学生がビジネスプラン提案 2009CVG東北
2009年02月15日公開
4日に仙台市内のホテルで開催された、「2009キャンパスベンチャーグランプリ東北」表彰式のようす
東北地域の学生がベンチャービジネスのアイデアやプランを競い合う「2009キャンパスベンチャーグランプリ東北」(CVG東北)の表彰式が4日、仙台市内のホテルで開かれた。
CVG東北は、次代を担う人材育成と新産業創出を目的に、東北地域の経済団体や日刊工業新聞社などが、2005年度から開催しているもの。5回目となる今回は、大学や短大など14校から26件の応募があった。
審査の結果、最優秀賞には東北大学大学院の山口尚裕さん(25)らがグループで提案した「新型自転車によるレンタルサイクルシステム『モビクル』の提案」が選ばれた。
各入賞者には賞状、盾と賞金が授与された
山口さんらは、レンタルサイクルが欧州の都市に広く普及しているのに対し、日本の都市圏では浸透していない理由を分析。現在特許申請中の技術を用いることで、日本の都市圏に大規模なレンタルサイクルのシステムを導入可能であることを示した。低炭素社会の構築や市民の健康志向など社会ニーズにかなった提案として評価された。
最優秀賞を受賞した東北大学大学院の山口尚裕さん(25)
山口さんは「名誉ある賞をいただけて嬉しい。コンテストを通して、取組みを広く知ってもらえれば」と喜びを語った。
このほか東北経済産業局長賞などの特別賞が2件、奨励賞が3件、努力賞が1件あった。最高賞にあたるCVG東北大賞は、昨年に続き該当者はなかった。
CVG東北実行委員長の幕田圭一さん(東北経済連合会会長)は、今回グループなどでの提案が多かったことについて触れ、「企業でも、大きな成果に結び付けていくためには、個人の力はもちろん、組織の支えとチームワークが欠かせない。皆さんの若い力と団結した行動力が、新しい時代を切り開く原動力になることを期待している」と若い世代を激励した。
CVG東北審査委員長の原田晃さん(産総研東北センター所長)は、「IT技術と地域の魅力発掘を結びつけた提案が多かった。一方で、ものづくりに関する提案が少なかったことは残念。今後ものづくりに関する提案も増えることを期待している」と講評した。
最優秀賞を受賞した山口さんらは、3月に東京で開催される全国大会に出場する。
そのほかの受賞は次の通り。
◇特別賞(東北経済産業局長賞)「Webを活用した旅行プラン作成システム『e-travel navi』」武田直子さんら(山形県立米沢工業高専攻科) ◇特別賞(日刊工業新聞社賞)「It's your Document.」熊谷昌泰さん(鹿屋体育大学) ◇奨励賞「SNSを利用した農業管理代行サービス~消費者と生産者をつなぐ農業ビジネス~」及川三秀さんら(宮城大学)、「アニメ『聖地』のプロデュースによる東北アニメツーリズム構想」八重樫和之さんら(東北大学など)、「情報連携によって実現する観光地活性化のための一貫型サポートプラン」渡部真実さんら(山形県立産業技術短期大学校) ◇努力賞「簡易型光放射暖房器の事業化~豊かな積雪寒冷地を目指して~」庄子なつみさん(東北工業大学)
インタビュー:若い世代が大切にすべき姿勢や養うべき力とは
―先行き不透明な時代、中高生も含めた若い世代が大切にすべき姿勢や養うべき力について、主催者や審査員に聞いた。
◆今の時代を過去から紐解く(ひもとく)好奇心を持つことが大事
/CVG東北実行委員長の幕田圭一さん(東北経済連合会会長)
CVG東北実行委員長の幕田圭一さん(東北経済連合会会長)
今や日本は豊かになり、あらゆるところに「もの」が余っている状況です。生活が豊かになる一方、失っている「もの」も多いのではないでしょうか。例えば、思いやりの心や友情など、目には見えませんが、社会では大事な「もの」が失われてきていると思います。
また、「もの」が豊かになり、今は普通に存在すると思う「もの」でも、皆さんが生まれていない20年前は、こんなに便利ではなかったはずです。例えば、現代社会では欠かせない携帯電話も、固定電話が主流でした。
そのような歴史をご存知なのは、先生や皆さんの親御さん、祖父母の方々です。現在の環境は、皆さんの生まれる前から同じであったことはなく、昔の人のたゆまない努力の上で築かれたものです。
現在、中国やインドなど、新興国といわれる国々の方は、貧しいけれども大変なバイタリティを持って頑張っています。日本にも、過去にそういう時代がありました。是非、皆さんも好奇心を旺盛にして、まわりの人達から、今の時代を紐解く過去の様々な情報を引き出してください。携帯電話の歴史も、その一つです。
そして皆さんが、一朝一夕にして、現在の日本があるのではないことを知れば知るほど、皆さんの将来の夢と希望も大きく広がるものと信じております。
◆人生切り開く知恵身に付けて
/日刊工業新聞社代表取締役社長の千野俊猛さん
日刊工業新聞社代表取締役社長の千野俊猛さん
知識と知恵は、違います。知識とは、物事の仕組みや成り立ちを知ること。知恵とは、それら知識を使ってどう生きるのかを考えること。つまり、知識とは生きるための道具。知恵とは、道具である知識を使って、それぞれの人生を切り開いていくための方法です。
「学ぶ」の語源は「真似ぶ」、一生懸命真似て勉強することが大切です。知識がなければ知恵として使うことはできません。けれども、道具である知識をひけらかしても駄目ですよ。知識を学んだら、今度はそれを知恵として使わなければなりません。人に対する優しさ、人格、志は、知恵によって形成されていくものです。
そう言えるほど俺、偉くはないのだけどね。けれども自分もできていないからこそ、目指しているわけです。人生、常に勉強ですね。
◆自分の強み客観的に見て
/CVG東北審査委員長の原田晃さん(産業技術総合研究所東北センター所長)
CVG東北審査委員長の原田晃さん(産業技術総合研究所東北センター所長)
自分の強さとは何かを、客観的に見れるようにすることが大切です。それは、自分で考えたアイディアが、他人から見てどれだけ正しくて良いかがわかることです。
人の考えもよく理解したうえで、人にはない自分のアイディアとは何かを、じっくりと考えてください。
◆時代の変化とは何か、よく考えて
/みやぎ工業会副会長の佐藤徹雄さん(新東北化学工業会長)
みやぎ工業会副会長の佐藤徹雄さん(新東北化学工業会長)
時代は思った以上に早く変化します。今の10年が1年で終わるかもしれません。だから皆さんも、時代が変わるということは何なのか、よく勉強しましょう。お父さん達は皆、それで苦しんでいるのです。
その変化に、今の勉強がついていくかどうかもわかりません。身近に見れるのは、お父さん達の後姿。時代の変化や世界競争について、よく考えてみましょう。
コラボレーション
おすすめ記事
【特集】宮城の研究施設 一般公開特集 |
【特集】仙台市総合計画審議会 仙台の10年をつくる |
【社会】社会って、そもそもなんだろう?
青井真さん(防災科学技術研究所)に聞く:<東日本大震災から10年>東北地方太平洋沖地震が起きて、地震研究はどう変わった? 2021.11.11 【大草 芳江|社会って、そもそもなんだろう?|科学って、そもそもなんだろう?|防災科学技術研究所】
前田拓人さん(弘前大学)に聞く:<東日本大震災から10年>もし東北地方太平洋沖地震が起きていなければ、地震研究はどうなっていた? 2021.10.08 【大草 芳江|弘前大学|社会って、そもそもなんだろう?|科学って、そもそもなんだろう?】
日野亮太さん(東北大学)に聞く:<東日本大震災から10年>もし東北地方太平洋沖地震が起きていなければ、地震研究はどうなっていた? 2021.10.02 【大草 芳江|東北大学|社会って、そもそもなんだろう?|科学って、そもそもなんだろう?】
同じ取材先の記事
◆ 日刊工業新聞社
学生の新事業提案コンテスト、社会的視点の提案ふえる/第8回CVG東北 2013.02.08 【大草 芳江|日刊工業新聞社|社会って、そもそもなんだろう?】
学生がビジネスプラン提案 第7回キャンパスベンチャーグランプリ東北 2012.02.06 【大草 芳江|日刊工業新聞社|社会って、そもそもなんだろう?】
学生らによるビジネスプラン提案コンテスト 第6回CVG東北 2011.02.09 【大草 芳江|日刊工業新聞社|社会って、そもそもなんだろう?】
学生がビジネスプラン提案 2009キャンパスベンチャーグランプリ東北 2010.02.10 【大草 芳江|日刊工業新聞社|社会って、そもそもなんだろう?】
社会って、そもそもなんだろう?
最新5件
カテゴリ
取材先一覧
■ 幼・小・中学校
■ 高校
- ・仙台一高 (15)
- ・仙台二華 (14)
- ・仙台二高 (12)
- ・仙台城南高校 (5)
- ・仙台城南高等学校 (0)
- ・仙台高専 (4)
- ・宮城一高 (4)
- ・宮城県高等学校理科研究会 (2)
- ・岩ケ崎高 (1)
- ・東北工業大学高校 (0)
■ 大学
■ 国・独立行政法人
- ・内閣府 (1)
- ・宇宙航空研究開発機構 (5)
- ・文部科学省 (0)
- ・東北経済産業局 (17)
- ・水産総合研究センター東北区水産研究所 (1)
- ・理化学研究所 (3)
- ・産業技術総合研究所東北センター (36)
- ・科学技術振興機構 (1)
- ・防災科学技術研究所 (1)
- ・高エネルギー加速器研究機構 (1)
■ 自治体
- ・仙台市 (8)
- ・仙台市博物館 (4)
- ・仙台市天文台 (12)
- ・仙台市教育委員会 (13)
- ・仙台市産業振興事業団 (1)
- ・仙台市科学館 (8)
- ・仙台文学館 (2)
- ・仙台管区気象台 (2)
- ・塩釜市 (3)
- ・宮城県 (8)
- ・宮城県古川農業試験場 (2)
- ・宮城県教育委員会 (1)
- ・宮城県農業・園芸総合研究所 (1)
- ・気仙沼市 (1)
- ・登米市 (1)
■ 一般企業・団体
- ・DIC株式会社 (2)
- ・K sound design (1)
- ・KDDI (2)
- ・natural science (1)
- ・せんだい・みやぎNPOセンター (2)
- ・てとてと (1)
- ・ひのき進学教室 (11)
- ・みやぎ工業会 (8)
- ・みやぎ工業会会長 (0)
- ・みやぎ産業振興機構 (3)
- ・アスター (1)
- ・インスペック (1)
- ・エツキ (1)
- ・ソニー (3)
- ・ソニー教育財団 (1)
- ・ソフトバンク (1)
- ・ティ・ディ・シー (1)
- ・デュナミス (1)
- ・ドットジェイピー (1)
- ・ナノテム (1)
- ・ハリウコミュニケーションズ (3)
- ・ハード工業有限会社 (1)
- ・フジイコーポレーション (1)
- ・プレファクト株式会社 (1)
- ・ヤマダフーズ (1)
- ・全国学習塾協会 (3)
- ・公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン (1)
- ・勝山酒造部 (1)
- ・及源鋳造株式会社 (1)
- ・大武・ルート工業 (1)
- ・太白少年少女発明クラブ (1)
- ・宮城の新聞 (0)
- ・宮城県中小企業家同友会 (1)
- ・宮城県産業人クラブ (0)
- ・宮城県職業能力開発協会 (1)
- ・宮城県酒造組合 (2)
- ・工藤電機 (2)
- ・平孝酒造 (1)
- ・応用物理学会 (2)
- ・新東総業株式会社 (1)
- ・日刊工業新聞社 (7)
- ・日本アンドロイドの会 (1)
- ・日本技術士会 (2)
- ・日本私立大学団体連合会 (1)
- ・日本農芸化学会東北支部 (1)
- ・日本IBM (3)
- ・日東イシダ (1)
- ・有限会社 柏崎青果 (1)
- ・東京エレクトロン宮城 (1)
- ・東北ニュービジネス協議会 (1)
- ・東北活性化研究センター (3)
- ・東北経済連合会 (1)
- ・東北電力 (2)
- ・東北電子産業株式会社 (1)
- ・東栄科学産業 (1)
- ・林精器製造 (1)
- ・株式会社三栄機械 (1)
- ・株式会社悠心 (1)
- ・河北新報 (1)
- ・神田産業株式会社 (1)
- ・秋田化学工業 (1)
- ・笹氣出版印刷 (1)
- ・米鶴酒造 (1)
- ・萩野酒造 (1)
- ・農芸化学会 (1)
- ・遠藤工業 (1)
- ・鈴木製作所 (1)
- ・阿部蒲鉾 (1)
- ・阿部蒲鉾店 (1)
- ・鳴子の米プロジェクト (1)
- ・NECトーキン (1)
特別企画 「宮城の塾」
学習塾から見る 宮城の教育の「今」 塾選びに一役 |
【科学って、そもそもなんだろう?】 若手研究者座談会「地震学×情報科学の融合で得られたもの」 2024.09.16 | |
【科学って、そもそもなんだろう?】 地震の発生予測に挑む(京大防災研の西村卓也さん・京大名誉教授の平原和朗さんに聞く) 2023.01.26 | |
【社会って、そもそもなんだろう?】 【同窓生に聞く#01】中鉢良治さん(元ソニー社長、産総研最高顧問)がリアルに感じていることって、何ですか? 2022.10.27 | |
【科学って、そもそもなんだろう?】 地震学×情報科学の融合で、目指すは天気予報の地震版 2022.04.13 | |
【社会って、そもそもなんだろう?】 「仙台の地形と水との関わり」~地形から見る仙台の過去・現在・未来~ 2022.03.02 | |
【科学って、そもそもなんだろう?】 青井真さん(防災科学技術研究所)に聞く:<東日本大震災から10年>東北地方太平洋沖地震が起きて、地震研究はどう変わった? 2021.11.11 |
記者ブログ
ひとり新聞社「宮城の新聞」の大草よしえが衆院選に立候補 2021.10.19 | |
最近の活動は「Twitter」に移行しました 2019.11.01 | |
【追記】テレビ朝日「モーニングバード」スタジオ生出演&iCAN'15世界大会(アラスカ)世界第1位! 2015.06.19 | |
2014年の振り返りと、2015年の抱負 2015.01.05 | |
平成25年度を振り返りました・・・。 2014.04.02 |
中野塾(泉中央・北高森) | |
ひのき進学教室(泉中央・長命ヶ丘・八幡教室・上杉教室) | |
夢学館(東照宮・福室) | |
早稲田育英ゼミナール(泉中央) | |
ソーメック個別学習院(若林区、太白区、泉区に6教室) | |
明和塾(北山・八木山) | |
JUKU ペガサス仙台南光台教室(南光台南) |
アクセスランキング
- 【宮城の塾】 宮城の塾 仙台市を中心とした学習塾・幼児教室・進学塾の特集
- 世界中の研究者が憧れる研究拠点へ/東北大学WPI-AIMR本館竣工記念式典/科学って、そもそもなんだろう?
- [vol.1] 第1回宮城の日本酒を楽しむ会/社会って、そもそもなんだろう?
- 「仙台の地形と水との関わり」~地形から見る仙台の過去・現在・未来~/社会って、そもそもなんだろう?
- 宮城県仙台第一高等学校/教育って、そもそもなんだろう?
- 【宮城の塾】 ひのき進学教室(泉中央本部教室・八幡町教室・上杉教室・五橋教室・長町教室・愛子教室・吉成教室・大和町教室、他)
- 地震の発生予測に挑む(京大防災研の西村卓也さん・京大名誉教授の平原和朗さんに聞く)/科学って、そもそもなんだろう?
- 【宮城の塾】 JUKU ペガサス仙台南光台教室
- 【宮城の塾】 質問できます!/宮城の塾|宮城の新聞
- 【宮城の塾】 明和塾(北山教室・八木山教室)