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2017年 04月 25日 (火)

鈴木信也さん(宮城二女高校長)に聞く:仙台二華中・高開設に向けて 取材・写真・文/大草芳江

2009年6月3日公開

自分で考え、自分で行動する、骨太の人間を育てたい

鈴木 信也 (宮城県第二女子高等学校校長 兼 高校教育課開設準備担当)

「教育って、そもそもなんだろう?」をテーマに、教育に関する様々な立場の「人」をインタビュー

全国的に中高一貫教育を導入する公立学校が増える中、宮城県第二女子高等学校(宮城二女)は
平成22年4月、男女共学・併設型中高一貫教育校「仙台二華中・高」へと生まれ変わる。

新しい学校づくりで何が変わり、何が変わらぬまま受け継がれていくのか。
仙台二華中・高の学校づくりのプロセスから、宮城の教育の「これまで」と「これから」をさぐる。

今回は、宮城二女高の第26代校長として、兼・高校教育課開設準備担当として、
平成21年4月に着任されたばかりの鈴木信也さんに、仙台二華中・高開設へ向けた意気込みを聞いた。


宮城県第二女子高等学校校長の鈴木信也さんに聞く

―宮城二女高校長に着任して約二ヶ月だが

 ここ(宮城二女)に来ることを、事前に予想していたわけではない。ゼロから去年までの取り組みを確認・整理して、具体的にどのように詰めていくかを考えながらやっている。

 ただ昨年までと異なるのは、仙台二華の開設準備の担当者(教頭1名、教諭1名、事務職員1名)がおり、粛々と仕事を進めてくれること。具体的には、4月15日に開設準備委員会を組織し、それぞれ仕事を分担しながら、具体的な案を作成しているところだ。

 中学校はゼロからの積み上げ。中学校の現場で働いたことがないため、古川黎明や仙台青陵などへ視察をしながら、具体的な準備を進めている。同時に、既存の二女高の校長としての仕事も進めている。

―新しい学校をつくる難しさとは

 中学校は、全く新しい学校をゼロからつくるわけだが、高校は、二女高の伝統を引き継いでいく部分がある。仙台二華中・高は、中学校と高校が連続した学校であるため、二女高の伝統を引き継ぐ高校に、新しい中学校を接続する難しさがある。

 塾の情報によれば、仙台二華中の倍率は、相当高くなると予想されている。また選ばれた子ども達は、高校入試がない分、ある意味でのゆとりをもって、様々なことに取り組み、発展的な学習を取り入れ深く学習に取り組むことができる。間違いなく、非常に優秀な子ども達に育っていくだろう。

 仙台二華高へ中学校から入ってくる子ども達(内進生)は80人。しかしそれ以上の子ども達(外進生)が新たに160人、高校から入ってくる。学校が違えば、文化が違う。二華中として育った子ども達と、他の学校で育てられた子ども達が、同じ土壌で学ぶことになる。

 つまり、新しい中学校を考えるだけでなく、高校でその倍以上の子ども達をどのように指導していくかが、大きな課題となる。全く新しい学校をゼロからつくることとは違った難しさだ。

 内進生と外進生は、高校2年生で同じクラスになる。高校から新たに入ってくる子ども達(外進生)には、(内進生に)追いついてもらうため、高校1年生の段階で補習を考えている。

 仙台二華中では、英語と数学を中心に、発展的な内容を学ぶ。「総合的な学習の時間」で取り組む「IS(インターナショナル・スタディ)」「SR(サイエンティフィック・リサーチ)」「TM(シンキング・メソッド)」もある(※1)。それらを高校から入ってくる子ども達にも、1年間で学習してもらう必要がある。

※1 仙台二華では、中学校・高校を通し、「総合的な学習の時間」として、「SR(サイエンティフィック・リサーチ)」と「IS(インターナショナル・スタディ)」を設定し、地球環境をメインテーマに教科横断的・探求的な学習を行う。また、中学校の独自教科として、分析力や判断力、論理的思考力を育成するための「TM(シンキング・メソッド)」を設置する。

 補習を放課後、あるいは土曜日に実施するかを現在検討中。しかし二女高は、文武両道で部活動が盛ん、生徒達も非常に一生懸命部活動に取り組んでいる。補習のために部活動が制限されるマイナス面もあるため、その兼合いを検討中だ。

 また、現に二女高という学校が存在し、これまで築いてきた伝統に基づきながらも、子ども達は日々、新しい活躍を積み重ね、変化している。その一方で、先生方はこれまで二女高としてやってきており、守るべき部分は当然強く感じている。その良さを壊さないで欲しい、という先生や子ども達の思いもある。

 一番難しいのは、そういうものを守りながら、仙台二華として新しく積み重ねていく部分を、従来の二女高に接続できるかどうかだ。これから潜らなければならない大きな試練だと思っている。

―仙台二華では、どのような人間を育てるのか

 仙台二華中では、自分の頭で考え、自分で行動できる、自律した生徒を育てていきたい。単なる受験シフトではなく、自分で様々な課題を見つけ、チャレンジできる人間をつくっていきたい。

 学校設定科目「IS」「SR」は、地球環境を考えることがひとつの大きなテーマ。地球環境を考えることは、世界共通の課題。自分のことだけでなく、世界を視野に入れ、社会に貢献できる人間を育てるためのテーマだ。

 「IS」「SR」の成果発表の基礎となる、言語力、論理的思考力、表現力を育成するために、教科として学校設定科目「TM」を設定する。週当たり最大33時間の授業のうち、「IS」「SR」「TM」合わせて3時間を充てる。

―仙台二華のカリキュラム開発は、誰がどのように進めているのか

 「IS」「SR」に関しては、中学校・高校6年間で取り組むカリキュラムを、どのように組立てていくか、現在作成中。中学校の先生も、高校の先生も、それぞれがテーマを持って取り組み、全員が6年間の中で(※2)関わっていくことになる。

(※2)高校の教員が中学で指導したり、中学校の教員が高校で指導をする。中学校の教員も、高校の教員も、6年間のローテーションで、毎年子どもと一緒に(学年が)上がっていく。

 「SR」「IS」も、中1の子どもが、はじめから研究できるわけはない。そのため中1では、テーマ設定方法や論文の書き方、実験のやり方など基礎的な事項から学んでいく。中3では、ひとつの区切りとして、個人またはグループとして発表することを考えている。高校では、また新たな取り組みをしていく予定。

 一般的な教科に関しては、従来の中学校の教科書をそのまま利用するだけでなく、新しい部分をつくっているところだ。特に英語・数学で増単されている「発展的な学習」については、中学校で学ぶ分野をより深く学び、高校で学ぶ分野も先取りして学ぶ。中学校のシラバスづくりもこれから。

―中高一貫についての考えは

 自分で考え、自分で行動する、骨太の人間を育てたい。教育とは教え育てていくことだが、1から10までを教えるのではなく、「待つ」部分も必要だ。しかしながら今、「待つ」時間がなくなってきていると感じている。

 中高一貫は、中学校での「待つ」時間を持つことができるシステムだ。受験勉強に充てる時間がない分、いろいろな活動ができることがメリットではないか。

 指導手段は、「IS」「SR」「TM」だけでなく、通常授業でも、より深く学べる時間を取ることができる。しっかりと考えさせることにより、いろいろなことを自分で選択できる人間に育ってもらいたい。それが、一番の願いだ。

 今の大学受験は、文系と理系に分かれてしまう。ところがこれからは、仮に文系分野の社会人になっても、英語と国語だけでなく、理科的な知識がなければやっていけない時代。

 いろいろな情報が求められる時代。幅広く学び、自分の生きる道を自ら決めなくてはならない。様々なことを学んでいた方が、目標を決める時、自分のやりたいことが見つかるはずだ。

 中学校で高校受験がないことは、選択幅を広げるチャンスになる。様々なことに対して、貪欲にチャレンジできる。そのような良さが、中高一貫校にはある。

―鈴木校長先生、本日はありがとうございました

取材先: 仙台二華      (タグ: ,

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