聞界の視点から述べられた。このほか、「NIEは特定の教師の活動。点から線への広がりは期待できるか」といったNIEの課題などが議論された。


パネリストに聞く:「ことばの力」とは?

◆歌人の視点から:俵万智さん(歌人)

俵万智さん(歌人)

―NIEに対する期待は

 新聞を読む力に加えて、読む習慣もプレゼントできたら、子ども達への何よりの贈り物になる。

―そもそも「ことばの力」とは

 言葉はコミュニケーションの基本。言葉のやりとりの重要なもの。

―「言葉のやりとり」をする俵さんの授業に、会場からは驚きの声があった

 逆に(会場の反応に)驚いた。言葉を一方的に渡すのではなく、子ども達が考えたり表現することを大切にして、手助けることを大事にしたい。

―中高生へメッセージを

 出会いを大切にすることが大事。


◆新聞界の視点から:松岡徹さん(共同通信社仙台支社長)

松岡徹さん(共同通信社仙台支社長)

―NIEに対する期待は

 新聞記者と先生、双方の熱い思いのコラボレーションで、NIEを進めていきたい。

―そもそも「ことばの力」とは

 記者は言葉に敏感。相手の言葉に全神経を集中し、記者の感性で取捨選択した言葉で見出しをつける。それがある時には、読者に感銘や希望を与えるかもしれない。記者冥利に尽きる瞬間だ。

―中高生へメッセージを

 社会が複雑化し、ネットの世界でも、真偽が不明な情報が飛び交っている。関心があるキーワードで検索するばかりでは、周辺の状況が見えなくなる。関心がなくても「横を見ると面白そうだな」となる新聞を活用して欲しい。世界が広がり探究心も育まれる。


◆教育界の視点から:堀江謙一さん(宮城県NIE推進委員長、南小泉中学校校長)

堀江謙一さん(宮城県NIE推進委員長、南小泉中学校校長)

―NIEに対する期待は

 基本は新聞の切抜きが大事。切抜きの中から子ども達へ与えたいものが必ず出てくる。現在は言語力の育成が中心だが、心の育成にも新聞を活用できるのではと考えている。

―そもそも「ことばの力」とは

 文章を読むと、知識を得る・感性が出る・考える・情緒感が出る・誰かに伝えたくなる。これを端的に言えば、判断力・表現力・コミュニケーション力。これらを総称して「ことばの力」と呼んでいる。

―中高生へメッセージを

 いつも笑顔で、大きな夢を持ち、様々な困難にも負けないで頑張ってほしい。


【関連記事】
「教育に新聞を」 宮城県NIE20周年研究大会(1/2ページ)

取材先: 榴岡小      (タグ: ,

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