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2017年 10月 22日 (日)

活躍する若手研究者ら表彰 東北大学理学部物理系同窓会

2009年11月30日公開

森田記念賞・泉萩会奨励賞授与式のようす

 東北大学理学部物理系の卒業生でつくる泉萩会の総会が、このほど仙台市内のホテルで行われ、卒業生36人が世代を超えて交流を深めた。東北大学教授らによる講演会や、同系関係の若手研究者を表彰する式典などがあった。

 物理科学分野ですぐれた業績をあげた若手研究者を表彰する「森田記念賞」には、平成8年宇宙地球物理学科卒の三好由純さん(名古屋大学太陽地球環境研究所助教)が選ばれた。同賞は平成17年から同会が始めたもので、今年で5回目。

 今年新たに設置された「泉萩会奨励賞」には、平成7年物理第二学科卒の是枝聡肇さん(東北大学大学院理学研究科物理学専攻助教)と、平成5年物理第二学科卒の萩野浩一さん(東北大学大学院理学研究科物理学専攻准教授)が選ばれた。

今年新たに「泉萩会奨励賞」を設置した佐藤繁東北大学名誉教授

 奨励賞設置に携わった佐藤繁さん(東北大学名誉教授)は、「国立大学の法人化が、教育や研究の即効性を予想以上に求めているように見える」と現状を指摘。

 「将来ある若い研究者が萎縮して、時間のかかる地味な仕事を避ける傾向になることが心配だった。若い研究者を評価し勇気付けることで、将来へつなげたかった」と話していた。


―研究内容と中高生へのメッセージを、受賞者に聞きました

受賞者インタビュー

◆三好由純さん(平成8年宇宙地球物理学科卒、名古屋大学太陽地球環境研究所助教)

※インタビューは、中高生向けの内容となっております。詳しい受賞理由は、第5回森田記念賞報告(平成21年度)をご覧ください。

森田記念賞を受賞した三好由純さん(平成8年地球物理学科卒)

―受賞の喜びを聞かせください

 母校から賞をいただき本当に嬉しい。受賞は大きな励みになると同時に、「東北大の卒業生として、これからも頑張っていこう」と改めて気持ちを引き締める思いだ。

―受賞対象となった研究内容について聞かせください

 受賞対象となった研究内容は、放射線帯における粒子速度。

 宇宙というと、中高生の皆さんは遠い銀河や天文を想像するかもしれない。けれども人間が行けるような地球周辺も宇宙であり、そこでは粒子加速やオーロラ発生に代表されるような、非常におもしろいことが起こっている。

 遠くの惑星や天体では難しい、粒子加速を直接観測できる領域が、「ジオスペース」と呼ばれる地球周辺の宇宙空間。このジオスペースのうち最もエネルギーの高い粒子が集まっている「放射線帯」で、粒子加速メカニズムの解明や、粒子の変動予報(宇宙天気予報)を行っている。

 エネルギーが高い粒子は、人工衛星の動作異常を引き起こしたり、宇宙での人類の長期滞在に大きな障害を及ぼしたりする。放射線帯の研究は、人類が宇宙空間で安全に安心して活動していくことにも貢献できる。

―中高生へメッセージをお願いします

 私の専門である宇宙空間物理学は、人工衛星で直接観測したデータを、理論を通して研究していくダイナミックな学問分野。誰も見たことがないデータを見ることができる研究分野だ。

 そのような面白い分野があることを中高生の皆さんにも知っていただき、それが宇宙天気予報の可能性を秘めていることを意識してもらいたい。

 この分野を研究できる大学は、日本では限られている。東北大学のスタッフ層の厚さは、この分野でトップ。ぜひ東北大学の青葉山キャンパスを訪ねてみては。「今、何が面白いですか?」と聞けば、皆喜んで教えてくれる先生方ばかりだ。


◆是枝聡肇さん(平成7年物理第二学科卒、東北大学大学院理学研究科物理学専攻助教)

※インタビューは、中高生向けの内容となっております。詳しい受賞理由は、第1回泉萩会奨励賞報告(平成21年度)をご覧ください。

泉萩会奨励賞を受賞した是枝聡肇さん(平成7年物理第二学科卒)

―受賞の喜びを聞かせください

 これまで地道な研究を続けてきたので、受賞には縁が遠かった。ステップ・バイ・ステップの地道な積み重ねを、今回評価していただき、非常に嬉しく思っている。

―受賞対象となった研究内容について聞かせください

 受賞対象となった研究内容は、固体における熱の伝わり方。「量子常誘電体」として物性物理学で有名な物質「チタン酸ストロンチウム」で、理論的に予測されていた「第二音波」と呼ばれる現象を、実験的に確認した。

 熱の伝わり方は普通、片方をあたためるとそこからじわじわと広がっていく。これが「熱伝導」という現象であり、大学では熱伝導方程式を学ぶ。

 ところが今回見つけた「第二音波」という現象は、普通の熱伝導とは本質的に全く違っていて、「チタン酸ストロンチウム」を冷やすと、熱が波として伝わるという現象だ。この「第二音波」と呼ばれる現象を、光散乱の実験で確認したということ。

 今後はレーザ光を用いて、熱の波をつくり出すことを目標にやっていきたい。

―中高生へメッセージをお願いします

 とにかく地道に、自分が面白いと思ったことを、「どうしてそうなるのか」をとことん突き詰めながら、根気良くこつこつとやっていくことが大事。

 それが将来の業績にどうつながるかとか、打算的なことは抜きにして。面白いと思ったことを突き詰めていくと、結果的に花開くと思う。


◆萩野浩一さん(平成5年物理第二学科卒、東北大学大学院理学研究科物理学専攻准教授)

※インタビューは、中高生向けの内容となっております。詳しい受賞理由は、第1回泉萩会奨励賞報告(平成21年度)をご覧ください。

泉萩会奨励賞を受賞した萩野浩一さん(平成5年物理第二学科卒)

―受賞の喜びを聞かせください

 ただただ嬉しい。これまで研究してきた成果がこのような形で表彰され、大変嬉しく思っている。

―受賞対象となった研究内容について聞かせください

 低いエネルギーで二つの原子核をぶつけたとき、原子核はプラスの電気を持っているため、普通は反発して近づけないのだが、量子力学というミクロな物質を記述する理論を使うと、反発力に打ち勝って近づくことができる。それが核融合。

 そのぶつかるときに原子核が、普通の原子核ではなく、レモン形やみかん形のような変わった形をしている(=励起された)ときに、反発力に打ち勝って近づくことができる確率、つまり核融合の確率が大きくなる。そのようなことがなぜ起こるのかとか、どのような場合にそのような確率が大きくなるかを、理論的に研究した。

 最近の実験は昔に比べずっと精度が良くなってきている。それに伴って理論の方も精度が良い計算をしなければ、実験と比べられなくなる時期に来ている。その精度が良い理論計算を行えるような理論的な枠組みをつくったのが、今回の受賞理由。

―中高生へメッセージをお願いします

 いろいろなことに興味を持って、その中から自分のやりたいことを見つけて。たとえば理系に興味がある人も、文系にも関心を持って。それが意外なところで役に立つことがある。「絶対にこれしかない」とこだわらずに、いろいろなことに興味を持ってもらいたい。


 本記事は、東北大学理学部物理系同窓会(泉萩会)とのコラボレーション企画となります。東北大学理学部物理系の「今」を、第三者の視点から広くお伝えします。

取材先: 東北大学      (タグ: , ,

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