数字を聞いたときも、「そういう感じがしていたな」と思った
あとは、これまでお話したことについての、
一番新しい資料についてです(取材日時:4月30日)。
◇政府経済見通しの改訂版が出ています。
09年度の見直しを、4月27日、
当初の0%からマイナス3・3%に下方修正しました。
◇回復に向けたイメージは、
我が国経済の回復は、09年後半頃となる見込みです。
◇企業の業況感は大きく悪化していて、
◇生産が急速に低下しています。
ただね、ひとつだけあるのがね、
2月でようやく在庫が減ったのですね。
◇生産の先行きは、上昇が予測されます。
◇「在庫循環図」というものがあるのだけど
自動車と電子デバイスなんかは、比較的、在庫調整が早いのですね。
大雑把に言うと、こういう経済統計って、1ヵ月半遅れなんですよ。
速報ベースでやるのだけど、大体、4月の上旬に我々が発表するものは、
2月末の数字なんですね。
3月末の数字を5月連休明けに発表しますが、
それで今、自分が聞いている話、あるいは自分がまわって聞いた話を言いますね。
まず特に自動車関係は、2月が生産調整のピークだったはずです。
工場の休業期間などを見ると、皆さん、徹底的に有給休暇を消費して頂くような感じ。
2月に一番長いところで、たしか14日間の休業だったかな。
それくらい工場を止めて、生産を減らして、
在庫を減らすという調整をやっていたのが2月です。
ですから逆に言うと、工場を止めると言うことは、
工場で働く労働者の方々の手取りのお給料が減るのです。
基本給は変わらないけれども、尤も残業はないにせよ、
出勤したときに伴ういろいろな手当てなどが、ないわけです。
最近は、パチンコ屋さんが大儲けだと聞いたな。
工場が閉まっているから、その間、手持ち無沙汰の方が行っているとか。
そんな話を聞いていたのが、2月くらいでした。
2月の数字は、生産の方で相当低く出てくる。
4月上旬にその数字を聞いたときも、「そういう感じがしていたな」と思いました。
3月は、ほぼ同じような位でやっているところが多かったんですよね。
ただ、ちょっと戻したところもあるのかな、と思っていたのだけど。
これも5月連休明けに、3月末の数字で、確認を取れればと思っています。
そして4月。
4月の数字というのは、今日(取材日時:4月30日)までだから。
今日までの数字を確認できるのが、6月上旬です。
そのくらいで自動車関係が戻ってくるかなぁ、という期待をしています。
あとは電子デバイスや、いわゆる家電。
そのような影響を受けているところは、なかなか様子が見切れなくって。
自分がまわったところの感じから言うと、
「少し動きがありますよ」という話を聞いたのが、
ちょうど4月10日過ぎくらいからですかね。
最近は聞いていると、世界的には中国で、
デジタル家電などで動きがあると聞いています。
いろいろな家電やPCで使う、
フラッシュメモリの受注が来ていると聞きますね。
それから後は、これは当たり前ですが、
◇稼働率や生産能力が下がっているから、
設備を増強するメリットがないため、設備投資は減少している。
唯一こちらの方面で、良い方向に聞いているのが、パナソニックEVエナジーさんが、
建設中の宮城工場(宮城県大和町)の稼働開始を前倒ししたことですね。
パナソニックEVさんがつくっている、ハイブリット用の電池が足りないのです。
ハイブリットに限って言うと、今、4月に申し込むと、納車は7月になっているんだそうですね。
ところが電池が足りないから、パナソニックEVさんが
こっちでつくる工場の稼動が前倒しになったんだそうです。
そういう意味では、省エネ・環境対策などですね。
◇設備投資計画は減額が見込まれていて、難しい。
◇銀行の貸出が増えています。
なぜ増えているのかと言うと、社債市場の起債が難しいから。
逆に言うと、銀行貸出にオファーが来ているということ。
◇雇用は、急速に悪くなっているのですけど、
実は、ミスマッチが生じていると考えられます。
◇これはミスマッチの色々な例なのだけど、
例えばね、企業の求人が多い職種が結構あります。
介護業界はよく知られていますね。
あとは、情報サービス業界。
そして、警備業界。
有効求人倍率が4.02と、最も高い保安職業従事者とは、
いわゆる警備員とかガードマンとか、そういう人たちです。
これは求人が多いのだけど、きつくて危ない職場だと思われているから。
逆に、事務職希望の人が多いけど、そこまで事務職は必要ない。
ミスマッチとは、そういう感じなのですよね。
◇地域別に見た我が国輸出数量
あとは輸出もね、アジアがしばらくプラスだったのだけど、
今はどの国も、みんな悪いという状態。
それがここ最近かな、今年に入ってからじゃないかな。
アジア、特に中国が旧正月が終わってから、戻ってきていると言われています。
◇世界経済の動きでは、アジアがやはり戻りはじめていて、
一番動きが遅いと言われているのが、ヨーロッパです。
アメリカは、底は打ったかな、というくらいだと思います。
ここまでは、どちらかと言うと、世界経済や日本経済の動き。
管内の地域でお話しする時は、大体こういう資料を使って、お話をしています。
「どうですか?」と聞くだけでは、芸がない
それで今我々が、先程お話したように、
本来なら3ヶ月に1回やるけれども、今は1ヶ月に1回ずつやっている
◇「拡大局長会議」の最新版の資料が、これです。
4月の東北においては、基本的には先程お話したことと同じで、
生産は急速に低下、設備投資は下方修正、先送りの動き。
これは福島のデンソーさんや、岩手の東芝さんも遅らせるって、発表しているから。
◇これが、東北管内の有効求人倍率なのだけど、
これも皆、自分自身も3月以降にまわりはじめて、
低いところと、急激に下がったところを、聞いています。
一番低いところは、青森の五所川原で、有効求人倍率0.08。
すごいと思わない?こんな数字があるのですか、って。
五所川原はもう一回行ってみてと思っているのだけど、
五所川原の人も「本当にどうしようもない」って言うんだよね。
それから、秋田の本荘は、0.24でしょう。
岩手の北上も、0.23。これもすごいでしょう。
宮城だと、古川(0.25)と白石(0.25)ですね。
白石市長のところにも、行かないとね。
白石の風間市長とは、これまで5回くらい会ったかな。
福島はね、数字はそこまで悪くないのだけど、
会津若松の0.40とか、結構厳しいよね。
山形の米沢は、0.30でしょう。
それで自分がみんなと相談してやったことが、これまでの流れで言うと、
10月31日に緊急保証を入れて、
11月頭から、先程お話したように、大臣から「まず金融からまわれ」と言われたでしょう。
あとは、中小企業へのヒアリングなどをしました。
毎年『元気なモノ作り中小企業300社』を選んでいるのですが、
東北ですと今年度分は26社、これまでの3年度分で72社や、
それ以外の中小企業のヒアリング、あとは関係者との意見交換などを、ずっとやりました。
もともとは、景気の状況を確認するためにそうやれ、
とだけ、言われていたのですけどね。
けれどもね、現場の人たちが忙しい中、「どうですか?」とだけ聞いて、
それを本省に報告して「有難うございました」と言っても、芸がない。
そこで、年末くらいからかな。
皆に、もちろん自分もやるのだけど、ヒアリングに行く時に、他に少し問題意識を持って、
「次の景気対策で何があれば、皆さんの今の状況にもっと役立ちますか」とご要望を聞く、
ということもやったんです。
金融対策でいろいろやったものに、
産業界、自治体からいくつか意見をもらったんですね。
それを本省の上の方に話をして。
各部長さんや課長さんたちに、それなりにやってもらったりして。
「もうちょっと、こういう新しい支援策を考えてもらえないか」と、中小企業庁の上の方に話をして。
その結果、金融の方は、年度末の資金繰りが喫緊だったのですが、
緊急保証に加えて、セーフティ金融機構の体制の強化など、
これが結構全部、1月31日や2月23日に、組んでくれたんですよ。
ですから3月上旬ぐらいから、地元で資料を使ってお話しする時には、
「僕は、もう年度末にむけて、これだけの対応をとりました」とお話できた。
要するに本項目に対応して、要望事項があって、それを組んでいたわけです。
ですから「皆さんから聞いたことで、これは準備していますから、
年度末はこれで行きます」と説明することができました。
そうすると今度はね、この4月10日に決めた、
景気対策の準備を本省でしている頃に、逆に「何をやればいいですか」と、
それぞれにざっと聞いたんですよ。それを今度は、本省にも伝えて。
それで、4月の頭かな、
今回は、国会の都合で、拡大局長会議みたいな格好ではできなかったので、
大臣にだけ報告をする形でした。
そうしたら、その後に「各地域で有力者から生の声を全部、箇条書きでいいからつくれ。
それを俺のところへ届けろ」って、大臣から言われて。
それで、これを出した。
◇【東北】国や経済産業省の施策について地域の声
これはね、私自身がいろんなところをまわって、直接いろんな人から聞いていること。
たしかね、この指示がうちに飛んできたとき、僕は出張中だったのね。
けれども「こういう風に指示が来たので、つくって出します」と言って、
うちの総務課の方で書いて出しちゃっている。もともと全部聞いていることだからね。
「地元の有力者がどんなことを言っているのか、局として調べておけ」
と発注から締切まで、だいたい1日くらいだったかな。
だけど、うちは全部やっていたから。
「どれを入れようかなと選んで、勝手につくって出しました」とか言ってたな(笑)。
基本から言うと、これが4月10日に決めてもらったやつ。
◇成長戦略~未来への投資~(経済対策閣僚会議資料4月10日)
これは今、4月10日に決めて、27日に国会予算に出したのかな。
審議が5月中に終わってくれると、そこから1~2ヶ月間程かけて、
中身はこれから全部つくらなきゃいけない。
けれども、もともとやっているやつを、これに入れてもらったわけだから、
うちの局は、あまり慌てていないのですよ。
ただね、ひとつだけ提案するのを、ころっと忘れていたことがあって。
「新連携」。本省で用意しているのかなと思ったら、
本省でも気づいていなくて、今頃、皆で多少慌てているよ。
それはちょっと、気づいてあげられなかったな。次に工夫するかな。
それで成長戦略、具体的には、こういう感じで全部やっています。
◇将来の成長に向けたシナリオ(麻生総理スピーチ資料4月9日)
2020年の目指す以下の将来像に向けて、
①低炭素革命で世界をリードする国
②安心・元気な健康長寿社会
③日本の魅力発揮
「10大プロジェクト」があります。
◇低炭素革命で世界をリードする国
住宅用などの太陽光発電補助金やエコカーなどの買替促進策は、
全国一律なので、そういうのはいいのだけど。
今、宮城県と相談して動かそうとしているのが、
これは動くかどうかわからないのだけど
「電気自動車等の最先端モデル都市」です。
◇安心・元気な健康長寿社会
地域医療再生は、もう一回、
これからやらないといかんですね。
◇日本の魅力発揮
あとは、「農商工連携」。
植物工場とか、コンテンツ産業の輸出促進とか。
これらはどちらかと言うと、もともとこっちで、
いろいろなところで話をしてもらったやつを入れたので、
あとは、現場の方でやるでしょう。
地域で勝負ができる
これだけのプランをつくってはいるものの、実は、
この雛形は去年9月の時点で一度つくったものがあって、
その中から急いでいるものだけを、そのまま取り出すイメージで書いたんです。
その昨年9月の時点で決めているものの中に、
地域の「底力」云々、と言っている理由を言いますね。
「この地域もすごくなったなぁ」と思ったのは、
昔だと、こういう状態(不景気)のときって、結局最後は公共事業、だったんです。
つまり言ってしまえば、国の財政がある程度豊かな時期はね、
ひとつの大都市圏や、世界で勝負できる大企業に、日本の経済をひっぱってもらい、
そこで得られたお金を、いわゆる国から地方へお金を流すというように、
公共事業や地方交付税交付金という格好で、各自治体にばらまいていたんです。
けれども国家財政も、地方財政も、そういう時代じゃない。
逆に言うと、大企業だけが世の中を引っ張るのではなくって、
例えば農商工連携や『元気なモノ作り中小企業300社』のように、
その分野ではオンリーワンで、世界で勝負できる、
というところがあれば、地域で勝負ができるわけですよ。
一兆円の大企業と比べれば、確かに効果は相対的に小さいかもしれないけれど、
それ以外のところでやっておくことで、かえって基盤ができるわけでしょう。
そうことをやりましょう、というのを掲げたのが、2006年ですね。
◇新経済成長戦略が目指すもの(06年策定時)
その2006年には想定していなかった課題
(我が国経済が直面するこれまでにない中長期的・構造的な課題)を踏まえて、
一回書きかえて、その方向でもう一回やりましょうというのが、2008年9月。
◇我が国における産業活動の革新等を図るための
産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(仮称)
当時はどちらかと言うと、民間中心にやれないかという話でしたが、
今回の改正では、景気も悪いので、国費を入れて一緒に進めましょう、という話をしています。
◇TOHOKUものづくりコリドー・連携ネットワーク
あとは例えば、半導体、自動車、医療・福祉機器で、
そのような取り組みをできないかという話です。
◇[自動車分野]イノベーション創出会議の開催
自動車分野では、先程もお話したように、単に売り込むだけでなく、
一緒に開発から行うための場づくりもしています。
◇[半導体分野]東北大学情報知能システム研究センター(仮)との連携
半導体も同じように、東北大学の先生方と連携しています。
◇東北地域における医療・福祉機器産業の開発支援拠点の形成に向けた取組
医療機器関連は、東北大学の研究成果と福島に、けっこう産業集積があってね。
そこを基軸としながら、東北管内の関係先を全部入れて、形をつくっています。
◇東北地域における産学官連携の強化について
各大学の先生とのネットワークがあります。
ここに名前がある人たちは、自分自身が、最低2回以上は行った人たち。
これだけの中身を掘り起こして、全体には1000億円くらいの予算補正がついています。
それをこれからどうやって取り組んでいくか、という話です。
◇東北地域における低炭素・資源循環社会システム導入調査の実施
~「東北地域低炭素・資源循環社会システム導入検討委員会」の設置~
あとは、低炭素社会に向けた取組について。
◇低炭素社会に向けた先進地域づくりプロジェクト
~低炭素社会に向けた技術シーズ発掘・社会システム実証モデル事業~採択結果
これは、20年度の採択結果。
◇EV・pHV導入による低炭素地域モデル構築事業(青森県)
青森の例。
◇燃える一般廃棄物の炭化加工機による低コスト・低炭素型地域社会の構築(福島県三島町)
福島の例。
これは、今年1月からはじまったもの。
こういう例を紹介しながら、次ができないか、と話をしているところです。
チャンスはあると思っています。
◇[別紙]中小企業の皆さんへ 中小・小規模企業を全力をあげて応援します!
難しい言葉だけで書くとわからないので、
そのうち、中小企業向けの分だけは、
カラー刷りのパンフレットにしました。
とにかくまずは、関心があるところを見つけたら、ご相談下さい。
そのようなことを、うちではやっています。
コラボレーション
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