「仙台で一番美しい聖堂」０９年１０月完成予定

　神に出会い、神と語る場　―それが聖堂である。同校では「仙台で一番美しい聖堂」をコンセプトに、来年１０月の完成に向け、新しい聖堂を設計中だ（写真は聖堂の外観イメージ）。在校生だけでなく、卒業生や保護者、地域へ開かれた場となる。

　「神に出会い、神と語る場」とは、どのような場なのだろうか。聖ドミニコ学院の「建学の精神」を取材する中で、その意味が少しずつ浮かび上がってきた。

　「建学の精神」は、私立学校がその拠って建つところの精神的な土台、つまり英語で「Spiritual Foundation」といわれる精神的基盤を意味する。それを実現することが学校設立の目的であるため、建学の精神を知ることは、学校の方向性を深く知ることにつながる。

　最後に、聖ドミニコ学院の建学の精神にせまろう。

聖ドミニコ学院の「建学の精神」にせまる

　聖ドミニコ学院は、聖ドミニコ女子修道会の本部から５人の修道女が来日したことから始まった。「カトリックの精神」に基づき、「Veritas（真理）」をモットーとして、神の前に平等な人間として、互いに他を大切にしつつ、神の愛に生きる人間を育成することを建学の精神としている。

　「カトリック精神」とは「神の愛」であり、「真理」とは「神を知ること」と解釈する同校だが、それはどのような意味なのか。毎朝放送朝礼を担当する、メール・マリア・コンソラータ 佐藤廣子教頭に聞いた。

「誰かのように」ではなく、「自分らしく」生きる

　わたしの言葉で言えば、「自分に与えられた恵みに一人ひとりが気づいて、誰かのようではなく、本当の自分自身になる」ということです。

　聖書の言葉で言えば、「多様性の一致」。それぞれわたしたちは、神から与えられているものは違うけど、神のもとで、ひとつという意味です。

　わたしたちはそれぞれ、神からいろいろな賜物を頂いています。キリストの体を中心に、目の人、口の人、鼻の人、それぞれ与えられた恵みは違います。それが多様性です。

　けれども自分は目なのに、鼻になりたい。わたしたちは常に、人のものが良く見えます。しかしながらその前に、自分がどんなものを頂いているかに気づくことが大切なのです。

　神から頂いている恵みを知ることによって、誰かのようではなく、本当の自分自身になることができます。自分が本当に神に愛されていて、自分が何者かがわかったときに、他の人も尊重できるでしょう。

　わたしたち人間は、愛されたようにしか、愛せません。たとえ両親から愛されてないと感じたとしても、わたしたちは生まれながらにして、神に愛されています。だからわたしたちは、神に愛されているように、人を愛することができるのです。

　神に愛されていることに気づけなければ、人を愛すること、人を許すことは難しい。けれどもすべての人は、神の祝福にあずかって誕生しており、誰でも生まれながらにしてかけがえのない存在なのです。

　神は、わたしたち一人ひとりに語りかけています。わたしは小鼓をやっていますが、ある時、はっとするひとつの体験をしました。宇宙の中には、秩序がある。自分を超えた、大きな存在を感じた体験をしたのです。

　人には得意分野があって、神と出会っている場面がそれぞれにあると思います。自分の内的な語りかけ、自分が気づきたいものに、いろんな場面で出会っているのだと思います。

　それでいて本当の幸せとは、自分がやりたいことに気づきながら、最終的には自分の自己実現だけではない、ということを知って欲しいのです。他人のために、神から頂いたものを提供し、お互い、喜びを分かち合ってもらいたいのです。

　すなわち、人と競争するのではなく、神から与えられた恵みに気づいて、本当の自分自身になる。そして自分を大切にするように、他者を大切にする。この言葉に尽きます。

　いろいろな場面において、そのことに気づいてもらうことが、宗教教育、わたしたちのミッションです。生徒たちには、そのような体験をして欲しいと願っています。

ドミニコの現場を訪ねる

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