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2024年 11月 21日 (木)

学生がビジネスプラン提案 2009CVG東北

2009年02月15日公開

4日に仙台市内のホテルで開催された、「2009キャンパスベンチャーグランプリ東北」表彰式のようす

 東北地域の学生がベンチャービジネスのアイデアやプランを競い合う「2009キャンパスベンチャーグランプリ東北」(CVG東北)の表彰式が4日、仙台市内のホテルで開かれた。

 CVG東北は、次代を担う人材育成と新産業創出を目的に、東北地域の経済団体や日刊工業新聞社などが、2005年度から開催しているもの。5回目となる今回は、大学や短大など14校から26件の応募があった。

 審査の結果、最優秀賞には東北大学大学院の山口尚裕さん(25)らがグループで提案した「新型自転車によるレンタルサイクルシステム『モビクル』の提案」が選ばれた。

各入賞者には賞状、盾と賞金が授与された

 山口さんらは、レンタルサイクルが欧州の都市に広く普及しているのに対し、日本の都市圏では浸透していない理由を分析。現在特許申請中の技術を用いることで、日本の都市圏に大規模なレンタルサイクルのシステムを導入可能であることを示した。低炭素社会の構築や市民の健康志向など社会ニーズにかなった提案として評価された。

最優秀賞を受賞した東北大学大学院の山口尚裕さん(25)

 山口さんは「名誉ある賞をいただけて嬉しい。コンテストを通して、取組みを広く知ってもらえれば」と喜びを語った。

 このほか東北経済産業局長賞などの特別賞が2件、奨励賞が3件、努力賞が1件あった。最高賞にあたるCVG東北大賞は、昨年に続き該当者はなかった。

 CVG東北実行委員長の幕田圭一さん(東北経済連合会会長)は、今回グループなどでの提案が多かったことについて触れ、「企業でも、大きな成果に結び付けていくためには、個人の力はもちろん、組織の支えとチームワークが欠かせない。皆さんの若い力と団結した行動力が、新しい時代を切り開く原動力になることを期待している」と若い世代を激励した。

 CVG東北審査委員長の原田晃さん(産総研東北センター所長)は、「IT技術と地域の魅力発掘を結びつけた提案が多かった。一方で、ものづくりに関する提案が少なかったことは残念。今後ものづくりに関する提案も増えることを期待している」と講評した。

 最優秀賞を受賞した山口さんらは、3月に東京で開催される全国大会に出場する。

 そのほかの受賞は次の通り。

◇特別賞(東北経済産業局長賞)「Webを活用した旅行プラン作成システム『e-travel navi』」武田直子さんら(山形県立米沢工業高専攻科) ◇特別賞(日刊工業新聞社賞)「It's your Document.」熊谷昌泰さん(鹿屋体育大学) ◇奨励賞「SNSを利用した農業管理代行サービス~消費者と生産者をつなぐ農業ビジネス~」及川三秀さんら(宮城大学)、「アニメ『聖地』のプロデュースによる東北アニメツーリズム構想」八重樫和之さんら(東北大学など)、「情報連携によって実現する観光地活性化のための一貫型サポートプラン」渡部真実さんら(山形県立産業技術短期大学校) ◇努力賞「簡易型光放射暖房器の事業化~豊かな積雪寒冷地を目指して~」庄子なつみさん(東北工業大学)


インタビュー:若い世代が大切にすべき姿勢や養うべき力とは

―先行き不透明な時代、中高生も含めた若い世代が大切にすべき姿勢や養うべき力について、主催者や審査員に聞いた。

◆今の時代を過去から紐解く(ひもとく)好奇心を持つことが大事
/CVG東北実行委員長の幕田圭一さん(東北経済連合会会長)

CVG東北実行委員長の幕田圭一さん(東北経済連合会会長)

 今や日本は豊かになり、あらゆるところに「もの」が余っている状況です。生活が豊かになる一方、失っている「もの」も多いのではないでしょうか。例えば、思いやりの心や友情など、目には見えませんが、社会では大事な「もの」が失われてきていると思います。

 また、「もの」が豊かになり、今は普通に存在すると思う「もの」でも、皆さんが生まれていない20年前は、こんなに便利ではなかったはずです。例えば、現代社会では欠かせない携帯電話も、固定電話が主流でした。

 そのような歴史をご存知なのは、先生や皆さんの親御さん、祖父母の方々です。現在の環境は、皆さんの生まれる前から同じであったことはなく、昔の人のたゆまない努力の上で築かれたものです。

 現在、中国やインドなど、新興国といわれる国々の方は、貧しいけれども大変なバイタリティを持って頑張っています。日本にも、過去にそういう時代がありました。是非、皆さんも好奇心を旺盛にして、まわりの人達から、今の時代を紐解く過去の様々な情報を引き出してください。携帯電話の歴史も、その一つです。

 そして皆さんが、一朝一夕にして、現在の日本があるのではないことを知れば知るほど、皆さんの将来の夢と希望も大きく広がるものと信じております。


◆人生切り開く知恵身に付けて
/日刊工業新聞社代表取締役社長の千野俊猛さん

日刊工業新聞社代表取締役社長の千野俊猛さん

 知識と知恵は、違います。知識とは、物事の仕組みや成り立ちを知ること。知恵とは、それら知識を使ってどう生きるのかを考えること。つまり、知識とは生きるための道具。知恵とは、道具である知識を使って、それぞれの人生を切り開いていくための方法です。

 「学ぶ」の語源は「真似ぶ」、一生懸命真似て勉強することが大切です。知識がなければ知恵として使うことはできません。けれども、道具である知識をひけらかしても駄目ですよ。知識を学んだら、今度はそれを知恵として使わなければなりません。人に対する優しさ、人格、志は、知恵によって形成されていくものです。

 そう言えるほど俺、偉くはないのだけどね。けれども自分もできていないからこそ、目指しているわけです。人生、常に勉強ですね。


◆自分の強み客観的に見て
/CVG東北審査委員長の原田晃さん(産業技術総合研究所東北センター所長)

CVG東北審査委員長の原田晃さん(産業技術総合研究所東北センター所長)

 自分の強さとは何かを、客観的に見れるようにすることが大切です。それは、自分で考えたアイディアが、他人から見てどれだけ正しくて良いかがわかることです。

 人の考えもよく理解したうえで、人にはない自分のアイディアとは何かを、じっくりと考えてください。


◆時代の変化とは何か、よく考えて
/みやぎ工業会副会長の佐藤徹雄さん(新東北化学工業会長)

みやぎ工業会副会長の佐藤徹雄さん(新東北化学工業会長)

 時代は思った以上に早く変化します。今の10年が1年で終わるかもしれません。だから皆さんも、時代が変わるということは何なのか、よく勉強しましょう。お父さん達は皆、それで苦しんでいるのです。

 その変化に、今の勉強がついていくかどうかもわかりません。身近に見れるのは、お父さん達の後姿。時代の変化や世界競争について、よく考えてみましょう。

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