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2024年 11月 21日 (木)

仙台市博物館イベント密着レポート くらべてみよう!今の光と昔の光

取材・写真・文/大草芳江 2008年1月23日公開

12月、光のページェントでにぎわう仙台内外のミュージアムやギャラリーで、「光」をメインテーマにした様々な展示会やワークショップが開催されていたことを、皆さんはご存知だろうか。そのひとつ、仙台市博物館(青葉区)では、「光のダブルイメージ」をテーマに、窓を描き続けるアーティストの作品展示や、様々な「光」に関する資料の展示のほか、「くらべてみよう!今の光と昔の光」という小学生の親子対象のイベントが開催された。「光」をキーワードに、一体どんな世界が見えてくるのだろうか。「光」溢れる仙台市博物館を取材した。

現代の「光」で昔のものを見ることへの問題意識

「最近の子どもたちは、昔のことにあまり興味をもたなくなっている
ようですが、そのおもしろさを伝えたいと思っています」と、
担当学芸員の樋口さん。

今回の親子体験イベント「くらべてみよう!今の光と昔の光」は、
学芸員の仕事のひとつであるライティングを体験してもらうとともに、
行灯や自然の光で、本物の屏風や浮世絵がどう見えるのか、
展示室の光とではどう違うかを比べてみようという企画です。

博物館では、作品が綺麗に見えるように、
蛍光灯等でライティングをしているそうですが、
江戸時代の屏風や浮世絵を、現代の光で見ることへの問題意識も
心の片隅にあると言う樋口さん。

「江戸時代には、もちろん電気なんてありませんから、当時の人たちは、
行灯(あんどん)や、窓から注してくる横からの日の光で、
屏風や浮世絵を見ていたと思うんです。
蛍光灯で綺麗に見えることはよいことなのですが、けれどもそれだけで、
そのものやその時代をわかったことになるのかなぁ、
本当にこれでいいのかなぁという問題意識は、心の片隅にありました。」

実はこのイベント、他の学芸員の方々も興味津々だということで、
イベント当日がお休みの学芸員さんたちも、自主的に参加されるのだか。
いつもとはちょっと違った「光」を体験できそうな、期待大のイベントです。

樋口さん曰く、体験の際には、いくつか注意することがあるとか。
「手を洗うこと」「時計や指輪は外すこと」
さらに、
「屏風の前では、ハンカチで口を押さえること」
「ボールペンは使用禁止。代わりに鉛筆を使うこと」
一体なぜだと思いますか?
それは、昔の本に実際触れたり、屏風に近づいたりする時に
手の油がついたり、ペンのインク、唾等が飛んで作品が汚れることを
未然に防ぐためなんです。
こういうところからも、大切な資料なんだなぁ、という実感が湧きます。

作品によって「光」を変える?!展示の舞台裏を体験

まずは、ライティングの原理を練習します。
光をどう照らすと、どう影ができるかを、実際に体験してみます。

どちらから光を照らすかで、影のでき方が変わりましたね。
ではここで、樋口さんからの問題です。
「影がじゃまにならないようにするには、どうすればよいでしょう?」

「上から照らせばいい!」と会場から声が。
「そうですね。上から光を照らせば、かげがじゃまになりませんね。」
では次の問題。
「この壷には、おじいさんとおばあさんの模様がついているのですが、
このボコボコをもっと綺麗に見せるためには、どうすればよいでしょう?」

この問題は、ちょっと難しかったかな?
「鏡を使って、このように綺麗に見せたい部分を明るくしています」

では、実際の展示では、どのようにして光を調整してるのかと言うと・・・
こんなところにスイッチがありました!

左の写真のように、蛍光灯で、影ができないくらい満遍なく照らしてみたり、
右の写真のように、スポットライトで、影ができるように照らしてみたり。
同じものを展示しているのに、ライティングで雰囲気は変わるものですね。

「実際に、土器をライティングしてみましょう。」
あなたは、どちらの光がお好みですか?

できぼこしていて小さなもの(立体物)は、
スポットライトの光を照らすことで、その存在感が浮き上がります。
上から照らすスポットライトで暗くなってしまう部分には、
先ほどのように鏡を使ったり、横からのスポットライトで照らすことで、
でこぼこを綺麗に見せることができるそうです。

「次に、掛軸をライティングしてみましょう。」
今度は、蛍光灯で照らしたほうが、掛軸全体がはっきりと見えます。
「平面的な作品は、蛍光灯で満遍なく照らした方が、綺麗に見えますね。
このように、どのようなライティングが作品に適しているのかを考え、
作品によって光を使い分けて展示しています」



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取材先: 仙台市博物館      (タグ: ,

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