まわりも一緒にハッピーになることに科学技術を使うことが大事
―そんな半生を生きてきた星宮さんにとって、科学とは?
科学にも、色々なアプローチがあると思うのです。
理学部サイドから見た科学と、工学部サイドから見た科学は
ちょっと違うところがあるんですね。
僕ら工学部サイドから見た科学は、
「未知のものを明らかにすることそのものが楽しい、あるいは美である
(=理学部サイドから見た科学)」こととはちょっと違っていまして、
どこかで必ず人類に対して、役に立つことを重視するということです。
人類に対してマイナスになるけれども珍しいことは、
私達の科学にはありません。
人類の福祉や幸せに、何らかの格好で貢献する要素の大きい科学で、
かつ積み重ねが効くもの。
つまり、今までわからなかったものを様々な努力をして、
そこに少しずつ新しい知恵を加えることで、
積み重ねて次のステップへ行くのは、工学に近い科学技術なんですよね。
一方、理学部のサイエンスは、積み上げていってデザインするのではなくって、
未知なものを非常な努力をして発見することが重要なところがありますよね。
それはそれで尊いのですが、私達の分野(工学部サイド)で言えば、
未知のものにチャレンジして、自分らの工夫を組み合わせて、
次の新しいものをつくりあげていくことが、科学です。
そう言うと世の中には、
「ネガティブなものがあるからやらない」という議論も出てきます。
しかしながら、それでは新しいものは解決できないと思うのです。
今の環境の問題にせよ、食料の問題にせよ、
自然界には、まだまだ知らない、わからないことがあります。
かつ努力によって、新しい分野が切り開かれる場合がありますよね。
むしろ夢をもって挑戦する科学というものが望ましいし、
それに対して努力した方が良いのではと思うのです。
けれどもそのときには、人類の知恵がまだ及ばなくて、
悪いものが悪いと思わずに流したことがいっぱいあったのです。
今も私たちのすぐ傍の排気ガスを考えてみましょう。
自動車エンジンができて、すごく効率的になって、便利になりました。
これまで人間ができなかったことが、できるようになりました。
いろいろな工場が動いて、いろいろな高速なものが動いて、
けれども排気ガスが出たときに、それに気づいたわけですよね。
すると今度は、排気ガスを浄化してなくす技術が新しく生まれました。
今はかなり、前に比べてクリーンなエネルギーになっています。
他にも水だって、昔は東京湾なんて汚くてどうしようもなかったですね。
けれども今は、浄化技術が向上して、東京湾で魚が獲れるようになりました。
つまり、未来にあまり過敏になるのではなくて、
やはり自分だけではなく、周辺の方々とも一緒にハッピーになろう、
というのに科学技術を使うのが大事じゃないかと思うのです。
けれども、その大事さが、子どもさんたちに伝わっていないのが残念ですね。
ですから、我々の努力が足らないからだろう、ということで、
いろいろな学会が、子どもさんのためのプログラムをつくっています。
我々東北学院大でも、工学部の先生方が文科省に申請をして、
3ヵ年プロジェクトで大きな予算を取り、
希望される小学校、中学校の理科の先生に、
新しい学問の進展についての情報を提供しています。
夏休みなど数週間にわたって、21世紀のキーテクノロジーを
先生方に学んでもらう「学び直しプログラム」です。
「今の新しい理科はここまで来ていますよ」と先生方に体験してもらい、
いくつか学校に持ち帰ってもらって、子ども達の理科実験に応用してもらうもの。
大学卒業以来、最近の新しいことを学ぶチャンスが少ない方に触れていただいて、
小さな子ども達に、科学あるいは科学技術が如何に素晴らしいのだよ、
と伝える必要がありますよね。
コラボレーション
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