学生らによるビジネスプラン提案コンテスト 第6回CVG東北
2011年2月9日公開
東北地域の学生による新事業提案コンテスト「第6回キャンパスベンチャーグランプリ東北」表彰式のようす=仙台市内のホテル
東北地域の学生による新事業提案コンテスト「第6回キャンパスベンチャーグランプリ東北」(CVG東北、高橋宏明実行委員長=東北経済連合会会長)の表彰式が3日、仙台市内のホテルで開かれ、各賞合わせて8件が表彰された。高橋委員長は「企業が求める『考え抜く力』を備えた人材育成につながる」とあいさつした。
CVG東北は、起業家精神に富んだ人材を育てようと、東北地域の経済人などでつくる実行委員会が2005年度から実施。今回は共同提案を含め11の大学・短大などから過去最多の51件の応募があった。
審査の結果、最優秀賞の「スマートフォンアプリによる書籍のプロモーション」(宮城大学・西原政比彦さんら)など8件が入賞。審査委員長の原田晃さん(産業技術総合研究所東北センター所長)は「西原さんらの提案は、ユーザと出版社の両方に立ったビジネスモデルを構築した上で、既存の類似サービスとの差別化も図られている」と講評。西原さんは「ビジネスを本気で考える機会が得られ、その過程で我々は十分成長できた」と語った。西原さんらは3月3日開催の全国大会に出場する。
そのほかの入賞者は次の通り。(Gはグループ受賞で氏名は代表者。敬称略)
▽特別賞・東北経済産業局長賞=「サイバーウェアシステム」~誰もがモデルやアスリートのフォームに近づけるハイテクウェアの販売事業~(東北大学大学院・山口尚裕G)▽同・日刊工業新聞社賞=明かりでつなぐ人の輪~新型車いす照明「Night-L」の販売事業~(山形県立米沢工業高等学校専攻科・情野浩子G)▽奨励賞=地域密着型「女性専用移動型ランニングステーション」(宮城大学・齋藤維G)▽同=3D立体視による能動的広告媒体の提案(東北大学・松永大樹G)▽同=電子工作を通して学ぶアジア圏外国語科学技術講座(東北学院大学大学院・結城麻衣G)▽努力賞=「多層光学膜を用いたイカのLED集魚灯」(八戸工業大学大学院・河原佑一朗)▽同=ワイパーを用いた残像型コミュニケーションツール(東北大学大学院・八重樫和之G)
◆日常で感じる「こうだったらいいな」を形に
最優秀賞受賞グループ代表者の西原政比彦さん(宮城大学)
最優秀賞受賞グループ代表者の西原政比彦さん(宮城大学)
これまでも様々なビジネスコンテストに応募しているが、今回初めて事業化を視野に入れたプランをつくろうと考えていた。そこにちょうどCVG東北があったので、優勝を目標に、たくさんの時間と労力をかけて本気で取組んだ。上位入賞の手ごたえはあったが、不安もあったので、(受賞は)嬉しいと同時にほっとしている。
東北のビジネスコンテストは、他にはなかなかないので非常に良いと思う。東京のビジネスコンテストでは「地域単位の問題を解決するために」と話しても、審査員にはわからないし響かないからだ。地域単位の身近な社会問題を取り扱えることが、東北のコンテストならではの良さだと思う。
しかし社会問題を取り扱うと、「それは営利活動でなく公的機関がやれば良いのではないか」という評価に陥りがちだ。そこでビジネスコンテストとしての評価を考え、社会問題よりも日々の日常で感じる「こうだったらいいな」を形にする方が良いと思い、本プランの提案に至った。
◆より高い視点からものごとを見つめること
CVG東北実行委員長の高橋宏明さん(東北経済連合会会長)
CVG東北実行委員長の高橋宏明さん(東北経済連合会会長)
今回の受賞者を見ると、色々な大学の人が一緒になり、グループで提案しているものが多い。色々な大学があるし、工業もあるし、情報もある。一つの大学の研究室にこだわらず、色々な人が集まり、幅広い視野の中で、お互いに意見を交換しながら、一緒にやっているのだろう。非常に新しい動きだと感心した。
ビジネスでも、色々な人が集まって一緒にやることが大切だ。逆に言えば、技術だけではうまくいかないし、情報だけでもうまくいかない。中小企業についても同じことが言える。たとえ良い技術を持っていたとしても、なかなか大きくなれなかったり、商売がうまくいかなかったりする。我々「東経連事業化センター」ではそのような時にお手伝いをしている。
つまり、より高い視点からものごとを見ることが大切だ。自分が見ている視野だけでなく、より高いところから遠くを見ることで、ものごとを総合的に見ることができる。すると、何が一番必要なのか、何が一番より良い方法なのかがわかる。これからも一層研さんを重ね、ますます活躍されることを祈願している。
◆夢に向かってチャレンジすること
日刊工業新聞社(共催)の佐野友昭さん(専務取締役)
日刊工業新聞社(共催)の佐野友昭さん(専務取締役)
ものづくりの総合情報機関という位置付けが、我々の新聞社にはある。若い人たちにスポットを当て、新しい事業を起こすきっかけにしてもらおうと、近畿でスタートしたCVG。エリアを徐々に拡大し、今では全国規模になった。
日本は相対的に地盤沈下し、ものづくり分野ですら、その座を脅かされつつある。しかし、日本はものづくり立国を貫くしかない。閉塞感を打破するのは若い力。若い人たちを励まし、ものづくり総合情報機関として、サポートを進めていく。
今回の受賞プランは、時代を先取りした良い提案だと思う。しかしベンチャー企業が必ずしも成功するわけではない難しさもある。これまで様々なベンチャー企業を見てきたが、管理セクションのしっかりしているところが成功していると感じている。
とは言え、若い人には対しては、夢に向かってチャレンジすることが大事だと伝えたい。それは若い人でないと持てないもの。「こうしたら失敗するかもしれない」と知ってしまえば、できないことがある。若い人には是非チャレンジして欲しい。
◆科学に裏付けられたものづくりを
審査委員長の原田晃さん(産総研東北センター所長)
審査委員長の原田晃さん(産総研東北センター所長)
―CVG東北をどのように位置付けていますか?
若い人たちが、今のビジネスを既にやっている人とは違った発想で、次のビジネスのアイディアを出すこと。それを自分たちの中だけで理解するのではなく、外に向かって出していけるようにきちんとまとめていくこと。そのためには、なぜそれをやるのか現状を認識する調査や、それをやるための技術的な裏付け、商売になるかどうかも考える必要がある。それらをきちんとまとめることは、おそらく得意な分野も苦手な分野もあるだろうから難しいとは思うが、一度ビジネスの構想をまとめることで、問題点を発掘することができる。これらを若い人がやることに意義があると考えている。
―その視点から見て、今年のCVG東北をどのように感じましたか?
最近、如何にIT技術をソリューションとして使うかという提案がとても増えている。今年の場合もスマートフォンやタブレットPCなどが特徴的だ。それらが社会的に注目を集めてきたのはここ数年、市場性を持ってきたのはここ1年くらいのこと。それを利用しようという提案が多いことは、若い人たちの新しいものを利用することに障害がないことの素晴らしさだと思う。
しかし一方で、それはある程度システムがつくりあげられたものに乗っかっている印象を受けた。そこにきちんとした科学としての裏付けが欲しい。日本のものづくりが、きっとこれからも強いだろうと言われているのは、表面的な技術の良さではなく、なぜそれが良いのかが科学でわかっていること。科学でわかれば、その応用範囲が広がってくる。なかなか難しいことを、若い人が短い時間でまとめることは簡単ではないが、科学に裏付けられたものづくりに関する提案がもっと増えて欲しいと感じた。
―今のお話を踏まえて、若い世代へメッセージをお願いします。
いろいろなことに興味を持ち「なぜだろう?」と常に思って欲しい。それをわかろうとする中で、人とは違ったアイディアがきっと出てくるはず。それがきっと将来生きていく上で、単なるお金儲けだけではない、人のためになるビジネスに結びついていくだろう。そのようなことを若い方々に期待している。
◆自分がやりたいことをやり続けなさい
CVG東北実行委員の工藤治夫さん(宮城産業人クラブ会長)
CVG東北実行委員の工藤治夫さん(宮城産業人クラブ会長)
―CVG東北をどのように位置付けていますか?
学生のうちから起業家精神を育むため、地域の経済界の人々が支援をしている。今日表彰された人は、学校というバリアを取り払い、産業界の成功者と交流するチャネルを持つことができる。やはり評価する人がいなければ一人相撲になってしまうし、評価されれば自信につながる。その繰り返しで人は成長していくものである。
―今のお話を踏まえて、若い世代へメッセージをお願いします。
先入観にとらわれず、自分がやりたいと思うことを、無理をしないで、やり続けていきなさい。先入観というのは、大人たちがつくった社会の秩序や知識である。それにこだわっていては何もできなくなる。その先入観から抜け出し、ひたすら実直に自分がやりたいことをやり続ければ、時間が成果を与えてくれる。逆に成果を追いかける人は、成果を手にできない。それは学生だけでなく、大人にも言いたいことだ。今までの成功体験の延長線上に、もう未来はない。
コラボレーション
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