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2017年 05月 26日 (金)

「カリスマ生物教師」に学べ 高校生物教員らで研修会

2008年12月11日公開

 生徒の好奇心や探究心の芽を、如何に引き出し育てるか。宮城における理科教育の今を探る。

 教員の指導力を向上させようと、理科を担当する高校教員で構成する宮城県高等学校理科研究会・生物部会(久力誠生物部会長)は9日、宮城県第二女子高校(仙台市太白区根岸)で恒例の「教材生物ワークショップ」を開催、県内から高校生物教員ら約40人が集まった。

 生物実験の場合、材料となる生物の入手や準備の困難さなどから、観察や実験は敬遠されがちなのが現状。そこで春期・冬期の年二回、教員らが教材生物を持ち寄るとともに、実験方法や授業方法などについて意見交換や研修を実施、授業での実験実施推進を図る。

「私の歩んだ道...生物教育の実践」と題した加藤俊一さんの講演。「科学はグループ研究によって進歩する。教育もまたグループの研究によって進歩する」との思いから、加藤さんらは有志で「生物教育談話会」なるサークルを結成。宮城や秋田などと合同会を開催することもあった。

 今回で35回目となるワークショップでは、岩手で高校教員として活躍してきた「カリスマ生物教師」の元岩手県立農業大学校顧問教授の加藤俊一さん(78)が、影響を受けた恩師からの言葉や本の紹介を交えながら、これまで歩んできた道のりを講演した。

 加藤さんの授業は、観察や実験を中心とした対話形式で、教科書は参考書という位置づけ。生物室は、植物園、動物園、図書館、受験勉強室などの機能を持てるようにしたい。生物学習に必要と思えば、エントロピーや原子質量単位などの化学知識も導入。教え子曰く「大学の授業みたいだったけど、楽しかった」生物教育を、加藤さんは実践し続けてきた。

 「生徒にはそれまでの理科教育の影響がある。これまでとは異なる授業に、最初は抵抗があるのは当たり前。しかし、それが授業じゃないか。時間はかかるが、生徒は楽しかったと喜ぶ。最後に勝てばよい」と教員らを激励した。

パンジーやランを交配する実習のようす。真剣な眼差しで加藤さんの話に耳を傾ける教員ら。

 実習の部では、米粒や葉といった身近な植物組織を用いた観察方法などを、加藤さんが披露。「頭で考えるのと目で見るのでは、全然違うでしょう」「生徒の疑問から教えられることが多い。説明だけでは駄目だよ」と語りかけながら、長年の経験で培ったノウハウを惜しみなく伝授した。


トルイジンブルーで染色したツバキの葉の横断面。「トルイジンブルーにより維管束の木部と師部を染め分けることが可能」などと加藤さんの話に、教員らは熱心に耳を傾けた。

 作成したツバキやトウモロコシの葉切片を、トルイジンブルーで染色し、維管束鞘の葉緑体を比較しながら光合成の進化を考える実習では、観察結果と身近な自然現象とのつながりを示しながら「形態から生命の働きがわかる」ことを解説。

 「植物組織の場合、トルイジンブルーは0.05%に希釈してください。PH8程度が良いですよ」などと、現場ならではのきめ細やかなノウハウも提供。教員らはうなずきながら、熱心にメモを取っていた。

 加藤さんは、「教科書に載っていないものは嫌だと言う先生が最近は多いが、その時その学校の生徒に合う教材を使おう。一人の努力で及ばないときは、互市の精神で乗り越えよう」と呼びかけた。

 初参加で30代の女性講師は「学校現場では、目先の受験指導を意識しがちだが、こんなに楽しくやっていいのかと元気をもらった。同時に、加藤先生は大変な勉強をされていると感じたので、自分ももっと勉強しなければならないと思った」と話していた。

 同部会の創設メンバーで、部会長の久力誠さん(宮城二女高校長)は、「これまでの理科教育は知識注入型で、現場の教師に実験や教材を見直す努力が少ないのが現状。しかしながら、生徒はなんでだろう?と本気で思えば、自分で勉強をするようになる。決まりきったことを教える方が楽だが、教師は自分でやる決意が必要だ。部会として、今後も情報と勇気を与えていきたい」と話している。

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