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2020年 07月 08日 (水)

<レポート>産総研EBISワークショップ「燃料電池自動車が拓く水素社会」、元・トヨタ自動車燃料電池開発部長がFCV開発の意義と動向を解説 取材・写真・文/大草芳江

2020年02月21日公開

 産業技術総合研究所東北センター(以下、産総研東北センター)が東北地域新産業創出に向けて、産学官金"協奏"による新たな企業支援の試み「Tohoku Advanced Innovation Project(TAIプロジェクト)」を2018年夏からスタートさせた。産業・技術環境の変革の波に乗って企業が大きく発展できるよう、主に経営層を対象に、さまざまな先端技術を体験できる勉強会「EBIS(Expanding Business Innovations for executiveS)ワークショップ」を開催している。2019年度に東北各県で実施されたEBISワークショップの模様をレポートする。

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※ 本インタビューをもとに産業技術総合研究所様「TAIプロジェクト報告書」を作成させていただきました。詳細は、産業技術総合研究所東北センターHP「TAIプロジェクト」をご覧ください。


2019年度 産総研東北センターTAIプロジェクト EBISワークショップ「燃料電池自動車が拓く水素社会」レポート

「燃料電池自動車が拓く水素社会」のようす=12月20日、仙台ロイヤルパークホテル(仙台市)

 「脱炭素社会」の切り札として、使用時に二酸化炭素を排出しない水素が注目される中、水素を燃料とする燃料電池自動車(以下FCV)をテーマにした勉強会「燃料電池自動車が拓く水素社会」が12月20日、仙台ロイヤルパークホテル(仙台市)で開催され、東北の中小企業や支援機関等の担当者ら17名が参加した。

産総研東北センター所長の伊藤日出男さん


東経連ビジネスセンター長の西山英作さん


技術研究組合FC-Cubic専務理事の大仲英巳さん

 中小企業に新たな事業の柱につながる気づきの場を提供しようと、産業技術総合研究所(以下産総研)東北センターが昨年度から東北各県で開催する「TAIプロジェクト(Tohoku Advanced Innovation Project)」の勉強会「EBISワークショップ(Expanding Business Innovation for executiveS Workshop)」の一環。勉強会では、はじめに主催者の産総研東北センター所長の伊藤日出男さんが同プロジェクトについて紹介を行い、「東北に革新を起こすため、中小企業の皆様に次の一手の気づきを得ていただくための勉強会。講師を交えてとことん議論を突き詰めてほしい」と呼びかけた。続けて、共同で主催した東経連ビジネスセンター長の西山英作さんがあいさつし、「中国がFCVに方向転換する等、国際的なトレンドとして注目を集める水素・FCVについて、第一人者の話を吸収したい」と語った。

 講師は、技術研究組合FC-Cubic(東京都)専務理事で、元・トヨタ自動車燃料電池開発部長の大仲英巳さんが務めた。大仲さんはFCVの開発の意義や国内外の動向について解説し、「FCVの普及と水素社会の実現は、エネルギー・環境問題への対応や国際競争力向上に重要な意義がある」と強調。さらに燃料電池は自動車以外の幅広い分野にも展開できるポテンシャルが高い反面、技術的課題が多く残されていることも語った。講演後は講師と参加者による議論の時間が設けられ、FCV開発・普及の方向性や知財戦略、水素・燃料電池分野新規参入の方策等について活発な質疑応答が行われた。また、トヨタのFCV「MIRAI(ミライ)」の試乗会も実施された。

経済産業省東北経済産業局地域経済部次長の柏芳郎さん

 最後に、後援した経済産業省東北経済産業局地域経済部次長の柏芳郎さんがあいさつし、「東北でも水素関連のプロジェクトが進む中、経済産業省の水素関連の予算規模も拡充傾向で、次年度は総額700億円になる。水素社会の実現に向け、当局内でも横断的に情報共有しながら取り組んでいる。支援メニュー等に関しては、私ども東北経済産業局に、気軽に問合せいただきたい」と呼びかけた。

 EBISワークショップの詳細レポートは、以下の通り。


講演レポート「燃料電池自動車が拓く水素社会~FCVの開発の意義と動向~」
/技術研究組合 FC-Cubic専務理事、元・トヨタ自動車燃料電池開発部長
 大仲 英巳 さん

◆ はじめに

 私はトヨタ自動車で、MIRAIの前のモデルまで燃料電池自動車(以下FCV)の開発を行っていました。もともと入社以来エンジンを開発していましたが、1999年、トヨタで燃料電池を本格的に開発することになってから、約20年ずっと燃料電池に関わっています。現在所属している技術研究組合FC-Cubic(燃料電池関連企業や大学、産総研が参画)では、産業界の燃料電池及びそのシステムの開発を支える共通基盤的な研究を行っています。世界は今、水素・燃料電池へ、非常に速いスピードでシフトしています。その動向等を本日の講演ではご理解いただきたいと考えています。


1.背景

◆ 自動車に求められるゼロエミッション

 はじめに、世界の自動車保有台数の推移をご覧ください。日本は若干頭打ちですが、途上国等を中心に、世界では自動車保有台数が増えています。産業としては歓迎すべき状況ですが、一方で周辺環境に与えるインパクトは大きくなり、エネルギーの多様化やゼロエミッション化(排出物がないこと)が自動車には求められています。
 国連の気候変動に関する政府間パネルの報告書にも、「自然災害による被害は、今まさに我々が直面している大変重要な事実」と報告されています。もし2100年に世界の平均気温が3度上昇すれば、日本近海ではいつでも台風が発生し、冬季オリンピック開催場所が現在の21箇所から13箇所へ減少する等と報告されています。すでに日本でも季節外れの台風が発生し始め、米国では今年3つのハリケーンで約3兆円の被害が出ました。「このままでは百年に一度の災害が毎年起こる」と叫ばれるほど、環境・エネルギー問題は待ったなしの状況です。


◆ 自動車業界に大影響を与える中国の変化

 次に、主要国の四輪自動車の販売・生産・保有台数をご覧ください。販売台数で日本・米国・ドイツは一大販売国ですが、これら3国分を足しても中国の方が上回るほど、中国が大市場になっています。中国の動きが自動車業界に大きな影響を与える背景です。
 中国政府は、北京等での深刻な大気汚染問題に対する世論の高まり等を受けて、2019年、自動車メーカーに10%の新エネルギー車の製造・販売を義務付ける規制を導入しました。新エネルギー車とは電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)、FCVが対象で、ハイブリッド車(HV)は除かれています。それまでは米国や欧州、日本が環境規制で先行していましたが、それを上回る規制を中国が開始したのが今の状況です。
 中国が水素・燃料電池へと大きく舵を切ったのは、中国の李克強総理が2018年に日本を訪問した際、トヨタも視察され、水素・燃料電池を理解して帰国された直後です。中国政府がEVへの補助金を2020年で打ち切り、水素・FCVへ補助金を回した動きが象徴的です。
 もうひとつは、中国政府の科学技術のトップから「国際的にオープンな取り組みを行い、国際的な基準にも整合する」「世界トップの水素・燃料電池国家である日本のロードマップを参考にする」と表明がありました。これは今までの中国の意識とはかなり変わっています。今は補助金政策中心ですが、それだけでなく、根としては技術が重要で、産学官連携体制で進めたいとの相談を受けています。米中貿易戦争も長引いていますが、世界と協力していく方向へ、中国の意識も変化しつつあるようです。


◆ エネルギー多様化・ゼロエミッション対応の急加速化

 自動車がお客様や社会から求められるものとは何でしょうか。現在の課題を考えると、「電動化」「自動化」「知能化」のキーワードで開発を進め、自動車をめぐる100年に1度の大変革に対応する必要があります。そして環境問題に話を絞れば、これまでのガソリン車やディーゼル車の改良に加えて次世代車の開発を加速させる必要があります。現在の主流はHVや、HVに外部充電機能を追加したPHV等の低エミッション車です。さらに、ゼロエミッションの達成に向けて、バッテリーEV、あるいは水素を使ったFCVが求められています。そこで現在、電動化・電子制御化は必須のキーワードで開発を進めている状況です。


2.燃料電池自動車の特長と意義


◆ なぜ今、水素が将来の有力なエネルギーとして注目されているのか

 なぜ今、水素が将来の有力なエネルギーとして注目されているのかについては、こちらの映像をご覧ください(参照:トヨタ「MIRAI」公式ページ:https://toyota.jp/sp/fcv/h2guide/)。水素エネルギーが注目されている理由、その1は「使用時の二酸化炭素排出量ゼロ」。その2は「ほぼ無限に作り出すことができる」。その3は「貯められる・運べる」です。ただし、「水素社会」と言うと、「水素が主役」と誤解されることも多いですが、水素は決して主役にはなりません。やはり、一番使いやすいのは電気です。あくまで電気が主役で、電気を貯めたり・運んだりするところを水素でうまく補完してやり、全体としてうまくエネルギーをマネージメントするのが水素社会と理解するのがよいと思います。


◆ 自動車用燃料電池の原理と構造

 水素の活用で、ひとつの流れになっている燃料電池ですが、いろいろな種類があります。自動車用には、固体高分子形の燃料電池が最適と考えられ、各社で基本的にはこのタイプの燃料電池の開発が進められています。その一番の決め手は低温機動性で、「マイナス30度でもすぐに車が走ってほしい」ニーズに対応できるのが固体高分子形です。

【写真】自動車用燃料電池の原理について

 固体高分子形燃料電池の原理を、簡単にご説明します(写真)。固体高分子形燃料電池は、真ん中に(固体高分子の)電解質膜があり、それを2つの触媒で挟む構造になっています。電解質膜は、昔はだいぶ厚かったのですが、今は料理用ラップより若干厚いくらいまで薄くなりました。電解質膜は、水素を分子のままでは通しませんが、水素イオンならば通します。燃料電池のマイナス極(水素側)に水素が供給されると、水素は電極の触媒上で電子と水素イオンに分解されます。水素イオンは、マイナス極から電解質膜を通ってプラス極(空気側)に移動し、電子は燃料電池の外部回路を経由して、空気側の触媒で、流れてきた電子を受け取るとともに水素イオンと酸素分子が結合し、水だけが生成されます。このようにして電子を取り出し、電子が流れる回路をつくることで、電気が発生するという仕組みです。
 燃料電池は、水素を電気化学的に反応させるため、非常に高効率なのが特徴です。MIRAIも、ハイブリッド制御が入っているものの、水素エネルギーの約65%が車(のモーター)を回すエネルギーとして使われています。従来の内燃機関自動車では、ガソリンエンジンの場合で20%未満、ハイブリッドの場合で30%強でした。燃料電池にすることで、約65%と高効率になるため、必要な燃料も減りますし、水素を使えば走行中の二酸化炭素は排出しないことになります。
 燃料電池の構造については、まず電解質膜の両側に触媒(白金や白金系合金が使われる)を塗ります。触媒と一緒に(電極として)カーボンを塗るため色は黒くなります。大きさはA4サイズくらいです。外側に水素と空気を供給する通路が構成された「セパレーター」があり、これでサンドイッチしたものが1枚のセルになります。1枚のセルで出せる電気は多くても1ボルト、そこから負荷を引くと0.6ボルト程度と乾電池より少ないです。ですから、セルを直列で数百枚つなぐことで(パッケージ化したものを「燃料電池(FC)スタック」と呼ぶ)、約300ボルトという高電圧を達成し、車のモーターを回すという原理です。高電圧になるため絶縁をしっかり確保して車に乗せています。現在のMIRAIのFCスタックは、今回例として挙げた2002年モデルから3分の1くらい小型化・軽量化されています。


◆ 燃料電池自動車の特徴

 FCVの特徴として、水素は多様な一次エネルギーから製造可能なため、再生可能エネルギーの余剰分で水素を作れば、非常にクリーンです。また、走行中の二酸化炭素はゼロです。車の二酸化炭素対策の場合、排出後のガスを集めての処理は非常に困難なため、まずは走行中の二酸化炭素をゼロにして、次にその燃料を作る過程の二酸化炭素をゼロにし、トータルとしてゼロエミッションを狙う考え方になります。それが水素の活用により実現しやすい、ということです。また、走りの楽しさを生む点も従来の車とは違います。モーター駆動車ならではの滑らかな走りと静粛性で、非常に加速が良く、特に低中速のレスポンスが良いのが特徴です。
 EVとの差で一番大きな特徴が、使い勝手の良さです。たとえ環境に良くとも使いにくい車は普及しませんし、普及しなければ、環境に貢献することができません。そのためには、従来の車と同様の使い勝手を確保する必要があります。FCVは、普通にエアコンを使って路上走行しても500km以上走りますし、水素充填時間は約3分です。また、マイナス30度でも従来の車のように走ることができます。さらに非常時用電源としても有効です。水素満タン状態のMIRAIで一般家庭5日分、FCバスで避難所約5日分の電気を賄う機能を有しています。環境にやさしく、同時に従来車と同様の使い勝手が両立できているのがFCVの大きな特徴です。


◆ 水素・燃料電池自動車を導入する意義

 水素・FCVを導入する意義として、将来的には再生可能エネルギーへのシフトが必要という動きの中、先程も申し上げた通り、これからも基本的には電気が主役です。ただし、電気は大量に貯めたり遠くへ運んだりすることが不得意なため、その間、水素に一旦変えて、もう一度電気に戻す、あるいは、その水素をエネルギーとして使う等、水素と電気をうまく使うことが大切です。このように社会のエネルギーマネージメントの一翼を担います。
 もうひとつの意義は、産業的な観点からです。先程ご説明したFCスタックのほか、高圧水素タンクがFCV専用部品です。このほか、車を走らせるモーターや高電圧の制御装置(パワーコントロールユニット)、駆動用バッテリーは、EVやHVと同じ部品を使用します。この組み合わせがFCVの主な部品構成です。これらは日本が技術的に得意で先行している分野のため、水素・燃料電池分野が伸びれば、日本の産業的な国際競争力が向上し、新しい産業の雇用創出にも貢献できると考えています。


◆ EVかFCVか。これからの電動自動車の棲み分け(普及イメージ)

 「EVか、FCVか」という議論は、自動車業界ではほとんど行われていません。両方とも大事な技術であり、しっかり開発して、それぞれの使いやすい業態で使用することで、ゼロエミッションを達成しようというのが共通認識です。日本のメディア等ではまだ「EVか、FCVか」という質問が出ますが、海外ではそんな質問をするメディアは正直いませんね。
 普及イメージは、EVは街乗り中心の小型車、中長距離から大型まではFCVでカバーし、この両方でゼロエミッション達成を目指すコンセプトは各社でほぼ共通です。ただし、技術的にはまだ解決すべき課題があり、コスト等も高いため、その間はHVやPHVで、ゼロではありませんが、二酸化炭素低減を図ろうというコンセプトです。
 EVとFCVのシステムコストを比較します。500km走るEV自体は、簡単に作れます。バッテリーをどんどん載せればよいだけです。ただし、バッテリーを載せるほど重くなり、当然ながら、コストも高くなります。燃料電池の場合、水素があれば航続距離は伸ばせます。したがって、航続距離約100~200km以下のところでEVが優位になり、それより長距離はコスト上FCVが優位というで、各社とも開発を行っています。


◆ EV最大の課題は、充電時間と電力インフラ

 「EVの課題は航続距離」とよく言われますが、EVの最大の課題は充電時間と電力インフラです。例えば、日産新型リーフのバッテリー容量は40kWhに対して、一般家庭は1kWh弱です。夜にEVを一斉に充電し始めると、一台で一般家庭40軒分ずつ電気を使っているのと同じことが起こるわけです。一時的に多量のEV充電が重なっても停電しないように電力インフラを整備しなければ、多くの車をEVにすることはできません。実は中国でもこの電力インフラの問題が理解されたために、EVから水素・FCVへ大きく舵を切ったと聞いています。
 また、電池についても、最近話題の全固体電池を始めとして様々な開発が進んでいますが、全固体電池は、今の技術力では信頼性の向上がメインで、全固体電池によって飛躍的に電池性能が上がるものでもありません。もちろん、それを目指して開発は進められていますが、いずれにしてもEV最大の課題は電力インフラです。


3.燃料電池自動車の開発状況

◆ トヨタ自動車FCV開発の歴史(2002年~)

 続いて、トヨタのFCVの開発状況についてご説明します。トヨタでは1992年からFCVの検討を始めました。1999年から本格的な開発が始まり、私もエンジンからFC分野へ移り、車両のシステム開発を始めました。その後、約2年でFCVを何とかリースしたのですが、「寒い場所には置かないでください。凍って動かなくなります。ひょっとすると途中で止まるかもしれません。ご承知おきください」とお客様に説明するレベルからスタートしました。ホンダさんも2002年、同じように限定ユーザ・制約条件での使用からスタートしています。
 実はその1年前、小泉首相(当時)にFCVに試乗いただき、すぐに「FCVの安全・環境に係る基準整備を急げ」と号令をかけていただいたおかげで、約3年で基準が整備され、「形式認証」という普通の車と同じ認可の取得が可能となりました。現在の世界のFCVの基準は全て日本のデータがベースになっています。これは大変意義深いことで、日本が先行して世界の各種基準を主導的に決めることができた、非常に良い事例だと思っています。
 2008年モデルで、やっと従来車並みの性能を実現できました。技術的には、航続距離を伸ばし出力を上げた程度でしたが、マイナス30度でも普通の車と近い形で走行でき、無交換で一生使えるようになりました。「ただし、コストを除いて」ということで、1億円とも報道された時代でした。その後、本当は「2012年モデル」があるはずでしたが、リーマンショックの影響で1モデル飛ばす指示があり、2014年、MIRAIの発売につながりました。それが本日展示されているMIRAIです。日本での車両価格は税抜で670万円。現在、年間生産台数は約3,000台とまだまだ少ないです。また、本格的な開発の当初から水素供給インフラ(水素ステーション)を整備する議論をエネルギー会社と始め、2015年からFCVの市場導入を開始するという共同宣言を、2011年に共同で発表しています。


◆ 他社の燃料電池自動車の動向

 次に、他社のFCVの動向についてです。まず国内についてはホンダが、2016年に新型FCVをリースしました。ホンダは2017年に米GMと合弁会社を設立し、2020年頃にはここで生産したFCでFCV量産を開始すると発表しています。日産自動車は独ダイムラーと共同開発を行い、2017年頃からFCVを市場導入予定でしたが、経営方針の変更で当面バッテリーEVに特化しています。FCVについては開発のみ継続ですが、共同開発しているダイムラーは、後述するように2018年からFCV市場導入を図っています。
 海外のメーカーについて、韓国の動向は後述しますが、韓国・現代自動車が大変精力的にFCV開発を行っています。独BMWはトヨタと協業の中で開発を加速しています。世界販売台数1位の独フォルクスワーゲンは、傘下の独アウディが現代自動車と連携してFCVの開発を急いでいます。アウディは独ボッシュと連携しています。欧州のメーカーの多くは、実は、世界最大の自動車部品サプライヤーであるボッシュ無しに自動車を世に出せる技術がありません。日本のように自動車会社側で適合からコンピュータ制御まで全てを行う形ではなく、ボッシュがそれを一挙に引き受けているため、ボッシュが開発を急いでいるのです。ダイムラーが2018年に発売したFCV「Mercedes-Benz GLC-CELL」は上記とは例外的な開発になります。この車両は燃料電池で直接モーターを回していません。バッテリーでモーターを回すEVの電池を燃料電池で充電することで航続距離を伸ばすコンセプトで、コスト的に有利な構成が特徴です。
 現代自動車は、同じく2018年に「NEXO」の市販を開始しました。当初は年間3000台ですが、2020年に年間11,000台、2025年に年間13万台、2030年に年間50万台と、非常に意欲的な増産計画を発表しています。2019年10月に韓国が発表した「水素経済活性化ロードマップ」では、2040年までにFCV生産を累計620万台、水素ステーションを現在の15箇所から1500箇所まで増やすというのですから、ものすごい規模ですね。さらに2022年までに全国3都市を選び、その都市機能はすべて水素エネルギーに変えて、都市機能の実証実験を行う発表も行う等、韓国では水素に積極的に力を入れる動きが見られます。


◆ 燃料電池車のシステムを、バスやフォークリフト、電車などに応用

 自動車の話をずっとしてきましたが、FCVのシステムをそのままバスに応用しています。MIRAIのシステムを搭載したFCバスが、東京オリンピックで100台以上使用される予定です。
 豊田織機がFCフォークリフトを市販しています。MIRAIは370枚のFCセルを使っていますが、そのまのMIRAIのセル82枚をFCフォークリフトに使用しています。燃料電池は一つのセルやスタックを開発すれば、いろいろなものに応用できます。従来のエンジンは用途に応じ、例えば排気量の違う新エンジンを開発する必要があります。燃料電池はこのように簡単にいろいろな用途に適用できるのも大きな特徴です。先進国ではフォークリフトの7割以上が電動で、大抵は鉛電池ですが、課題は8時間ごとにバッテリー交換と充電の必要があることです。これをFC化すれば、水素充填により、連続運転が可能です。そこで、安全的な思想での開発です。また、一番怖いのは燃料タンクの破損ですから、衝突試験も何度も繰り返し色々な角度から確認して、安全を確保しています。ちなみに、小学校の理科で水素に火をつける実験で「水素は危ない」という先入観がある方も多いと思いますが、逆にあれは水素だからできる実験で、ガソリンだったら大変なことになりますよ。水素に対する誤解だと思います。水素の特性を正しく理解して正しく利用することで、従来のガソリンと同等以上の安全は確保可能という基本的な考えのもと、FCVの開発を進めてきました。


4.普及拡大に向けた動向


◆ FCV普及拡大に向けた日本と世界の動向

 FCV普及拡大に向けた動向として、日本では「水素・燃料電池戦略ロードマップ~水素社会実現に向けた産学官のアクションプラン~」が発表されました。基本戦略等で掲げた目標を実現するために目指すべきターゲットを、FCVとHVの価格差や水素ステーションの整備・運営費、水素価格等、具体的に設定して開発を誘導しています。
 世界的には、2017年、ダボスで開催された世界経済フォーラムで、水素を将来エネルギー移行の主要な解のひとつと位置づけて「Hydrogen Council(水素協議会)」が発足され、日本やヨーロッパを中心に、自動車会社やエネルギー会社が連携する動きがあります。この中で、2030年までのFCV保有台数は1000~1500万台に達すると試算したビジョン(調査報告)を発表し、2050年までに世界のエネルギー消費量全体の2割近くを水素が担うという大きなビジョンをもって各社開発を急ごうと表明しています。


◆ 「トヨタ環境チャレンジ2050」と電動化計画

 このような世界的な動きを見て、トヨタも2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表しました。単なる新車二酸化炭素ゼロだけでなく、生産でも二酸化炭素ゼロ、使う水も最低限と、色々なところでゼロにチャレンジします。そして2017年、トヨタ電動化計画として「2030年までに電動車比率50%以上、EV・FCV比率10%以上」と発表し、2019年、その計画を5年前倒しすると公表しています。それほど世界の動きが早く、そのニーズを感じ取っているということです。MIRAIからさらに車種を拡充していこうとしています。
 車種を拡大する上で様々な連携を進めています。例えば、セブン-イレブンと物流車をFC化するプロジェクトを進めています。先程もMIRAIのシステムをそのままバスに応用する話をしました。繰り返しになりますが、燃料電池はひとつ開発すれば、セルの枚数を変えたり、システムを複数使用したりすることで、色々なものに適用できる点が電池の大きな特徴です。いよいよ日本でも鉄道と提携して鉄道車両にMIRAIのセットを適用したり、駅に水素ステーションを設置したりする議論が、JR東日本との業務提携の中で行われています。さらにJAXAとは、月面での有人探査活動に必要なモビリティにFCV技術を用いる試みを進めています。
 また、環境技術普及のためには、特許で縛って独占という考えは成り立ちませんから、トヨタの車両電動化技術の特許実施権は無償で提供すると発表しています。このほか、生産時の二酸化炭素ゼロにむけた取り組みとして、汎用水素バーナーの開発等を社内で行っています。さらにFCV年間販売3万台以上の生産レベルに対応するため、FCスタックと高圧水素タンクの生産設備を拡充します。このように幅広い動きがトヨタから発表されています。


◆ 海外(米国、欧州、中国)の動向

 次に、海外の事例を3つご紹介します。まず米国の動向です。大型商業車を中心に、FC開発・導入の動きが活発です。大手トラックメーカーのNikola社が、航続距離1200マイル以上のFCトラックをボッシュと共同開発しています。特に物流会社やビール会社が積極的に導入を進めていると聞いています。また、カルフォルニア州では2040年までにすべてのバスをゼロエミッションに移行することを発表しています。環境車導入の動きは急増と予想しています。
 欧州では、FCバス、FCタクシー、FC鉄道、FC船舶等、非常に幅広い分野でFC開発・導入の動きがあります。FC飛行機も開発する程、技術開発の幅が広いのが欧州の特徴です。FCタクシーの実証も、現在はフランスのパリ市内に100台程度ですが、2020年には600台まで増車予定という動きがあります。
 中国の大きな流れについては先程も説明しましたが、FCバス、FC物流車を中心に地方政府が導入を加速しています。2018年度末でFCバスとFC物流車が3400台を突破し、2020年頃には5000台、2025年頃には5万台、2030年頃には100万台普及目標ということで、日本とは桁違いの規模で生産しています。ただし、技術的にはFCスタック(電解質膜や触媒)は海外から調達し、中国で車に素早く仕立てるという動きです。中国もこれからはFCスタックを自分たちで作ろうとしていますが、「やってみると案外難しい、教えてほしい」という声も聞かれます。


◆ 海外企業に対するトヨタ自動車の取り組み

 日本の中ではトヨタが比較的、中国にもルートを開き、色々な会社とシステムを販売していく動きをとっています。米国では、LA港でFC大型商用トラックの実証実験を行っています。これもMIRAIのシステムを2個載せており、これだけ大きなトラックを動かせ、ディーゼル車よりも非常に加速が良いですよ、というCMを米国でトヨタが流しています。欧州にも、バス製造会社にFCシステムを供給する発表を行っています。今注目されているのがFCドローンで、特に中国が大きな関心を示しています。現状のバッテリー式のドローンの航続時間は、荷物の積載ありの場合で、約15分です。実証試験のレベルですが、水素タンクを載せて約2時間運行できるFCドローンも開発されているとの情報も聞いています。


5.今後の課題


◆ 本格普及拡大への技術開発のキーワード

 最後に今後の課題について、説明します。技術的にはまだまだ課題があります。「耐久性・信頼性・コスト・量産性の高次元での両立」が本格普及拡大へのFCV技術開発のキーワードですが、特に量産性がポイントですね。現行のMIRAIは品質確保のためにゆっくり作っていますが、早く作ればコストダウンが可能なため、それに対応できるFCやシステムへの変革、量産性の開発が必要です。
 これから水素・燃料電池分野への参入を考える方は、どんどんシステムが変わりますので、今ある部品を「安く作れました」と提案しても「この部品はもう使っていない」というようなケースが出ると思います。ですから、自動車メーカーなどの動きをしっかりフォローすることが大事です。また、電解質膜や触媒は非常に難しい技術ですから、そこは大手に任せておく方がよいと思います。燃料電池の電解質膜や触媒を除けば、周辺システムなどはエンジニアリングの従来技術の延長線上がほとんどです、例えば、電解質膜を保持するセパレーターはプレス品ですから、従来技術がそのまま使えるでしょう。


◆ 国内水素ステーション整備の課題

 もうひとつの大きな課題が水素ステーションの整備です。FCVの販売台数を伸ばしたくとも、「この水素ステーション数では遠出できない」というお客様の声が多いのが現状です。これも全国100箇所でスタートし、徐々に増やしていこう、という大きな計画の中で動いています。水素ステーション整備のためには、ステーション低コストのための技術開発や、規制見直し等の課題解決が必要ですが、日本の場合、規制が海外と比べて厳しい印象です。
 水素ステーションの整備を加速させるために、インフラ事業者、自動車会社、金融投資家等が連携し、国内水素ステーション会社「JHyM(ジェイハイム:日本水素ステーションネットワーク合同会社)」を設立しました。10年間は支援しながら、自立するまで協業しようという会社です。同社がすべての水素ステーションの所有権を有し、貸し出すという方法を取っています。国内の水素ステーションの整備状況は、2019年8月現在で109箇所運用、整備中を含め134箇所です。宮城県には1箇所(仙台市宮城野区)と、まだまだ少ない状況です。これをどんどん増やしていくため、インフラと議論しながら進めている状況です。


◆ 二酸化炭素フリー水素製造・輸送の研究開発、規格基準の世界的な調和

 とても大事なことですが、二酸化炭素を排出しない水素でなければ、意味がありません。二酸化炭素フリー水素の製造・輸送の研究開発拠点が、産総研福島再送可能エネルギー研究所です。太陽光や風力等の再生可能エネルギーを用いて効率よく水の電気分解を行う研究や、水素を運ぶ際にガスの状態では体積をとるため、液体に吸着させて水素ステーションに運んでガスに戻す、「水素キャリア」の研究も行われています。水素を作る・貯める・運ぶ研究が並行して進められているのです。
 もうひとつ大事なことは、日本や欧米を中心に規格基準の準備が先行して進められていますが、大市場である中国も一緒に規格基準の調和を促すことです。水素安全などは絶対に共通ですから、たとえ教えてでも、中国を正しい方向へと導いていくことが大事なことだと考えています。
 私からの講演は以上です。


講師と参加者による議論

Q.1 海外諸国と比べて日本あるいはトヨタの強みをどのように整理すればよいでしょうか。米国や中国等も物流車等に必要なFC車両を開発している印象を持ちました。

A.1 本当にFCVを普及させようとするならば、中国などの海外のように物流車からスタートを切るべきとの考えは、まさにその通りです。中国の場合、補助金で作ると、逆に儲けが出る点が日本とは大きく異なります。日本の場合、差額の半分までしか補助金が出ないため、車両そのものが経費となる物流車ではなかなか普及が進まないのが現状です。そのため、少し高価でも、環境意識の高い方や、公用車として使用いただくことを踏まえ、まずは乗用車を中心に、技術を向上させる方向で進めています。
 では、日本の強みは何かと言えば、単に車を作って走らせるのではなく、基盤技術をはじめ、きちんと技術を蓄積していることです。例えば、中国はFCVを製造していますが、キーとなるFCスタックのシステムは、海外から調達し、日本からも供給してほしい、あるいは教えてほしい、というのが今の声です。今は技術的には日本が先行しているので、キーとなる技術はきちんと抑えながら開発を進める必要があるでしょう。ただし、補助金がどんどん出る背景もあって中国のやることは早いです。

Q.2 クラウンやレクサスのような高級車であれば、普及自体は難しくないと思うのですが、なぜそうしないのですか。

A.2 営業戦略的にはクラウンやレクサスの方が売りやすいと思いますが、フラッグシップではなく普及させる意思を込めて、少し下のグレードで、という形になりました。

Q.3 宮城県で水素ステーション整備の構想があり、近隣工業団地の従業員に使ってもらうことを考えていると聞いたのですが、MIRAIよりも小さい、例えば、ビッツやアクア等のパッケージにまとめることは現段階で可能でしょうか。

A.3 まず今のビッツにFCを載せられるかと言えば、技術的にまだ無理です。サイズを小さくしコストを下げるために一生懸命研究する必要があります。

Q.4 「FCスタック等の基幹技術は大手に任せておけ」とのお話ですが、それ以外の部分では、どのような視点で我々がお手伝いできるネタ探しに行くべきでしょうか。

A.4 FCスタックの触媒や膜等は特殊な化学製品ですから、一般的な機械系の方が参入するには、従来の会社の技術が応用できる範疇で、と一般的な話で申しました。ただ、その他のシステム部品なら参入できるかと言えば、そう簡単ではありません。自動車の場合、販売台数がさらに増えれば複数社発注の形になりますが、今はむしろ中心的な会社や協力会社と一緒に改良を進めているフェーズですから、一緒にやりたいなら、アイシン精機さんやデンソーさんのような会社に飛び込んでください。ある程度は、色々な課題を教えてもらえると思います。その前段階でご相談に乗る活動は、私や産総研さんで行っています。ただ、単純に飛び込むだけではやはり難しいので、自分の技術のどこが使えるか、今の情報の中で何回かやってみると案外、「これは応用できるな」と有効なヒントが見つかると思います。ですから最初のうちは多少失敗になるとは思いますが、まずはやってみることが大事だと思います。

Q.5 MIRAIの技術を日本で世界のために普及させていくためには、国際的な知財戦略あるいは国際協力が必要と思います。その辺りについて教えてください。

A.5 技術開発を行い、抑えるところは知財として抑えておくのが基本で、それはどんなことでも同じだと考えています。きちんと特許は取得しますが、独占して他が参入しなくなっては環境技術を普及できないため、特許実施権は無償提供しています。ただし、何でも使用してよいわけではなく、変な使い方はしないことと、Win-Winの関係で新しい展開が可能かという意味で、トヨタに一度お話いただく決まりになっています。

Q.6 EVはメインモーターの電圧を上げていく方向にありますが、現在のMIRAIや将来のFCVで使われるメインモーターの電圧の方向性について教えてください。

A.6 基本的には、FCだからモーターが変わるということはなく、EVのモーターと同じです。一番大切なことは、FCV専用モーターは作らない、ということです。共通で多量に作るために、FCVのモーターはEVやHVのモーターをそのまま流用できるようにしています。FCスタック370枚では600kWはとても出せないため、昇圧コンバータ―を用いてEVモーターを使えるようにしています。今後については、これから高電圧化・小型化していく中で、安全も含めて、様々な課題がありますので、その両方の観点から、どれくらいの電圧まで上げて小型化していくかが決まります。もうひとつ、FCだからモーターに特別な制約があるかと言えば、基本的にはありません。モーターに水素が行くことも基本的にはありません。

Q.7 どの国も、右肩上がりのFCV生産プランを立てていますが、例えば、貴金属の買い占め・取り合いが起こり、すべての国が計画を達成することは、そもそも難しくなることは起こらないのでしょうか。

Q.7 私には、その部分の直接的な知見はありません。例えば、FC専用部品の場合、白金を多く使用しますが、基本的には全部リサイクルする前提で、資源量が足りないことを起こさない考え方を持ちながら開発は行っています。他のレアメタルについては私にはわかりません。逆に、白金の例で言えば、白金を使わない触媒の技術開発も、牽制のために行っています。技術ハードルは非常に高い研究ですが、牽制のためには大事な研究なのです。

Q.8 車以外にもドローンなど、様々な用途でFC化のご紹介がありましたが、例えば、充電不要なFCモバイルなど、身近な例で情報があれば教えてください。

A.8 充電不要になればスマホにできることは大きく広がるため、FCモバイルは通信会社から切望されています。しかし、FCモバイルは大変です。小さいところに入れて安全に取り扱う研究は行われていますが、まだまだです。一時期、メタノールを注入する試みもありましたが、メタノール自体が劇物ですし、燃料電池で生成される水が電池に大敵ですから、水を蒸発させて逃がす必要もあります。ただし、ニーズはしっかり感じています。


講師と参加者による議論トヨタ燃料電池自動車「MIRAI」試乗

【写真】トヨタ燃料電池自動車「MIRAI」試乗のようす

【写真】車内のエネルギーモニター


参加者インタビュー

◆ 「水素戦略の具体的な最新動向を把握できた」
東北電力株式会社 研究開発センター 松本 弘 さん

 弊社の研究に関する情報収集の一環として参加させていただきました。国の水素戦略に基づくプロジェクトの動向、特に費用や台数等、具体的な数値や今後の動きについて最新情報を知ることができてよかったと思います。水素に関する国の方針を確認しながら、弊社としても地域がより良い方向に向かう力となるよう、引き続き検討を進めていきたいと考えています。


◆ 「水素関連の新たなプロジェクトにつなげたい」
丸紅株式会社東北支社 横倉 利彰 さん

 弊社では現在、低炭素水素サプライチェーンの実証事業を、宮城県富谷市さん、日立製作所さん、みやぎ生活協同組合さんと4者で行っています。実は、大仲先生の講演を伺うのは今回2回目で、昨年度の内容からアップデートがあり、特に中国の動向について前回と大きく状況が変化していたため、大仲先生から深堀りして解説いただけて、とてもよかったと思います。低炭素水素サプライチェーンの実証事業はこれからセカンドステージに入る段階で、社内外の注目が深まる中、このような枝を広げることで、新しいプロジェクトへつなげていきたいと考えています。


◆ 「燃料電池業界の最新動向を確認でき、脅威と同時にチャンスを感じた」
株式会社ジュークス 代表取締役社長 城内 治 さん

 弊社では、岩手大学理工学部の竹口竜弥教授との共同研究で、燃料電池用電極触媒の低白金化の技術開発と量産技術の開発に取り組んでいます。現在、一般的に市販されている触媒の2分の1以下の白金量で同等性能を出せる技術と量産技術を確立しました。この触媒の事業化を進める中で、燃料電池業界の動向を知りたくて参加させていただきました。講演はとてもわかりやすい内容で、特に知りたかった業界の動向が知れたことは、有意義でした。燃料電池に関しての技術は日本が先行していると言われているようですが、マーケットは中国・韓国や欧米等の方が日本より実用化が進んでいるということで、脅威と同時にチャンスであることも確認でき、参加してとてもよかったと思います。今後、弊社技術の優位性を活用いただくことにより、燃料電池の普及に大きく貢献するとともに、世界的な環境保護の一助になることを目指します。


◆ 「水素社会形成への取り組みを進めていきたい」
株式会社北上オフィスプラザ 北上市産業支援センター 安保 繁 さん

 以前から産総研との情報交換の中で、FCVの開発状況や普及拡大に向けた動向等について伺っていましたが、地域の中小企業にとってどのような可能性や課題等があるのか、また産業支援機関としてどのような支援が必要なのか、専門家から具体的な内容を伺いたいと考えて参加しました。FCはまだまだシステム・材料・構造・製法の変革が必要であり、中小企業の技術力を活かした新規参入や各種提案が期待されているとのことから、北上エリアにおいてもセミナー開催やビジネスマッチング等の機会を積極的に創出していく必要があると思いました。今後、北東北へ展開していくにあたり、北上エリアは自動車・半導体関連企業の集積と併せて物流機能も充実しており、特に水素ステーションについては重要な拠点となり得るポテンシャルが高い地域であることから、関係機関と連携しながら推進を図っていきたいと考えています。

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