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2017年 08月 19日 (土)

サイエンス・エンジェルへの期待と、中高生読者へのメッセージ
大隅 典子 さん(医学系研究科教授)

2008年1月23日公開


―大隅先生は、サイエンス・エンジェルの生みの親であり、また名付け親だと伺いました。

「サイエンス・エンジェル」って、聞き心地の良い言葉かなと思っています。やっぱり、名前って大切だと思うのですよ。「東北大の理系女子学院生たち」と言うより、愛着がありますよね。「サイエンス・エンジェル」という言葉がふと浮かんできたんです。

―エンジェルというネーミングは、ユニークですよね。

「エンジェル」と言うと、日本では可愛らしいというイメージがありますが、キリスト教では、大天使ミカエルと言って、中性なんですね。ただしエンジェルは、神の使いなので、神からの教えを伝えます。サイエンスエンジェル(以下、SA)はサイエンスの面白さを次世代へ伝える役割、ということで共通点があると思います。

―小谷先生は「SAの活動を通じて、世界の多様性を伝えたい」と仰っていましたが、大隅先生がSAの活動を通して伝えたいことは?

何かを能動的にすることを通じて、SA自身が自分の研究の立ち位置と、社会と科学の関係性を知り、この活動を通じて成長していくこと。「研究だけしていればいい」「ものだけつくっれいればいい」という発想の教授もまだまだいますが、私はサイエンスコミュニケーションは、重要だと思っています。研究は国民の税金で成り立っていますから、社会の理解なくして成立しないものだと考えています。これまでは何をやっているかということを、こちらから発信していくことはあまりありませんでした。しかしながら最近は、科学が細分化・高度化するにつれ、社会と科学が乖離していっています。その間をつなぐ存在が必要なのです。

―社会と科学の間をつなぐ存在として、SA?

SAは、分野が様々です。今回の科学イベントも、それぞれ自分に近い分野、遺伝子、地学のフィールドワーク、認知科学(心理学)をSAが担当しています。科学と言っても非常に広い分野があります。あるイベントを一緒にやると、そこに交流が広がります。相手のやっていることをすべて理解していなくても、友達になっていれば、数年後、数十年後、異分野交流で何かプロジェクトをやらなくてはいけなくなってきたときに、身近な財産になっていると思います。OG会も、早速あるんですよ(笑)。SAは3年間のプロジェクトで、のべ120名を輩出します。その人たちの力を今後活かしたいです。活かす先は、必ずしも東北大に限る必要はないと思っています。

―自分の研究の立ち位置と、社会と科学の関係性を知る力とは、どういうものですか?

SAの活動のひとつに、「母校出張セミナー」というものがあります。あれはNHKの「ようこそ先輩」をモデルにしているんですが、あれ、すごいんですよ。というのは、企画からビジネスレターを書き、直談判するまで、SA自身がすべて自分でやっているんです。企画力・交渉力が培われます。院生が実験だけをしていたら、ない機会です。皆が皆、アカデミアの中で残るわけではありません。サイエンスの中で、活かせる力を養うことが必要です。

―中高生から見て、SAは身近な存在ですね。

一般的に、TVに出るのは出来上がった人です。遠い存在に見えるかもしれない。けれども実際の研究室の中では、若い人たちが一緒にやっています。中高生の皆さんに対して私が言いたいのは、大学に入るのがゴールではないと言うことです。それは絶対に間違いです。ひとつの通過点に過ぎません。大学入学後、理系から文系にいったっていいし、人生いろいろなことを学ぶし、いろいろな生き方があるんだということを知ってほしいんです。SAの活動を通して、どんな人かどんな研究をしているのか、それがいろいろあることを知って欲しいと思っています。

―SAに期待することは?

SAは国のプロジェクトです。今後どうするべきか。東北大SAという形がいいのか、全国展開すべきか、また東北地区に限定するのか。数ヶ月間で決めなければいけません。SAは、「モーニング娘。」みたいな存在。メンバーが入れ替わりしていくけど、SAという存在はあるんです。私はそういう組織のあり方がよいのではと思っています。仙台だけにとどまらず、羽を持って飛びだって欲しい。だってこういった機会があれば、SAの皆さんは柔軟な発想で対応してくれます。若い人のほうが、やはりアイディアが豊富ですね。SAたちも本業の研究があって、ボランティア的な活動として、このSAをやっているわけです。お金だけが目的ではなく、アイディアを出すことの面白さや、子どもたちに「面白い」と言ってもらったときのうれしさで、活動しているのだと思います。普通の研究室の中に閉じ込めているのは、能力を活かしきれていないのでもったいない。直接今やっていることに結びつかないことでも、後々役に立つ。そういう人たちが、社会に出て行ったら、社会はよくなると思います。

―最後に、中高生へメッセージをお願いします。

好きなことを見つけよう。好きなことが仕事・趣味であって、それを長く続けていけることが、自分の心を豊かにすることにつながっていきます。

【大草芳江】

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