[Vol.6]
阿部賀寿男さん(阿部蒲鉾店 代表取締役社長)
仙台土産と言えば、「笹かまぼこ」。 その笹かまぼこの老舗・阿部蒲鉾店の社長である阿部さんが、 「笹かまぼこ」を通じて、子どもたちに伝えたいこととは何ですか? | |
食べ物の大切さを知ってほしい ですね。 昔は食べ物を大切にしていましたが、 最近は、わりとすぐ、ものを捨ててしまう風潮があるように感じます。 たくさんの人たちの手間をかけて商品ひとつひとつができていますので、 きちんとその大切さは伝えていきたいです。 もともと笹かまぼこは、明治の初め頃、ヒラメの大漁が続いて 魚が余ってしまったときに、当時は冷蔵庫なんてないですから、 そのままにしておくと腐ってしまってもったいないので、 白身だけをすり身にして、笹の形にして焼いたのがはじまりだと言われています。 |
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まさに、笹かまぼこは、食べ物を大切にする精神が産んだ特産品なのですね。 では、「食べ物の大切さ」を、どのような面から伝えたいと思いますか? |
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特に最近は、ニュースでも食の安全が騒がれていますが、 やはり、「安心・安全」という面からでしょうか。 最近、私の会社では、安全基準の中でもハードルが高い HACCP(ハサップ)を、取得しました。 HACCPとは、もともとNASAが宇宙飛行中の食事の安全性を 確保するために考案した食品衛生管理システムです。 宇宙でおなかを壊したら、大変なことになりますからね。 そうならないように、衛生管理をするための非常に厳しい手法なのです。 厚生労働省が認定しているHACCPを取得してる会社は、 仙台市内では、私の会社も含め、2社のみです。 うちの商品は、3年前から保存料を使っていないのですが、 保存料がなくてもきちんと日持ちするように、衛生管理を徹底しています。 ただ、結婚式のご祝儀用かまぼこだけは、持ち歩きする場合が多いので、 品質管理のために、保存料を入れています。 |
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なるほど。 自分たちが取り扱う「食べ物の大切さ」を理解していれば、 当然のこととして、「安心・安全」への責任があると言うことですね。 私の感覚では、「食べ物の大切さ」と「安心・安全」は、 最初、直接つながらない言葉のように感じましたが、 それも、提供する側と提供される側の違いなのかもしれません。 阿部蒲鉾店さんの「安心・安全」に対する取り組みからは、 作り手ならではの「食べ物」に対する真っ直ぐな姿勢が伝わってきます。 それは、自分がつくる「食べ物」に対して「責任」を持っている、 という言葉でも言い表すことができるように思います。 ちなみに、「責任」という言葉は、子どもに説明することが難しい 言葉のひとつだと思うのですが、阿部さんなら、どのように説明しますか? |
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難しい質問ですね~(笑)。 大きな意味では、食べてもらって美味しいと言ってもらえること、 その中に当然のこととして、安心・安全があるということが、 お客様の信頼を得ることであり、「責任」ということではないでしょうか。 |
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「責任」は、自分以外に相手がいてはじめて、成立するものなのですね。 確かに、先日笹かまぼこの手焼き体験をさせていただいた時は、 私が私のためにつくったものだったので、「責任」は感じませんでした。 では、それを言葉だけではなく、感覚で子どもたちに伝えるには、 どうすればいいと思いますか? |
|
う~ん、難しいですねぇ(笑)。 子どもには特に、言葉だけでは伝わりませんものね。 でも結局、ものをつくるということは、 常に同じ味を提供していくこと、それでいて、できるだけ多くの人たちが 「美味しい」と言ってもらうものをつくること。それが難しい。 ということを、説明するしかないんじゃないかな。 食品には、流行があるじゃないですか。でも意外と、廃りも早い。 そういった中で歴史が長く続いている、ということがうまく伝わるといいかな。 |
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私たち消費者は、そこにあるのが当たり前のように思っていますが、 その裏側には、見えないけれども大変な努力があって、今があるのですね。 では、これまでお話頂いた内容を、空想授業にしていこうと思います。 「食べてもらって美味しいと言ってもらえる」笹かまぼこをつくれるのは誰か? を競う、バトル形式の授業はどうですか? |
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自分たちで味をつけるとかね。 基本的なところまではこちらでつくっておいて、 あとは子どもたちの好みで、調理料や砂糖、酒などで味付けをする。 それでグループ対抗で、どこが一番美味しかったか?とか。 |
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意外と、商品開発につながったりして(笑)。 グループも、小学生と職人のグループをつくるのはどうでしょう? 職人さんには、衛生管理も含めて、できるだけいつも通りにつくっていただく。 |
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プロがつくるものと、自分たちがつくるものは、どうちがうか?とかね。 負けたらどうしよう(笑)。 |
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小学生のグループも、 レシピ通りにつくるグループと、自分の好きな調味料を入れるグループの 2パターンをつくると、職人との差がわかりやすくなるのでは? |
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いいですね、面白そうですね。 子どもたちに、ぜひやらせてみたいですね。 「まずい!」とか、なったりしてね(笑)。 |
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さらに、その一部始終を、ビデオカメラに撮っておくんです。 そして最後に、皆でビデオを見て、阿部社長が、子どもたちの調理の様子を、 安全基準の中でもハードルが高いHACCP(ハサップ)の基準に照らし合わせ、 「これはレッドカードだな」「これはイエローカード」と、判定していくのはどうでしょう? きっと、子どもたちは、たくさんカードをもらうことになると思いますけど、 その分、「安心・安全」に対するシビアさを実感することで、 阿部社長の伝えたい「食べ物の大切さ」が伝わるのではないでしょうか? |
空想授業プラン[vol.001] 阿部蒲鉾店
【授業名】
子どもvs職人の笹かまぼこ対決を通して、「食の大切さ」を体感しよう
授業の概要
【授業のねらい】
職人との笹かまぼこづくり対決を通して、「食の大切さ」を実感してもらう。
【授業の流れ】
(1) 笹かまぼこづくり対決を通して、食べ物やモノづくりに対する興味喚起と、
多くの人に「美味しい」と言ってもらうことの難しさを体感してもらう。
(2) 職人との対決を通して、「美味しい」ものを常につくり続けることは容易
ではないことを体感してもらう。
(3) 対決の様子をビデオカメラに録画し、子どもたちが行った調理の様子を、
HACCPの基準に照らし合わせて、イエローカード等を用いて楽しく
判定することで、安全管理のシビアさを体感してもらう。
①子どもは、班ごとに分かれる
②さらに、子どもチームを以下のA・Bに分ける
子どもチームA:レシピどおりにつくる
子どもチームB:用意した調味料で自由につくる
③職人vs子ども各班の対決で、笹かまをつくる
④完成品をみんなで食べて、一番美味しいものに投票する
⑤一番美味しかった笹かまぼこが発表される。
①1時間目の様子を、ビデオで鑑賞する。
②子どもたちの調理の行動を、HACCPの基準に照らし合わせて判定。
③イエローカードやレッドカードを用いて、楽しく解説する。
【大草芳江】
コラボレーション
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