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2017年 10月 24日 (火)

仙台市博物館イベント密着レポート
くらべてみよう!今の光と昔の光(3)

くらべてみよう!今の「光」と昔の「光」

次はいよいよ、昔の光で昔の本を読んでみよう、という体験です。
こちらは、なんと江戸時代の教科書。大事にそっと手にとって見ます。
ちなみに左3冊は、侍が読んだ教科書。
右2冊は、町の人が読んだ、手紙文例集(往来物:おうらいもの)。
侍が読んでいた本は、文字も小さく漢字ばかりでしたが、
一般庶民が読んでいた本は、文字も大きくふりがなもふってありました。

普段、屏風はこのように展示されています。
先ほどライティングを体験したので、学芸員さんの気持ちも
少しわかるような気分になってきましたが(笑)、
すみからすみまで満遍なく蛍光灯の光が当たっているので、
黄金色にまばゆく輝く屏風の美しさをどこからでも見ることができます。

そんな屏風を学芸員さんたちが、移動しはじめました!
意外と簡単にたためて驚きです。
「屏風は今で言うパーテーション(間仕切り)。
展示だといつも、このように伸ばして飾るのが普通ですが、
昔は生活に合わせて、L字型など、自由自在に形を変形させていたのです。
歴史というと、ニュースやダイジェストばかりが注目され、
遠い世界の話に聞こえてしまいますが、
日常的な行動のつながりや積み重ねがあって、今があるのですよ。」
なるほど、このように展示されている屏風を見ると、
何か特別なもののように感じてしまいますが、こういった生活感を
目の当たりにすると、歴史は日常の積み重ねだということを実感できます。
そうなると、歴史をちょっと身近に感じることができますね。
ただ、どうやら見た目どおり、屏風はかなり重いようで、
「屏風の展示会があるときは、必ず腰を痛めてしまう」という
学芸員さんもいるとか。

では屏風や昔の本を、昔の光・行灯(あんどん)の光で見てみましょう!
まるでタイムスリップしたような感覚に、ワクワクします。

こちらが行灯を上から見たところ。
陶製の皿に菜種油を入れ、いぐさの茎中の芯でできた灯心に
点火して使用したそうです。
灯心は当時も高価だったため、灯心を三本つけるのは勿体無いと、
庶民は大抵一本だけだったそう。
「こりゃぁ、早く寝るに限りますなぁ」

左の写真のように、行灯の一面が上に開くようになっているので、
そこから灯りを入れます。
照度計で測ると、明るさは3~5ルクス。
蛍光灯で明るい室内なら大体300~400ルクスなので、
昔は今に比べて、100分の一も暗かった!ということになります。

では、そんな昔の光で、屏風を見てみたら、どうなるのだろう?
しばらく目が慣れるまでは、遠くのほうは暗くてあまり見えません。
目が少し慣れてくると、ぼやっ~と、
行灯の光が当たる場所と当たらない場所ができて、
片方だけの屏風が少し浮き立っているように見えました。
とても神秘的な光景ですが、でも模様はほとんど認識できません。

では、昔の光で本を読んでみたらどうなるでしょうか?
行灯の近くまで寄ってみて、かろうじて字が読める程度です。
しかも行灯から少しでも離れたところは、暗くなって読みづらい...
字が小さい本だと、読めないかもしれないなぁ...

学芸員さん曰く「ちょっと、お遊びでつくってみたの」という、
黄金の屏風で仕切られた小さな空間。
子どものころって、こういう空間が好きなんですよねぇ...
行灯を点すと、光が黄金の屏風に反射して、神秘的な空間に。

「さっきより、ちょっとは明るくなったかな?」
もっと文字が小さい、現代の漫画(伊達政宗の漫画です)
を行灯の光で読んでみます。「字が小さすぎて、読みにくい...」
でも昔の夜の光は、これで明るい方だったんだよなぁ...

最後に、ロビーの大きな窓の前にやってきました。
「私たちは満遍なく光を照らすことになれていますが、
昔の人たちは上から照らされる光なんて、なかったと思うんです。
日本の伝統的な家屋では、横からの光が多かったのではないでしょうか。」
言われてみればそうだ!と樋口さんに言われてはじめて思いました。
わたしたちは、昔のものを、今の光で当たり前のように見ています。
けれども昔の人たちは、たとえ同じものでも、違う光で見ていたわけです。ということは、現代の私たちが見ているものとは違うものを、
昔の人は見ていたということになるのでしょうか?
実際に、屏風を横からの光で見てみました。

これが、横からの陽の光で見てみた、先ほどの屏風です。
いかがでしょうか?
光に偏りが出ていて、明るいところと、暗いところがありますね。

今の光でみる屏風と比べてみると、
その違いは一目瞭然です(右写真)。
蛍光灯の光で見ると、あんなに金色に
輝いていたのに、随分と印象が変わります。

「学芸員としては全部きれいに見て欲しい」という気持ち、わかりますね。
「でもよく考えてみると、これが普通の光。
光に偏りがあることが、普通なのです」と樋口さん。
昔の人にとっては、あの金ぴかに輝くものが屏風ではなく、
きっとこれが"屏風"だったのでしょう。

そういえば、この横からの陽の光は、今も昔も同じ光。
今ここで私は、昔と同じものを見ている。
そんな実感が湧いてくると、なんだか不思議な気分になりました。
普段当たり前すぎて見過ごしていた「光」を通じて、
少し歴史を身近に感じた瞬間でした。

最後におまけ。
これは普段はなかなか見られないものです。一体何でしょう?
実は、先ほどの屏風の裏側なんです。裏にこんなに見事な模様があるなんて!
嬉しくなって、ついつい撮ってしまいました。

【大草芳江】



取材先: 仙台市博物館      (タグ: ,

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