結局最後は、人と人との関係
これは、自分の仕事のやり方みたいなところですけど、
結局最後は、どんな仕事をしていても、人と人との関係でしょう。
だから、ある人と会って話をするというときに、
少なくとも最低2回は会わないと駄目だと思っています。
その人とまともに仕事を組んでやろうと思うのなら、
最低3回以上は会わないと、そういう関係にはならない、
という思いがあってね。
ですから結構しつこく、同じところに行っているんですよ。
ちょっと話をずらしていくと、日本でね、我々仕事をしていると、
地域の政治環境には敏感になりますよね。
例えば山形は、結果として1月の選挙で、知事がお変わりになった。
今の知事が着任したのが、2月14日。
僕ら局長の立場からすると、大体、県に行ってお相手するのは、
知事さんか、副知事さんなのでね。
今回のようにお変わりになると、話のしようがないわけです。
なんで今、こんな話をしたのかと言うとね、
これは当たり前ですが、普通は新しく知事さんに着任されても、
普通は、いったん県議会が終わらないと、僕ら県外の人とは、
話をする準備もできないんですよ。
新しい知事が当選して、そう遅くなく最初に県議会があります。
新知事に対して、県議会の先生方が、地元の声を代弁して、いろいろ聞かれるわけですね。
そこで要するに、新しい知事さんの県知事としてのポジションを一度議論するわけでしょう。
県議会は通常3ヶ月に1回ですから、それが終わるまでは落ち着かないわけです。
山形県知事の吉村さんに最初にお会いしたのは、3月8日ですかね。
そこでちょっとお会いして、いろいろとやりとりをして。
それと普通、県知事も変わられると、副知事も変わられるのでね。
実務的なことは、副知事さんがやるので、副知事さんとも、
いろいろとやりとりをしておかなければいけない。
それは、先々週、行ったのかな。
実は4月に、山形で講演をして、いろいろな話をしました。
たしか、4回だったかな。
山形で、人が変わって、体制が変わっている間に、
我々はいろいろな景気対策や補正などの準備をしていたのですが、
先程もお話したように、その間、山形県の方は、実質的には機能していないわけです。
知事選があって知事が変わられるということは、県の中の人もまた変わるということ。
ですから、こちらが作業をしている間、山形県庁の方と、相談しようがなかったわけです。
かと言って、もう予算を組んでいるし、他の県とは相談していますから、
山形だけほったらかすわけにはいかない。それで、4月に何度も行ったわけです。
あとは、秋田県の前知事の寺田さん。
前知事とは親しくさせて頂いていたのですけど、
もともとご本人が3期で辞めると仰っていたので。
新しい知事さんが、佐竹さんになられましたね。
まだお会いしていないですけど。
逆に言うと、秋田とは事務的にはできているので、この連休明け、
大体こういう方向で持って行きますよ、というのをご説明に行くことは決まっています。
各県の知事さんで、一番会った回数が少ないのは、
どちらかと言うと、岩手県の達増さんかしら。
達増さんにも、5、6回、お会いしていますから。
福島県の佐藤さんとも、全部で7~8回くらいは会っていますよ。
ですから、本当に必要あれば、電話をかければ、
というくらいに、話が通じるようになっています。
青森の三村さんも、そうですね。
青森に行ったときに、大体10分、15分、お話をすれば、
それくらいで話ができるようになっていると思っています。
宮城県の村井さんには、あまり県庁で時間をいただきに行ったことはないですからね。
大抵、いろんなところで会っていますから。
ですから方向感さえ、表しておけば。
そんな感じで、各県、主要な市町村とは、お付き合いをしています。
厳しい時代だが、やれることがある
産業などを見るために東北を歩いたのは、96年以来ですかね。
その前にこの辺りを見たのは、87、88年くらい。
ですから、自分がここに局長として来る前、
だいたい10年前、20年前の僕の印象から、
今の東北の状態について、その感想を言いますね。
すると、ちょっと変な言い方かもしれないですが、
産業の力という意味では、本当に力がついたな、という印象です。
今は少しずつ戻りつつありますが、
今回、「自動車不況」と一時期言われる位、
自動車業界が急速に冷え込みました。
その影響もあって、有効求人倍率も下がり、
非正規雇用の方の解雇人数も増えています。
けれども裏返しの言い方をすれば、まず20年前だったら、
このような影響を受けているはずがないんですよ。
なかったんですから。
それだけの影響を受けていると言うことは、
世界あるいは国内の自動車市場で、景気後退のダメージを受けたときに、
全国の主要な自動車産業の拠点と起きていることと同じことが、
北上や米沢で起きている、ということです。
逆に言うと、それだけの影響を受けるだけの力を、
東北の地域で、持っているということです。
これは20年前にはなかったし、
僕が96年に歩いた頃にも、まだそこまではなかったでしょうね。
それから、もうひとつはね、
もうちょっとこれで何かやれないか、工夫ができないか、という点について。
日本全体では、本格的にベンチャー企業の育成、あるいは産学連携という
仕組みをつくって動かし始めてから、だいたい10年なんですよ。
こっちに来て、仙台で東北経済連合会を中心に組んだものや、
鶴岡にある慶応大学生命科学研究所を中心とする産学連携や、
花巻で地元の企業育成のしくみなどをつくったりしています。
感覚的に言うとね。
もちろん正確な数字まで押さえているわけではないですが、
東北でそのような動きが本格化したのは、2001年から03年位なんですよ。
先程もお話したように、国の制度をつくったのは、98年から99年くらい。
ですから多分、全国的に見ると、本格的なスタートはちょっと遅れたのはないかと思うんです。
ところがそこから先がね、他の地域と比べると、うんと地道にやっているんですよね。
僕のアメリカでの経験とか、人の経験とか、アメリカでやって日本に戻った時の経験でも、
それなりの形が出るまでに、大体、6~7年はかかるんですよ。
そこまで持ち堪えられなかったら、大体3年で終わっちゃうんですけど。
東北のケースを見ていると、スタートは遅いけど、その後は粘り強いですね。
ようやく来年か再来年に、形が出てくるころでしょう。
ですから東北は、先程言ったように、製造業では力がついたと思うし、
開発や産業振興、ベンチャー育成などの世界で見ると、粘り強いなぁ、と。
今感じているところは、そういうところです。
そういう意味では、厳しい時代だけども、やれることがあるよな、というところですかね。
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