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2017年 05月 26日 (金)

仙台の小学校で「自分づくり教育」 仙台市立東六番丁小

2008年3月4日公開

 仙台市青葉区の市立東六番丁小学校(大野榮夫校長)の6年生が、環境負荷の少ない「長七たたき」の技法によりタイルを作成し、 校内中庭花壇回りへ敷設する体験を卒業制作で行った。同校が3年前から「自分づくり教育」の一環として取り組む、「総合的な学習の時間」での実践だ。

 5年生から「自分を見つめる学習」をはじめ、6年生では「達人に学ぼう!自分の道」をテーマに、年間を通して、様々な仕事の「達人」に話を聞き、その仕事を実際に体験する。これらの学習を通して、自分の個性や適性を見つめるのがねらいだという。

 この日の「達人」は、エネルギーを使わず地球環境に負荷をかけない材料を研究する、東北大学大学院環境科学研究科教授の石田秀輝さん。石田さんが児童に指導した「長七たたき」の技法は、消石灰とマサ土を原料とし、叩くことで硬く固まる日本古来の左官技術である。

 年数を経ても充分な強度を保つ耐久性と、火を使わずに固まるという自然環境に対応した工法が、環境負荷の低減が求められる今日注目を集めており、現在はセメントに替わる材料として、アンコール遺跡の修復にも活かされているという。

 講義では他にも、土を使った無電源のエアコンや、カタツムリの殻の防汚効果を応用した外壁材など、土や水、昆虫などの自然界に学び誕生した技術が、クイズを交えて紹介された。

 恒例の質問タイムでは、「他の生き物でも、利用できるものはありますか?」「地球温暖化は20年に1℃上昇するということでしたが、これからもどんどん上昇するのですか?」などの質問が子どもたちから次々と飛び、それらの質問に石田さんは、「それを探すのが重要です。まだ解っていないけれど、たくさんあります」「この50年間で、温度上昇の速度が倍になっています。温度上昇が止まったとしても、海面はこれから3000年くらい上昇し続けます」「今大人である私たちが、二酸化炭素の増加を止めることをします。だからみんなも、二酸化炭素を増やさないようにしてくださいね」などと答えた。

 子どもたちは、「意外と自然のメカニズムが生活に使われていると思った」「自然のメカニズムを知って利用できるようになれば、電気を使う必要性がなくなり、自然にやさしい生活ができると思った」「人間はすごいと思っていたけど、まだまだ自然にはかなわないと思った」などと感想を述べ合い、自然への認識を新たにしたようだった。

 「多様な達人と触れ合うことを通して、子どもたちは相手の意見を取り入れ、自分の意見を考え表現できるようになってきた 」と同校の熊谷裕行教諭。同時に「バックアップしてくださる地域の方々の協力も不可欠」とも話す。

 経済産業省の「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」の委託を受け、同小を3年前からコーディネートするハリウコミュニケーションズ株式会社(仙台市)の菊地淳さんは、「地域コミュニティーが衰退し、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化している。我々企業も地域社会の一員。人材育成に時間はかかるが、企業の持つノウハウやリソースを活用し、できる範囲で人材育成と地域の活性化に参加したい」と話す。

 同校は「自ら関心を持つ、自ら気づく、自らアクションを起こす」というコンセプトを基に実践を展開し、他校の先駆としての役割を果たしていると評価され、今年度、キャリア教育の充実発展に尽力し、顕著な功績を挙げたとして、文部科学大臣賞を受賞している。

【大草芳江】

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